<10年の概略>

 

 

複数のファクターによってメイキングされていた一定ペースが終了し、10年代に入った事もあわせ、一見継続的なマイペースながら、実質は初ものずくしであり、ニューオーダーに向かっている事が解る。04年から6年間継続した一般大学/音楽大学の講師業を一切辞め、この年から「大学講師」の肩書きを外す。またアルバムは総てのバンドで1枚も出さず、全集「闘争のエチカ」の製作にほぼ1年が費やされた。音盤としては、既に学問上の盟友とも言え、ライブ活動には09年より継続的に参加していた、濱瀬元彦のTHE ELF EMSEMBLEのファーストアルバム(「LIVE AT JG BRAD」)を共同プロデューサー/プレイヤーとして製作したのみ。

 

また、07年以来となるDCORGの活動再開、そして、ほほ30年にわたる、積年の懸案である、<ビーバップで踊る>ダンスパーティー「HOT HOUSE」の第一回開催(新宿ピットイン3デイズのうちの1日。他の二日は例年通り山下、大友とのデュオ)、また、自己のサイト以外は長らく無縁であったインターネットメディアへの接触として、期限限定でツィッターを、そして宇川直宏主催のドミューンに、大谷能生とのコンビで「ジャズドミューン」としてレギュラー枠を持つ。「闘争のエチカ」「HOT HOUSE」ではYOU-TUBE用のPVも製作。NHK総合土曜ドラマ「チェイス〜国税査察官」では初のテレビドラマでの音楽監督業も務め、通常は別のオファーとなる主題歌と劇中音楽とテーマ曲を兼任するという異例の形と成った。

 

また、これまた初めての企画として、各界有識者との対談/鼎談を公開で行うシリーズ(「菊地成孔のナイト・ダイアローグ・ウィズ」)と、CSテレビ番組の年間レギュラーで、メインMCを務めた(「憂鬱と官能を教えた学校TV(フジテレビone two NEXT)」10年4月より11年3月)。

 

著作も転機らしく、初の映画/映画音楽の評論集「ユングのサウンドトラック」(この本の敢行記念に、池袋文芸座で「菊地成孔のフィルムジョッキー」と題し、オールナイトの3本立てに解説トークとDJが付く。というイベントを行う。上映作品は「アバンチュールはパリで」「カリガリ博士」「アイズ・ワイズ・シャット」)と、初の対談集「アフロディズニー2~MJ没後の世界に」(08年に行われた慶応義塾大学での後期講義録。実際に授業は総て対談形式で行われた)。の2冊。

 

 

 

 

公演歴は、活動再開したDCPRGが

 

2010.10.09 日比谷野外大音楽堂(feat TAKUYA、リッチー・フローレス、ヨスヴァニー・テリー)

 

*この時の音源は「ボイコット・リズムマシーン・アゲイン」として、ミニ写真集付きのDVD-Rとして発売されている。08年のペペ、09年の山下トリオに続き、またしても夏の日比谷野音出演ーーしかも、野音史上最高グループに属する、激しい雨天ーーとなった。

 

 


 

結成5周年を迎え、記念ツアー「1000年後の南米のエリザベス・テーラー」を敢行したペペ・トルメント・アスカラールが

 

2010.02.04  恵比寿LIQUIDROOM “カルペンティエル地下文学賞 ゲスト:林正子、立岩潤三 

2010.06.04  名古屋ブルーノート “1000年後の南米のエリザベス・テイラー

2010.06.05  京都KBSホール “1000年後の南米のエリザベス・テイラー

2010.06.09  恵比寿LIQUIDROOM “1000年後の南米のエリザベス・テイラー ゲスト:林正子、立岩潤三 

2010.11.02 高崎音楽祭2010(高崎市文化会館)

2010.11.03 モーション・ブルー・横浜

 

 

 


ダブセクステットが

 

2010.05.30  ビルボードライブ東京

2010.08.01  FUJI ROCK FESTIVAL (orange court)

2010.10.30 森ノ宮ピロティホール

2010.11.29 ブルーノート東京

 

 

 


花と水が

 

2010.04.19  ビルボードライブ大阪 「花と水」春ノ道行

2010.04.24  モーションブルー横浜 「花と水」春ノ道行

2010.04.25  モーションブルー横浜 「花と水」春ノ道行 

 2010.08.28  静岡 月の里学遊館 うさぎホール 「花と水」夏道行

 

 


また、年末のオーチャードホールの特別企画として、大友良英とのダブルビルで、武満徹トリビュートコンサートを行い、武満徹に特別思い入れがある訳でもマニアでもないままアウェイで出演したものの、想定以上に出来が良く、各方面で好評を博した( 2010.12.13 Bunkamuraオーチャードホール

 )。

 


 

記憶に残っている日本の事件は尖閣問題。この欄では雑誌の連載についてすべてカットしているが、「フラウ」誌で07年より連載が開始された「時事ネタ嫌い」という長期連載がこの年に終了。連載を続けている間に時事ニュースの刺激に麻痺して来て、何も感じないといった状態が続いていたのだが、終了した瞬間にこの事件が起こった。