あけましておめでとうございます菊地です

Jan-05-2010
 




 あけましておめでとうございます。「あけましておめでとうございます」はリエゾン気味に成りがちな「う」音をしっかり1音に数えれば丁度15文字ですから、3×5と5×3、つまり3拍子と5拍子のポリリズムでして

<5拍子(三連符)>
あけま してお めでと うござ います
あけま してお めでと うござ います

<3拍子(5連符)>
あけまして おめでとう ございます
あけまして おめでとう ございます

 こうなるわけですが、どうですか皆様、グルーブしましたか?「うござ」が難しいですね日本人には。はっきりリエゾンしてしまい、「おござ」にした方がグルーヴが安定する。という方も多いかもしれません。歩行(2拍子)に乗せると、毎回一歩目の足が左右入れ替わる事に成りますが、成れれば気持ちよいばかりです。

 さて、これに「菊地です」という5文字を足しますと(「あけましておめでとうございます菊地です」)全体が20文字になり、4×5、5×4という構造に変わります。

<5拍子(四連符=16分音符)>

あけまし ておめで とうござ いますき くちです
あけまし ておめで とうござ いますき くちです

<4拍子(五連符)>

あけまして おめでとう ございます きくちです
あけまして おめでとう ございます きくちです


 これが、ワタシの作品に遍在する4×5ポリの構造ですので、今後「構造1(「構造と力」DCPRG)」、「蜜と蠍(「CURE JAZZ」菊地×UA)」、「invocation(「The revolution will not be computerized」DUB SEXTET)」、「大天使のように(「記憶喪失学」ペペトルメントアスカラール)」、「嵐が丘(「ニューヨークヘルソニックバレエ」ペペトルメントアスカラール)」などをお聴きになる際には、

 
 あけましておめでとうございます菊地です


 と、こう、新年のご挨拶でソルフェージュして頂くと幸甚であります。勿論、20文字であれば何でも良いので、「我が輩は/猫である/名前まだ/ないけどね」であるとか「友達の/友達は/メル友だ/マイミクだ」であるとか、或いは「いとしさと/せつなさと/はげしさと/ねむたさと」でも何でも良い訳ですが、勘の良い、或いは、整数感覚が以上に発達している方であればお解りの通り、日本の名文句の類いというのは、最初に5、5と重ねて、次に破れるのが多いですね~。5、5、5、5と連打される事はほぼありません。これは、5、5、5。もしくは5、5、5、5(或いは3つめに破格を持たぬ5、5)。という風に、同数だけでまとまるとグルーヴが発生してしまい、言葉に成らないから。つまり反復の強度発生を避ける為だと思いますけれども、しかし




 あけましておめでとうございます菊地です

 
に、そんなに反復衝動があるか?と言われれば、「そんなには」ありません。これは5/10/5もしくは15/5というシンコペーションが基礎単位5で行われる事に慣れていない上に、前述の「とう」がリエゾンするというノイズが入るからで、かくしてJ-POPの歌詞は「あけまして おめでとう ございます きくちです」ではなく、シンコペもリエゾンもない「せつないよ 寂しいよ あいたいよ うれしいよ」の繰り返しに成る訳です。ウソだとお思いになるならば、実証してみせましょう。


 例えばここに、架空のJ-POPの歌詞があるとしましょう。ヒラウタがこうだとします



 絵文字いっぱいで送ったメール
 280時間後に着信したら 文字だけだったね
 アフガン増兵について書いたから?(like a 通信ソルジャー)
 照れだからだよ
 ずっとずっと迷ってた
 あなたが背中押してくれた 
 物凄い勢いでどーんって押してくれた
 ヘルニア
 あの日からずっと



 で、ここに、サビが来ると。もういちど最初からいきますと





 絵文字いっぱいで送ったメール
 280時間後に着信したら 文字だけだったね
 アフガン増兵について書いたから?(like a 通信ソルジャー)
 照れだからだよ
 ずっとずっと迷ってた
 あなたが背中押してくれた 
 物凄い勢いでどーんって押してくれた
 ヘルニア
 あの日からずっと

せつないよ 寂しいよ あいたいよ うれしいよ
せつないよ 寂しいよ あいたいよ うれしいよ
せつないよ 寂しいよ あいたいよ うれしいよ



 とてもよろしいですね。ジャンル問いませんね。すごいヒットする感じがします。それにひきかえ




 絵文字いっぱいで送ったメール
 280時間後に着信したら 文字だけだったね
 アフガン増兵について書いたから?(like a 通信ソルジャー)
 照れだからだよ
 ずっとずっと迷ってた
 あなたが背中押してくれた 
 物凄い勢いでどーんって押してくれた
 ヘルニア
 あの日からずっと

 あけまして おめでとう ございます きくちです
 あけまして おめでとう ございます きくちです
 あけまして おめでとう ございます きくちです


 おめでたさは表現されていますが、少々ポエジーに欠ける、というよりも、なにがなんだか解りませんこれではね。  

 と、まあ、正月早々、せっかくちゃんとした構造読みの話をしていたのに、途中から面白く成ってしまい、ほとんどの人が後者のみの咀嚼で、「あははは面白い人だなあ菊地さんは」という表層ポップばかりが流通して行く。というそんなワタシの悪い癖~。を今年ばかりは改めようという思いに駆られているわけですが、というかいよいよ21世紀が到来したので少々舞い上がっている訳です。

 というか、ちゃんと流れに成っているのでありますぞ。因に、昨年と一昨年の、年頭の書き込みを並べてみましょう↓




    *    *    *     *     *


    09年1月6日「年始のご挨拶」

当欄読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。昨日無事帰国し、新宿は歌舞伎町のディープ・ノース・エッジ、職安通り沿いに戻って参りました。人並みもまばらな松の内の風景は変わりませんが、我が庵の周囲に住まうホームレスの皆さんの数は(どういう事情による物か)何とゼロです。明らかに何かが始まっています。酷いことになりそうですなあ。実にこう、ワクワクします。今年も変わらぬ御愛顧のほど賜れば幸甚の極み。隅から隅までずずずいとON願い奉りますーる。

 と、3年前の元日はモロッコでしたが、今年は1年と2ヶ月ぶりのパリ。どれだけステキな年末年始かしらんと皆さん思われるでしょうが、テレビのニュースといえば、トンマの癖しゃがって、ツラだけは年々ジャンポールベルモンドの中年期に似て来てやがるあのニコラ・ポール・ステファヌ・サルコジ(おまけにド・ナジ=ボクサ。フレンチ・ジュゲムなのだろうか。因にプーチンは<ウラジミール・ウラジミーロヴィチ・ウラジミーレンスキ・ウラジミル・プーチン>ホントに良いコンビだお前等は)がイスラエルとアメリカの関係に介入しようと躍起に成っている所ばかり。あいつのツラでは新年の目出たい感が台無しに・・・等と、さすが新年一発目、立て板に湯水の如く口から出任せウソ八百溢れ出ておりまして、実のところ何とパリ行きボツっております(これぞ苦笑→香港参照)。

 勿論これは、ガザだレイキャビクだアテネだといったファックな騒ぎとは一切関係はありませんで(「もうー、そんな事やってないでアメリカ囲もうよー。アングロサクソンもう終わるよー太陽発電いけるよー。アイスランドには気の毒だけどなー」とずっとブラウン管に愚痴言いっぱなしの正月でしたなあ)、良く有るチケット&ホテル関係のコネクトミスだったのですが、ダメと成るや咄嗟に踵を返しまして、何と数年ぶりで故郷に帰っておりました(成田を突っ切って銚子に向かう格好ですね。特急しおさいに乗って)御陰で、ミカンの皮だの数の子の切れ端だの徳利だのをサルコジやキッシンジャーや立川談志の顔にぶつけたり、矢鱈と自転車に乗りまくって、皮下脂肪を溜めるそばから燃やしまくったり、パリで披露するつもりの自慢の和装で漁港に行き、カモメに石をぶつけたり、なかなか酔狂で鯔背な正月を過ごさせて頂いた訳ですが、ワタシのプライヴェート正月の話などさておき&年頭所感としてはこれが何と一字一句たがわずまったく昨年と変わりませんので(本当に。こんなにも地続き感のある正月は珍しいです。昨年の年頭所感とご挨拶は、一回前の当欄にありますのでよっぽどお暇な方はご覧下さい。つまり1年以上ずっとワクワクがキープされているわけですが、これは麻生首相による所も大きいでしょう。民主党のデブの大将がここ最近、妙に血色が良く成って肌艶が増し、あろう事かちょいと色男に成って来たのも、明らかに麻生エフェクトですなあれは)、本日は当欄の名に恥じぬよう、09年の(ワタシに関わる)最新ニュースをいくつかご紹介したいと思います。


 (中略)


 と、これら総て、4月までに終わるスプリングシーズンの一覧でして、つまり現在、作曲と作曲と作曲と編曲と編曲と、あとがきとあとがきとあとがきと撮影に勤しんでおりまして、更に通常営業の連載(現在、連載以外の雑誌では「STUDIO VOICE」と「kamipro」に出ています)と慶應の授業のラストスパート。という年の初めでした。お忙しいですなですと?何をおっしゃるワタシはウソ偽りなく、遊んで暮らしております。それでは09年最初のごきげんよろしゅう(希望者多数のメタボアゲインスト用スクワットと、大谷君の最新刊については後日)。




    08年 1月7日「あけましておめでとうございます」

 昔は15日までだった物ですが最近は7日、ぎりぎりの松の内ですから謹賀新年と申し上げるのも憚られる訳ですが、まあ何と言うかユルくこのう行きましょう明けましておめでとうございます。今年も変わらぬ御贔屓の程、よろしくお願い致します。

 さてユルく行くなどと言いながらいきなり剣呑な事を言う様ですが、これは直感と言うか、まあもう、ほとんどポエジーに近い年頭所感ですけれども、ワタクシ昨年で「前の戦争」はやっと終わったと思っています。ワーイズオーヴァー悲しいけれど終わりにしようキリがないから。ジョン・レノン&オーヤン・フィーフィーも歌っております。お若い方にはお解りに成らないでしょうなあ。最近のお若い方は「解らない」のがお嫌いですからさぞかし不愉快だと思いますがまあご勘弁を。ワーイズオーヴァー泣くな男だろう。終わりにしよう。ワーイズオーヴァー。耳を塞ぎたく成る様な酷い替え歌です。
 
