今週も執筆&美学校の皆様に告知

Sep-03-2007


 今週も、授業がフタコマある以外は著作執筆だけの日々。授業と著作執筆以外でやった事は


1) イランイランのショー取材(於恵比寿ガーデンプレイス内ジョエル・ロビュション。取材用のファーストロウに腰掛けたら隣が野宮真希さんでビックリ。あと、会場で人さばきをやっていたのが、新宿高島屋8Fイランイランのショップのバイヤーさんだったので思わず挨拶してしまいました。イランイランのバイヤーさんは青山本店も新宿高島屋も全員奇麗なのでビックリであります)

2) タランティーノ/ロドリゲスの「グラインドハウス」を最終日の最終回に鑑賞(於六本木ヒルズ。こ~れは素晴らしい。タランティーノは完全に/やっとネクストステージに上がりました。「大日本人」と重なる感覚。これの感想についてはいつかどこかで書きますが、既に東大講義の掲示板

    http://6717.teacup.com/sokkurimogura/bbs

   に於いて、少々(ウソ、もう、色んな人の書き込みを含め、既に1スクロールしています)書いています。会場にポップカルチャーの下井草さんを発見。

3) ザ・ユニヴァース「チェットベーカー&ジョアンジルベルト特集」収録(レコード探偵ボブこと、ペン大生の中村君がまた出演していますお楽しみに)


 だけという、ミニマリストな一週間でした。飲んだワインはグラス数でトスカーナ4、ブルゴーニュ3、ローヌ2、ロアール1、チリ1、以上総てルージュ、他にシャンパーニュ5、スプマンテ2、ヴァンムスー1、以上総てブランであります。一番美味しかったのは「ブリッコラ」で自家製サルシッチャのグリッリアと一緒に頂いたディボートの98年でした。獣の臭いや髪の毛の臭いといったワイルド系に傾いたのは、演奏の仕事を完全に抑えてしまっているからでしょう。

 明日より「毎日何か必ず仕事が一つ以上ある」という通常営業に戻ります。因に明日は「kamipro」にて武蔵についてのインタビュー(笑)、「インビテーション」にて、日本版ミシュランに関するインタビューを受けます。「予定表」欄にあるとおり、映画関係のトークイベントが新たに二つ入り、マイルス本は1983年、MIDIとCDと「デコイ」と「ロックイット」の年せあり、前年はマイケルジャクソンの「スリラー」、更に前年は世界初のエイズ患者。という年まで来ました。思えばとんでもない年ですなあ。ワタクシこの年に成人しました。タラも松本人志もです。この年だけで5000回以上セックスしたのではないかと思います。

 と言う訳で、体重が平均よりも5キロオーヴァーし、上島竜兵さんのようになってしまった上に、水道橋博士さんから頂戴した最新著「筋肉バカの壁」を何気なく開いたら、その頁に「おまえは菊地成孔か!」と書いてあったので(本当)、思わず「はい。そうですが」と答えてしまった、当の菊地成孔でした。涼しく成って来ましたが、風邪等召さぬ様。というのは外交辞令(どの国との?)、風邪はひいた方が健康によろしいです。秋が来たら具合が悪く成るほどの感傷と追憶に浸りまくり、ヤバい事になってきたら音楽を聴きましょう。ハイドンなんかとても良いですよ。ワタシのもなかなか良いです。それではごきげんよう。



 


 <ペン大&美学校の入学及び編入の案内>



 美学校生徒の皆様そろそろ1年間の授業も終わろうとしております。五月雨を集めてはやし最上川と申します。これは五月の雨を集めて林に撒くと物凄い、文字通り最上のスピードが出るので、ヤバいよ。という意味ですが、いかがお過ごしでしょうか。「ルーシーインザスカイウィズダイアモンド」と「3月の水」が同じ曲だと知って驚かれている方もいると思います。「一番驚いているのは先生じゃないすか」という、ごもっともな声が聴こえてくる様です。びっくりしました。

 というわけで、そろそろクラスでも「美学校初等科を終了し、美学校高等科への進学もしくはペン大に編入を希望される方」や、「美学校高等科を終了し、来年度美学校高等科への継続もしくはペン大編入を希望される方」などから、具体的なご質問を受けております。



  
 来年度の美学校高等科は、初等科からの編入者に対応する為、現行のカリキュラムの終了段階からスムースに繋がる様にカリキュラム設定をします(つまり、来年度高等科は「モード」概念から入り、それが終わった後、分析の授業に成ります)、また「ペン大理論科中等/クラス・フィヨルドランド」も、10月からは「モード」に入りますので、要するにカリキュラム的には同じラインからスタートします。

 ただし、スタート後の速度は、1年周期という都合上、どうしても美学校のが早く成り、卒業が設定されていないペン大の方がスローです。解りやすく並列記しますと

 美学校 10~12月(3ヶ月、6回)「モード概念」 1~10月「楽曲分析」 
 ペン大 10~?「モード概念」 ?~?「楽曲分析」

 となります。「モード概念についてはもう完全にマスターしたから、最初の3ヶ月は無駄だ」といった方はペン大をお勧めしますし、「今のうちモード概念を復習しておいた方が良いかも。自身無し」という方は、ペン大/美学校、お好きな方をどうぞ。

 
ペン大に関する情報をお求めの方は、当欄のファンメール宛に「ペン大入学案内希望」というタイトルのメールを9/10までにお送り下さい。ペン大の詳細、入学に関する情報をお送りさせて頂きます。その際、氏名は言うまでもありませんが、美学校の所属クラス名を必ず記入して下さい。

 

 

 

ここ数日

Sep-06-2007

 

 

 

一気に涼しく成ったかと思いきやまた暑い。が、弱々しい暑さ。自律神経の弱い方には申し訳有りませんが、良いですなあ実に良いですなあ。こう、四季が豊かで。何を問われても下を向いてモジモジするばかりの国民性はこうした風土と不可分、インポ都知事が言う様に「ノー!」等と言えなくても良いのです。「脳!」とさえ言えれば。と、「オマエの自律神経がいっとうムチャクチャじぇねえか」と言われそうですが、マイルス本がいよいよフィニッシュを迎えつつ有り、アルバムで言うと「アマンドラ」まで来ました。

 現在、ワタシが書き終えた原稿を大谷君がチェック&リライトし、細かい表題を付ける。という作業に入っていますが、「講義録」の部分だけで「40年代」「50年代」「60年代」「70年代」「80年代」と5章になっているのですが、1章につき100枚を超えているので(笑)、講義録だけで500枚超。しかもこ本は、ワタシのプロデュースのもと、主著者であるワタシと大谷君以外に5名、合計7名の超豪華執筆陣で書いているので講義録は全体の60%ほどなのだという(笑)、これはもう、えげつない大著になっておりまして、どんだけエゲつないか、物凄く端的に申し上げるならば、内容の咀嚼とか何とか以前に「まず、通読が出来ない」という(笑)、驚愕のマイルス研究本になっております。お楽しみに。

 と、マイルス本の完成が見えて来たと同時に、ニューアルバムの準備に入りまして、12月、オーチャードホールのチケットも予約が始まり(ご予約頂いた皆様、有り難うございます)、フライヤーがそこかしこに撒かれ、あろうことか、そのうち、街中にこーんなでっかいポスターまで貼られ出すのですが(貼られ出したら東京を一時的に避難しようと思います。試作品を見ましたが、顔から火が出て、子羊のモモ肉がグリエになってしまうので、ある種便利とも言えますな)、先日、「インビテーション」誌の「ミシュランジャポンいよいよ出ますぞ~特集」(そういう名前ではありません念のため・笑)のインタビューに答えており、「問題はコートドールとカンテサンスが星取れるかですねえ。まあ、皆さん読みは一緒だと思いますが。あとはまあ、鮨と懐石に星を与えるのかどうかが、、、」と言った瞬間、「たった今、すぐそこ(窓の外)で、あの、ロリータの教祖の方が大麻所持でおパクられあそばした」という情報が入って来まして、一瞬窓の外を見て「あらー」と言い、何事も無くインタビューを続けたのですが、まあちょっと、荒れてらしたんですかなあ。初犯で所持のみですから、あの方がとても耐えられないのではないかと思われる、怖くて汚くて乱暴な所には入れられないでしょう。しっかり罪を償い、もうこの町には二度と近づかないのが得策かと思われます。

 と、その後、「新宿伊勢丹メンズ館4周年パーティー」にご招待頂きまして、先日新調した白いサマースーツで伺った訳ですが、こーれは楽しかったですなあ。いつも通ってるあの伊勢丹の店内でシャンパンとワインが飲み放題。ビシソワーズやピンチョスも食べ放題。そして何と服も買い放題(つまり、パーティーでありながら、通常営業もしている訳ですね)。「RELAX」のデパート特集で対談したあの方も正装でお出迎え体制、2Fではモンドグロッソの大沢さんのDJ、各フロアに臨時設営のバーカウンター。

 関係者、知人などに数名挨拶し、「これは面白い。これは楽しいぞ。デパートファンの夢の世界ではないか。今夜はココに泊まる」と何よりもいつもお世話になっているショップのバイヤー諸氏に「おめでとうございます」と握手。といった感じだったのですが、一番驚いたのは、若手の力士さんが数名いらっしゃり、ワタシとすれ違い様に、小さい声で「あ!菊地成孔!」とどよめいた事です。ワタシはフルボディのブルゴーニュでフラフラでしたので、マネージャーの証言ですが。

