風邪と興行

Dec-05-2007




 いやあびっくりした。またもや風邪にシュートされまして、幸いドギツイ一発(点滴だの肺炎だの・・・とはいえ今年は3月に患ったマイコプラズマ肺炎以外、大きなのにはやられておりませんが)ではなかったので、急遽一日オフを作ってたてなおしましたが、オーチャードホールの一週間前ですので危ない所でした。免疫学に関する知識はほとんどありませんが、菌が違うと、前のが治った直後でもヤラれるみたいですね。どの菌も可愛いとは博愛も痛し痒し。今度の奴はノドにピンポイントしてくる憎い奴であります。歌を歌わせまいとしているのは火を見るより明か。ヘタクソなのは百も承知であるからして、どうか許してくれ給えよ細菌くん。

 巷間ワタシは眠る時間すら殆どない、一年中過労ハイかつマルチプル依存症のワーカホリカーであると勝手にイメージされがちですが(実際に5~6年前はそうだったのです。エッセイ集がその当時の物しか出ていないので、勢い未だにそうだと思われても致し方ありませんが。最近は「やっと5~6年前の仕事が一般的に認められる様に成ったのは喜ばしいものの、タイムラグが凄いな」と思う事しばし)、平均睡眠時間8時間、毎晩適度な運動、毎日のセルフ整体、月に一度は出掛けて整体、食事は栄養の偏りなく、ジャンクフードは食べず、毎晩赤ワインを2~3杯、シャンパン1~2杯、煙草は吸わず、嫌な仕事はせず、半年に一度人間ドック、毎日自慰5回、性交回数はご想像にお任せします。心傷だらけ猫ハイだらけ、アドレナリン出まくり短期記憶力おちまくり。と、箇条書きするに、働き盛り中年男性のライフスタイルとしては「そこそこヘルシーではないか」と言われても吝かでない訳でありまして、とはいえ健康という概念はそう簡単な物ではないので、ワタシが一直線にヘルシーかと言われれば、答えは問いほどには一直線には行かないのが世の常ですが、お若いファンの方ならばともかく、御同輩の皆様、オマエに言われたかないよという台詞が今にも聴こえて来そうですが、とはいえどうかご自愛の程。毎度毎度おなじ戯言を申し上げますが、パソコンからは1秒でも離れた方がよろしいと思われますぞ。ワタクシ「倒れてオフ」の時は、家電品は読書灯ひとつにしてしまい、パソコンやテレビはおろか、暖房も消し、厚着して本を読み、ワインを飲んでひたすら汗をかきます。「風邪ひいてるけど、パソコンから離れられない」という人々とて、恐らく実在するでしょう。20代ならばまだしも。

 要するに何が申し上げたいのか、ファンメールなどで「オーチャードホールが近づいてワクワクしていますが、体調を崩してしまいました」「ひょっとするといけないかも知れません。すみません」といった方が複数いらっしゃり(笑)、ワタクシ、心痛の類いは言うまでもなく、身体症状も、吐き気、頭痛、腹痛、寒気程度でしたら、ペペ・トルメント・アスカラールやキュア・ジャズのサウンド力によって、たちどころに快癒させる自信がありますけれども、会場まで辿り着けないとなると、これはどんな呪術も無力でありまして、シャーマン殺すにゃ刃物は要らぬ、引きこもったり風邪引いたりして、部屋から出なければよし。

 とさて、キュアジャズの公演は、もう力一杯絞っても一滴も出て来ない、完全無欠のソールドアウト(スタッフ席もVIP席も無し)を頂戴いたしましたが(有り難うございます)、ペペの公演はまだ三階のパルコ(桟敷席)が若干残っておりまして、残り物には服がある、内臓も昔は捨てていたのだよとこれはよくあるお話。ビューもサウンドも実は3階が最高なのです。この際、一番粋な感じは「当日券でフラっと寄って、3階の桟敷で聴く」かも知れません(ほぼ間違いなく「当日券で3階パルコあり」になると思われますので)。粋とはかくも難しく、いきなり目の前にゴロっと転がったりします。

 とはいえ「キュアジャズは公演自体に希少性が強いし、UAさんの人気があるから、来月追加公演やってもソールドアウトになるよ。ペペは渋いし耽美が過ぎるし、見えないドレスコードもあって敷居も高いし、12~300ぐらいが丁度いい感じなんじゃないの?パンパンになれば何でも偉いってのは無粋の極地でしょ。自分の身の長けってモンがあるんですよ何にでも」等といったワタシの考えは、気は確かか、というほどには貴族的すぎるようで(笑)、「あと少々で両日ソールドアウトになりますので、菊地さんネットで最後の追い込みお願いします」と可愛いスタッフの瞳がキラキラ光ってるのを見せられると、これには弱い。博愛も痛し痒し(笑)。

 おまえはゴダール大学卒業だろう。ゴダールの教えは現代に於いてどう継ぐべきか答えてみろ。というインテリ諸氏もいるでしょう。「いやあ、マイルス大学も出てるんで・・・へっへっへ」では50点しか貰えずとも遠からじ。

 せっかくですからほんのちょっと資本主義と興行について考えてみましょう。というかこれは、たった今かかえている仕事、つまり<ゴダールの「男性・女性」「彼女について私が知っている二、三の事柄」のDVD版解説>が明日一杯に迫っている訳ですが(笑)。ご存知の通り、ゴダールは1965年にアンナ・カリーナに振られ、というか、彼女のあまりの浮気に辟易し、離婚しますが、そこで一挙に反資本主義に走ります。

 人類最古の商売は売春であり、如何なる資本主義体制下の欲望/交換価値はつまるところ女の裸であろう。資本主義も女も最悪だよ。という、オモチャの様な、だだっ子の様な事を、ゴダールは凄まじい英知と教養を駆使して、徹底的に行動化しました。もしこの映画が詰まらないとするならば、それはそれが、女の裸でないからである。主婦売春を描いた、ヌードも出てくる映画なのに、これは女の裸ではないのである。詰まらなければ詰まらない程、それは女の裸ではないのである。これが詰まらないと言う奴は、女の裸が好きな、資本主義者である。人間は体が資本主義なのである。

 「社会主義時代」のゴダールに満ちている物は、過去総て指摘されている。世界中の、同水準のインテリ達によって、しかし女性憎悪、奔放な女に振られた怨念はほとんど指摘されていません。インテリはそんな事を振り回さないんだ。少なくとも作品には反映されないんだ。社会主義革命のが恋より重要なんだ。それが従来のインテリ達の基本的な構えであり、そこに何の秘密も疑問も無いのであらば、巷間良く言われるように、インテリはいつでも重傷の片メクラであります。

 ゴダールの映画は、インテリがインテリでない女に、不可避的に振り回されて捨てられる事の怨念によって駆動されている。女に振り回され、捨てられる事など、別にインテリでなくとも経験するに決まっているのに(逆もあり)、インテリが故に、インテリである事と結びついてしまう。自分のあらゆる属性は、喪失の原因と化してしまう。背が大きい女性は、背が大きいが故に振られたと思い込んでしまう。でも、バレーボールは凄い。凄いアタックを打つのである。ゴダールの社会主義映画は凄い。凄い革命性と審美性があるのである。退屈と美しさの本質に迫っているのである。