 08年と言うのは古来から既に00年代ではなく10年代の始まりでることは、少々歴史を齧った事がある方ならばご存知でしょう。思い出します68年、78年、88年、そして98年。と言う訳で、やっと長きにわたる戦争が終わり、今年からまったく新しい戦争が世界で同時に始まるとワタシは思っております。勿論ドカーン!とかバリバリバリ!とかいうアレは前の前の世代の戦争です。更に言えばアニメのドカーン!とかバリバリ!は前の世代の戦争です。

 前の戦争が終わり、新しい戦争が始まる。という話に「ああ、なんつうか解るなそれ」なんつって頷かれる御仁も多かれと思います。ただ、それがどういう戦争か解らない。実はワタシにも解りません。ただ、ワタシ思うに、とにかく随分と姿は違うんじゃあねえか。前の戦争はワタシ本当に虫の好かねえウジウジした奴だったけれども、今度の戦争はアタシ好みなのではないか。ちょっとこう、凄げえというか色っぽいというか、姿形が良い様な気がするんだよなあ。どうにもこうにも。なんてテメエに都合の良い空想をしております。勿論「格差社会で、ワーキングプアの人は日常と闘う戦士だあ」「ネット社会での暴力性が実社会に漏れ出して路上は対テロ戦の戦場だあ」とか何とか、貨幣価値にして17円ぐらいの戯言抜かし、パソコンに顔面が張り付いたバカ焚き付けて良い調子。なんてえ景気の悪い仕事はしませんぞ。茂木×斉藤賭博でドンペリのヴィンテージのマグナムが二本買えましたんで、大晦日の区役所通りで思いっきりシェイクして天までブチ上げてやりましたよ。ホストとホステスが流れ星と思ったと云う。通り一面で拍手喝采です。戦争ですからなあ。シックで、クールで、クレイジーに景気よく行かないとね。

 とまあこのフレッシュ感、天晴なまでの殺気と高揚感。素晴らしい新年の始まりと言えるでしょう。早速三つ程仕事を終えまして、Kamiproの年末アンケートでしょう。パリコレ取材日記のFN掲載版のゲラチェックでしょう。エスクアィア日本版の「菊地成孔選曲の100曲入りi-pod」落札者の方へのカウンセリングでしょう。これからダブセクステットを爆音で鳴らしながら風呂はいってルーシーダットン(タイ式のヨガ)やって、シャドーボクシングやって寝ます。いやあだって65キロになっちゃったんだもの。過去最高。もうしょうがないですよ、クレッソニエールのフォワグラが旨すぎるんですから。それではごきげんよう。

 

      *    *    *     *     *




 ほうらちゃんと繋がっているでしょう(因に、07年の年頭は「続・地球温暖化って、あったかい」というタイトルで「氷が、凍り続けているのが自然。という生理的感覚はむずかしい。というのが温暖化問題の第一の難しさだ」といった、馬鹿丸出しの主旨で書いています・笑)。というわけで、21世紀も変わらぬ御ひいきの程、よろしくお願い致します。では最後に、ささやかなお年玉プレゼントとしまして、21世紀の始まりに相応しいとしかいいようがないニュースを二つばかり。ごきげんよう。


1) 「2000年問題」が10年遅れてオーストラリアを直撃、金融システムが大混乱に陥る

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100104_y2k_in_australia/

 さすが、世界で一番朝食がうまい国であり、クロコダイルダンディのいるセカンド・アマゾン、オセアニアであります。

1) つつつつ遂に!

http://sofusha.moe-nifty.com/series_02/2010/01/2-2eeb.html

 10万近く戻したよ!(笑)しかしこれ必読(或いは無必読。わかんないどっちか。何れにせよ茂木節炸裂)です。あとで斉藤先生に率直な感想を伺い、誰にも言わず腹に仕舞っておこうと思います。













      菊地成孔の関連サイト


<ペペ・トルメント・アスカラールのmyspace> 
http://www.myspace.com/kikuchinaruyoshi

インターネット物に関する参加/把握が<ホームページ>までで、ミクシィ以降さっぱり。のネット馬鹿なのですが、スタッフが運営するというので<マイスペース>なるものを始めました(なので、ワタシは触っていません)。今の所ペペ・トルメント・アスカラールのみの物ですが、評判が良ければダブセクステットもやろうと思います。


<菊地成孔マネージャーの速報>
http://ameblo.jp/naganuma/
このタイトルだけだと、マネージャー個人の、毎日の日記だと勘違いされてしまう方が多いのですが(笑)、菊地成孔の仕事の情報が網羅されています(いっぱいあるのでどんどんめくって下さい)。チケットや内容に関するお問い合わせ先にもなっています。

<「服何故01」>
http://ksuque.blog.drecom.jp/archive/278
菊地成孔のモード批評書「服は何故、音楽を必要としているのか?」の映像サイト(ファンの方が作って下さいました)です。これは本当に凄い。読みながら観ると、情報量が5冊分に増え、5倍お得。

<「ダブ・オービッツ特設サイト」>
http://www.ewe.co.jp/duborbits/
菊地成孔ダブセクステットのセカンド・アルバム「ダブ・オービッツ」の特設サイトです。視聴や楽曲解説以外にも特典コンテンツ満載。


菊地成孔の連載(総て紙媒体)

<ROCKS>
http://www.shibuyabooks.net/special/rocks/

渋谷の本屋さんがやっているロック文化主体の雑誌、と、ダブルアウェイな媒体ですが「都市の同一性障害」というタイトルで、ワタシの撮影した写真とエッセイで、大判の見開き2頁を使った連載をやっています(2000文字)。


<フラウ>
http://watashi-frau.com/

「菊地成孔の時事ネタ嫌い」という連載で、社会時評の真似事をしております。(3800文字)


<ファッションニュース>
http://www.fashionnews.jp/magazine/fashionnews/

「服は何故、音楽を必要としているのか?」という連載で、パリ、ミラノ、東京のファッションショーと、使用されている音楽との関係について批評しております(この連載をまとめた物が「服は何故、音楽を必要としているのか?」です)。(6000文字)


<リレーションズ・ドット>
http://www.re-lations.co.jp/

 駅置きのフリー・マガジンの中で、最もゴージャスでリュクスだと言われている(表紙写真や連載陣、扱う話題など、「ひょひょひょっとして、時代遅れなのでは?」というほどの贅沢さ)、いまどき珍しい勝ち組マガジン「リレーションズ・ドット」で、「恋と声の話」という連載をしています。タイトル通り「声」と「恋」に関するエッセイです。(1500文字)

 

 

 

「ユングのサウンドトラック」発売

Jan-11-2010

 

 

 

 

 





 御陰さまをもちまして昨日、ワタシの13冊目(大谷くんとの共著含む。文庫化されたものは数えず)の著作

「ユングのサウンドトラック~菊地成孔の、映画と映画音楽の本~」(イースト・プレス)


 が目出たく発売になりました。本屋さんに行って「長髪の白馬の表紙の」とお申し付け下さればすぐに出て来ますし(違う本が出て来る可能性もありますが)、何とこのサイトからもバイナウ可能であります。知ってた?オレ知らなかった!(マジで・笑)

http://www.kikuchinaruyoshi.com/nouvelle.html

 ここのところモノカキとしましては、「M/D」、「服は何故、音楽を必要としているのか?」「アフロ・ディズニー」と、内容は充実しているのだが、実に様々な意味でこのう、ちと読むのが辛い本が続き(笑・すみませんです。悪気は無いのです本当に。真面目に一生懸命かいただけ)ましたので、ここらで一発、シンプルに読みやすく面白い本ちゅうのを出さんかねキミいー。といった流れになっておりまして、合点承知の助。とはいえ、どういう題材で行こうかなー。と思っていた矢先に、まったく別の流れで、映画の本なんかどうですか。といったオファーを偶然頂きまして、ワタシが書く映画の本などという、いくらでも読むのが辛く出来そうな(笑)物件で、敢えて楽しくやってみようかしらん、とばかりに、ささっ~と一ヶ月ほどで書いてみました。

 とはいえこれは薄味とか手抜きだとかコドモ騙しとかシロウト相手の新書感覚お手軽教養講座、とかいったことではありませんで(何せ丸々1章ゴダールだったりしますし・笑・とはいえ二章からはグラントリノとかハウルの動く城とかになりますので反フレンチの方もご安心を)、単純に、力を抜いて楽しく書く(勿論、前述の数冊の様に、どんなに猛烈に力を入れまくっても、本を書くのはいつもでも楽しいのですが)という、書き手のリラックスやジョイを本に封じ込めるつもりで書いた、映画に対するストレートラブの本です。ラブは遊びではない、とかいえ余り力まずに楽しくやった方がオウオウにして上手く行く也、というのは、今ではすっかり中年の叡智に成り下がってしまっているやも知れませぬな。

 また、ワタシの仕事というのは、たとえばハイモードにもポリリズムにも興味が無い方が「服は何故~」を読んでは無駄にイライラしたり、マイルスに興味が無い方が「M/D」を読んでは無駄にウンザリしたりといった、これはもう育ち悪し、不徳の致す所としか言い様が無いのですが、悪戯なほどに越境的であり、こうした事故を生む可能性を孕んでいる、というスリルが、魅力の一部に成ってしまっている。といった、どうにもタチの良く無い力があるようでして(笑)、「お客様たいへん申し訳ございません。ご不満お怒りはごもっともなのですが、どうやらそのう。店を間違えておられるご様子。お客様がお求めになっている物は当店ではなく、斜向いのアチラでお求め願うのがよろしいのではございませぬか」「あ、本当だ。間違えた。でもバッキャロー」といった対応におわれる。などといったファックな面倒がおこる都度、あーいかんなあと自らの頭をポカポカ叩いては舌をビヨーンとか出したりして参ったのですけれども、今回はそういう事故が起きぬ様、映画好きな方であれば何方でも、よしんば映画がお好きでなくとも、単に面白げなエッセイが好きなだけさ。といったリラキシンな方でもお楽しみ頂ける感じで書き上げておりますので、まあこの~、お金を払って何かするなんてもうやーめた。共有ソフトとマックとユニクの三角形で生きていけるさ。といったご時世ではありまするが、騙されたと思ってひとつよろしくお願い致します。

 とはいえまあ、他ならぬワタシがいう「面白」ですから(しかも、専門書ではないので、「スペイン~」以来、久しぶりでそっちに専心しておりますしな)、本当に悪戯に、そして麻薬的なまでにエゲつない、なんだかもう面白いんだかエロいんだか眼が回る。といった類いの、例のあの面白さでして、何せ自分で読み返しながら「面っ白いなあコレ。はっはっは」と独り言をいいながら読んでおりますとあっちゅうまに1~2時間経ってしまい、大学の授業に遅れたりしておりますので(苦笑・何やってんだ)。お買い上げ下さった皆様におかれましては、使用上の注意を良くご覧にな(書いてありません)。