 そして、返す刀で「青葉」にて「男の隠れ家」という雑誌のロングインタビューを受けまして「ジャズメンの死に様」という内容だったのですが、編集の方(女性)が「ジャズ=破滅的な夭逝=退廃的」という、田舎の中学生もしくはゴールデン街の常連みたいな先入観を持っておりまして(笑)、「何か良く間違えられるんですよねえ。ロックとごっちゃになってるんですかねえ。あのチャーリーパーカーですら、爆笑した勢いで死んだんですよ。ジャズメンでウジウジ自滅した人なんて、ビルエヴァンスとチェットベイカー以外、あんまり居ないと思うんですが、因みに誰をイメージしているのですかな?」と申し上げた所、「ええ?・・・えーと阿部薫・・・」と仰るので(笑)、ガックリと頭を垂れた後、もういいやこんな取材はなーげた。るるるるる~んと(笑)、あとは楽しくムチャクチャな話ばかりを(笑)し、ワタリガニを殻ごとご飯に乗せてかっこんだ瞬間、写真を撮られてしまった菊地成孔でございました。ごきげんよう。

 

 

 

 

脱稿→風邪→演奏

Sep-09-2007


 皆さんパソコンの画面に向かって「とりあえずだが、田口くん(編集担当)おめでとう」と言ってください。「講義録」の部分のみですが、脱稿しました。そして脱稿した瞬間に風邪を引きまして(笑)、本日の演奏は非常にキツく、、、、というのは逆でして、実は演奏は風邪にとても良いのです。ライブが無かったこの数ヶ月、授業ではサックスを吹きまくっていましたが、やはりライブが良いのですよ。アドレナリンも汗も出ますし、呼吸と姿勢が正常に戻ります。お越しいただいた皆様に感謝致します。

 橋本一子さんとワタシの関係についてはMCで申し上げた通りです。実年齢を明かすのはなんかのハラスメントになり兼ねませんので、「同い年の有名人」を列挙するならば小柳ルミ子、夏木マリ、桃井かおり、秋川リサ、中島みゆき、楠田枝里子。と「化け物の様に若くてスタイルが良い」魔女の年かもしれません。

 昨晩はもう動けない程だったのですが、演奏後に先生(と呼んでいる事もお解りに成ったと思います)と旧交を温め、向かいの「中国飯店」でクラゲ、チャーシュー、ピータン、アワビのオイスターソース煮込み、黒酢の酢豚、里芋のネギ油炒め、海老ソバなどを喰いまくり、ハーフボディのグラス赤とトーチョー烏龍茶ですっかり元に戻りました。「kamipro」の「武蔵についてのインタビュー」のゲラチェック、「マイルス本」の<注>書き(残るは<注>書きと、前書きと各章の解説のみとなりました)、MTV連載のPV選び、そしていよいよネクストアルバムの準備に入ります。

 オーチャードホール公演のフライヤーはお手になさいましたでしょうか?未だの方はマネージャーの速報をどうぞ。「チケット入手しました。楽しみです」というメールを多数頂き、非常に嬉しく思っております。と、失礼。これは随分とカマトトぶった物言いです。狂気めいた興奮を抑えるのに必死である。というのが最も近いでしょう。ワタシは30代まで、興奮が非常に早く強い生き物でしたが、そして44になった現在、悩ましい事に更に何倍か強く深く成っているのですが、40代に成るとそれが非常に遅く、そしてまったく外に出さない事が出来る様に成ったのですから人間というのは変わる物です。ごきげんよう。

 

モデル週間

Sep-14-2007

 

 

 

 原稿の脱稿後に校正という作業が有る事をさっき知った(ウソですぞ勿論)、いくら政治に興味が無いとはいえ、阿部首相のアレは、部活をいきなり辞める中学生や、職場で一回揉めたら翌日から永遠に来なく成るバックレ青年と同じなのではないか?「もう無理」「俺、才能無いし、やることないし、嫌だ」「鬱です(鬱なんだから何でも許されるでしょ)」といった「美しい日本」を形成する人々に対し、なるほど共感のエールを送っておるのだな。そして漫画とアニメが好きというキャラでのし上がる人がやってくるのか。ひょっとして売れないほど偉いんじゃ?いやっほー!といった、あてどもない雑感を抱きながら校正作業に明け暮れる菊地成孔ですが、ここ一週間はななななな何とモデル週間でした。そりゃあ国も混乱しますなあ。


 10日(月) 某雑誌にてインタビュー&「クール・ストラッティン」のモデルとして撮影→パリコレ取材の打ち合わせ(パリコレ取材の厳しさは有名ですが、予想以上でした。到着日から帰国前日まで、毎日朝の9時から夜の9時までショー取材&デザイナー/選曲家インタビューが6日間。楽しみにしていたレストランの予約全部取り消し!使い慣れないインターネットなんか使うからだ予約に!いやっほー!)

 11日(火) 天才・夏目監督によって制作されるDCPRGの記録映画(詳細未定。仮タイトル「花旗」)に出演。夏目監督との「対談シーン(やらせ)」で監督とともに名演技を披露。MTVフリーペーパーの連載「ベッドサイドMTV」執筆。

 12日(水) 復活する東京ザヴィヌルバッハのリハーサル→美学校初等科最終日(お疲れさまでした。まだペン大応募できますぞ)→「ザ・ユニヴァース」収録(J-POP特集。お楽しみに)

 13日(木)オーチャードホールのコンセールCM撮影(後藤繁雄さんと対談。11日にやったモデル仕事の延長でもあり、衣装提供同メゾン)→「UOMO」の「冬は知的スーツの上に野生アウターでモテ!」みたいなタイトルの特集中「スーツの上にレザージャケット編」モデルとして撮影&インタビュー(於「六本木マハラジャ・キング&クイーンVIPルーム」これは凄い!「毎週木曜<ディスコ90年代>」の全容を撮影中に知る事に!)。「男の隠れ家」インタビュー、ゲラ校正。

 そして明日はリンチの「インランドエンパイア」の上映前トークイベントとして、7時から恵比寿ガーデンシネマに行きまして(詳細は「予定表」欄で)、その後、野宮真貴さんと打ち合わせ。

 です。四日間で三回メイクするなど生まれて初めてである(ゲランのクレンジングミルク使用→頂き物)、今後も無いであろう。本日など、メイクを落とさないで「ブリッコラ」に行ってしまい、カメリエーレ氏に(あれ?)の様な顔をされてしまいながらも、タウラージ(嗚呼)を二杯とフランジェリコを1杯飲み、アンチョビとブロッコリーと併せたオレキエッテを食べた瞬間には、大きく「旨すぎる」と声に出してしまい、全フロアの注目を浴びてしまうという、とんでもない無作法を演じてしまいました。

 とさてオーチャードホール公演ですが、「CURE JAZZ」は発売後一ヶ月以内で完売寸前に成ってしまいました(キャパ2000に対して、現在1900超。ご報告が遅く成りまして申し訳有りませんでした。これを言うのは心苦しいのですが、席をお求めの方はお急ぎ下さい)。UAさんは現在ツアー中であり、公演数も多いので、「CURE JAZZ」の公演自体が少ない上に久しぶり(リリース後に東京、大阪、名古屋で一夜ずつのみ)とはいえ、ここまで早いかと、スタッフ一同嬉しい冷や汗を流しております。

 ペペ・トルメント・アスカラールのチケットは、極めて順等に、まだ残っております。とはいえ前列や桟敷前方などの所謂「良席」は僅少と成っております。これは既に申し上げておりますが、結成後はや4年、皆様にご愛顧頂いたペペの現行のメンバーでのライブはこれが最終となります(来年からはメンバーを変え、<第二期>として装いも新たにスタートします。お楽しみに)。以下はオーチャードホールのフライヤー裏面のテキストであります。それではごきげんよう。



<儀式への招待>

 「ジャズのホール公演」という物が、何か特別な意味を持たないとしたら、ちょっとだけ詰まらない話ではないでしょうか。それはただ単に、努力の甲斐あってなかなか売れているジャズミュージシャンが、普段はクラシックやセミ・クラシックが演奏されている場所に乗り込み、本当はジャズクラブやライブハウスが似合う音楽を、ジャズクラブやライブハウスに通い慣れたお客様と一緒に、まるで年に何回かある、結婚式の二次会の様な気分で、わあ素敵な緞帳、立派な絨毯。等と思いながら、始まってしまえばそこがホールかどうかも忘れて楽しみ、ああ今日も素敵だった。アーティストは感動し、ああ、自分はここまでやって来たんだ。でも、最初から付いて来てくれた皆さんへの感謝は忘れません。

 これが悪い筈もありません。とても素敵な話だと思います。しかし、例えば、1961年のマイルス・デイヴィスのカーネギー・ホールのコンサートには、つい先日亡くなったマックス・ローチがステージ上で座り込みの抗議をする。という有名な事件がありました。人種問題、黒人の公民権運動を巡るちょっとした小競り合いがあって、マックス・ローチは親友であるマイルスのコンサートを妨害しようとし、タキシードとナイトドレスでドレスアップした人々でいっぱいだった会場は騒然と成りました。そしてこの日の演奏は、二枚組のレコードになっています。カーネギー・ホールと言えば、1957年のジョン・コルトレーンとセロニアス・モンクの演奏テープが50年近く行方不明に成っていたのが、一昨年突然倉庫から出て来た場所だったりします。世界中のジャズファンが「もう、一生聴く事もない」と思っていた幻の音源が、いきなり大掃除の時に出て来て、レコード化されたのです。
 
 私は、トラブルや伝説があれば良いと言っているのではありません。ジャズミュージックのホールコンサートというのは、本来は全く場違いな物なのです。日本武道館が、そもそも音楽を演奏する場所でなかったのに、ビートルズ以降、ロックの殿堂の様に成ったのは「最初から完全な場違いで、そこから総てが始まった」という性質に寄る物です。と申し上げれば、私が申し上げたい事が少々明確に成るかもしれません。コンサートホールを、箔付けやステイタスの確認に使う様な、田舎の議員並みに野暮ったい事をしたジャズミュージシャンは全員罰が当たると私は思っています。コンサートホールというのは、それなりの霊力がある、気位の高い女王だと私は考えます。