 とまあ、ワタクシのセンセイこんな感じなのです。しかし困った事に、もう一人のセンセイは「セックスは演奏の次に最高な事だぜ」「女は最高のが良いね。俺の1000万ドルの唇で50ドルのプッシーを舐めるわけにはいかないだろ?」と平然といってのける、いつだってトップスターに成れるつもりでいたとんでもない人で、しかも、肌の色を除けば、4つ違いの、おなじ金持ちのお坊ちゃんです。そしてどちらも、アメリカの白人が作る物ばっかり売れる。という事に、凄まじい怨念を抱き続けました。

 はて困った。しかも、たった今いきなり困った訳ではない。ワタシはこの事に困ったことがない音楽家は、どんなにシリアスな振りをしても、どんなに高尚ぶっても、世間知らずのアマちゃんで、気心知れた友達相手にだけ音楽を提供する。というソサエティ造りに長けた、つまりはアマチュア音楽家だと思っています。しかしプロであり、ジャン・リュック・ゴダーディストであり、マイルスデイヴィシアンであるワタシは、例えばこうして、オーチャードホールの公演直前に風邪をひき、またしてもこの事に直面するのですが、そこは21世紀を生きる生徒の特権、ワタシにはセンセイも使えなかった必殺の術があり、それは「もっと深い所に降りて獣化する」という一種の擬態で、すごく簡単に言うと「考えず、感じるのだ」と、まるで自分が東洋人なのを良い事に、お手軽に悟った様なアレなのですが、とはいえ最後はいつでもコレですね。感じた事に逆らった事は一度もありません。特に、神経症を治して以降は。

 頭で考えられる事など、簡単すぎます。ワタシは過去「CDは株券ではない」という書物を出し、一般的には「面白いJ-POP評」程度に認知されていますが、現在CDは選挙の投票用紙や、オマケ目当てのお菓子(アイドルのCDには握手会のチケットがついているので、たくさん買う)と化しています。もともとシングル盤というのは、お菓子の売り上げを計上する会社だったビルボード社にカウントされている駄菓子ですので、本来の姿に戻った訳ですが、あの書物が指摘したのは、正にこの事であって、こうして「頭で考えた事」がよしんば当っても、特になにも起らないのであります。

 というわけで12/7&8の特典が情報公開となりましたので(笑)掲示させて頂きますぞ。



1) 12/7&8ともに、ダブセクステットのアルバム「革命はコンピューター処理されない」の先行発売があります(先んじる12/6に新宿タワーレコードで先行発売がある様ですが)。

2) 12/7には、それの購入者に対してワタクシ菊地によるサイン会があります(終演後)。因に12/8にはありません(会場の都合により。悪しからず)。

3) 12/7&8両日とも、ダブセクステットの東京デビュー公演、の「先行予約」に関する情報が会場で配布されます(因に公演場所のキャパは400なので、即完の可能性が高いです。もっと大きいキャパでやりたかったのですが、諸事情により果たせず、悪しからず。ここは重要なポイントですが、「先着順」にはしません。そうなると、ダブセクステットのデビューが、オーチャードに来た方の会員制になってしまうからで、それを避ける為に「先行予約期間」を儲け、その間に予約下さった方からの抽選制にしました。キャパ小につけ、重ね重ね悪しからず)。 

 

 

 

オーチャード前々日

Dec-05-2007

キュアジャズのリハーサルから帰宅しました。明日がキュアジャズのゲネプロ、ペペのゲネプロはもう終わっているのであります。

 追想、回想といったものの強烈な甘さと苦さに平伏さない人は幸い哉、たった今この瞬間だけを生きる(しかない)ジャズメンを自認しておりますワタクシですら、1年半前、昨年の夏の思い出が、リハーサルスタジオという空間内で、襲いかかる様にして去来すると、それはそれは胸が焦れる様である。たった1枚のアルバム、たった7回のコンサート。UAの、司祭の様な、小娘の様な、母の様な、魔女の様な、女性性の総て。夏の総て。頭を振り、現在たった今にフォーカスを強く。センティメントとは、振り払った時の興奮に価値があるのである。

 せめてもの救いは、というべきか、罪つくりな事に、と言うべきか、当欄にはそのほとんどの記録が残っています。当欄/当サイトの立ち上げは2006年の4月4日ですが、それは「CURE JAZZ」の制作に着手したばかり。という時期でした。読者の皆様がどこまで遡って閲覧出来るのか、テクノロジー不勉強ながらワタクシ解りませんが、早くも立ち上げ二日後、06年4月5日の当欄には「CURE JAZZ」についての記述があり(その頃はアルバムタイトルすら決まっていませんでした)、その後、同年の8月9日の東京公演後の記述まで、「CURE JAZZ」の制作、公演過程は当欄で追う事が出来ます。アーカイヴされた情報というのは、センティメントを軽減するのか重増するのか、何れにせよその効果は「ちょっとだけ」であり、そこが良いと言えましょう。

 YLANG YLANGのGM/デザイナーである青柳龍之亮さんとの対談(「ファッションニュース」掲載)、蓮實重彦さんとの対談(「エゥクァイア」掲載)原稿の加筆修正を終え、これからゴダールの「男性/女性」「彼女について私が知っている二・三の事柄」のDVD解説を書きます。我ながら、どれも物凄く面白いとしか言いようが無く、何度となく読み返してしまうのですが、なにせ目の前にはオーチャードホールでの公演が迫っています。「かくかくしかじかの服を着て参ります」という女性の皆様からの御報告を非常に楽しく、頼もしく、そして本心を申し上げれば、半ば勃起するかの如き(汚言失礼)垂涎の心持ちで拝見させて頂いております。「御馳走」や「花園」という日本語がありますが、このことではないか。

 とはいえ、言うまでもなくワタクシ、モテ自慢などという悪趣味は持ち合わせておりませんで(違う悪趣味はいくつか持ち合わせておりますが)、言うならばこれは連帯感でありまして、よく「コンサートとはアーティストとファンが一緒に作り上げる物だ」等といっては、ナチスのようにみんなで手を振ったり叩いたりしてコンサートを一緒に作り上げている光景を目にしますが、ワタクシの音楽は、多くの人々が一斉に手を叩くのには(大変残念ながら)向いておりませんで、とはいえ、皆様と一緒になって一つの作品を創るのである。という気持ちに於いて、ワタクシはカニエ・ウエスト氏ともKREVA氏とも何ら変わりません。KREVA氏に至っては髪型と髭型も同じであります。

 コンサートとはパノラミックな「光景」の集合体であり、皆さんがワタシを、だけでなく、ワタシが皆さんを、だけではなく、全員が全員を観る。という建築的な美というか、一種の豊かさがあります。そういう意味ではワタシは湯山玲子さんの「クラブカルチャー」の中で申し上げている通り、自分のコンサートをはっきりとポストクラブ/レイブに位置づけており、映画鑑賞とは切り離しております(映画観賞に於ける視線は基本的には一方向であり、観客は暗闇の住人なので)。「菊地さんのコンサートには奇麗な人がいっぱいいて実に眼福ですなあ」というお声を各方面から頂戴する喜びは、脂下がる様な質の物ではなく、作品を共に創造したという、一種の共産主義にも似た感慨です。差し出がましい事を申し上げますが、奇麗だの美しいだのいう言葉を耳にして身を固くする必要はありません。誰でも美しく成れます。それではごきげんよう。