 お勧めは、ちょっとベタベタですがキャフェもしくはブラッセリー等に一人で出掛け、特別すごいもんでもない、今だったらヴァンショーやマールですね。それにポムフリットかクロックムッシュなどですね。ああいった物と鉱水とお煙草などテーブルに並べて、チビリチビリやり散らかしながら。或いは御入浴中ですね。半身浴でのぼせぬ様に読んで頂くと馬が喜びます。フローズンダイキリなんて、マンションのユニットバスに凄くフィットするのですが、お好きなかき氷系アイスにラムやジンを注いでかき混ぜた物にストローをさせば大丈夫です。ネットリして凄いですよコレは。

 リラキシンの一巻としまして、脇ガラガラ空きで、つまり資料に関して、数カ所を除き(それがどこかは読んでのお楽しみですが)、パソコンは使用せず、記憶と、手元(ホントに手を出せば届く、そこいらのこと)にある本にだけ頼っておりますので、チクチク言うのがお好きなプチMファザコン。といったマニア諸氏、諸嬢に於かれましては記述の間違い探し。という、秘密のオプションなお楽しみもありますので(すでにワタシ、独力で2つ見つけています・笑)、感想とご一緒に、どしどしお寄せ下さい。

 そして、これが一番の肝心要ですが、読んだら必ず寝て下さい。この本は、白馬にまたがってアナタの睡眠にお邪魔し、あらゆるアナタの記憶と手を組んで新しい夢を構成します。それでは今宵ばかりは、お読みに成って下さった方にのみ。ごきげんよう。




<追記>

 正式発売日の翌日、世界中を覆う寒波(真の「不都合な真実」)の中、エリック・ロメール氏が逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


<追記2>

 ワタシの予想通り、かったるい中道保守の「ヴィヨンの妻」に、我が国の賞レースで完膚なきまでにまくられた「パンドラの匣」ですが(笑)、これまたワタシの予想通り(あっちこっちのイベントで発言しまくっていました)、川上未映子さんが新人賞を受賞されました。川上さんお目出度うございます。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20100112-OYT1T01363.htm










      菊地成孔の関連サイト


<ペペ・トルメント・アスカラールのmyspace> 
http://www.myspace.com/kikuchinaruyoshi

インターネット物に関する参加/把握が<ホームページ>までで、ミクシィ以降さっぱり。のネット馬鹿なのですが、スタッフが運営するというので<マイスペース>なるものを始めました(なので、ワタシは触っていません)。今の所ペペ・トルメント・アスカラールのみの物ですが、評判が良ければダブセクステットもやろうと思います。


<菊地成孔マネージャーの速報>
http://ameblo.jp/naganuma/
このタイトルだけだと、マネージャー個人の、毎日の日記だと勘違いされてしまう方が多いのですが(笑)、菊地成孔の仕事の情報が網羅されています(いっぱいあるのでどんどんめくって下さい)。チケットや内容に関するお問い合わせ先にもなっています。

<「服何故01」>
http://ksuque.blog.drecom.jp/archive/278
菊地成孔のモード批評書「服は何故、音楽を必要としているのか?」の映像サイト(ファンの方が作って下さいました)です。これは本当に凄い。読みながら観ると、情報量が5冊分に増え、5倍お得。

<「ダブ・オービッツ特設サイト」>
http://www.ewe.co.jp/duborbits/
菊地成孔ダブセクステットのセカンド・アルバム「ダブ・オービッツ」の特設サイトです。視聴や楽曲解説以外にも特典コンテンツ満載。


菊地成孔の連載(総て紙媒体)

<ROCKS>
http://www.shibuyabooks.net/special/rocks/

渋谷の本屋さんがやっているロック文化主体の雑誌、と、ダブルアウェイな媒体ですが「都市の同一性障害」というタイトルで、ワタシの撮影した写真とエッセイで、大判の見開き2頁を使った連載をやっています(2000文字)。


<フラウ>
http://watashi-frau.com/

「菊地成孔の時事ネタ嫌い」という連載で、社会時評の真似事をしております。(3800文字)


<ファッションニュース>
http://www.fashionnews.jp/magazine/fashionnews/

「服は何故、音楽を必要としているのか?」という連載で、パリ、ミラノ、東京のファッションショーと、使用されている音楽との関係について批評しております(この連載をまとめた物が「服は何故、音楽を必要としているのか?」です)。(6000文字)


<リレーションズ・ドット>
http://www.re-lations.co.jp/

 駅置きのフリー・マガジンの中で、最もゴージャスでリュクスだと言われている(表紙写真や連載陣、扱う話題など、「ひょひょひょっとして、時代遅れなのでは?」というほどの贅沢さ)、いまどき珍しい勝ち組マガジン「リレーションズ・ドット」で、「恋と声の話」という連載をしています。タイトル通り「声」と「恋」に関するエッセイです。(1500文字)



 

浅川マキ逝去

Jan-18-2010






 浅川マキさんが公演中に逝去されました。心からご冥福をお祈り申し上げます。マキさん。お疲れさまでした。公演中というのは、本当に、素敵ですね。明日は何を歌おうか、どうやって歌おうか。と思い描いているあいだに、逝かれたのですね。

 カンちゃんからのメールで知りましたけど、その後、タクシーに乗ったら、タクシーの前にパチンコ屋の看板みたいな、文字が流れるのあるじゃないですか、あれにも「浅川マキさんが死去 公演先の名古屋で」というニュースが流れてましたよ。でもそのすぐ次が「ゴールデングローブ賞にキャメロン監督の<アバター>」というのだったんで、すみませんワタシ、涙目ながら、ちょっと笑ってしまいましたけれども。

 ワタシとマキさんに繋がりがあるとは、読者の皆様には想像もつかないでしょう。これは致し方ない。ワタシでさえ、ほんの数年前までは、想像もつかなかったのです。以下、故人を卑しめる不謹慎な表現であると錯覚されかねない表現が出て参りますが、そうではないことは、第一には、新宿ピットインスタジオの従業員であれば解る筈です。




 当欄読者の皆様ならばご存知の通り、ワタシ多い時だと一週間に三回ほど、ピットインのスタジオを一日中レンタルし、拡大された自宅として、作詞作曲編曲、練習や読書や食事等々をスタジオに篭って行っているので、ピットイン本店の店長である鈴木カンちゃんとは飲み友達ですし、スタジオの従業員の方々には盆暮れバレンタインと付け届け、懇意にして頂いております。

 そんなある日、2年ぐらい前でしょうか。店長しか座ってはいけない、俗称「カンちゃん席」に、とても不思議な雰囲気の、独特なルックスのお婆さんが、ちょこんと座って、マグカップでお茶を飲んでいたんですね。リアル「ごっつエエ感じ」といった様相です。

 うわ。なんだこの人。ひょっとして、外から勝手に入って来ちゃったのかな。そういう人多いし新宿は。と、反射的に思い、軽く身を固くしてしまいました(マキさんすみません・笑)。従業員は、そこには誰もいないんだ、絶対に。といった様子で、ワタシよりも身を固くしている感じでしたし。

 とはいえ、ガキのころから、所謂「ヤバい人」の対応には慣れてる方ですから、軽く身を固くしながらも、涼しい顔で「料金おいくらですか?」とか何とか、もしこのお婆さんが突然騒いだり暴れたりしたら(マキさんすみません・笑)、若い従業員君がパニくらないように、上手くいなして外に出そう。と、緊急時の対応の呼吸を脳内シュミュレーションしながら、目を会わせない様に、ガマグチを空けたりしました。

 そうしたら突然、そのお婆さんが「あら」と言いました。そして「あなた。菊地成孔さんね。あら。違ったらごめんなさい。うふふふふ。でも菊地さんよね。うふふふふ」と言ったので、ワタシは(あ。やっべ)と思いながら、顔を上げ、にっこり笑って「はい。そうです」と言いました。

 「あなたねえ。ダメよお。だってねえ。あなたのお写真だとかレコードのジャケットだとかね。拝見すると、とっても恐い顔してるじゃない。女殺しみたいな。ヘタに寄ってったら怒られちゃいそうで。ねえ。でも、昨日ね、偶然、テレビ見たら、あなたがね、マイルスのお話してるじゃない。それ見たら、優しい良い感じで。なんだこんな人なのかあと思っちゃったわよ」

 あれ、誰だっけ。どっかで見た顔だなあ。モヤモヤするぞ。この人はストリートのヤバい人じゃない。ミュージシャンだ。でも、だったら尚更ヤバいじゃないか。と思いながらワタシは「恐縮です(微笑)」と、そのお婆さんに(やや強めに)視線を返しました。そして、

 「ワタシはもう嫌なのよお。フリージャズの人はねえ、恐い人ばっかりなのよう。亡くなったバタがそうでしょう。それに渋谷さんだって恐いんだからあ。優しい顔してんだけどねえ。恐いのよお」と、お婆さんが続けた瞬間、ワタシの眉間に軽い火花が散り、総てをメイクセンスしたのでした。


 (あ。浅川マキだ。この人)


 「ねー、だから菊地さんなんかね、また恐い人がねえ。あっはっはっは。ごめんなさいねえ。でもねえアタシ、ほんとうに、恐い人だと思ってたから。なんかねえ、初めてあってみたらこんなに優しい顔なんだもん。ねえ。ダメよお。あっはははははは」と仰るマキさんに、ワタシは<マキさん実は、ワタシ、お目にかかるのははじめてではありません>と、言おうとして、止めました。









 ワタシがピットインの昼の部でレギュラーをしていた頃ですから、かれこれ15年以上前のことです。演奏が終わると、店内に不思議な細工が施され始めました。照明が消され、控え室には暗幕と紫色のセルロイドが張られ、ステージには毛皮の絨毯の様な物が広げられ始めました。まだ30歳前半だったワタシは(あ、これが何しおう、伝説の<浅川マキの部屋>か)と思い、ヤベえ早く帰ろう(マキさんすみません・笑)。と、楽器をいつもより手早くパックしはじめました。

 すると、店員さんがつかつかと寄って来ては、生け贄でも見つめる様な表情で「菊地さん、マキさんが控え室でお呼びです」と言うではありませんか。ワタシは、結構おおきめの声で「え?なんで?オレ?」と叫んでしまい、続けて今度は思いっきり声を潜め「え?どうして、どうして?オレなんかやった?時間オーヴァーしてるっけ?」「いや。違うの。菊地くんと話がしたいんだって。マキさんが」「なに話って!」「いやだから、会って話したいんだってよ!」「だから何の話よ!」「しらねえよ!マキさんが呼んでんだよ!」