 私の「ペペ・トルメント・アスカラール」、そしてUAさんと一緒に作った「CURE JAZZ」は、予め「コンサート・ホールで演奏される為のジャズ」として作られた物です。とはいえそれは「クラシック風の味付けがされた、リュクスなジャズ」等という薄っぺらい物ではありません。そういう物は「ポップス風の味付けがされた、聴き易いクラシック」と同じで、悪くもありませんが、我ながら呪わしく狂おしい領域でしか音楽の神に捧げ物が出来ないなと思うばかりの私には、そんな気の利いた、風通しの良い真似は、残念ながら一生出来なそうです。

「ペペ・トルメント・アスカラール」は、南米はブエノスアイレスとパリ、そして東京の三都で制作された「南米のエリザベステーラー」というアルバムの世界公演用に組織された、アルゼンチンタンゴと中南米幻想文学をインスピレーションの源に、現代音楽とラテン・ラウンジを繋ぐ、ストレンジ・オーケストラであり、「CURE JAZZ」は、我が国の数少ない都市のシャーマンとして凄まじいオーラを持つUAさんと私が全面的にコラボレートして創作した、タイトル通り、儀式の持つあらゆる治癒性を50年代風のジャズに封じ込めた物です。

 私にとって、ドレスアップしてコンサートホールでジャズを聴く事/演奏する事。というのは、特別な儀式にしか思えないのです。今回のプログラムは、本来は場違いである、野蛮で性的なジャズミュージックが、コンサートホールと言う場に置かれる事で生じる総ての「特別な意味」、お客様のドレスや宝石達と音楽が共振する事で生じる、あらゆるエレガントでソバージュな儀式性、あらゆる憂鬱を官能に変える、あらゆるシックの力を現代に召還する方法として、私なりに追求し、磨き上げた2作品です。

 こうして我々は、過去、天王洲アートスフィア、東京九段会館大ホール、銀座朝日ホール、大阪中之島文化会館、等で、本懐であるコンサートホール公演を行い続けて参りましたが、この度、ここオーチャードホールにて、始めてこの2作品の連日公演を実現する機会を頂戴した事を大変嬉しく思っております。一人でも多くの方のご来場をお待ちしております。どんな石でも構いません、あなたの宝石を身につけ、どんな布でも構いません、あなたの夜会服を身につけて。我々の音楽は、それの総てと共振するでしょう。クロークに預けられるコートの毛皮、幕間で飲まれるシャンパンの量までもが、その夜の我々の音楽と響き合うのです。それでは当夜の逢瀬を。

菊地成孔



 


 <追記>

 去る9月11日、「東京ザヴィヌルバッハ」の名と音楽の由来と成ったジョー・ザヴィヌル氏が亡くなりました。坪口冒恭は数度のインタビューで親子の様な親交を深めており、ワタシにとっても、マイルス本に1968年から登場、マイルス人脈史上、唯一の「マイルスに全くひれ伏さなかった男」であり、「イン・ア・サイレント・ウエイ」を巡る奇妙な確執はあらゆるマイルス伝中、影のトピックとして永遠に語り継がれるでしょう。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

映映画画館館

Sep-15-2007


 マイルス本の最終校正、ニューアルバムの準備、連載の執筆などをしながら、昨日今日と映画館で仕事がありまして、昨日が恵比寿ガーデンシネマに於きまして、「インランド・エンパイア」の上映前に滝本誠さんと15分、今日は上野一角に於きまして「陽炎座」の上映後に河内紀さん、秋山道男さんと30分。畏れ多い事に滝本さんも河内さんも「南米のエリザベステーラー」「野生の思考」を聴いて下さっており、あまつさえ身に余るお褒めの言葉を頂戴し、背筋が伸びる思いでしたが、映画館での仕事は非常に楽しく、というか非常に懐かしく、トークも非常にグルーヴして(短時間なのが実に勿体ないです)「これからは、不勉強で常にいっぱいいっぱいな30代青春の評論家よりも、ボーダー55余裕の文科系不良オヤジではないかしら自分のマーケットは、、、、レイバー風の若いライターが現場に来ると、ホントーにロクな事が無いし、、、、女の子は感覚で通じ合えるからみんな楽で良いんだけど若男子は大変ふー」と、まるでファザコンでオッサン好きのするOLさんの様な脳内呟きをしては「馬鹿か俺は(笑)」と脳内否定し、再び「でも、お洒落の話やグルメの話をすると体をこわばらせるし、違う話すると凄く薄っぺらいしすぐ落ちるしーぜんぜん楽しくない。婆やに<殿方は体裁というものがあるので、追いつめてはいけませんよ>と言われていたけど」「馬鹿か俺は(笑)」気がつくとルミネ2の「モンドカフェ」にて既にステックフリットを終え、何と逆コースでテリーヌに戻っており、ふと勘定書を見るとグラスワインが3杯目だった内省深き男、菊地成孔ですが皆さん秋は何と何をあわせますかな?ハモ天と白ワインじゃいけすかない上司みたいですし、どんなに産地が良くても、東京まで運ばれる間に秋刀魚の味は落ちてしまうし、なかなか難しいですなあ。ワタシの9月のおすすめはクリュッグのグランキュヴェぐらいのを頑張って買って(アレは守備範囲が凄く広いから)、スーパーマーケットの閉店直前で安くなっている、鰹の刺し身と芋の天麩羅を買って来て、わーと雑に合わせてしまう事です。窓はなるべく開けて外風を入れ、鰹には冷蔵庫の調味料好きな物何でもいいからかけると。ショウガ醤油はダメすよ。居酒屋でシャンパン頼んだのと同じに成っちゃう。と、「モンドカフェ」はカフェブラッスリーとして平均的にみんな旨いのですが、ラタトゥイユがいまいちなのが、小肌がヘタな寿司屋の如し。とはいえプレゴプレゴのカポナータ(特に石黒店長版)とブリッコラのカポナータ(佐山シェフ版)が旨すぎるのでこれは仕方が無い。ワタシのラタトゥイユ/カポナータの評価は新宿一厳しいかもしれません。自由闊達な振りをして下品な事を言いますが、この二店のカポナータは余りに旨すぎて、ついスプーンで喰ってしまい「ドンブリとは言わないから作ったボールで出してくれ」と言いそうに成ってしまいます。いけねえ酔うと段落が別けられなく成る。

 と言う訳で明日はライブであります。坪口と奥様のいずみちゃんはワイン党なので、終わってからどこでどれを飲ませようかと楽しみにしていたのですが、何と日曜は「クレッソニエール」「プレゴプレゴ」「ブリッコラ」共に休み!ぎゃふん!でもそうか3デイズは南さん、大友っちと飲みに行けるではないか!いやっほー!とすみません少々酔っている上に風邪薬が入っている訳で、ドラッグと犯罪に明け暮れた楽しい青春時代を思い出してしまいますなあ。それではごきげんよう。秋は体が緩みますからメランコリーがやって来やすいです。来たら捕まえてキスしてしまい、大切に抱き込んで寝ましょう。後でワタシがまとめて祓いますよ。喉に指を入れて。それではごきげんよう。

 

蕩尽お吉

Sep-18-2007

 

 

 

「何をやってもやり足りない」「どうにもこうにもムラムラしてしょうがない」「何かしでかしてしまうんじゃないか自分は」「<ワタシには何かが足りてない>と思いませんか皆さん?」「あううううううううう。うががががががががが」等と思いながらここ数日暮らしておりましたら何と買い物でした。いやあ我ながら何と申しましょうか、馬鹿かつ呪わしく、どうしようもないなあ。中村うさぎさんと変わらないんじゃないか自分は。と、ついついあり得ない事まで考えてしまいそうな買い物の秋です。

 他の方の事は存じ上げませんが、やはり金は溜まったら使わないと具合が悪く成りますなあ。便秘と同じです。貯金が何千何億という方の下腹部はパンパン、食欲ゼロ、顔面は吹き出物だらけではないか。便秘に成った事が無いので総て想像図。ですが。

 伊勢丹メンズ館の4周年パーティーに伺った時には実に良い調子だったのですが、気がつけばあの時、パイパーエイドシックばっかり飲んで何も買わなかったのです(各フロアにパイパーエイドシックが飲み放題なんだもの。どうせいちゅうのよ)。というわけで、本日は年内最後の完全オフ日でしたので、これはもういけません。まるで色情狂の女性がコートの下に下着だけ付けて体育大学の寮に、静かに歩みを進めて行く様な感じで伊勢丹に向かいまして、とはいえ色情狂の女性に成った事も、体育大学生になったことも無いので総て想像図。ですが。

 昔日、銀行ATMでおろせる額に制限が加えられたとき(オレオレ詐欺のせいで)当欄にて「何故ATMは100万一気におろせなく成ったのか。月に一回しか買い物に行けないワタシは、毎回100万おろしてそのまま買い物に行くのに」と書いた所、ドメインにエヴァなんとかかんとか含んである少年(青年だったかもしれませんし、立派な大人だったかもしれませんが)から「おまえ最高ダサカッコ悪いよ!何が100万円だよ!何ハピマテ踏んでんだよ!おまえがやってることは関西芸人と同じなんだよ!おまえが今若かったら絶対ヲタなんだよ!ぜんぶキモいよ!何が100万円だよ!」という、無知無学と魂の叫びが込められまくった、凄まじいメール(笑)を頂戴した事が有り、「あなたがATMの責任者ですね。お願いですから上限無しにして下さいませんか」とお返事した事がありまして、あんまり買い物の事を書いてはいけないな。変な少年にキレられてしまう。ふうー大変な国になったもんだ。と思いながら、その後もバンバンに買い物の事を書いてたのですが(笑)、どうやら時代は変わり、変な少年達はみな結婚して子供を作り大人に成った様なので、これで安心して額が書けますが、今日は96うううううううだってパリコレの取材が6日あるのに、どうやって着回したら良いのかぜんぜん解らないのだもの。途中でデザイナーや選曲家にインタビューしなくちゃいけないんだもの。ワタシの人生に可処分所得は無いのだもの。何千万稼ごうとぜんぶ経費なんだものワタシの人生は。フライングで書いてしまうけれども、次の次辺りの号の「hanako」の新宿特集の巻頭を4頁ワタシがやるのだけれど、「どんな高い店であれ自腹で事前調査に行かせてくれ。自分が自腹で行って勧められる店しか勧められないから」と言ってあるのだもの。アルトサックスの次の良いモデルが見つかんないままなんだもの(関係ないですけどね)。