 <キャプション>


 スタジオが自室から徒歩5分と言う近距離なので、ついついパジャマにコートを引っ掛けただけでスタジオに出向いてしまった不覚を恥じながらの1枚。

 何と言う事だろうか。そんな情けないパジャマ党のパジャマ男に対しても母性を発揮しまくるUAが「はいこれ、喉に良いで」といって裏庭でとれた金柑の蜂蜜漬けを造ってくれた。「うおーこれは写真に撮ってサイトで自慢したおさなければ」と何枚も撮影するも、感動のあまり手が震え、美味しそうに撮れなかった。残念無念。

 そこで、せめてものお礼にと筆者が任天堂のWiiで制作したUA。例によって一人でラブホに行き、「Wii全室完備」という看板につられ、「ああ、パカっと開くハンディなファミコンのことだな。一人で暇だし、ちょっと借りてみようか」とバカ丸出し、意欲満天なまま「Wii貸して下さい」と頼むと、懐中電灯みたいな物が出て来たので、一瞬困惑するが、やってみたら天才的な才能を発揮、「似顔絵チャンネル」によって著名人50名の製作を一晩で完了。風邪を悪化させる。

 そんな極端なまでのバカを包み込む新宿歌舞伎町の夜景。風林会館前。


 

帰還

Dec-09-2007
 


UAと彼女のスタッフ達は今頃2丁目に繰り出した頃でしょうか。ワタシもこの2日で恐らく4~5本空けておりまして(一人で)現在、重力を失ったかの様な泥酔状態です。

 この2日間にお越しいただいた総ての皆様に、メンバー、スタッフ、ホールすべての関係者を代表して心よりの感謝そして愛を捧げさせて頂きます。生きると言う事はどれだけ辛く、そして素晴らしい事でしょうか。音楽の力はどこまでも人智を超えて無限であるかの様です。

 ワタシは具体的な宗教を持たぬ、現代的なインテリゲンチャだと自認しておりますが、こうした夜は、神の存在を感じずにはいられません。皆様お一人お一人の人生が続き、音楽が鳴り止みません様に。美の加護、官能の加護が、我々を導きますよう。皆様のドレスと宝石は、我々のサウンドと共鳴し、我々は共に音楽を創造したと言えるでしょう。ありがとうございました。お休みなさい。

 

 

 

翌日

Dec-09-2007



 目が覚めた瞬間、「ああしまった!隣の花屋さんの軒先で寝てしまった!大失態なり!」と思ったら自室でした。9階の書庫&衣装部屋に、マネージャーが2日間の頂き物を総て格納しており、それをひとつひとつ手に取って見ているうちに寝てしまった様です。花束とお菓子とシャンパンに囲まれて眠る。などと、まるで王女の如しですが、コートは花粉まみれ、フィナンシェは無惨にもつぶれ(菓子箱の上で倒れたまま寝てしまったで、、、、もちろんこちらは最初に頂きました。潰れても旨い!)鏡を見ればクレンジングも洗髪もしないままの不細工極まりない中年の顔が映っておりました。催促している様に見えてはいけませんので写真はアップしませんが壮観とはこの事、可愛い店員さんが二人ほど来て下されば、そのままワイン&菓子&花束のセレクトショップが開けるでしょう(ワインとシャンパンが並んでいるのが下駄箱の上だというのが難ですが)。

 過去、スネの骨に挫傷を負おうと(リハーサル時に会場の照明が不備で山台から転落し、着地時にサックスを守ったら足をしたたか打ってしまった)、38度の熱があろうと(インフルエンザ)、肺炎に成りかけていようと(違うインフルエンザ)、声が全くでないほど器官が炎症を起こしていようと(また別のインフルエンザ)不安神経症の発作があろうと(母親が交通事故に逢い、脳挫傷を負ったと聞き)、食中毒で下痢と吐き気が止まらなかろうと(原因と成った食品→おこわ)、尻から腰にかけて打撲と釘によるかぎ裂きを負おうと(サウンドチェック中に花道から転落し、花道と防御柵の間に宙づりになった。釘が尻に刺さる事で転落を免れたのである)、ステージが始まってしまえば何事も無かった様に演奏し、あまつさえ、バンドによっては踊り狂ったりさえしていたものですが、寄る年波か、相手が小物で油断したか、くしゃみと鼻水などというチンピラひとつ追い払えなかったのは無念千万。

 というよりも、症状がオンステージでも収まらなかった。という経験は初めてです。「<へーっきし!>というサウンドは、どのタイミングで放たれても、その音楽をコミカルにしてしまうのである」という加藤茶氏のテーゼがどれほど偉大だったか思い知りましたなあ。1曲目のインプロの最中から、脳内で「<へー。へー。へーっっきし!>」というサウンドが鳴り続け、余りの面白さに笑うのを堪え続け、音の美しさに慄然とし続け、くしゃみの発作を我慢し続け、作ったテメエが一番拷問じゃねえか。という有様。

 二日目は大量のくしゃみ・鼻水止めを飲み、初日の有様を観て哀れに思ったお客様から頂戴した、なんとも凄そうな漢字の名前が、墨刻鮮やかな毛筆体で瓶に書かれている、ユンケルの様なアンプルを(ワタシはこうした物を口にした事があまり無いのですが)面白がって一箱全部飲んでしまい、幸いにしてくしゃみと鼻水はぴたりと止んだ物の、これではユタ州に於けるチャーリー・パーカーではないか(風邪薬と厨房のナツメグだけを大量に飲んでハイになったという)。という状態で、サックスをくわえる口に力が入らず、いやあ類家くんに来てもらって本当に良かったわい。未来は前途ある若者の物だ。ふははははは。といった有様。演奏は素晴らしかったので出来れば帳消しにして頂きたく、、、等とは申しません。コンディション調整に失敗という失態は永遠に刻まれ続けることになりました(深々と土下座)。

 関係者の証言によれば、ワタシが一人で空けたワインは二日間で訳5・5本だった様です。初日の打ち上げはプレゴ・プレゴ、二日目の打ち上げはブリッコラでしたが、特に二日目は、斯様の如き状態でライブを終え、450名の方にサインをして(手が腱鞘炎に成ったのではないか?とご心配下さった方もいらしたのですが御安心下さい。これがまったく大丈夫なのですね。コツは力を入れずに書く事なのですが)、そのまま店に着く成りスプマンテで乾杯したので、ワインが始まるまでに、かなり、、、、、そのうつまり、極限なまでにハッピーな、、、、まあその、、、、、発狂した様な状態に成り、1本目の産地方がウンブリアであり、フォワグラのスモークや、黒トリュフを散らした牛スネ肉のカルパッチョとマリアージュが完璧な、軽めのフルボディである以外、ほとんど記憶にありません。酒飲みの大先輩である大谷能生くん、「ザ・ユニヴァース」のアシスタントディレクターである河内ひとみさん、つまり、若く天井知らずの肝臓と同じテーブルに着いたのが運の尽きであります。

 今年のワタシの、演奏家/歌手としての皆様との逢瀬は、昨夜、カールハインツ・シュトックハウゼン氏が逝去されると共に終了しました(「ザ・ユニヴァース」によって氏の音楽に触れた。という方も多かろうと思われます。「あなたは巷間マイルス・デイヴィスに影響を与えた。という事に成っていますが、どういった影響だと思われますか?」とドイツ語で直接伺えなかった事が悔やまれますが、大往生であり、子だくさんであり、新作を執筆中の現役の巨匠であります。謹んでご冥福をお祈り申し上げます)。マイルス本とダブセクステットの製作、パリコレ取材、「アメリカ」の製作とDCPRGの活動停止、等々の為に、ライブは少なめに設定した07年でしたが、08年はツアーを中心にライブ活動を増やす予定ですのでお楽しみに。