 ワタシは当時、現在使っているミュグレーのエンジェル(因にレディスです)ではなく、カルバンクラインの、ややパセティックな柑橘系をつけていたので、まずは慌ててそれをもう一度つけなおし、控え室の入り口まで行き、髪を撫で付け、深呼吸をしてから「失礼します」と言って、扉を開けました。

 果たしてそこは、もうピットインの控え室ではありませんでした。すっかりできあがったその異空間は、紫の灯りだけがともり、煙草のけむりが立ち上る、「浅川マキの部屋」でした。マキさんは、ワタシを見つめ、黙ったまま煙草をくゆらせていました。

 「失礼します」と、ワタシはもう一度言いました。すると、座ったままのマキさんは、あの、燻るような、かすれた様な、闇の中から響いて来る浅川ヴォイスで




 「ねえ。あんたさあ。ド変態なんだって?」




 とおっしゃったのです。


 ワタシは、育ちが悪く、30過ぎるまでのあいだには、すっかり、世界各国のヤバい場所で、試されると言いましょうか、返答の仕方ひとつで命が取られかねないような、ダークでヘヴィーな質問を受け、踏み絵を踏まされる。という経験を、ささやかながらしてきてしまっていたのですが、これには、流石に参りました。ピットインの控え室は一坪程の狭さで、しかもそこが、紫色の闇の中です。

 物凄い勢いで脳が回転し、数秒で、凌ぎが算出されました。ワタシは「はい」と言い、苦笑する事にしました。するとマキさんは、同じ浅川ヴォイスのまま、今度はちょっと素っ頓狂な感じで




 「どんなことしてんの?」


 とおっしゃいました。いきなり胸がすっと軽く成り、ワタシは噴き出すのを堪えました。




 「いや(うつむいて笑いを隠し)。どんなってそのう。そんなに、そうでもないです。人が言うほどじゃないです」



 ふうん。。。。みたいなうなり声に続き、見かねた(らしき)マキさんのスタッフが「マキさん、セッティングできました」と言って、マキさんをステージに連れて行きました。ぽつんと残されたワタシは、ピットインの店員に、ウィスパー&大袈裟な表情で(いいの?もう帰っていいのオレ?)と言いましたが、誰もが下を向いてテーブルを拭いたりしているばかり。ワタシは無事に放免。という事に相成り、以後、この日の話は、身振り手振りを交えた、ワタシの宴会での定番ネタとなり、何度も繰り返されて来ました。「そこで浅川マキがさ、言ったんだよ、あの喋り方で、<あんた。ド変態なんだって>」「ぎゃははー!すげえ!」










 それから15年以上が経ち、髪もすっかり白く成られ、というより、60代も後半に入り、総てがすっかり別人のようになった、すっぴんの、とてもすっきりなさった浅川マキさんは、その後も、同じ席に座り、マグカップ片手に、ワタシがスタジオに現れるたびに、「ねえ、初対面なのに、こんなこといってごめんなさいね。あなた怖い人じゃないのねえ。今日も偶然ね。NHK見てたらね、外人の男の子の歌をさ(註*おそらくポール・バラードのこと)、あなたが面倒みててね。あれいいわねえ。うまいねえあの子」とか「ねえ、初対面なのにごめんなさい。失礼かなこんなこと言うの。菊地さんって、ずうっとね、うふふふふ。あたし、恐いんだって、ずうっと思っててね。でもさあ、今日偶然NHK見てたら、爆笑問題の奴とさ、菊地さんが、喋ってたじゃない。あいつ意地悪ねえ、なのに菊地さんが優しく話してるからあたし感心しちゃって」などとおっしゃいまして、ワタシはその都度、「いやあそんな。そうですか、でも結構よく言われるんですよね。恐いですかね(笑)」などと、同じ答えを繰り返し、決してそれ以上の話しはしませんでした。他ならぬマキさんご自身が、こう言われて来たのかな、それとも、マキさんは、みんなにこういって欲しいんだな。マキさんは「そうよお。でもぜんぜん、実際あえばほら、ほらこんな、ぜんぜん優しいかんじじゃない。だからあたし嬉しく成っちゃってえ」と、毎回同じ答えを繰り返し、毎回二人で笑いました。
 
 15年前の話は、別の宇宙の出来事になっていました。伝説の、新宿を新宿たらしめた「アングラの女王」は、少なくとも、ワタシと初対面を繰り返しているあいだには、そこにはいませんでした。

 この数年で、それが10回以上あったと思います。見ていたのはピットインスタジオの従業員と、店長のカンちゃんだけです。マキさんはお元気そうで、年末恒例の3デイズ興行の時、カンちゃん以下ピットインのスタッフを無理矢理ひっぱり回したり、我が侭ぶりもご健在だったそうで、非常に凡庸な心理と表現に成りますが、ワタシは、まさかマキさんが亡くなるとは思ってもいませんでした。表立たない場所で、晩年の僅か数年に、とても可愛がって頂いた。などということになるとは、思いも寄らず(清水先生も、平岡正明先生も、そうであったのに関わらず。です)、まだまだこうして、マグカップ片手のマキさんにおなじことを言われ続けるのだ(毎回、ちゃんと見た番組は変わっているのに・笑)。と思っていたのでした。

 享年67。ワタシがマキさんの歌を生で聴いたことは、一度もありません。新宿は、あの頃の新宿である事を止め、同じ血のまま、しかしすっかり生まれ変わっています。マキさんは長い間そのことを知らなかったのだと思います。厳密に言えば、あのころの新宿が、どんどん小さく成り、マキさん一人の世界に真っ黒に凝集されていたことを、紫の闇の中でマキさん一人がそれを守っていることを、マキさんご自身が、ほとんど意識されていなかったのだと、ワタシは思います。マキさんは名古屋の地で逝かれました。天職を全うされた者への、神の采配でしょう。天国には天国のアングラがあり、天国の全共闘があり、天国の新宿が、天国の60年代が、天国の21世紀さえあって、マグカップ、もしくは煙草片手のマキさんが好きな時に好きな様にぶらぶら出来るのようになっているのだと、ワタシは信じて疑いません。

 

 

 

金原ひとみさんとの対談イベントなど

Jan-23-2010

 

 

 

 






 変化は待っていても来ない、自分からだ、自らの足で一歩踏み出すのだ、でも、ユーキャンのCMの蒼井優さんの泣きベソ顔(「泣くのにも飽きた」編)は、自分のキャメラアングルにミリ単位にまで介入すると言われる鋼鉄のセルフプロデュース王、蒼井優さんの初の失敗では?あれってひょっとしてぶ、ぶ、ぶさ、ぶ、ぶさ、ぶ、と、異様に胸がドキドキすると思ったら、エレヴェーターが故障し、11階まで階段で上がったせいだった菊地成孔です。21世紀に入り、やはり自分で自分の殻を破らなければいけない、誰かに背中を押してもらうのを待ってるなんて青年、もしくは飛び込み台の罰ゲームをくらっている芸人さん、もしくは橋の上で観念している人(あなたが背中押してくれた~♪とか言いながら落ちたらコントですね)のすることである。

 と、ばかりに、今まで一度もしたことがないこと、即ち、風邪をひいて倒れ、治るまで当欄に書かない。という新境地に一歩踏み出してみました。いやあキツかったです(新境地が、じゃないですよ)。二ヶ月前に感冒性腸炎(下痢風邪)やったばっかりなのになあ。皆さんも風邪には注意して下さい。食べ物の味が解らなく成っちゃうのが一番辛いですねえ。この時とばかりにモスバーガーを貪り繰ってしまいました(ライスバーガー海鮮かきあげ3つ)。昨年末、「体重が65キロを超えたので、新年から減量ブログにする」と宣言しましたが、あまりのクッソ忙しさと風邪など複合で、気がついたらもう2キロ落ちてましたので前言を撤回します。前言を撤回すると言えば首相、そろそろ、喋りたく無い時にはマスクを被る。というあの作戦を首相もお始めに成っては?あれは流行りますよ。だって可愛いもの。あの小沢さんが。いやあ21世紀ですなあ。与党のトップがですぞ、マスコミに喋りたく無いという意思表示を、薬局で売ってる白いマスクを被る。という仕草で見事表明する。というのは、55年体制になってから55年後の出来事だとしか言い様がありません。自民党はもうパーティーをオーヴァーさせるべきです。ありし日の立憲政友会のように。

 明日は父親の七回忌に出席するため銚子市に帰り、明後日はトンボ帰りで、そのままアテネスランセで行われる「片倉紡績ビルを偲んで(アテネフランセ映画美学校を一階と地下一階に擁する片倉紡績のビルヂングは、大正15年竣工の、帝都屈指のレトロビルのひとつですが、劣化状況等を鑑み、この1月末で止むなく全面改築することになりました。それを記念し、開校以来このビルに通い続けた美学校の講師陣が集って思い出を語り合う。というイベントが催されるのです→対象は学生のみ。一般参加不可)」に出席しますが、本日はそれ以後の、一般参加が可能なイベントの告知をば。ごきげんよう。



1) 何だかえらく好評「ナイトダイアローグ・ウィズ」第三回


 御陰さまで、というよりも、どうした訳かというべきほどに、初回も第二回もあっという間に完売になりましたトークイベントですが、第三回のゲストは近著「憂鬱たち」「ERIP TRAP/女が男を蔑む時」も好調、そして「新潮」の新年号から「マザーズ」という、初の連載小説を開始された金原ひとみさんです。 

 <エッジでセンシテシヴな美少女作家>といったイメージで文壇にデビューされた金原さんですが、デビュー後7年で、現在に於ける我が国の女性小説家の中でも、文学者としてもっとも硬派で真摯な位置(ネット環境内での不在、書き物は総て紙媒体の原稿に成る。という立場の遵守、多視点主観=多形的移入といった構造性の重視、具体的な症状をテーマに据えるリアリズム、硬質で鋭利な描写力等々)に進まれた金原さんの、表の作品像と人物像をはじめ、文芸誌では指摘されない裏の作品像と人物像に迫ることで、現代に於ける「恋愛」と「小説」との関係について語り合ってみたいと思います。

 等と書くと、えらくカタマジメな文学談義の様に聞こえるかもしれませんが、今までのワタシと金原さんとのトークイベント歴(雑誌、ラジオ、公開イベント)をご存知の方は既におなじみ、お互いの<最近お気に入りのCD>の紹介、そして何と、今年執筆から30周年を迎える、田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」を互いに読み、感想を述べ合うという、とんでもない企画(笑)も御用意しておりますのでお楽しみに。また、当日は、当イベント初の試みとしまして、金原さんとの話し合いの上、ワタシがセレクトしたボルドーの白を金原さんとご一緒に飲りながら進めることになっております(お客様も、ロビーで召し上がれます→ワタシのセレクションではありませんが)。現在残席が30%ほどございますので、金原さんの読者の方も、ワタシの読者の方も是非。