 とはいえ崇高なる買い物中毒の人々の様に純粋消費のみで快楽を得られる程、デカダンじゃないですもの。どっちかっていうと形而上/抽象派ですよ。こちとら芸術家なんすから。などと言い訳しながら、結局、デパートで買い物しないと(マネージャーに頼んでオンラインで買ってもらった物も有るんですが、全部無くしてしまいました。アレはダメですワタシは)、ダメなのですね。いやあスッキリした。とはいえ、50万以上はトイレットペーパーですけどね。もう、伊勢丹の株主になってやろうか。伊勢丹の株売り場で株を買って。

 というわけで、タクシーが引っ越しの為に呼ばれた赤帽の車みたいになってしまいましたが、気分としては「すみませんお水を一杯頂けませんか?」と言ってグラス一杯の水を貰い、飲み干した瞬間の気分であります。ピットイン3デイズ、ニューアルバムのレコーディング、パリコレ取材、マイルス本仕上げ、と「大仕事」の準備が4つ重なり、こうなると逆に落ち着くのですから面白い物ですなあ。明日はオーチャードホールのフライヤーとポスターを新宿中に貼る計画を立て、実行時にはパリに高飛びする予定です。だってすげえデカいんだものポスターが!というわけで、伊勢丹に文句が有るとしたら、地下一階のグラン・カーヴにサンセールのロゼが置いていない事のみ。今夜の「ザ・ユニヴァース」では重大発表がありますぞー!の菊地成孔でした。それではごきげんよう。



 <キャプション>

 フレスコバルディが注がれているワイングラスはUA氏の手製。ハンドメイド派のUA氏がガラス工場に行った際に創作し、今年の誕生日に「これで飲んでな~」と下さったもの。淵を指で叩くとぴったりGの音が鳴るので、音叉の役割も果たす。

 ボローニャと言っても食ばかりではない(ユリイカ「大友良英特集」参照)、ハンドメイドシューズの名門エンツォ・ボナフェは意外と小柄なイタリア男にあわせ、総ての製品が29(日本のサイズだと大体24・5)から用意されているのでついつい数を買ってしまう。写真のスエードと革のコンビは17万。パリでの取材は6日間だから、えーとえーと。と結局6足買ってしまった(すごく情けない。玄関先に積み上げたら涙が出て来た上に、もたれかかったら塔が崩れた)。

 靴に合わせた訳ではないがパラディッソ・クアルツィア(微発砲)、ガルヴァニーナ(スティル)とイタリア産、ポルトガルの「ルソ」、ヴーヴはミモザ(気が抜けたシャンパンにオレンジジュース)用に購入。秋口に飲むミモザには、ほんのちょっと冷やした硬水を注ぐのが美味しい。

 

 

3日で6本

Sep-24-2007

 ピットインの3デイズが無事終了しました。毎日限定150名、発売とほぼ同時に3日分450枚が即完しまして、スタッフ出演者共々、非常に嬉しく思います。お越し下さった皆様全員に代表して感謝の言葉をお贈りさせて頂きます。毎度の御贔屓有り難うございました。

 何と申しましょうか、スピークイージー(秘密クラブ)というのは大袈裟ですが、150名の方々と夜を共にすると言うのは、ちょっと良いですよね。ホールコンサートなどと違い、その気になれば全員でそこに泊まれる人数ですから(所謂、小説的な想像力ですが「100人位のライブハウスで演奏中に地震が起り、アーティストごとそこに幽閉されたら、三日三晩で何が起るか?」と妄想したりします。ワタシはそういう才能は有りませんが、拡大の仕方によっては、映画やテレビドラマの脚本に使えるかも知れません)。なので、写真およびライブの内容については一切発表しない事にします(1日目はソプラノサックスばかり、2日目はヴォーカルと朗読がメインで、サックスは3種全部、ピアノも有り、3日目は楽曲がテナー、即興がアルト、と「自分が使えるアイテムをフラットに並べた」という点だけ自ら記しておきたいと思います。宝石屋、もしくは肉屋さんみたいでしょう。そこだけはちょっと頭を使ったのです)我々だけの秘密。という事で。本当の愉しみというのは密かであればあるほど滋味が出る物です。

 感想メールも沢山頂戴し、嬉しく思います。「読んだ本は何か?」というご質問がいくつかあったのですが、せっかくですから敢えてこれも秘密とさせて頂きます。そもそも、本当に読んでいるかどうか。ワタシは酷い老眼に成ってしまい、あの距離の裸眼では文字が読めません。記憶と捏造、もしくは即興かもしない。とでもしておきましょう。歳を取るというのは、ワタシにとって、そういうこと。つまり「本を読んでいるフリをする」といった行為が、上手く成って行く。という事です。

 アットホームかつリラックスし、かつ、ワタシが皆様に提供出来る音楽美の中でも、「シンプルに素材にさっと火を通しただけで(リハーサルは3日とも一切行っていません)素材の旨さを完全に引き出した」と自負できる(バンドは手の込んだ料理ですから)、非常にグルマンディーズな3日間でしたが、ひとつだけ残念なのは、「ブリッコラ」がピットインの目と鼻の先であり、金曜と土曜はラストオーダーが26時だという事実を、事前に強くアナウンスしておけば良かった。という事です。アフターアワーズにまでお客様と御会いしたい。等といった、欲の張った話では有りません。「ジャズクラブで演奏を聴き、そのまま歩いて、同じブロックにある優れたイタリア料理店に入り、好きなワインを飲んで帰る」という経験を、皆様にして頂きたかったのです。信じ難い事ですが、今の新宿では、それが可能なのですから。

 金曜は南さんと、土曜は大友っちと、共に「ブリッコラ」で4時間以上、シャンパンとワインと料理を楽しみまして、フェッラーラの白で乾杯し、タンクレディ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、バローロ、フレスコバルディのボトルを開け、それでも足りずにタウラージのグラスを飲み、アフォガートと一緒にフランジェリコも頂いて、我々の人生は非常に辛く、苦く、孤独で、そしてある種敬虔な程の愉しみと喜びと美に溢れ、音楽と料理の力は、その総てを官能的に統一して熟成させるのである。という、ワタシの馬鹿の一つ覚えを確認した週末でした。

 次の逢瀬は12月です。これからするワタシの総ての仕事、即ち、マイルスデイヴィスの研究本、パリコレの取材、ニューアルバムの制作、これら総てを滋養とした、素材と調理の精髄を凝らしたグランフルコースの二日間と成ります。「ライブで聞きたかったのに、、、、」というお声を頂戴するのが余りに忍びないので、宣伝がしつこくなる無粋をお許しください。「cure jazz」のチケットはもう無いかも知れないぐらいになっております上に、再演の予定は今は有りません。UAさんのシャーマンを経験されたい方はお急ぎ下さい。ペペはまだ残席有りますが、パルコ(桟敷席)等の「良席」は薄く成りつつ有りますのでお急ぎ頂ければ幸いです。

 格闘技ファンの方は「kamipro」最新号をご覧下さい。センターフォールドにワタシのインタビューがあります。「ザ・ユニヴァース」は次回が最終回の生放送、そしてくいしんぼうの皆様は次号の「hanako」をお楽しみに。巻頭の6ページを頂きまして、「新宿に伊仏料理の旨い店なんてない」という定説に縛られている人々の人生を何倍も豊かにするという聖職を実行します。それではごきげんよう。

 

ファンメール&今からオンエア

Sep-26-2007


 今日はなかなか面白い一日でしたが、最後の仕事はユニヴァースの最終回です。それでは2時間後に放送で。ごきげんよう。




 菊地様

 お慕い申しております。お慕い申しております。しかし、わたしは地下の狭い場所が怖くてピットインの逢瀬には行けずじまいでした。チケットは三日とも買い、服も総て準備して、あとは三度の逢瀬に行くばかり。そして四度目は恋に成ります。他のお客が憎たらしい。憎たらしい。






 菊地さん今晩は。

 先日の新宿PITINNお疲れ様でした。あっという間でしたがほんとに幸せな時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

 私は一日目の南博さんの日しか聴けなかったのですが、それでも行けて本当によかったと思います。(私は九州に住んでいるので実はちょっと迷ったのです。) 

 お二人の演奏しているときの空気がぴったりと親密で、こんな雰囲気を感じるときいつも音楽をする人達を羨ましく思います。ましてや南さんやUAさんのような良い男や良い女とだなんて!ほんとに憎らしいです(笑)

 演奏しているときに菊地さんが目を瞑ったり片目だけ閉じたりしてるように見えて凄くキュートでした。あ、あと菊地さんがMCをしているときに南さんがタオルでいかにも男らしくガシガシ顔を拭いていて、それが何とも南さんのイメージに似合っていなくて可愛さで胸がきゅうとなりました(はるか年上の方を可愛いというのもどうかと思いますが。でも菊池さんは可愛がられなのでいいですよね?)これは南さんには内緒です。笑