 残り少ない07年を、次の著作「服な何故、音楽を必要としているのか?」の仕上げと、講師業、そして大晦日はさいたまスーパーアリーナで両大会を観戦する事が決定しました。ごきげんよう。

 

ファンメールス(さすがに今回は多いですぞ)

Dec-11-2007



菊地さん、こんにちは。


Bunkamura2days、お疲れ様でした。
一夜目は一階14列目21番で、赤い南天柄の着物にビーズ刺繍の半衿と黒い帯、第二夜は一階14列7番でゴールドベージュに黒いレースを重ねたビスチェドレス(身ごろにはコルセット風にボーン入り)に薄いグレーと薄茶が入り混じるフェイクファーのボレロにゴールドのバレエシューズ風パンプス、クリスタルなイヤリングとネックレスでうかがいました。サイトでも書かれていましたが、一夜目はそうとうお辛そうでしたね。ルベ・ペレス(菊地注*原文ママ)で外されたときはどうしようかと思いました。

女子は通り一辺じゃないお洒落さんをたくさん見られて眼福でしたが、相変わらず男子の服装はヒドいし。歌舞伎町クラブハイツで「えっと、あなたさっきまで近くのお店でチャーハン炒めてて、ライブ終わったら餃子焼きに帰るんですよね?」と訊きたい薄汚れたヘンリーネック長袖シャツレベルはさすがにいなかったものの、「それ、部屋着ですよね?」と小一時間問い詰めたい男子がクロークに一度に三人並んだときには、スーツにタイなしで眼鏡かけてりゃいいと思ってるとおぼしき菊地さんコスプレ男子がましにさえ感じました。

でも、二夜めは、UAがそういったもろもろを第一声めでいきなり吹き飛ばしてくれてしまった夜でした。始まる前からクロークにはおしゃれ男子が(誤解を恐れずに言うならばゲイ比率高そうな感じで)わんさかいて、打って変わっておしゃれ男子の夕べでした。前夜と同じドレスを着て来ている女子が悪目立ちしてしまうほど。

ところで終わってから出版各社から送られたお花を見ていたのですが、Hanako編集部からのお花がキリスト教式のお通夜かお葬式みたいでびっくりしました。ちょっとこれはどうなのと首をひねらざるを得ない凡庸さというかなんというか。クリスマスシーズンも近いのに、真っ白って! 

ごく近くに配置してあったUOMO編集部からのお花とその下の写真家さんからのお花が、公演の雰囲気に合ったダークな色調の薔薇とグリーンでシックにまとめられているのと悪い意味で対照的でした。Hanako編集部はいったいお花屋さんにどういうオーダーをされたのだか。お花に罪はありませんが、「ガキの使いじゃあるまいし」という文言が頭に浮かんでしまいました。

その後、ごはんを食べている間に、まったく気づかなかったのですが、UAが歌った時のセオリーどおりに雨が降っていました。わたしはかつての交通事故の後遺症で、雨や雪の前に気圧が変わると体でわかるようになってしまっているのですが、なんとUAは気圧は変化させることなしに雨を降らせてしまったようです。

自宅に帰ってグラフ式の気圧計を見たところ、やはり気圧の変化はありませんでした。不思議なこともあるものです。

やっぱり彼女はシャーマンなのではないでしょうか?







 菊地です。メール有り難うございます。ファンメールにお返事を出すのは基本的には控えているのですが(嫌だと言う訳ではなく。止めどなく成ってしまうので)、例外的にお返事させて頂いています。

 何故かと言うと、ワタシ個人はインターネットで他人様のブログというものは読まないのですが(これまた嫌なのではなく、止めどなく成ってしまうので。ファンメール総てに目を通すだけでもかなりの時間がかかるのです)、「ライブの感想ブログ一式」のURLが送られて来たり、余りに(営業妨害/名誉毀損に該当する程の)酷いものや、余りに素晴らしい、文学的な物などに関しては、マネージャーや関係者、友人やファンの方から転載が送られて来たりするので、ワタシのライブへのブログ総数というのがいくつあるのかまったく解りませんが、毎回いくつかは見る事になりまして、今回、あなたのものも拝見させて頂きました。

http://d.hatena.ne.jp/Mmc/20071207
http://d.hatena.ne.jp/Mmc/20071208


 というのは「菊地さん、ブログにコメントしてたでしょう。大人げないですね」というメールを頂戴したからです。

 慌てて行ってみると、ワタシを名乗る(ワタシのネームドロッパーは非常に多いらしいのですが)者からあなたのブログにコメントがありまして、つまりこのメールで最初にお伝えしたいのは「あれはワタシではありません」ということです。

 とはいえここがブログ文化の厄介な所ですが、証明が出来ない訳ですけれども。削除等の扱いに関してはお好きになさって下さい。このメールに関してもどうなさっても結構です。

 以後、アーティストがリスナーの方が書いたブログに関して、ご本人に対し直接何かを書くと言うのは、詮無い上に(三度目ですが)止めどなく成ってしまうので差し控えたいのですが、以下、せっかく拝読させて頂いたので、感じた事を書かせて頂くならば、あなたはそうとうイライラなさっており(このメール自体からも感じますが、ブログの方はさらに過激で、あたかも悪罵を受けている様な印象も受けました)あのコメントを引き寄せたのもやむなし哉と思われます(ワタシの想像ですが、あれは恐らく、あなたが蛇蝎の如く嫌う「服装がダサイ男子」からだと思われます)。

 ワタシは毒舌というものは知性とセンスに長けていればむしろ感心されると信じておりますが、ブログという物の性質上(顔も本名も総ての仕事ぶりも明かされないので)、これはあなたに限った事ではなく、誰がやっても、毒舌は欲求不満もしくは攻撃衝動のはけ口に取られる事が多く、勢いストレートな反感を買いやすいと思います。身を呈して赤裸裸な状態でこそ毒舌は発される資格と意義が生じる物とワタシは信じますが、もうそういう時代ではないですね。とはいえワタシはあなたが毒舌等吐いているつもりが無いのではないかと推測しておりますが、それについては後に詳述します。

 さて、ブログと言わずプロの批評と言わず、書かれた内容に関して、アーティストが反応するのは更に止めどなく成るので、最小限に抑えますが、第一にワタシはワタシのコンサート会場にいる「服がダサイ男子」を責める気持ちは全くありません(称揚する気もまったくありませんが)。

 厳密に書くと長く成りますが、ワタシは様々な服装(正装/盛装)の方がいるべきだと考えます。同時にそれによって、例えばあなたの様にカリカリされる方が発生する。というのも、非常に良い事だと思っていますし、あなたの発言や意思に触れ反撃する人々(それが「服装がダサい男子」とは限りません)がいるのも、活気があって非常によろしい。と思っています。

 ですので、あなたが猛烈な(あなたはひょっとして、ご自分では「さりげなくクールに」「チクりと」やっていると自覚されているかもしれませんが、あるいはひょっとして何かに必死であって、毒舌を吐いているという自覚が全く無いという可能性も感じていますが、客観的に観て、充分に猛烈で、吠えまくっている様に見えます)ダメ出しをされる事は非常に喜ばしい事ですので、これからも存分におやり下さい。