 詳細とチケット購買はコチラ
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0956090






2) 「カルペンティエル地下文学賞」

 現在の東京で最もストレンジで、最もラティーノで、最もマジック・リアリスムな2DJ(菊地成孔、日向さやか)と2バンド(WEG&BLACK HOLE CARNIVAL、ペペ・トルメント・アスカラールfeut林正子fromチューリヒ)がぜんぶ聴けて、たったの3200ペセタ!(日本円で4000円ジャスト)ペペ・トルメント・アスカラール主催のドレスアップ暴動系パーティーシリーズが再びリキッドに帰還いたしました。ワタクシ今年最初のギグでもありますところの「カルペンティエール地下文学賞」ですが、もう少しでフロアがフロッドする所ですので、がっつりセンターで楽しみたい方々はお急ぎ下さい!

http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004551296&blogId=523040304







      菊地成孔の関連サイト


<ペペ・トルメント・アスカラールのmyspace> 
http://www.myspace.com/kikuchinaruyoshi

インターネット物に関する参加/把握が<ホームページ>までで、ミクシィ以降さっぱり。のネット馬鹿なのですが、スタッフが運営するというので<マイスペース>なるものを始めました(なので、ワタシは触っていません)。今の所ペペ・トルメント・アスカラールのみの物ですが、評判が良ければダブセクステットもやろうと思います。


<菊地成孔マネージャーの速報>
http://ameblo.jp/naganuma/
このタイトルだけだと、マネージャー個人の、毎日の日記だと勘違いされてしまう方が多いのですが(笑)、菊地成孔の仕事の情報が網羅されています(いっぱいあるのでどんどんめくって下さい)。チケットや内容に関するお問い合わせ先にもなっています。

<「服何故01」>
http://ksuque.blog.drecom.jp/archive/278
菊地成孔のモード批評書「服は何故、音楽を必要としているのか?」の映像サイト(ファンの方が作って下さいました)です。これは本当に凄い。読みながら観ると、情報量が5冊分に増え、5倍お得。

<「ダブ・オービッツ特設サイト」>
http://www.ewe.co.jp/duborbits/
菊地成孔ダブセクステットのセカンド・アルバム「ダブ・オービッツ」の特設サイトです。視聴や楽曲解説以外にも特典コンテンツ満載。


菊地成孔の連載(総て紙媒体)

<ROCKS>
http://www.shibuyabooks.net/special/rocks/

渋谷の本屋さんがやっているロック文化主体の雑誌、と、ダブルアウェイな媒体ですが「都市の同一性障害」というタイトルで、ワタシの撮影した写真とエッセイで、大判の見開き2頁を使った連載をやっています(2000文字)。


<フラウ>
http://watashi-frau.com/

「菊地成孔の時事ネタ嫌い」という連載で、社会時評の真似事をしております。(3800文字)


<ファッションニュース>
http://www.fashionnews.jp/magazine/fashionnews/

「服は何故、音楽を必要としているのか?」という連載で、パリ、ミラノ、東京のファッションショーと、使用されている音楽との関係について批評しております(この連載をまとめた物が「服は何故、音楽を必要としているのか?」です)。(6000文字)


<リレーションズ・ドット>
http://www.re-lations.co.jp/

 駅置きのフリー・マガジンの中で、最もゴージャスでリュクスだと言われている(表紙写真や連載陣、扱う話題など、「ひょひょひょっとして、時代遅れなのでは?」というほどの贅沢さ)、いまどき珍しい勝ち組マガジン「リレーションズ・ドット」で、「恋と声の話」という連載をしています。タイトル通り「声」と「恋」に関するエッセイです。(1500文字)


 

 

 

弧を描く風邪と告知

Jan-26-2010

 

 

 

 



 風邪をひいたまま、つまり漸近線的に治しながら毎日働いています。バブルの頃は風邪など遊びながら治したもので、38度の体温で温泉に入ってばか騒ぎをした憶えがありますが(その後、治っちゃうんですねえ)、本日は止せば良いのに毎度おなじみブサイク面下げてテレビ番組、しかも「情熱大陸」以降はじめて民放に出まして(どれだけNHKに出てるんだという話ですが、局名が<成孔~はじめからいっといてくださいよ~菊地の略ですから仕方がない)、とはいえ、「プレミアムスイッチ」という2分の番組で、クレッソニエールを紹介する。というものでして(笑)、その後、楽器屋に行ったり、医者に行ったり、処方箋受付薬局に行ったり、結局テメエの縄張りの中をグルグル回っております。新宿の地理に詳しい方は、脳内のマップに線を引いてみて下さい。

1) 職安通りマンション9階で集合、近所でしばし撮影
2) ロケ車で移動(職安通り左折、明治通り右折南下)、伊勢丹前で撮影
3) 明治通りを徒歩で渡り、クレッソニエールで撮影
4) 終了後タクシーで、大久保の石森管楽器へ(明治通り右折北上、大久保通り左折、小滝橋通り左折南下)
5) リペア部に預けておいたテナー&アルトサックスを受け取ってから再びタクシーでマンション9階へ(小滝橋通り左折、職安通り左折、医大通り左折、最初の信号右折で御苑方面へ)
6) タクシーで御苑スタジオとなり、小林メディカルクリニックに(職安通り左折、明治通りを右折南下、医大通りの最初の信号を右折で新宿御苑方向へ)
7) 処方箋を貰い、徒歩で靖国通り沿い龍生堂薬局へ
8) 薬を出して貰い徒歩でマンション9階へ
9) 原稿を書いたり、本を読んだり(トリーシャ・ローズの「ブラック・ノイズ」でも、黒人のノイズミージシャンの本かと思ったら、ヒップホップの本だった、ガックシ)。
10) タクシーでペンギン音楽大学(御苑スタジオ)へ(6とまったく同じルート)
11) 授業終了後、エアプレーンレーベルの人(というか元生徒)と打ち合わせがてらプレゴプレゴに(今年も絶好調)。
12) 喰い終わり、徒歩で9階へ。

 んでコレを書いている。と、どうでしょう、ワタシがこう、ちび黒サンボの虎よろしく、自分の住むマンションを中心にグルグル回転しているだけの男である事がお解りに成りますかな?今日がスペシャル大回転というわけではありませんで、京橋のアテネと、上野の芸大が無い日は、大体こんなもんなんですね。オフなんて、買い物は新宿のデパート、映画は新宿のシネコン、星付きの料亭もレストランもエステもアデランスの本社もなにも、みんな新宿ですから、要するに山の手線に併せて、新宿内で弧を描いて生きる昆虫みたいなもんで、いまヘリコプターに乗せられて池袋かなんかに投下されたら、無軌道な弧を描きながら北区とかまで行ってしまうでしょう(ワンコインしか持たされなかった場合。ワンビルだったらタクシーに乗ります)。

 しかしまあ、テメエは新宿で弧を描いておろうと、本やCDの評判は世界中から入ってくるので、インターネットというのは凄いモンです。先日も「柳下穀一郎さんという人と松尾スズキさんという人がおまえさんの本について、つぶやいてたよ」というお便りを頂戴し、あんな舌鋒鋭い人々につぶやかれるなんておっかねえじゃねえか!っていうか何なんだそもそもつぶやきってえのはよ!と叫ぶと「はは(侮蔑のトーン)・・・ツイッターだよ」と言われ、しまった新手の勧誘だなこれは、南無八幡大納言南無八幡大納言と、与えられたURLも押さずに念仏を唱えながらブルブル震えていたのですが、どうやら風邪の熱だった様です。というか、ワタシを含んだこの3人が、ほぼ同級生だと言う事に唖然としますが(5こぐらい下だと思ってました。自分が)。

 とまあ、その「ユングのサウンドトラック」のサイン会が近づいておりまして、例によって質疑応答タイム等が御用意されておりますので、音楽関係の専門書のイベントだと、どうしてもこう、読者とリスナー(ファン)がごっちゃになっちゃって、本握りしめて中身は読まねえという有り難い方が多く集結され(笑)、本の内容に関する質問が全然出なかったりするので(笑)、今回の本は流石にシネフィル様いらっしゃるでしょうから(ううう解らない。またしても握りしめてるだけで読まない人々が70人位やってくるのかも知れない。ううう。すいません、まだちょっと熱があります・笑)。

 イベントの告知を続け&追補します。昨年の前半にリリースし、アイツの最高傑作だとか、アイツの本音は結局コレだろだとか、畏れ多いほどの好評を頂戴した「花と水」ですが、アルバム出してワンツアーで引っ込むつもりが、再演を望む声が大変な事になりまして、いっそのこととばかりに思い切り、今年は春夏秋冬、ワンシーズンごとに「花と水」の道行きであり、巡礼でもある国内ツアーを行います(最も身の軽いユニットなので、中東でもヨーロッパでも世界中行き放題なのですが、「ジャズジャポネズムの最新型」というアルバムの本懐に従い、あえて国内限定でサーキットすることにしました)。これは渋い。毎夜演奏の後は、日本ジャズ界屈指のエッセイスト二人として(笑)行く先々の名物と名酒を喰らい、天下国家を憂い、粋や艶について、とことん対談して行こうと思います(まあ、何ににも載らないんですけれどもね・笑)。

 それではでは告知に参ります。提供はエイーストワークスエンターティメント、ぴあ、イーストプレス、恵比寿リキッドルームでした。ごきげんよう。




1) 何だかえらく好評「ナイトダイアローグ・ウィズ」第三回


 御陰さまで、というよりも、どうした訳かというべきほどに、初回も第二回もあっという間に完売になりましたトークイベントですが、第三回のゲストは近著「憂鬱たち」「ERIP TRAP/女が男を蔑む時」も好調、そして「新潮」の新年号から「マザーズ」という、初の連載小説を開始された金原ひとみさんです。 

 <エッジでセンシテシヴな美少女作家>といったイメージで文壇にデビューされた金原さんですが、デビュー後7年で、現在に於ける我が国の女性小説家の中でも、文学者としてもっとも硬派で真摯な位置(ネット環境内での不在、書き物は総て紙媒体の原稿に成る。という立場の遵守、多視点主観=多形的移入といった構造性の重視、具体的な症状をテーマに据えるリアリズム、硬質で鋭利な描写力等々)に進まれた金原さんの、表の作品像と人物像をはじめ、文芸誌では指摘されない裏の作品像と人物像に迫ることで、現代に於ける「恋愛」と「小説」との関係について語り合ってみたいと思います。