 サイン会で握手を頂いたときに、(私はお二人から握手をさせてもらったのですが)お二人の手の感触が、南さんは大きくて包容力のある手で、菊池さんは決して大きくはないけれどしなやかでどちらかというと女性的な手の印象で、その対比がああそうかとなんだか妙に納得してしまいました。

 私は南さんの「エレジー」にサインを頂いたのですが、なぜ今まで持ってなかったんだろう。一聴して途端に引き込まれてしまい、ああこれはまずいぞ。完全に持ってかれてしまう。と然し聴いてしまったからにはもう後戻りはできず、南さんのCDも全部買わなければならなくなりました。菊地さんのCDはもう全部持っているし。二回目に聴いたとき、気がつけば頬に何かが伝う感触がして自分でも驚くべきことにわけも分からず泣いてしまっているのでした。ギリシャ語にpharmakonという語で、毒と薬という両義の意味を持つ語があって直ぐにこれが思い浮かびました。(私はこの言葉が好きです。なぜなら私の名前を含んでいるから・笑)はまり続けると麻薬のように危険なのですが一方で癒される感じもして涙がお腹までつたって乾いたころには浄化されたような気分になるのです。涙には浄化作用があるのでしょうね。憂鬱を前に完全降伏です。まったく上手く言えず、もどかしい思いですが。

 私はジャズに関しては初心者でビリー・ストレイホーンという名前もはじめて知りました。チェルシー・ブリッジが好きでこの曲は菊池さんがつくったものと思い込みをしていたので俄然興味が沸いて翌日さっそくディスクユニオンにて手に入れました。LushLifeというやつです。ジャズは奥が深くてまだ分からないことばかり。菊地さんを知ることができて本当に嬉しく思っています。同じ時代にお会いできてよかったです。

 12月のオーチャード公演、楽しみにしています。既に二日間ともチケットは取得済みです。12月まで着ていくドレスをあれこれ選ぶのも楽しみの一つです。プレゴプレゴで食事をするのも。(23日に初めて行きました。一人で。スタッフの方がみなさん感じがよくて一人でもこれならまた行けます・笑。カポナータは本当に美味しかったです。)

 これからもご活躍をお祈りしています。乱筆にて失礼しました。それでは。







菊地成孔さま

こんばんは。

昨晩のピットインでのライブ(注*菊地×山下)が、未だに身体から抜けません。
ずっと抜けなくてもよい、と思うくらいです。

毎年いつも仕事と重なり行けなかった念願のライブでした。
悔しくも3日目のみとなりましたが、菊地さん仰せの通り靴を脱ぎ捨て、身も心
も魂さえも、立ち上っていく時間となりました。

自分のことなどお伝えするのはおこがましいのですが・・・
最近6年付き合っていた彼と別れました。
私だけとは思いません。誰もがそうだと思うのですが、内臓が擦り切れるような
出来事がたくさんありました。別れてからも胃の調子がおかしくて、何を食べて
もむせかえるような思いがしていました。

今この時代に、苦しかったり辛かったり愛したり嬉しかったり、そんな思いを抱
えて生きていくのだな、と、ライブを聴きながら感じていました。
それでも、この時間この場所で菊地さんと山下さんの演奏を聞き、時間を忘れた
かように立っている自分がいる。

この時間に、この場所に立ち会えたことは、なんと素敵なことなのでしょう。

ホールコンサートも好きですが、やはり今回のライブは特別でした。
12月の逢瀬も楽しみにしています。








菊地成孔さま

3デイズお疲れ様でした 私は2日目の大友さんと共にされた日にいきましたが とてもとても素晴らしく めまいと余韻に浸っております サックスとギターが共鳴し 私たち観客(目撃者)も 会場も包み込んでバイオンが轟きましたね

昨年末の岡山公演でスイートメモリーを歌われてから私の心も体も(多分脳みそが痺れ)菊地さんに奪われてしまいました

今回もスイートメモリーがきけて 誠に嬉しい出来事でした 菊地さんの声は魔法がかっています 人の心を奪います

菊地さんと同じ時を過ごせたことに感激しています

そして 私もブリッコラにお邪魔し ブリッコラ名物だのワインだの ポルチーニだの 頂きました

菊地さんのお勧めの店の中で一番好きな味でしたよ 素材の味を大切にして キムニイににた(ケンスケにもにた)シェフが鍋を振っていたのも 感動にあたいしますし 私の友だちはポルチーニに感動し ポルチーニの刺繍をしたTシャツを作るといっていました ディオールあたりから出ませんかね?左胸にポルチーニ茸の刺繍が入ったTシャツ

その後 降~り~ろ 降~り~ろ のかけ声と共にニチョに戻り(横断歩道渡っただけですが)ゲイバーでスイートメモリーとオーヤンフィ-フィ-を熱唱し朝を迎えました

菊地さんの声は素晴らしい あんなスイートメモリーはもうやっちゃあいけません 素晴らしすぎて 気を失います 秘密はなるべく少ない機会に… 余韻に浸っております…

これから オーチャードホールまで きちがいのようにうっとりしたまま過ごしたいと思います

菊地さんの香を聞きに参ります





ぐっと秋風そよいできましたね。

メールにて失礼します。
時折、サイトを拝見して楽しませていただいています。

先日のピットインライブは、大友さんとの共演日に伺えました。
想像のつかない演奏にわくわくしながら、いざピットインへ。
繊細な大友さのギターの音色と菊地さんのサックス、歌声、話し声、ピアノとの
共演は、語彙の少ない私にはうまく表現できませんが、心地よい響きに陶酔
想像していなかった演奏スタイルに覚醒、興奮。の、くり返しだったように
思います。

ブリッコラは、もしお会いしてしまったら御迷惑でしょうし、こちらも勝手に緊張し
てしまうので、教えていただいた名店のおいしい味をこっそり堪能に足を運ばせてい
ただきます。

どこまでもファンに優しい菊池様へ






菊地さん

ピットイン3daysおつかれさまでした。
3日間ともに素晴らしかったです。

初日はひさしぶりにサインを頂けて嬉しかったです!
数日前から急性咽頭炎で声が出なくなり、お礼のことばもままならずでしたがありがとうございました。

昨年は菊地さんに破れたハート、南さんに大きなハートを書いて頂いたのを思い出します。

そういえば脳内メーカー、やってみたら私も「悩」と「休」と「悪」で出来てました。
結婚前の姓だと「悪」で縁取られて中身が「休」、結婚後は「悩」で縁取られて真ん中に「休」でした。
(当たってるのかどうか・・・)


2日目はピットインを出て、いい気分で歩いている途中(ちょうど伊勢丹の前あたり)でふとアンコールの菊地さんのピアノと歌が頭をよぎりました。

反射のように急に涙が出てきてびっくりしました。何、これ?と笑ってしまうほどでした。あの曲に菊地さんが何かしかけをしたのかと思いましたよ。

夏の名残の暑さが夜になっても冷めない日でしたが、熱を帯びた新宿の街で幻のように鳴った「ホワイトクリスマス」、本当に美しかったです。

南米に降る雪を見たらきっとこんな気分なのかもしれません。

帰ってからピアソラの「ブエノスアイレスの冬」を何度も聴きました。

最終日は、新宿に着いたら綺麗な霧雨が降っていたのでそこからずっとうっとりしてました。今もそのままこれを書いてます。

山下さんとのデュオの時の菊地さんの表情が好きです。


12月のチケット両日とも取れました。
オーチャードホールまで、メランコリーは捕まえてキスして大事に取って置きますね。


それではおやすみなさい/おはようございます







菊地 成孔 さま

こんばんわ。
3days、なんて素晴らしい夜だったことでしょう。
夢の様に素敵な時間でした。

もちろん毎夜すべて大満足でしたが
とくに今夜(注*菊地×山下)は感動してしまいました。
音に包まれているのがとても気持ち良くて、
たくさんの国々を巡り、季節を感じ、美しい光と風の中、
大きく羽根を広げているようでした。

「大きな古時計」では涙が溢れました。
なぜかとても嬉しい気持ちでいっぱいで、
ものすごい笑顔で泣いてたと思います。

帰り、タクシーに乗ったら、運転手さんに
「なにかいいことあったんですか?」
と聞かれました。
「お客さん、とってもにこにこ嬉しそうに歩いていらしたから」
ですって。

あんまりうまく書けないな・・・残念。
本当はもっともっとなんですけれど。
少しでも感激と感謝の気持ちが伝わったらといいなと思います。
ああ、ほんとうにありがとうございました。

おやすみなさい。





菊地さん

こんばんは。素敵な夜をありがとうございました。
3days、なんで2日目だけチケットを取らなかったのか
そのことだけをきっと1年間後悔する気がします。

今日の演奏(注*菊地×山下)、本当に感動しました。

世界はあまりにもひどく、そして自分を取り囲む環境は
それに輪をかけてつらいものに思えますけれども。
もしこの過酷さによって音楽がより強く響くならば、それも
悪くないなと思います。

手のひらにびっちり爪の後がついていて、さらにハイヒールを
脱ぎ捨てる勇気がなかったので、座っていたにもかかわらず
足がものすごい筋肉痛です。力が入っていたんでしょうね。

MCでおっしゃっていた、観客席の顔を見るのが楽しみだという話、
実はおんなじことを考えていました。
南さんや山下さんがffで和音を弾く時、そして菊地さんがサックスで高音を
鳴らすとき、きっと裸でいるときと、同じ顔をしていたと思います。
私のそういう表情を二度と見ることがないであろう、元恋人に向かって
ずっとずっとざまあみろ、っと心の中で思っていました。
何がざまあみろかよくわからないんだけど。