 しかし、極例に成りますが<ビジュアル系の客は全員ゴスロリ><テクノの客は全員Tシャツ>といった統一感は、ワタシの望む所ではありません。「誰でも何でも良いよ」等というつもりはありませんが、濁流の様なダイナミズムをワタシは愛しておりますし、奇麗ごとを言うつもりではありませんが、ワタシは主権者と部外者、中央と周縁、正統と異端を常に愛しており、「け。オサレ服じゃないと入れねえのかよファック」などといって文句ばかり言っている気の弱いガキ共よりも、深夜放送のリスナーの様な子が何も考えずに来てしまう事の方が遥かに生産的だと思っています。彼等が「あれ?」といって、だんだんとファッションに気を使い始めたら、とても面白い事です。それに、客席が完全に統一されたら、ワタシはその現場は終了させるのではないかと予感しております。

 また、あなたのブログを読むと「初日はダサイ服装の男子ばかり、二日目はオシャレ男子ばかり」という事にでもなりそうなのですが、これはとんでもない間違いか、ヒステリー症状による強迫的な早とちりです。

 ワタシは常々ステージ上から見える範囲の事を発言しておりますが、それだけではありません。ホールコンサートというものは「会場設置カメラ」という物が複数存在しまして、お客様が入り始めてから着席されるまでの映像をアーティストは見る事が出来ます。盗撮者の様で申し訳ないのですが、ワタシは開場から着席完了までを逐一拝見させて頂いております。またサイン会で、初日に450名、二日目に250名の方と直接お話しさせて頂きましたが、ワタシの総合的な判断を申し上げるならば、初日には(話の都合上、言葉を暴力的に簡略化しますが)「オシャレ男子」もおりましたし、それを言うのであれば、「ダサイ服の女子」も居ました。そしてそれは、二日目に、特に変化はなかった様に思います。あなたがどこでどれだけ何をご覧に成ったかはあなたにしか解りません。なのでこの議論にはキリがないのですが、少なくともワタシの判断では「両日通して、多い順に 1」お洒落女子、2」お洒落じゃない男子、3」お洒落男子、4」お洒落じゃない女子」といった感じで、いま敢えて順位をつけましたけれども、実際のところ、2位と3位はほぼ同数で、4位は数える程です。

 また、演奏の内容に関してですが、ワタシはハナこそ垂らしており、くしゃみこそ我慢しておりましたが(笑)、「辛かった」というほどではなく(「ハナを垂らし、くしゃみを我慢していれば、そりゃあ辛いだろうよ」と言われればそれっきりですが、いわゆる発熱や頭痛、筋肉痛などは一切ありませんでしたので)、演奏と歌唱に、あの晩だけ特別支障が出たとは思いません。むしろ演奏は今までで最高だったと思っていますが、こればっかりは本当に、議論の意味が無い事です。演奏者であるワタシも含め、演奏された音楽と言うものの評価は聞いた方の数だけあり、主観とは非常にあいまいなもので、音楽的感動等と言うのは、妄想や妄聴の楼閣の上に築かれる楼閣であることが素晴らしいと思っております。
 
 ただ、ワタシはミスノート等を、減点の対象にしておりませんし、ミスノートをバレエの審査員の様にチェックするのであれば、ワタシよりずっと未スノーとの多かった、メロメロだったプレイヤーもおります。UAの歌唱を大絶賛しておられますが、ミスノートチェッカーにかければ、彼女の歌は1曲残らずミスだらけです。それでもあれほど感動させるのは、ミスノートという概念が、クラシック音楽でもない限りは幻想である以前に、大抵の「物理的真実」だと思われている音楽のなかの諸現象が、ほとんど総て、主観心理的には幻想だと言う事です。

 そして、あなたのブログを読む限り、UA以外全員(我々だけでなく、客席の男子も含め)が無能もしくは失敗者で、UA一人のシャーマニックな力によって総てが救われたかの如き印象を持たざるを得ないのですが、前述の通り、演奏の評価には相対性が認められているとはいえ、この書き方はUAも含めた我々全員への侮辱に成り得ることをご理解下さい。一人のシャーマンがその場の全員を制圧するような音楽も存在しますが、我々が演奏するジャズというのは完璧なチームプレーであります。

 というよりも毎度おなじみフロイディズムになってしまいますが、既にお解りの通り、ワタシはあなたを、攻撃性が発散され尽くしていないヒステリー患者扱いしており、更に言えばUAの意味に「シャーマニックな女性がダメな(失策した)男性を制圧する」という物語を過剰に付加し(ご存知の通り、ワタシも付加していますが、それは香水の様にほどほどのものであって、過剰さを控える様に常に気を使っているつもりです。「過剰さ」「早計さ」がヒステリー説の根拠です)、その上でご自分をUAに移入してる。と判断しています。あなたが「ダメな服装の男子が許せない」(まったく関係ありませんが今、誤変換で「ダメな服装の談志が許せない」と出て、爆笑してしまいました)と蛇蝎の如く嫌うのは、あなたがファザコンで、父であるワタシの目的が果たされない事が許せないという側面と、父のふがいなさが許せないという側面が同居している様に思え、とはいえこれはある種の典型であり、ヘタをしたら客席の1%ぐらいはそうなのではないかと思っています。蛇足ですが、極めて大雑把に、「父の果たし得なかった欲望を代行しようとする」というのがヒステリーです。

 フロイトばかりではワタシのカードとして片手落ちに感もあるので、整体的に申し上げれば、交通事故の後遺症で「痛み」「それによる筋肉の入力」が、体のどこかで、抜けきっていない。という可能性もあります(「トラウマ」という概念を整体的に翻訳すればそういうことになります)。しつこいようですが、更に言えば、あなたはご結婚されてから(というか、事情は存じませんが、○×姓になってから)非常に険しく成った印象があるのですが。何年間も頂いていた旧姓によるメールは皆、非常に柔らかい印象がありましたが(ブログよりもメールの方が何割か柔らかい。という可憐さはご健在ですが・笑)。ご主人の服装がダサいのでしょうか?

 冒頭にある通り、ワタシがお客様に対し、こうした、随分と無礼かつ暴力的な事をするのは例外的であり、例外的である理由も述べましたが、更に根本的な理由は、あなたがワタシのメールボックスに直接メールを出して来た事です。もしあなたがブログに書いただけならば、こうした事はしようもありません。攻撃を仕掛けて来る。というのは救助を求めてくる事と多く同義であり、ワタシの音楽だけでは、あなたのイライラ/痛み/SOSを取り去る事が出来ず、UAにしかそれが無理だと言うのであらば、少々残念な事ですが、よくあることです。









菊地様

7日のぺぺのライブに伺った者です。

今回は最前列でしたので音楽は勿論のこと、
菊地さんを初めメンバの皆さんの表情や装飾も
(南さんのペダリングまでも)堪能させて頂きました。

実は私も先日「フィツカラルド」を観てからというもの
(自身がブラジル生まれということもございますが)
あのマナウスの劇場で「清教徒」のアリアを
聴きながら死にたい、と願っておりました。

そしてあの日は「菊地さんとベッリーニでは
果たしてどちらの音楽が葬送に適当なのか」と
考えながらライブを聴いておりましたので、
MCに入ってあの映画のお話をされたシンクロに
若干の既視感さえ覚えた次第です。