 等と書くと、えらくカタマジメな文学談義の様に聞こえるかもしれませんが、今までのワタシと金原さんとのトークイベント歴(雑誌、ラジオ、公開イベント)をご存知の方は既におなじみ、お互いの<最近お気に入りのCD>の紹介、そして何と、今年執筆から30周年を迎える、田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」を互いに読み、感想を述べ合うという、とんでもない企画(笑)も御用意しておりますのでお楽しみに。また、当日は、当イベント初の試みとしまして、金原さんとの話し合いの上、ワタシがセレクトしたボルドーの白を金原さんとご一緒に飲りながら進めることになっております(お客様も、ロビーで召し上がれます→ワタシのセレクションではありませんが)。現在残席が30%ほどございますので、金原さんの読者の方も、ワタシの読者の方も是非。

 詳細とチケット購買はコチラ
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0956090






2) 「カルペンティエル地下文学賞」

 現在の東京で最もストレンジで、最もラティーノで、最もマジック・リアリスムな2DJ(菊地成孔、日向さやか)と2バンド(WEG、ペペ・トルメント・アスカラールfeut林正子fromチューリヒ)がぜんぶ聴けて、たったの3200ペセタ!(日本円で4000円ジャスト)ペペ・トルメント・アスカラール主催のドレスアップ暴動系パーティーシリーズが再びリキッドに帰還いたしました。ワタクシ今年最初のギグでもありますところの「カルペンティエール地下文学賞」ですが、もう少しでフロアがフロッドする所ですので、がっつりセンターで楽しみたい方々はお急ぎ下さい!

http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004551296&blogId=523040304





3) 「花と水」ツアー第一弾/冬の道行き巡礼

 今や1年は冬から始まるのである。2月20日が有田、21日が下関。もう何と言いますかな。一度も行った事のない土地ばかりにしてしまおうか。ああ、日本のどこかで、ワタシを待ってる人がいる。(予告→春の道行き巡礼は大阪-横浜。詳細は後ほど)


佐賀県有田市

開演日時:2010/2/20  開場:17:30 開演:18:00
入場料;前売り:一般 3000円、高校生以下1000円
 (当日は前売り料金に500円加算されます)

主催:有田町・炎の記念堂 助成:(財)地域創造 後援:佐賀
新聞社、STS サガテレビ

会場:炎の博記念堂  佐賀県西松浦郡有田町黒川甲1788番地
問い合わせ先:炎の博記念堂 0955-46-5010 


山口県下関市

開演日時:2010/2/21 17:00 / START 18:00
入場料:¥5,000 LIVE+DINNER:¥6,500

会場:Jazz Club Billie
山口県下関市一の宮本町2丁目2-22

問い合わせ先:TEL:(083)263-6555
詳細:http://billie.jp








<キャプション>

京橋にある片倉紡績ビル。02年より8年間、アテネフランセ映画美学校を擁した。大正11年竣工。震災も免れた名作レトロビルだが、都の(つまり、勃起を失った戸知事の)再開発推進により、5年以上揉めた結果、廃棄に。最期の日に撮影。

菊地徳太郎の七回忌、イントロダクションの模様。

七回忌の後に、親戚一同で食べた、銚子市が世界誇る利根川の鰻。ほとんど蒸さない。筆者はこれ(をメインとする、利根川の川魚と銚子沖の海魚の懐石コース)を食べ終え、その足で特急「しおさい」に乗って東京駅に着き、片倉紡績ビルに向かった。






      菊地成孔の関連サイト


<ペペ・トルメント・アスカラールのmyspace> 
http://www.myspace.com/kikuchinaruyoshi

インターネット物に関する参加/把握が<ホームページ>までで、ミクシィ以降さっぱり。のネット馬鹿なのですが、スタッフが運営するというので<マイスペース>なるものを始めました(なので、ワタシは触っていません)。今の所ペペ・トルメント・アスカラールのみの物ですが、評判が良ければダブセクステットもやろうと思います。


<菊地成孔マネージャーの速報>
http://ameblo.jp/naganuma/
このタイトルだけだと、マネージャー個人の、毎日の日記だと勘違いされてしまう方が多いのですが(笑)、菊地成孔の仕事の情報が網羅されています(いっぱいあるのでどんどんめくって下さい)。チケットや内容に関するお問い合わせ先にもなっています。

<「服何故01」>
http://ksuque.blog.drecom.jp/archive/278
菊地成孔のモード批評書「服は何故、音楽を必要としているのか?」の映像サイト(ファンの方が作って下さいました)です。これは本当に凄い。読みながら観ると、情報量が5冊分に増え、5倍お得。

<「ダブ・オービッツ特設サイト」>
http://www.ewe.co.jp/duborbits/
菊地成孔ダブセクステットのセカンド・アルバム「ダブ・オービッツ」の特設サイトです。視聴や楽曲解説以外にも特典コンテンツ満載。


菊地成孔の連載(総て紙媒体)

<ROCKS>
http://www.shibuyabooks.net/special/rocks/

渋谷の本屋さんがやっているロック文化主体の雑誌、と、ダブルアウェイな媒体ですが「都市の同一性障害」というタイトルで、ワタシの撮影した写真とエッセイで、大判の見開き2頁を使った連載をやっています(2000文字)。


<フラウ>
http://watashi-frau.com/

「菊地成孔の時事ネタ嫌い」という連載で、社会時評の真似事をしております。(3800文字)


<ファッションニュース>
http://www.fashionnews.jp/magazine/fashionnews/

「服は何故、音楽を必要としているのか?」という連載で、パリ、ミラノ、東京のファッションショーと、使用されている音楽との関係について批評しております(この連載をまとめた物が「服は何故、音楽を必要としているのか?」です)。(6000文字)


<リレーションズ・ドット>
http://www.re-lations.co.jp/

 駅置きのフリー・マガジンの中で、最もゴージャスでリュクスだと言われている(表紙写真や連載陣、扱う話題など、「ひょひょひょっとして、時代遅れなのでは?」というほどの贅沢さ)、いまどき珍しい勝ち組マガジン「リレーションズ・ドット」で、「恋と声の話」という連載をしています。タイトル通り「声」と「恋」に関するエッセイです。(1500文字)








 風邪をひいたまま、つまり漸近線的に治しながら毎日働いています。バブルの頃は風邪など遊びながら治したもので、38度の体温で温泉に入ってばか騒ぎをした憶えがありますが(その後、治っちゃうんですねえ)、本日は止せば良いのに毎度おなじみブサイク面下げてテレビ番組、しかも「情熱大陸」以降はじめて民放に出まして(どれだけNHKに出てるんだという話ですが、局名が<成孔~はじめからいっといてくださいよ~菊地の略ですから仕方がない)、とはいえ、「プレミアムスイッチ」という2分の番組で、クレッソニエールを紹介する。というものでして(笑)、その後、楽器屋に行ったり、医者に行ったり、処方箋受付薬局に行ったり、結局テメエの縄張りの中をグルグル回っております。新宿の地理に詳しい方は、脳内のマップに線を引いてみて下さい。

1) 職安通りマンション9階で集合、近所でしばし撮影
2) ロケ車で移動(職安通り左折、明治通り右折南下)、伊勢丹前で撮影
3) 明治通りを徒歩で渡り、クレッソニエールで撮影
4) 終了後タクシーで、大久保の石森管楽器へ(明治通り右折北上、大久保通り左折、小滝橋通り左折南下)
5) リペア部に預けておいたテナー&アルトサックスを受け取ってから再びタクシーでマンション9階へ(小滝橋通り左折、職安通り左折、医大通り左折、最初の信号右折で御苑方面へ)
6) タクシーで御苑スタジオとなり、小林メディカルクリニックに(職安通り左折、明治通りを右折南下、医大通りの最初の信号を右折で新宿御苑方向へ)
7) 処方箋を貰い、徒歩で靖国通り沿い龍生堂薬局へ
8) 薬を出して貰い徒歩でマンション9階へ
9) 原稿を書いたり、本を読んだり(トリーシャ・ローズの「ブラック・ノイズ」でも、黒人のノイズミージシャンの本かと思ったら、ヒップホップの本だった、ガックシ)。
10) タクシーでペンギン音楽大学(御苑スタジオ)へ(6とまったく同じルート)
11) 授業終了後、エアプレーンレーベルの人(というか元生徒)と打ち合わせがてらプレゴプレゴに(今年も絶好調)。
12) 喰い終わり、徒歩で9階へ。

 んでコレを書いている。と、どうでしょう、ワタシがこう、ちび黒サンボの虎よろしく、自分の住むマンションを中心にグルグル回転しているだけの男である事がお解りに成りますかな?今日がスペシャル大回転というわけではありませんで、京橋のアテネと、上野の芸大が無い日は、大体こんなもんなんですね。オフなんて、買い物は新宿のデパート、映画は新宿のシネコン、星付きの料亭もレストランもエステもアデランスの本社もなにも、みんな新宿ですから、要するに山の手線に併せて、新宿内で弧を描いて生きる昆虫みたいなもんで、いまヘリコプターに乗せられて池袋かなんかに投下されたら、無軌道な弧を描きながら北区とかまで行ってしまうでしょう(ワンコインしか持たされなかった場合。ワンビルだったらタクシーに乗ります)。

 しかしまあ、テメエは新宿で弧を描いておろうと、本やCDの評判は世界中から入ってくるので、インターネットというのは凄いモンです。先日も「柳下穀一郎さんという人と松尾スズキさんという人がおまえさんの本について、つぶやいてたよ」というお便りを頂戴し、あんな舌鋒鋭い人々につぶやかれるなんておっかねえじゃねえか!っていうか何なんだそもそもつぶやきってえのはよ!と叫ぶと「はは(侮蔑のトーン)・・・ツイッターだよ」と言われ、しまった新手の勧誘だなこれは、南無八幡大納言南無八幡大納言と、与えられたURLも押さずに念仏を唱えながらブルブル震えていたのですが、どうやら風邪の熱だった様です。というか、ワタシを含んだこの3人が、ほぼ同級生だと言う事に唖然としますが(5こぐらい下だと思ってました。自分が)。

 とまあ、その「ユングのサウンドトラック」のサイン会が近づいておりまして、例によって質疑応答タイム等が御用意されておりますので、音楽関係の専門書のイベントだと、どうしてもこう、読者とリスナー(ファン)がごっちゃになっちゃって、本握りしめて中身は読まねえという有り難い方が多く集結され(笑)、本の内容に関する質問が全然出なかったりするので(笑)、今回の本は流石にシネフィル様いらっしゃるでしょうから(ううう解らない。またしても握りしめてるだけで読まない人々が70人位やってくるのかも知れない。ううう。すいません、まだちょっと熱があります・笑)。