パリ、お気をつけて行ってきてください。
ファッション話もグルメ話(今回はそんな時間ないでしょうが)も、
楽しみにしています。
私も年末に行く予定です。

ではまた。





余韻に浸って只今、家に戻ったところです。
菊地さんのサックス以外に歌もいつもより多く、ピアノまで!朗読も拝聴できてとても楽しかったです。
頭にまとわりつく印象的な声をされているな、と改めて感じました(素敵です)
因に、最後に読まれた本は何でしょうか?非常に興味があります。
不勉強なので、機会がありましたら教えていただけると嬉しいです。

大友さんはターンテーブル&ノイズギターを10年前に何度も見に行ってました
最近だとコントーションズのオープニングアクトのフリクションだったので、本日の感じは新鮮でした。

外に出た時に今年初めて、秋の気分になりました。
おやすみなさい、良い休日を有り難うございます。






菊地様

3DAYSお疲れさまです。
最高な夜をありがとうございました。
以下感想?です。

癒しとは対極にある優しさに狂れた、改め触れた3日間でありました。
帰り路はいつも放心状態で、
クレッソニエールでいただいた名刺で改札口を通ろうとしたり、
靴も脱がずに部屋に入ろうとしたり。。

どの夜も素晴らしかったけれど、特に第2夜は静かな興奮を覚えました。
恐ろしく甘い菊地さんの声を聴きながら、
香港島ワンチャイ地区のナイトクラブを思い描く。
香辛料やセクシュアルな匂い、羽虫を捜す踊り子・・・・・・
もしも私と同じように“あの夜”のことを想った人がいるならその人が
男でも女でも既婚者であっても即座にプロポーズしたいと思う。

菊地さんには泣かされっぱなしです。
そのうえ家族の変容、若しくは恋の終焉と同様の淋しさまでくれるなんて!
このもたれかかって来る切なさを歓迎することなどできようか?

12月はオーチャードホール2days★
サンタクロースの次にクリスマスが似合う菊地さん。
左目から落ちる涙が渇かないうちに引き金を引いて欲しいのです。
私はあなたの姿に感動しました。
時々自分が何に立ち向かっているのか判らなくなり、
自分自身への怒りは未だ治まらず、悪夢とも言えない夢の中にいるような
不安に襲われるけれど、それもいいか思えてしまいます。
菊地さんはつかまらない。
ヒョイと擦り抜けて行き思いも寄らない場所から姿を現す。
私はそれを待っている。






 あれほどの感動的な演奏をされたあと、照れてしまって「ユニヴァース口調」でお喋りする菊地さんに、(とっても)良い意味での「大物ではない感」を感じました。「大物」というのは、ああいう演奏をして平然としていられるか、更に感動的にする様なMCが出来る、わたしにとっては「どうでも良い人々」です。菊地さんにはわたしが思う「大物」になんかなってほしくありません。わたしがほんとうにほんとうに感動したのは、菊地さんが主役の三日間なのに、菊地さんが前に前に出ずに、3人のお相手の、もっとも素晴らしい姿を引き出していたところです。

 菊地さんは「ともだちがいないので毎年おなじ人とやる」なんて仰ってましたが、本当のともだちなんて、誰もそんなにいないと思います。菊地さんの演奏から何から、総てに、菊地さんがどれだけ南さん、大友さん、山下さんの事が好きで、大切で、そしてよく解っていらっしゃるかが伝わって来て「男同士の、しかも芸術家同士の友情と理解って、本当に良いなあ」と思うと同時に、本当に素敵な殿方というのは、お友達もまた、皆さんとても素敵なのだなあ。と思いを新たにしました(つまならない男には、つまらない男友達がいて、つまらない同士でつるんでいます)。わたしは日本の音楽はほとんど聞きませんが、菊地さんを含め、菊地さんのお友達は、嫌だな。とか、どうでも良いな。と思う人が一人もいません。これはわたしにとっては奇跡的な事です。たった二時間程の演奏によって、本当に人生が豊かに成ったなと思える、素晴らしい三日間を有り難うございました。南さん、大友さん、山下さんにも感謝をお伝え下さい。それではオーチャードホールで(何万人はいれるホールで演奏しても、最先端の学説(?)を考え出しても、菊地さんはどこまでも気さくな、「大衆の味方」だと思います。そんな日本人は、いません。本当に有り難うございます)。





菊地成孔 様

 暑さが行きつ戻りつしております。
 PIT INN 3Days おつかれさまでした。
 最終日、9月23日にうかがいました。

 1980年代に入った頃、武田和命さんが入ったばかりの山下洋輔トリオの演奏を
楽しみに、大阪の「いんたーぷれい8」に通いつめていました。
 けれど86年に東京に引っ越してからは、2~3年に一度くらい、洋輔さんのソロ
を聴きに行くだけになっていました。

 もうあの時ほど音楽に心や身体を揺すぶられることはないだろう、生きていく
ために音楽が必要な時期はすでに通過したと思いこんで、長い月日を過ごしてし
まいました。

 けれど、23日の夜、私はとてもとても幸せで、同時に不幸でした。
 20年、どうしてこの音この演奏なしに生きてこられたのだろうか、と。
 この演奏を聴きながら死んでもいいと感じたとき、笑いながら泣けてきました。
 
 ありがとうございました。
 こんなみっともないメールをお送りするのも、先夜の高揚のなせるわざか、と。
 読み捨ててください。
 本当に、ありがとうございました。






 ナルちゃんへ

 3日とも行ったけど、存分にやられた。特に南博とのデュオ。えげつないまいった。最高。タコ八本。




 菊地さん

 わたしは、両親、兄弟ともに健在で、はじめてつきあい、はじめてセックスした恋人と婚約をして、好きな仕事につき、つまりは幸せで一杯です。菊地ファンとしては失格かもしれないぐらいです。でも、ずっと憂鬱で憂鬱でしかたがありませんでした。怖くて怖くて仕方が有りませんでした。菊地さんの音楽と文章に出会うまでは。

 書き始めた物の、やっぱり何も書けません。ブサイクな兄に感謝します。菊地さんの音楽を教えてくれたので。

 (オーチャードも楽しみにしています。チケットはUAのが売れている様ですが、UAも良いけれども、わたしは完全なペペ派です)





 菊地さん

 大友さんにギターを弾かせて朗読はズルいです(笑)。本当に濡れちゃいました(目も、喉も、股間も)。「ホワイトクリスマス」もセンスよすぎ。イラっと来ました(笑)。でも、とってもヘルシーでした。変わりましたね。じゃあ12月に。

 

ワタシは下ろされますが(笑)ユニヴァースは不滅です

Sep-26-2007


 ユニヴァースのリスナーの方が多く読んでいるのではないかと思われます。大袈裟ではなく「こんなにリスナーいたのか(笑)」と驚愕する程のメールを頂戴し、のけぞっております。1年間有り難うございました。いやあもう、何でしょうか、楽しかったですなあ本当に。

 オンエアで申し上げた通り、誰々が悪いというのは有りません。インターネットにやられました(笑)。今回も馬鹿の一つ覚えでインターネットが悪い事にしましょう(笑・大して悪かないんですけどね、奴も)。それにしてもハセキョーならともかく、レコキョーには参りましたな~。例えばワタシの作品はキングから出ていたスパンクスと、ビクターから出た「CURE JAZZ」以外、一枚も「レコ協」に入っておりませんし、番組で申し上げた「物凄い数字」というのは「過去オンエアの80%強がレコ協外」というものです(笑・聞かされた時には我が事ながらコーヒー吹き出してしまいました)。

 何にせよ普段から誰とでも仲良くしておかなくてはいけませんなあ(笑)。良い子ぶるつもりは毛頭有りませんが、ワタシが仲良くするのは、つまり一緒に楽しもうと本気に成るのは、常に唯一、リスナー/読者。つまり、ワタシのお客様だけです。

 J-WAVEの野郎は「ワンクール(三ヶ月)待って下さい。菊地さんの冠番組の企画書通しますので。へへへへへ」なんて言ってますが、何せ最初は「10月の段階で、そのまま移れる様に手はずは整えておきますんで。へへへへへ」ぐらいの話でしたので(笑)、こうやって、ジリジリと放逐されるんじゃねえかと横目でジトっと見返したりしております(笑)、ま、ここはひとつスリルと共に来年1月を待とうでは有りませんか(と言う訳でこれをお読みの他局の方へ、ワタシはあなた。銭いっぱい寄越せ。なんて言いません。ね。「好きにやらせてくれるかどうか」だけですんで、どうかしとつその。今がチャンスですぞー・笑)。

 とまあ、いやあ本当に、返す返す、なんて楽しい1年間だったのかと思うと同時に、それまで友達相手にやっていた事がそのまま仕事になるとは。こんな楽しく遊んでいる様な事で金がもらえるとは。「一生遊んで暮らす」とは、蓄財の比喩ではなく、こういう事だったのか。と、勘違いしそうに成ってしまうほどでした。「マイルスの出て来ないマイルス特集(NHKと一方的に提携)」とか「ジョニデが出て来ないパイレーツオブカリビアン特集」とか「1950年代のニューヨーカー特集」とか「音楽番組なのにデパート特集」とか「ラジオ番組なのにパリ・ミラノコレクション特集」とか「映画のサントラとサン・ラの映画特集」とか「ジョアン・ジルベルトとチェット・ベイカー特集」とか(笑)、タイトルを書いているだけでもキチガイじみていて楽しいのに、聴いたら内容が(今から思いっきり自画自賛しますので、そういうことがお嫌いな方は目をつぶって下さい)死ぬ程素晴らしい。というのは、自分で台本書いて自分で選曲して自分で喋った自分で言うのもなんですが、音楽ってこんなに素晴らしいモノか、こいつは(ワタシの事ですが)天才か。という思いを新たにしましたなあ。でも、レコキョー外が80%だったのです(笑)。