いつか彼の地で
菊地さんの演奏を拝聴できる日を楽しみに
日々の仕事に励みたいと存じます。

新生ぺぺ、そしてこれからの菊地さんの
益々のご活躍を願いつつ。







菊地成孔さま

先ほど速報を拝読し、今もまたオーチャードの余韻に浸っています。
素晴らしいコンサートをありがとうございました。
お風邪の具合はもうよろしいのでしょうか。

12/7日のペペ・トルメント・アスカラールの公演に、
赴きましたファンの一人です。

今までサイト、書籍、音楽、ライナーノーツ、夥しい雑誌、
あまたのメディアで菊地様の言葉や写真に触れる機会に恵まれてきましたが、
直接お姿を拝見するのは初めてでした。

ステージでの佇まい、ホールに響き渡るサックスの音色、
少し鼻声の、甘くセクシー極まりないボーカル。
どれもこれも、今まで間接的に遭遇して参りました菊地様の何れをも凌ぐ、
まさに「ペペ」でございました。

私事になりますが、
当日は、僕に菊地様のことを教えていただいたご婦人とともにオーチャードに参りました。ドゥマゴで鶏肉の網脂包み、白子のパートフィロ、栗のソースがかけられたピスタチオのムースに舌鼓を打ち、ボルドーを一本空けた後、ステージを拝見しました。

自分が纏うことのできる最良の宝石、毛皮など。
その中には、季節の美味と美酒は、決してはずせないものである、と手前勝手に判断したからです。白子のパートフィロ包みは絶品でした。もし、お忍びで今冬に再度ドゥマゴに訪れる機会がございましたら、是非ご賞味くださいませ。

サイン会では、深夜、そして長蛇の列にも関わらず、
朗らかな笑顔で一人一人のファンに接しておられた菊地様のお姿が印象的でした。

緊張で凝固しつつサインを頂戴した際に、私どもお二人を見られた菊地様から
「ご夫婦ですか?」とお声がけいただいたことは記憶に残っております。

ダブ・セクステッドを聞きながらこのファンメールを打っております。
今まで発表してきた音源の中で、最も糖度が低くソリッドである、
とおっしゃられておりましたが、自分にとっては、不思議とこのアルバムが一番スイートだと感じられました。

逆に、ペペのアンコールで演奏された「金色」。あの曲こそ、ケイオシックで不穏な魅力に満ち満ちた楽曲だと感じました。


乱文失礼いたしました。
くどくどしくなりますが、
ステージでのお姿、「人生は拷問のようで、だからこそ甘い」と鼻声で語るお姿、
サイン会での瀟洒で闊達なお姿、どれをとっても、本当に格好よく素敵な菊地様を拝見でき、心底行ってよかった、と思えた一夜でした。

一つだけ心残りなのは、
幕間のタンクレディとシャンパンを味わえなかったことです。
もしも速報等で、シャンパンの銘柄をご紹介いただけたら…と、
ファン特有の厚顔な欲求を抱いてしまうことをご容赦ください。

今後のご活躍を、多くのファンの一人として心より祈念いたします。
まだまだインフルエンザの猛威がおさまらない昨今のようです。
どうぞお体にはご自愛ください。

それでは失礼申し上げます。











 映画を作ってるのか音楽をやっているのか解らないって言ってましたけど、ホントにそうですね。ほとんど総てのライブに行ってますが(元dcprgグルーヴァー)、菊地さんのタレント性っていうか、才能って、監督とか演出とかに近いよなって思います。客席の女性が全部、女優として菊地さんに演出されてると思いました。すげー。









今日のコンサートもとても素晴らしかったです。

飲みたかったタンクレディが2人前の人で終了しました。席に戻ろうとすると、飲み終わったグラスが置いてあるのを嗅いでいる人がいたので、私もそうしてみました。

大学時代、実験中使っていたガスバーナーの管の元口がはずれて、目の前あたり一面が火の海になった事がありましたが、(とはいえ燃えたのは漏れ出したガスと私の前髪程度でしたが)その時の匂いが混じっていました。

オーチャードホールといえば、数年前坂○▲一のコンサートで来た事があるような

気になっていたのですが、よく考えてみたらそのチケットを取ったものの来ておらず、同じ日に渋谷のブックファーストで菊地さんの書籍の発売トークイベントがあったのでそちらを優先してました。

オーチャードは3階席が一番音質が良が全体的には・・・と伺ったような気がしたのでどうかな?と思いましたが、1階もなんのなんの、とても良かったと思います。


お風邪の時のコンサート大変ですね。終わったら十分休んでください。実際上の■本龍☆氏ですが、そのツアー最終日仙台に行ったら、あれ?しょっぱなから泣いてる?涙落ちた?と思ったら、鼻・でしたよ。

明日のコンサートも楽しみにしています。


P.S. 前から思ってましたが、ハープは真正面から見ると大きな魔法のランプに見えますよね?






シャンパンは好みの辛口でおいしかったれすう。まだ舌に味が残っています。

通貨、ここ2月ほど甘くて苦~い生活だったので音がひっじょーにリアルなものでした。
父の特別休暇明けすぐに言い寄ってきた男が明治神宮で挙式予定!と本人のいない日@今週火曜の朝礼で発表されるという…
なんて味わい深い…
思わず仲良しの兄さんに確認しに行っちゃいましたよ(苦笑
その後の本人の反応が、通りすがりにぷいっ!と横むいてて、思わず鼻で笑ってしまいますた。

最後になりましたが、耳鼻科受診をオススメ致します。余りの痛々しさとプロ意識の高さに敬服
(^з^)-☆Chu!!

明日は2階1列41番にいます(笑










 もーカッコいいんだから!鼻なんかすすっちゃって!マイルスの真似して!!(笑







菊地さま

はじめまして。本日のペペのコンサートに伺いました。今家でダヴセクステットのCD聴きながら書いてます☆

ペペのコンサートは今日で4回目。官能的で美しいペペの皆さんの生音を聴いていると、鳥肌が始終止まらず、体全体がやがてじんわりと痺れ、まるで赤ワインのプールに浮かんでいて皮膚表面からじんわりと酔いがまわってくるような不思議な感覚に毎回とらわれます。

普段はいわゆるクラブジャズやハウスを聞いたりそういうジャンルのクラブやライブに行っているので、ペペのライヴは私にとって非日常の特別な時間です。友達から誘われて何の知識もなく付いて行ったのが最初だったのですが、今ではすっかりファンになってしまいました。

菊地さんの他のお仕事ではKQLDが好きです。前々から熱く思っているのですが...KQLDかセクステットのライヴをいわゆるクラバー向けに、スタンディングのクラブスタイルで楽しめる機会があればいいのに!あの音でフロア(昨年のアゲハほど混み過ぎない程度の)で気持ち良~く揺れたいです。若い子向けのプロモーションにもなると思いますし...