 イベントの告知を続け&追補します。昨年の前半にリリースし、アイツの最高傑作だとか、アイツの本音は結局コレだろだとか、畏れ多いほどの好評を頂戴した「花と水」ですが、アルバム出してワンツアーで引っ込むつもりが、再演を望む声が大変な事になりまして、いっそのこととばかりに思い切り、今年は春夏秋冬、ワンシーズンごとに「花と水」の道行きであり、巡礼でもある国内ツアーを行います(最も身の軽いユニットなので、中東でもヨーロッパでも世界中行き放題なのですが、「ジャズジャポネズムの最新型」というアルバムの本懐に従い、あえて国内限定でサーキットすることにしました)。これは渋い。毎夜演奏の後は、日本ジャズ界屈指のエッセイスト二人として(笑)行く先々の名物と名酒を喰らい、天下国家を憂い、粋や艶について、とことん対談して行こうと思います(まあ、何ににも載らないんですけれどもね・笑)。

 それではでは告知に参ります。提供はエイーストワークスエンターティメント、ぴあ、イーストプレス、恵比寿リキッドルームでした。ごきげんよう。




1) 何だかえらく好評「ナイトダイアローグ・ウィズ」第三回


 御陰さまで、というよりも、どうした訳かというべきほどに、初回も第二回もあっという間に完売になりましたトークイベントですが、第三回のゲストは近著「憂鬱たち」「ERIP TRAP/女が男を蔑む時」も好調、そして「新潮」の新年号から「マザーズ」という、初の連載小説を開始された金原ひとみさんです。 

 <エッジでセンシテシヴな美少女作家>といったイメージで文壇にデビューされた金原さんですが、デビュー後7年で、現在に於ける我が国の女性小説家の中でも、文学者としてもっとも硬派で真摯な位置(ネット環境内での不在、書き物は総て紙媒体の原稿に成る。という立場の遵守、多視点主観=多形的移入といった構造性の重視、具体的な症状をテーマに据えるリアリズム、硬質で鋭利な描写力等々)に進まれた金原さんの、表の作品像と人物像をはじめ、文芸誌では指摘されない裏の作品像と人物像に迫ることで、現代に於ける「恋愛」と「小説」との関係について語り合ってみたいと思います。

 等と書くと、えらくカタマジメな文学談義の様に聞こえるかもしれませんが、今までのワタシと金原さんとのトークイベント歴(雑誌、ラジオ、公開イベント)をご存知の方は既におなじみ、お互いの<最近お気に入りのCD>の紹介、そして何と、今年執筆から30周年を迎える、田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」を互いに読み、感想を述べ合うという、とんでもない企画(笑)も御用意しておりますのでお楽しみに。また、当日は、当イベント初の試みとしまして、金原さんとの話し合いの上、ワタシがセレクトしたボルドーの白を金原さんとご一緒に飲りながら進めることになっております(お客様も、ロビーで召し上がれます→ワタシのセレクションではありませんが)。現在残席が30%ほどございますので、金原さんの読者の方も、ワタシの読者の方も是非。

 詳細とチケット購買はコチラ
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0956090






2) 「カルペンティエル地下文学賞」

 現在の東京で最もストレンジで、最もラティーノで、最もマジック・リアリスムな2DJ(菊地成孔、日向さやか)と2バンド(WEG、ペペ・トルメント・アスカラールfeut林正子fromチューリヒ)がぜんぶ聴けて、たったの3200ペセタ!(日本円で4000円ジャスト)ペペ・トルメント・アスカラール主催のドレスアップ暴動系パーティーシリーズが再びリキッドに帰還いたしました。ワタクシ今年最初のギグでもありますところの「カルペンティエール地下文学賞」ですが、もう少しでフロアがフロッドする所ですので、がっつりセンターで楽しみたい方々はお急ぎ下さい!

http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004551296&blogId=523040304





3) 「花と水」ツアー第一弾/冬の道行き巡礼

 今や1年は冬から始まるのである。2月20日が有田、21日が下関。もう何と言いますかな。一度も行った事のない土地ばかりにしてしまおうか。ああ、日本のどこかで、ワタシを待ってる人がいる。(予告→春の道行き巡礼は大阪-横浜。詳細は後ほど)


佐賀県有田市

開演日時:2010/2/20  開場:17:30 開演:18:00
入場料;前売り:一般 3000円、高校生以下1000円
 (当日は前売り料金に500円加算されます)

主催:有田町・炎の記念堂 助成:(財)地域創造 後援:佐賀
新聞社、STS サガテレビ

会場:炎の博記念堂  佐賀県西松浦郡有田町黒川甲1788番地
問い合わせ先:炎の博記念堂 0955-46-5010 


山口県下関市

開演日時:2010/2/21 17:00 / START 18:00
入場料:¥5,000 LIVE+DINNER:¥6,500

会場:Jazz Club Billie
山口県下関市一の宮本町2丁目2-22

問い合わせ先:TEL:(083)263-6555
詳細:http://billie.jp








<キャプション>

京橋にある片倉紡績ビル。02年より8年間、アテネフランセ映画美学校を擁した。大正11年竣工。震災も免れた名作レトロビルだが、都の(つまり、勃起を失った戸知事の)再開発推進により、5年以上揉めた結果、廃棄に。最期の日に撮影。

菊地徳太郎の七回忌、イントロダクションの模様。

七回忌の後に、親戚一同で食べた、銚子市が世界誇る利根川の鰻。ほとんど蒸さない。筆者はこれ(をメインとする、利根川の川魚と銚子沖の海魚の懐石コース)を食べ終え、その足で特急「しおさい」に乗って東京駅に着き、片倉紡績ビルに向かった。






      菊地成孔の関連サイト


<ペペ・トルメント・アスカラールのmyspace> 
http://www.myspace.com/kikuchinaruyoshi

インターネット物に関する参加/把握が<ホームページ>までで、ミクシィ以降さっぱり。のネット馬鹿なのですが、スタッフが運営するというので<マイスペース>なるものを始めました(なので、ワタシは触っていません)。今の所ペペ・トルメント・アスカラールのみの物ですが、評判が良ければダブセクステットもやろうと思います。


<菊地成孔マネージャーの速報>
http://ameblo.jp/naganuma/
このタイトルだけだと、マネージャー個人の、毎日の日記だと勘違いされてしまう方が多いのですが(笑)、菊地成孔の仕事の情報が網羅されています(いっぱいあるのでどんどんめくって下さい)。チケットや内容に関するお問い合わせ先にもなっています。

<「服何故01」>
http://ksuque.blog.drecom.jp/archive/278
菊地成孔のモード批評書「服は何故、音楽を必要としているのか?」の映像サイト(ファンの方が作って下さいました)です。これは本当に凄い。読みながら観ると、情報量が5冊分に増え、5倍お得。

<「ダブ・オービッツ特設サイト」>
http://www.ewe.co.jp/duborbits/
菊地成孔ダブセクステットのセカンド・アルバム「ダブ・オービッツ」の特設サイトです。視聴や楽曲解説以外にも特典コンテンツ満載。


菊地成孔の連載(総て紙媒体)

<ROCKS>
http://www.shibuyabooks.net/special/rocks/

渋谷の本屋さんがやっているロック文化主体の雑誌、と、ダブルアウェイな媒体ですが「都市の同一性障害」というタイトルで、ワタシの撮影した写真とエッセイで、大判の見開き2頁を使った連載をやっています(2000文字)。


<フラウ>
http://watashi-frau.com/

「菊地成孔の時事ネタ嫌い」という連載で、社会時評の真似事をしております。(3800文字)


<ファッションニュース>
http://www.fashionnews.jp/magazine/fashionnews/

「服は何故、音楽を必要としているのか?」という連載で、パリ、ミラノ、東京のファッションショーと、使用されている音楽との関係について批評しております(この連載をまとめた物が「服は何故、音楽を必要としているのか?」です)。(6000文字)


<リレーションズ・ドット>
http://www.re-lations.co.jp/

 駅置きのフリー・マガジンの中で、最もゴージャスでリュクスだと言われている(表紙写真や連載陣、扱う話題など、「ひょひょひょっとして、時代遅れなのでは?」というほどの贅沢さ)、いまどき珍しい勝ち組マガジン「リレーションズ・ドット」で、「恋と声の話」という連載をしています。タイトル通り「声」と「恋」に関するエッセイです。(1500文字)




渋谷で小さな弧を描く

Jan-29-2010

 

 

 

 








 前回、新宿で弧を描く話だったからか、本日は大変めずらしく、渋谷で弧を描いていました。かなり小さな弧。ですけれども、新宿の様に何町とか何通りとかまったく解らないので(笑)場所のみ記しますと

 1)「VOGUE」の編集部
 2) NHK
 3) タワレコ渋谷

 と動きまして、「VOGUE」では、どうやら世間では<おとうとキャラ>が流行っているそうで、それについて「きみはペット」の小川彌生さん(漫画家)、「人のセックスを笑うな」の山崎ナオコーラさん(小説家)とワタシで鼎談。という仕事をし、その後NHKに移動しまして、ワタシが音楽を担当させて頂く土曜ドラマ「チェイス~国税査察官」の打ち合わせ、それから「ユング~」のサイン会の初回。という流れでしたが、拙著のサイン会(多数お集まり頂き、有り難うございます)は兎も角、やはり渋谷はアウェイといいますか(笑)、Bunkamura以外は年々アウェイ感が増すばかりでして、別に嫌いとかではない、何せ渋谷系などといった音楽がその昔はあったという、とてもステキな街だとは思うのですが、もう全然落ち着かないといいますか、調子狂っちゃうといいますか。

 何せ「VOGUE」の鼎談では、あろうことかワタシ開口一番「あのう、なんでそもそもワタシ呼ばれたのでしょうか?(笑)」と聞いてしまい(でもこれ、しょうがないですよね。よね?)、あまつさえそのお返事が「いえ、だってあの、編集長が、<菊地さんは今まで、おとうとキャラで沢山の年上の女性と仲良くして来たのよ。フランス人のオトナの女とか>と申しまして」という(笑)、確かにワタシも大変な妄想部で、ゴダールとルグランのことを大妄想して、本に書いたりしてる訳ではありますけれども(笑)、いくら何でもそれは(笑)。ワタシあと半年で四十七士ですよ、フランスのオトナの女ってモレシャンさんじゃないですかという(笑)物凄いお返事を受けて、何とそのまま鼎談に入ってしまいましたし(笑)、その後NHKに向かい、