 「番組が終わってもサイトやライブやCDや本が有りますよ。今度ともソッチでよろしく」なんて野暮は言いません。「わたしにとって菊地成孔とは音楽番組のナヴィゲーターであって、他には興味が無い」「ユニヴァースの菊地さんだけが好き」という方も「すんませんこれからいろいろ買おうと思うんですが、金がなくてついついラジオのみです」という方もたくさんいらっしゃいました。そういう方々はみなさん<すんません>みたいな事をおっしゃいますが、ぜーんぜんオッケーです。ある時はサックス吹き、ある時は大学の先生、ある時は格闘技評論家、ある時はファッションショー評論家、ある時はラジオのナヴィゲーター、ある時は毎週喰いに来る客、ある時は不審者。ある時は。「あなたの総てが好き。全部を知りたい」なんて言われたら、ピャーっと逃げちゃいますね(笑)。<菊地さんは、引っ越し先も告げずに行ってしまった、「づーっと居たかったよ、またすぐ会えるよ、楽しかったな~」と御機嫌な横顔で、ワルイ男みたい。>というメールを頂戴しましたが、「今頃お気づきですか?(笑)」としか言いようないですねコレ(笑)。

 ではまたいつか。我が国のラジオ界に酔狂な人がいれば、ふたたびナヴィゲーターとして御会いするでしょう。ごきげんよう。



 <追伸>

「はじめて任された現場(キャリアの最初)」で、いきなりこの番組に当たり(笑)、一年間がんばって支えてくれたピヨちゃん、そしてワタシが二十歳で生んでいたら娘の年齢である、日本女子プロレス界最後の至宝、ひとみちゃんに感謝します。特に番組の初期、「いつになったら大谷さんが出るんですか」「眠いんですけど。川崎さん登場希望」「ちゃんと二人揃って下さい」といった、「wantedしがみつき」のメールが着て(あーもうオレだけが見るんじゃないんだから)と舌打ちしていたら、それを手に取って読んで、平然としていた彼女達の強さに。まあ、昔つきあってた男に「しがみつかれ」て、しがみつきには慣れているのでしょうなあ(笑)。


 <追伸2>

 後任のクリスタルケイさん頑張って下さい。


 <追伸3>

 「火曜日は菊地しがみつき」を自覚している人は、それはそれで構わないけれども、ケイさんにグジグジした事とか絶対にしない様に(笑)。

 

 

本日は「hanako」の打ち合わせでした

Sep-28-2007

 

 

 

前から一番優れていると思っていたが、自分の専門外なので特に発言して来なかったけれども、「サブラ」という雑誌(の、特にグラビアのチーム)は凄いのではないか。そして特に最新号。これは凄い。サブラ史上最高の号なのでは?表紙の惹きを敢えて落としておいて、中身はグランフルコース(「ニッポン美女のプライヴェートコレクション」)ではないか。そしてセンターフォールドが「SCawaii!!」からの刺客、上原歩。そんでポスターがビーチバレーのあの人。しかもアミュースグールが女史アマレス選手(吉田沙保理)の筋肉!アランデュカスみたい!どうわー!と早速購入し、「これはすごい。この上原歩のガーターベルトを選んだ佐賀愛というスタイリストは天才である。お。各界美女の一覧表ではないか。アイドルやアナウンサーやモデルに混じって加藤ミリヤちゃんやDOUBLEさんもいるぞ。パーティーで御会いしたDOUBLEさんは身震いする程美しかったなあ。あ、金原さんだ小説家部門もあるのか」と思い、金原さんのコメント欄を見ると「ベストCD」に「ロストハイウェイ」のサウンドトラックと並んで「南米のエリザベステイラー/菊地成孔」とあり、(コメント)「聴いているとぐったりして骨抜きに成ります」とあったので、ホストしか居ないコンビニ(am/pm新宿区役所通り店)の中で大きい声で「おわー!」と叫んでしまい、とはいえ物凄くうるさい環境なので誰にも振り返られずに済んだ、菊地成孔ですこんばんわ。いやあ金原さんに<「蛇とピアス」映画化&おくればせながらご結婚お目出度うございます。サクラ咲く>と、電報を打ってしまいそうになりましたが、考えてみれば今書いているコレも物凄く遠回しな<電報>ですなあ。

 ユニヴァースのリスナーだった方からも続々とメールが届いており、有り難い限りです。「番組がインターネットで<配信>される。という事に関する問題提起」をされる、非常に真面目な方もいらっしゃいますが、まあこれも80年代が青春だった中年の感性でしょうか、ワタシ的には「いいんじゃないですかね。それはそれで。人生楽しくて飯が旨ければ」といった感じです。そのうち、出前の天ぷらソバもインターネットで配信される様に成るでしょうな。CD-Rを入れる、あの細い溝から天ぷらソバがぶわーっと噴き出して来るのです。出前ではなく、配信なので、これは当然ソバ協に所属しないソバは配信出来なく成る訳です。ソーメン流しと天ぷらソバとロボットゲロの合体。こんな楽しい事が有るか。インターネットは食事を配信出来る様に成った段階で、完全に家畜化された人間を創造するでしょう。んでもって家畜化された彼等はお互いを精肉として配信し合い、食べ合う、、、、ちょっと気持ち悪いけれども、、、ひょっとして素晴らしい世界なのでは(笑・そのときワタシは、仲間と一緒にアンダーグラウンドに潜伏せざるを得なく成っていると思いますので、地下で御逢いしましょうね)。

 その頃には、日本中のラジオ放送が総てネット配信になってるかも知れません。ファックと言えばこんなファックな事は有りませんし、当然の流れとも言えます。当方、番組潰されてますんで(笑)この際遠慮会釈なしで言いますが、親子を殺しておいて、法廷で「<軽蔑>されても仕方が無いとは思ってます」なんつう言語感覚は、あれインターネットが作ったもんですよきっと。だいたい兵役も無い平和な国にインターネットてのはキチガイに刃物ですよ~。親や友達やストリートではなく、インターネットが思春期前期に於ける躾けと学校に成る可能性が出て来んだから。こんなにエロ画像の多い学校はないぞ生徒諸君(笑)。無限の自習時間を何とかして下さいPTAの皆さん(笑)。

 とはいえ、そんなもん昔から全部繋がっている訳ですからね。例のあの、猿が振り上げた骨からずっと。あの青年が「軽蔑ってのは、いくら何でも軽いかな、じゃあなんていえば良いんだろう」てんで、裁判所で「え~。<重蔑>されても仕方ないと思います」などと、与太郎の様な事を言う<余裕>がどこかにあれば、赤ちゃんを何度か床に叩き付けた段階で、思いとどまっていたかもしれません。「自分だけ/どこまでも無限に」という感覚をインターネットは覚醒/保証しますから歯止めが利かなく成る。なので、その恐怖に対する過補償として制限を設けようと躍起に成るのだ。とこう、いつのまにか再びテメエの話に戻ってきた訳ですが(笑)。ちょっと古めの流行語使いますけれども、こんなもん、どんだけ~ですよ(笑)。インターネット社会っつうのは、どんだけ野暮ったいかっちゅう話です。来週からパリに行きますけど、その気になればインターネットで全部取材出来ますからね。机の前に座ったままで。そもそも「便利」つうのが野暮ったいですから。この文章だってさっと書いてさっとアップして、便利極まりない(笑)。

 でも、良いんです野暮は野暮で。粋が目立つんでね。何が粋かよ。って話ですよ。野暮ったい馬鹿ばっかりが溢れかえってる世界で、粋な街、粋な音楽、粋な飯、粋な酒、粋な女、粋な男、粋な映画、粋な計らい、粋な馬鹿、粋なキチガイ、粋な賢人、粋なピアニスト、粋なギタリスト、粋なパーカッショニスト、粋なドラマー、粋なトランペット、粋なお客さん。なんかに恵まれてるワタシはまあ、随分と幸せな方だと思います。

 えーでは早速インターネットの効果を最大に利用しましょう(笑)。これぞ↓粋の極地であります。この人、目が見えなかった上に、かなりのキチガイでした。それではごきげんよう。

http://www.youtube.com/watch?v=kZWumSW3O7A&mode=related&search=
http://www.youtube.com/watch?v=lGLpczTtnEM&mode=related&search=
http://www.youtube.com/watch?v=cByCF2IQQWU&mode=related&search=




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 本日午後11時 マイルス本が全800頁を超えてしまった&パリコレでショー以外にインタビューが四つも決まってしまった&ニューアルバムのファーストセッションがパリ行きの前日と帰国翌日に成った&「hanako」の撮影がセカンドセッションの翌日に成った。と知った瞬間の表情。

 本日午後11時05分 靴バカ買い反省&見せびらかしシリーズ。6足ぜんぶイタリアのメーカーだった事にもショックを受ける。これは一番安いDOUCALSの馬革製。6万2000円。フラッシュを焚かないと表面の仕様が見えずらい。

 本日午後11時06分 ひたすら大反省シリーズ。何を血迷ったか、気がついたらハンガーにかかっていたジョン・ガリアーノ12万円。「衝動買い」より酷い「無意識買い」の実体がココに。着たら似合わなかったので、仕方が無いので服だけで撮影したら美しかった。こんなことだから番組が終わってしまうのである。

 

 

 

まだかなり暑い秋の夜長

Sep-28-2007


 
 ファッションニュースのパリ駐在員の方から「菊地さんに防寒のご用意をとお伝え下さい。朝晩の冷え込みがキツく、10度以下になる事もしばしばです」というメールが届き、しまった新しいファーを買うのを忘れていた。と、ディースクエアドのいつものを出して来た所です。

 「ファッション・ニュース」に4年間連載された「服は何故、音楽を必要とするのか?」は、毎回6000文字というマッシヴなものでしたので、総ての過去原稿を併せると、マイルス本(おめでとう800頁突破)を超えてしまいますので、書籍化に際して半分は落とし、書籍化記念に「実際にパリコレの取材に行く」という章を加える。という体裁になった訳です。