ちなみに今日、赤ワインもシャンパーニュも売り切れてしまい頂けなかったのですが、シャンパーニュの銘柄は何だったのでしょう?差し支えなければ後日速報欄で公開頂けるとうれしいです☆

本日は素敵なライヴをありがとうございました。風邪お辛そうでしたが、ご自愛くださいね。










素晴らしいなんて言葉では足りない狂おしい夜です。

見えないドレスコードにドキドキしながら。自分にとってのエレガントとシックについて考えながら(菊地さんの言葉に勇気をもらい)最初で最後のぺぺトルメントアスカラールに伺いました。

ホールの席に座り、瞳を閉じ演奏に耳を傾けていると、音と世界が立体感を持って立ち上がってくるようで。美しい調べにうっとりしている間にいつのまにか普段は開いてはいない場所、開けたくない場所に辿り着いていました。その事はちょっと怖くて、そして同時に快楽でもあることを知りました。

そして瞳を開き、異様かつ美しい光景と空間、時間。美とは異様なものだと初めて実感しました。

あんなにプロフェッショナルに世界を作り出した後に話しだす菊地さんはラジオでお聞きする菊地さんで、どちらもが一部なんだと思うと不思議な感じで、そしてそこが魅力的です。

速報で“自分が野性の花になってしまった気分”と言う言葉を読んでから、何故か見たくてしょうがなかったフィッツカラルドを借りて来ました。(随分前にとても欲しくて友人にせがんで貰ったポストカードの写真です。御存じかと思いますがなんだか見て頂きたくて添付します。映画は未見です)

それでは明晩も伺います。

菊地さんの風邪が酷くなりませんように。

愛と感謝を込めて。









 ペペにしか行きませんでしたが(UAも良いですが、カヒミ派です)、円熟の極地ですなあ。最早モダンアートっていうか、ロマンティークなのに、サウンド・インスタレーションとかファブリカシオンの趣きあったっすよ(パーカッションとハープだけの所とか。あれ正に「生け花」っすね)最近菊地さん、どんどんアート寄りになってないすか。







菊池先生、はじめまして<m(__)m>。

オーチャードホールのペペ・トルメント・アスカラール、あっという間にもったいない時間が過ぎてしまったように感じた、ほぼ同世代のちょいデブ親父でございます。

ひさしぶりのジャズの生音はとても気持ちよかったです。パーカッションは陽気で確かに野獣のようであり、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンのクラシックストリングスはときに室内楽的で、ときに現代音楽的な不協和音で、それでもきわめて紳士淑女でありまして、バンドネオンは一貫してメチャメチャ官能的で、ピアノは銀座でセンセイと呼ばれつつ本業はジャズのスタジオミュージシャン、あるいは執事のようで、ウッドベースはやっぱ渋いぜ、高音の早弾きがカッコイイなあ、たまらんなあって感じで、ハープは深窓の令嬢のようにひっそりと、サックスは、先生の人格とは関係なく音色は、きっと女に刺されて死ぬ運命だろうと思えるほどスケコマシでありましたよ(歌声を含めてチェットベイカーを思い出しましたです)。

まったく一筋縄ではいかない音だなあと思いつつ、やはり存在しない映画音楽のようであり、目をつむればブエノスアイレスのキャバレーでアルゼンチンタンゴを踊る南米のエリザベステーラーと呼ばれた悲劇的な生涯を送った架空の女優が見えるようです(ってブエノスアイレスなんて行ったこともないけど素直に幻覚しちゃいましたよ、俺)。

しかし、もっとフリージャズっぽいセッションも聞きたい感じもしました。これは別のユニット、別の場所でやっていただけるだろうから駆けつけたいと思う次第でございます。

開演前にビュッフェでシャンパンを頼もうと思ったのだけど、タンクレディを飲んでしまいました。確かに複雑でやっかいな薫りとお味でございました。シャンパンは幕間にねって思ったら混んでいたので諦めました。

会場、男女とも高校生くらいから60代の方々が来ていたように思います。ボリュームゾーンは若い方々のようにも思いました。それにしても、ほぼ同世代の込み入ったサウンドの音楽家のコンサートに若い方々が熱狂しているのを見るのは頼もしい限りです。しっかし、こんなマイナーな音楽でクラシック用の2150席のホールをほぼ満席(しかも確かに美人が多い)にするのだからたいしたものだと思います(しみじみ)。ジャズのコンサートってショットバーのようにイリーガルにわけありそうな美人がいたりもする場合が多かったように記憶しているのです。菊池先生のコンサートは歌舞伎とかオペラの会場のようでございますね。

ワタクシとしては、ハイティーンでジャズにイカれて新宿ピットインに通ったり、読売ランドのライブ・アンダー・ザ・スカイで大御所を観まくった自分と再会いたしました気分でございます。

それと、まったくもって美女との充実した一夜を過ごすのに適したコンサートであるのは間違いないのですが、どこか連れの美女を菊池先生に寝盗られた気分にもなりますのですごく複雑です。


やはりジャズはいいですねえ。


ってな自己完結で失礼いたします。









菊地様


今日はとてもたのしくて、幸せな時間をありがとうございました。
そして、サイン会で、初めてお顔をみてお話することができて
とてもうれしかったです。

シュトーレンの話をさせていただいて!
たくさんのメールの内容、覚えていらっしゃるんですね。
それがとても驚きでした。
あまりに動揺して、話しながらフェイドアウトしたような気がしますが、
あまり覚えていません。。。

のど飴二袋は妹の差し金でした。
彼女はサイン会の様子をずっと見ていて、のど飴を渡している方が
いらっしゃって、それで買ってきてくれたようです。
彼女もすっかり菊地さん好きになっていました。

明日も楽しみにしています。
シュトーレンを持っていってみます。
関係者の方にお渡しできたら、そしてお手元に届いたなら、ぜひ食べて
みてください。
もそもそした感じは、今の体調にはあわないかもしれませんが。。

では。明日を楽しみに眠ります。
ありがとうございました。
おやすみなさい。




菊地成孔さま

こんばんは。◎×と申します。
(いつも芸大にもモグリで出席させていただいております)

今夜のペペ・トルメント・アスカラールのコンサート、とても素晴らしかったです。
ぺぺのコンサートを観るのは九段会館以来で、あのときよりもずっとバンドのうねりがあるように感じて一幕が終わったあとはしばらく呆然としてしまいました。音ももちろんですが、皆様の演奏する指や弦楽器の弓の動きにも見惚れてしまって、指揮された大編成の楽団とは視覚的にもこんなに魅惑的で美しいものなのだなと感動しました。


わたしはこのコンサート前の2週間で、死別と失恋というふたつの別れをしました。今までに経験したことの無い憂鬱と喪失感で、現実だとは思えないくらいで、一日中ぼんやりしたままで過ごしていました。

そのぶん、今夜の演奏は本当に甘く、切なく、美しく届いて、アンコールの『You don't know what love is』を聴きながら、ただただ涙が止まりませんでした。それまではどんなに悲しいと思っていても涙にはならなかったのに。

明日のUAさんとのコンサートにも参ります。

明日は、好きだったひとと行くつもりで、チケットを2枚予約していましたが、1枚は無駄になってしまいました。完全ソールドアウトなのに勿体ないことをしてしまって申し訳ありません。

でも、隣の空席を感じながら聴く『cure jazz』のサウンドは、たまらなく悲しいと同時に格別に甘美だろうと想像しています。もう、考えただけでどうにかなってしまいそうです。

今夜は最高の音楽を本当にありがとうございました。お風邪をこじらせないように、どうかお大事になさってください。それではまた明日の夜(今気づきましたが、もう日付変わって今日ですね)お逢いできるのを心待ちにしております。



追伸  今夜のサイン会、終電の時間が来てしまい参加できませんでした…。次回の芸大の授業のときにお願いしてもよろしいでしょうか?