(括弧が長いので段落を改めますが、「VOGUE」編集部からNHKへ。というのは、皆さんも一度経験されると解りますが、ジェットコースターの様な落差でして、片やライターから編集者から、お茶を出して下さる方までバッチバチにモードで、ゲイと女性しかいないという、「アグリー・ベティ」の舞台そのものと申しましょうかな、内装から何から総てが完璧にVOGUE調。なお洒落――いろいろと行きましたが「VOGUE」が一番凄いですねーー小空間から、吉田道場のTシャツ着たタオルで鉢巻きの大道具さんや、ユニクロとH&M固めの若いディレクターさんーーみんな90年代風――や、コナカ風のスーツを着た人々や、何やらテレビみたいな形をした、デカいヌイグルミ達ががひっきりなしに行き交う大空間への移動ですから、眼が回る訳です)

    、編集済みの一部分を見せて頂いたんですが、主人公がマルサで、音楽家がジャズメン、しかもサックス吹きですから(年配の方ならもうオチはお解りでしょう)、これがもう、どうやってイマジネーションに鞭打って奮い立たせてもですね、観ながら頭の中で聴こえて来る音楽が、本多俊之さんの「マルサの女」の有名なテーマ曲しかないという(笑)、どんな曲つければ良いんだと頭を振れば振る程、あの6拍子の「チャーララチャーララチャーラ」というソプラノが鳴り響いて離れないという、大ピンチに陥りまして(笑)、もう、観ないで音つけようかしら。と思いながらタワレコ渋谷に向かいますと、控え室の片隅に、ワタシが大好きなミミ(日吉ミミじゃないですよ。マライア・キャリーの愛称です)の、直筆サインが入った99年のパネルがひっそりと立てかけてあって、それがまたミミの得意技ビキニのバックショットで思いっきりムッチムチ&スマイルの、かなり栄養タップリな感じで「タワレコ最盛期!」といった元気の良さが、こう、ちょっとせつねー。かもしれねー。と、思わず写真に撮ってしまったという有様です。帰りは明治通りを使うのですが、クロコダイル辺りから変にそわそわしなくなり、ラフォーレからはかなりリラックス、北参道で完全にリラックス、高島屋が見えて来てああ、ただいまー。という感じで、伊勢丹でタクシーを降り、ゆっくり散歩しながら帰宅であります。明日もサイン会です。ごきげんよろしゅう。


 
1) 何だかえらく好評「ナイト・ダイアローグ・ウィズ」第三回

 御陰さまで、というよりも、どうした訳かというべきほどに、初回も第二回もあっという間に完売になりましたトークイベントですが、第三回のゲストは近著「憂鬱たち」「ERIP TRAP/女が男を蔑む時」も好調、そして「新潮」の新年号から「マザーズ」という、初の連載小説を開始された金原ひとみさんです。 

 <エッジでセンシテシヴな美少女作家>といったイメージで文壇にデビューされた金原さんですが、デビュー後7年で、現在に於ける我が国の女性小説家の中でも、文学者としてもっとも硬派で真摯な位置(ネット環境内での不在、書き物は総て紙媒体の原稿に成る。という立場の遵守、多視点主観=多形的移入といった構造性の重視、具体的な症状をテーマに据えるリアリズム、硬質で鋭利な描写力等々)に進まれた金原さんの、表の作品像と人物像をはじめ、文芸誌では指摘されない裏の作品像と人物像に迫ることで、現代に於ける「恋愛」と「小説」との関係について語り合ってみたいと思います。

 等と書くと、えらくカタマジメな文学談義の様に聞こえるかもしれませんが、今までのワタシと金原さんとのトークイベント歴(雑誌、ラジオ、公開イベント)をご存知の方は既におなじみ、お互いの<最近お気に入りのCD>の紹介、そして何と、今年執筆から30周年を迎える、田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」を互いに読み、感想を述べ合うという、とんでもない企画(笑)も御用意しておりますのでお楽しみに。また、当日は、当イベント初の試みとしまして、金原さんとの話し合いの上、ワタシがセレクトしたボルドーの白を金原さんとご一緒に飲りながら進めることになっております(お客様も、ロビーで召し上がれます→ワタシのセレクションではありませんが)。現在残席が30%ほどございますので、金原さんの読者の方も、ワタシの読者の方も是非。

 詳細とチケット購買はコチラ
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0956090






2) 「カルペンティエル地下文学賞」

 現在の東京で最もストレンジで、最もラティーノで、最もマジック・リアリスムな2DJ(菊地成孔、日向さやか)と2バンド(WEG、ペペ・トルメント・アスカラールfeut林正子fromチューリヒ)がぜんぶ聴けて、たったの3200ペセタ!(日本円で4000円ジャスト)ペペ・トルメント・アスカラール主催のドレスアップ暴動系パーティーシリーズが再びリキッドに帰還いたしました。ワタクシ今年最初のギグでもありますところの「カルペンティエール地下文学賞」ですが、もう少しでフロアがフロッドする所ですので、がっつりセンターで楽しみたい方々はお急ぎ下さい!

http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1004551296&blogId=523040304





3) 「花と水」ツアー第一弾/冬の道行き巡礼

 今や1年は冬から始まるのである。2月20日が有田、21日が下関。もう何と言いますかな。一度も行った事のない土地ばかりにしてしまおうか。ああ、日本のどこかで、ワタシを待ってる人がいる。(予告→春の道行き巡礼は4月の大阪-横浜。詳細は後ほど)



<佐賀県有田市>

開演日時:2010/2/20  開場:17:30 開演:18:00
入場料;前売り:一般 3000円、高校生以下1000円
 (当日は前売り料金に500円加算されます)

主催:有田町・炎の記念堂 助成:(財)地域創造 後援:佐賀
新聞社、STS サガテレビ

会場:炎の博記念堂  佐賀県西松浦郡有田町黒川甲1788番地
問い合わせ先:炎の博記念堂 0955-46-5010 


<山口県下関市>

開演日時:2010/2/21 17:00 / START 18:00
入場料:¥5,000 LIVE+DINNER:¥6,500

会場:Jazz Club Billie
山口県下関市一の宮本町2丁目2-22

問い合わせ先:TEL:(083)263-6555
詳細:http://billie.jp




<ひとくち速報>


*アルモドヴァルの新作「抱擁のかけら」の公式サイトにコメントしています。おすぎさんと荒木先生に挟まれている!ヤッベ
http://www.houyou-movie.com/voices/celebrity.html



*ワタシの帽子を作って下さっている帽子作家、オクノアヤコさんのサイトが出来ました。
http://www.ayakookuno.com/main/top.html








<キャプション>

 必要以上の巨乳は大の苦手だが、ミミなら別だ!ディスられてもディスられても「アタシは平和主義なの。許してあげる」と天真爛漫な(エミネムだけは別)現代のモンロー(誰も言ってない。オレ以外)、良い発音でいうとマゥライエ・ケアリー。ベネズエラとアフリカとアイルランドの血が流れる、今年で40。写真は99年の「レインボー」発売時に来日し、渋谷タワーでサインをしたパネル。サンキュージャパンと書いてあるが、これは外交辞令ではなく、とてつもない親日家としても有名である。


 東京芸大での最後の授業。「今から聴く音楽のうち、半分(10トラック)は、作者が独自の音楽理論を打ち立てて書籍に残しており、残りの半分(10トラック)は、そういうことはしていない。ブラインドで聞いて、どちらだと思ったか、根拠とともに示せ。また、独自の理論があると思われた作品には、それがどういった理論であるかを推測して書け(正答数と成績は無関係)」というもの。04年の東京大学文理より、国立音大、東京芸大、慶応義塾大、東京芸大、と、不断で6年間継続してきた大学での非常勤講師職だが、今年はやらず、ひょっとしたらしばらくずっとやらない。


 かも知れないので、記念に芸大の写真を撮りまくり。これは職員室の応接セット。






      菊地成孔の関連サイト





<ペペ・トルメント・アスカラールのmyspace> 
http://www.myspace.com/kikuchinaruyoshi

インターネット物に関する参加/把握が<ホームページ>までで、ミクシィ以降さっぱり。のネット馬鹿なのですが、スタッフが運営するというので<マイスペース>なるものを始めました(なので、ワタシは触っていません)。今の所ペペ・トルメント・アスカラールのみの物ですが、評判が良ければダブセクステットもやろうと思います。


<菊地成孔マネージャーの速報>
http://ameblo.jp/naganuma/
このタイトルだけだと、マネージャー個人の、毎日の日記だと勘違いされてしまう方が多いのですが(笑)、菊地成孔の仕事の情報が網羅されています(いっぱいあるのでどんどんめくって下さい)。チケットや内容に関するお問い合わせ先にもなっています。

<「服何故01」>
http://ksuque.blog.drecom.jp/archive/278
菊地成孔のモード批評書「服は何故、音楽を必要としているのか?」の映像サイト(ファンの方が作って下さいました)です。これは本当に凄い。読みながら観ると、情報量が5冊分に増え、5倍お得。

<「ダブ・オービッツ特設サイト」>
http://www.ewe.co.jp/duborbits/
菊地成孔ダブセクステットのセカンド・アルバム「ダブ・オービッツ」の特設サイトです。視聴や楽曲解説以外にも特典コンテンツ満載。




菊地成孔の連載(総て紙媒体)

<ROCKS>
http://www.shibuyabooks.net/special/rocks/

渋谷の本屋さんがやっているロック文化主体の雑誌、と、ダブルアウェイな媒体ですが「都市の同一性障害」というタイトルで、ワタシの撮影した写真とエッセイで、大判の見開き2頁を使った連載をやっています(2000文字)。


<フラウ>
http://watashi-frau.com/

「菊地成孔の時事ネタ嫌い」という連載で、社会時評の真似事をしております。(3800文字)


<ファッションニュース>
http://www.fashionnews.jp/magazine/fashionnews/

「服は何故、音楽を必要としているのか?」という連載で、パリ、ミラノ、東京のファッションショーと、使用されている音楽との関係について批評しております(この連載をまとめた物が「服は何故、音楽を必要としているのか?」です)。(6000文字)


<リレーションズ・ドット>
http://www.re-lations.co.jp/

 駅置きのフリー・マガジンの中で、最もゴージャスでリュクスだと言われている(表紙写真や連載陣、扱う話題など、「ひょひょひょっとして、時代遅れなのでは?」というほどの贅沢さ)、いまどき珍しい勝ち組マガジン「リレーションズ・ドット」で、「恋と声の話」という連載をしています。タイトル通り「声」と「恋」に関するエッセイです。(1500文字)