 パリコレというのはファッションジャーナリストにとっては「戦場」と呼ばれるほどスケジュールが激しく、「休みの日にちょっと映画館に行ったり美術館に行ったりしようかな」という甘い考えは、取材スケジュール表の到着とともに粉々に砕けてしまいました(笑)。到着してすぐに取材に向かい、取材を終えてすぐに帰国便に乗る。というスケジュールで、毎日朝の9時から夜の11時まで取材なのです。

 それでもたったの6日間ですから冷やかしに等しい。本職のファッションジャーナリスオットはニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリと移動して、各地にだいたい1ヶ月ずつ滞在し、同じスケジュールで働くのですから。

 三ツ星も含めたレストランの予約をいくつかしていたのですが、生まれて初めて「インターネット予約」という経験をした直後に、生まれて初めて「インターネット解約」という経験をする事に成ろうとは、なんともはやインターネットにはヤラれっぱなしです(笑・近いうちに転向して、インターネット最高!とかいう人になろうと思います)。

 それまでワタシは、レストランの予約はホテルのコンシェルジュに頼んだ事しかなく、これは非常に楽しい儀式(コンシェルジュの性別、年齢、国籍を問わず)ですから、辞書を片手にボタンを押す。というのは自分がバックパッカーになって、立ち食いソバ屋に来た様で、嫌で嫌で仕方が無く(立ち食いソバ屋が嫌だと言っているのではありません。念のため)、そんな気分で予約したのでこんな事に成ったんだと反省しています。

 相当なモードマニアの方以外には、何の事やら。という話だと思いますが、ワタシは初モノに強く、奇跡に近いことが起りました。フレデリック・サンチェス、ミッシェル・ゴベール、アリエル・ウィズマンの3人が、ワタシのインタビュー要請にOKを出してきました。前2者は「パリコレの選曲番長」であり、有名メゾンをほとんどこの二人で手がけています。アリエル・ウィズマンはフランスでは国民的な音楽家ですが、パリコレではランヴァンでだけ作曲/選曲しており、ワタシの連載をお読みに成っている方でしたら、特に彼へのインタビューが決まった。というのは興奮が抑えられないのではないかと思います。

 「どうせ無理だろうから、頼むだけ頼んでみましょう」という構えだったのですが(過去、彼等は日本人はいうまでもなく、ファッションジャーナリズム全体を観ても、ほとんどコメントを残していません。裏方だからですね)、全員からオーケーが出たのは、芸をは身を助くと言いましょうか、ファッションニュース編集部が、全員にワタシのCDを聴かせたからでした。スパンクスのヴァンドーム、DCPRGの構造と力、デギュスタシオン/南米のエリザベス・テーラー/野生の思考は、日本語とフランス語ばかりのアルバムです。ワタシは彼等に聴きたい事が山ほどあるわけですが、おそらく彼等も、ワタシに聴きたい事が出来たかのではないかと思われます(山ほどではないでしょうけれども。「何だコイツは?」と思ったんじゃないでしょうか。あれ等をまとめて聴かされたら)。

 今回は純粋にファッションニュースの仕事しかしませんので、マネージャーも同行せず、ファッションニュース・パリ駐在員の女性と6日間ずっと一緒に行動します。取材とインタビュー以外は、移動のバンの中で過ごす事に成ります。パソコンは持って行きませんが、何とか当欄をパリで更新出来たら楽しいなと思います。とはいえかなり難しそうですが(クラヴィエの配列が違うので)。

 ホテルはルーブルの川向こうの、パレロワイヤル周辺です。これを読んでいるパリ在住の方で、この辺りにお詳しい方は、歩いて行けるビストロ/カフェ/ブラッスリーを教えて下さると幸いです。連れて行って下さるともっと幸いですが、おそらく鴨のコンフィとワイン一杯でぐっすり眠ってしまうと思うので。とはいえレストランを解約してヤケクソになっているので、毎晩中華料理やヤキトリ屋に行ってやれ。とも思っています。ここ数日は伊勢丹のブーランジェピシエ、クレッソニエール、ミッシェル・トロワグロ等々、「hanako」の取材に備えて毎晩フレンチを食べているので、新宿で毎晩フレンチ、いざパリに着いたらパレロワイヤルで毎晩チャーハンやヤキトリというのは贅沢&バカ極まりなく、なかなか自分らしいのではないかと思っています。

 それにしても、出発前夜にニューアルバムのファーストセッションがあり、帰国翌日にセカンドセッションがある。というのは、こうして書いていても苦笑せずにいられません。要するに、アルバムレコーディングの初日と二日目の間にパリに行っていた。という事ですからね。そりゃあ脳の中が「悪/悩/休」になるわけです。しかも今回のアルバムは、初めて一切フランス語を排した作品に成るのです。

 「hanako」では「新宿の、本当に美味しい伊仏料理」という内容で、ワタシが厳選した5店をご紹介します。その街に住んでいる者が厳選する。という発想は、有りそうでなかった物かも知れません。総ての店に撮影が入り、総ての店に対して原稿を書く大仕事ですが、非常に楽しみな仕事でもあります。コンセプトは「伊勢丹を疑似パリとした、パリ市内の、歩いて行ける店」といったものです。お楽しみに。

 「お楽しみに」などと言えばキリがありません。マイルス本は「知恵蔵」サイズ、アルバムはさっと軽く粋な感じで、「服は何故、音楽を必要とするのか?」もかなり分厚く、内容の貴重さは申し上げた通りです。

 オーチャードホールですが、「CURE JAZZ」は、もうオーチャードのカウンターにしか残っていない状態に成りました。各プレイガイドなどでソールドアウトと言われた方はオーチャードホールのチケットカウンターにどうぞ。何日か前の当欄に、ポスター、従業員の皆さん。と共に写真がアップされています。ペペのチケットはまだありますが、ここの所(3デイズ以降)急速に延びておりますので(小声で)お急ぎを。落ち着いてお考え頂ければご了解頂けると信じますが、先に席を確保してから服を選んでも良いのですぞ。

「男の隠れ家」「kamipro」「インビテーション」にそれぞれインタビューが載っています。内容は順番に、ジャズメンの死にざまについて、武蔵の永遠の命について、ミシュランジャポンは日本料理に三ツ星を出すのか。と、まあ何というか、実に「自分の仕事ぶりだよなあ」と思う訳ですが、でも、いつもインタビューで言われる度に思うのですが、そんなに、イメージされるほど手広くないと思うんですよ。ジャズと格闘技とグルメって、よしんば映画とファションくっつけたとしても、一冊の雑誌の中に押し込んじゃえば押し込めますよね。マイルスなんて、ボクシングやって、甘い物と旨い物が大好きで、ついでにドラッグも酒も大好きで、ジャズの帝王で、しかもカーマニアで、スーツは全部オーダーメイドで、画家として個展やってますからね(映画はあんまり見ないし、本もあんまり読まなかったみたいですが)。

 というわけで、コレは流石にほとんどの方が読まないだろう。という雑誌に初めて寄稿しましたので、そのまま転載します。雑誌名は書けませんがドラムマガジンの、特集されている人物の名は敢えて伏せますが大儀見元特集号です。  



「大儀見に対するワタシの想いや考えはスインゴサの「ライブ・アット・クロコダイル」のライナーにほとんど書いたから、是非ソッチを読んでもらいたい。この特集を読む様な人々は全員持ってるだろうから、二度手間に成ってしまって申し訳ないが、この機会に読み返してもらいたい。アレに書いた事は、グルーヴに人生を捧げている者ならば誰だって同意してもらえる筈だ。

 大儀見はワタシの知る限り完璧なグルーヴを造り出す数少ない日本人パーカッション奏者で、お洒落でハンサムで声が良く、完璧な江戸弁を喋る(グルーヴが良い奴は喋りもグルーヴィーだ)そのうえ世渡りが少々ヘタで親馬鹿かつガキっぽさを存分に残しているので、要するに完璧にマーヴェラスな奴であって、男も女も皆ほれてしまう。サルサから始まってアフリカもスペインも経由して、大概の日本人だったらいんちきエスニックみたいに成るのに、大議見は絶対そうならない。いつでも凄く高級で深く、総ての音にちゃんと意味が有る。余芸だと思っている人もいるかも知れないが、ヴォーカルも素晴らしい。もし大儀見がヴォーカリストとしてアルバムを出す時には、ワタシがソングライターもプロデューサーも、プロモーターさえもやって良い。

 と、こんな話は誰もがするだろうから、いきなりだが今流行りの「脳内メーカー」の話をする。どうせあんなもんは乱数を使ったパソコンのオモチャだと解っているけれども、ちょっと凄いことが起る。パソコンを持ってる人は全員(因に、大儀見は持っていない。持っても使わないだろう。これは本当に素晴らしい事だ)、「大儀見元」と入れてほしい。但し、すぐに入れてはいけない。再び、本誌の読者であらば、外山明とか岡部洋一とか、入れる名前はやまほどあるだろう。全部入れてから、最後の最後に大儀見を入れてもらいたい。ワタシと同じ感動を味わってほしいからだ。ワタシは面白がりなので連続して100人位やってしまったのだけれども、「よし、大儀見でやってみよう」と言って入力した瞬間、大爆笑して飲んでいた赤ワインを噴き出すと同時に、不覚にもちょっと涙ぐんでしまった。こういう、ちょっとした奇跡を起こす力をグルーヴィーと言うのだ。」



 それではこれから旅支度/作曲/執筆/ゲラチェックを同時に行います。そりゃあ部屋が散らかる訳ですなあ。気がついたら中秋の名月を逃していた事が心残りです。それではごきげんよう。