菊地成孔さま

今日(7日)のペペ・トルメント・アスカラールの公演、二階のバルコン席より拝見しました。

私はペペのコンサートに伺うのは3月のクラブハイツ以来だったのですが、偶然にも二度とも、チケットを二枚取って、行くはずだった恋人に直前になって振られるという目に遭っていて(菊地さんのせいにするわけではないですが、 これは菊地さんの音楽を聴くのに最高の状態のような気がします)、3月のときも、今日も、親しい男友達に来てもらって、一緒に伺いました。

菊地さんの言葉(思想かな)の中で一番好きなのは、「ドレスアップして、好きな音楽を聞いて、うっとりすると、憂鬱が官能に変わる瞬間がある」という、何度も何度も日記で書かれている、その言葉です。

最高に深く濃い失恋のブルーの中にいるときに聴く菊地さんの音楽は、すごくて、目を閉じたい気持ちと見ていたい気持ちが両方あって、胸が詰まって息が苦しくなって喘ぐような呼吸になって、まるでセックスの最中のように目をこっそり開けたり閉じたりしながら、聴いていました。いつも、「ルペ・ベレスの葬儀」になると、泣いてしまいます。

あの曲が始まる前の、バンドネオンのソロが始まると、「始まらないで、始まると終わってしまうから、始まらないで、終わらないで」と願ってしまうのですが、曲が鳴っている瞬間は最高に幸福で、それは恋とそっくりそのまま同じだと思いました。

デートコースを聴いたときに、初めて「音楽とセックスは同じだ」ということがからだでわかった気がしたのですが、今は、音楽と恋が、音楽と人生が、同じようなものだと感じます。

私は安物のファーを身につけていたのですが、そのファーが柔らかく、温かくて、昔本物の毛皮を着たままセックスしたことがあることを思い出し、失恋したばかりの彼が、このファーとドレスの組み合わせをまだ見たことがないのを思い出し、そういえばこのドレスとファーを身につけようと思っていた日に振られて見せられなかったことを思い出し、3月のときも、最後に見せようと思っていたドレスを彼に見せられないまま振られて、それを着てクラブハイツに伺ったことを思い出し、
菊地さんの音楽の、なんと因果なことかと思います。

3月のときと同じように、今回も、菊地さんの音楽が鳴っている間だけは、違う世界に行けて、毎日毎日泣いている私には、それはとても、助かることでした。

ありがとうございます。救ってくれて。
本来エゴの塊であるはずの表現で人を救えるのは、才能というのでしょうか。
才能とか、天才とか、ありふれた言葉ですが、菊地さんが持っているものは、本当に天から与えられたとても貴重な、金のひとしずくのような、そういうもの
だと思います。

また素敵な音楽をつくってください。








菊地様


ご無沙汰しております。
以前、いろいろご迷惑をおかけした法政大学の××です。
(もう卒業してますが)

昨夜のオーチャードホール拝見させていただきました。

とても稚拙な表現で申し訳ないのですが、圧巻でした。
ブエノスアイレスの風景すらまともに思い浮かばない私ですが、
ぺぺの音を聴きながら、異国(おそらくブエノスアイレス)にいるような気分に浸りました。

ちなみに、菊地さんが仰った「4階の人、拍手を」
自分は4階にいました。
ただチケットに"3階席"と書いてあったので・・・
「ほ~4階席まであるんだ~」と上を見上げてしまいました。(チラっと)

決してアゲインストではありません。
脳内を以てアジャストしていました。

また演奏を聴きに伺います。
それでは失礼します。









菊地さんこんにちは

昨日7日のライブさいこうでした!
始まりは舞踏のための音楽のような、アバンギャルドで映像的、即興的でありながら計算しつくされたサウンド。後半は前半にも増して官能的。ザクロの切り口から果汁が流れだし、足元から絡み付く感じ。ホルモンバランスの歪みが、情事のあとのように整った気がします。今日のショウを映画に例えれば、メインテーマになるであろう最後の歌…濡れたなぁ…(笑)とにかくホントにすごくすごくすばらしい時を過ごせました!

風邪引き男に目病み女と言いますが(逆でしたっけ)菊地さんとても色っぽかったですよ(^O^)お体大事になさってくださいね。今日の公演もほどほどに頑張ってくださいo(^-^)o菊地さんのライブ、ホント綺麗な方多いですね。野宮まきさんとそのお友達なんか、(その他にも沢山の女性に)見とれてしまいました(*^_^*)いーなぁ…挙動不審だったでしょうね、女性を目で追う(笑)
というわけで、サインを書き直して戴いた×○□でした

私もダブルで2夜連続でいきたかったです~(;_;)










昨日はとても素敵で嬉しかったです。一度目よりある意味で冷静で何が起きてるのか分からない内に終わってしまった。と言う朦朧感はなくこうしてステージを見ていられることに喜びを感じながら酔いつつ、存分に堪能できました。(風邪の具合を悪くさせたでしょうか。ごめんなさい。)昨日はこれまた十何年来のシビラのドレスで伺いました。辺りを見渡すとやはり今風ではなかったけれど、私は大好きなので構いませんでした。ただサイズさえジャストならもっと良かったのにと…可愛く素敵な女性も沢山いらっしゃいました。


数日の間仏様の番組を見てまして、ぺぺのステージが祭壇の様であるとか、ルペベレスの葬儀に弔われる気持ちになるとか言った鎮魂の喜びは既に経験していて、またその様な安らぎを感じる事が出来ると楽しみにしてましたが、リズム隊のソロではオレンジ(赤?)に被さる緑のライティングがまるで境内か蓮池の様で、なんとその輝きの中にリズムを刻むご本尊が…特に大儀見さんですね…阿修羅様系の仏様かと思いました。すみません不適切で不謹慎です。リズムの神様の共演の姿と言うべきでしょう。何しろそんな風貌なのですから大いに驚きつつ自分のバカさ加減に呆気にとられつい笑ってしまいました。






初めてメールいたします。×◎と申します。若年低所得サラリーマンです。

昨日(7日)のオーチャードホール公演、大変楽しませていただきました。

私事で恐縮ですが、今年は春からトラックにはねられて全治6ヶ月の怪我を負い、
恋に破れ、仲のよかった近所の犬が今では僕に向かって犬歯むき出しで吠え出し始めるという、なんとも受難の年でありましたが、昨日の公演でとどめを刺されたような気がしました。

前半の終わり、プラザ・レアルでは全身の毛穴が開き、涙腺に温かみを覚え、思わず隣の席に座っていたお姉さまの手を握り締めたくなりましたが、そのまた隣には素敵な旦那様(高所得と思しき)がいらっしゃり、伸ばした手は行き場を失い、自身の下半身にそのままやさしく収めました。

ホール公演というものに縁がなく(今年はじめの鈴木正人さんのソロライブ以来)、
また「若年」という男子にとっては何の値打ちもないものを武器に、ごみごみとしたライブでもみくちゃにされたり、山奥でチルチルすることで(それも大好きです)音楽と向き合ってきましたが、今回の公演では、幾日も前から何を着ていこう、髪型をどうしよう、ブリッコラの隣のバイクショップで菊地さんに会ったらどうしよう、などという人工的な思考を巡らせているときというものに、パースの狂った分不相応な、というかいままで経験のない感情を覚え、興奮し、嬉しくも戸惑いながら当日を迎えました。

終劇を迎えるころはなぜかシャツがズボンからはみ出し、メガネはずれ落ち、しかし直しもせず、アンコールでは手のひらが腫れ上がるほど拍手をして、そして少し喉にシャギーのかかった菊地さんのMCに腹筋を捩じらせました。あの日、そしてあのたった数時間で僕の感性の指針は右往左往してしまい、これからどうやってルーチンな社会生活に戻そうかと悩んでいます。

そして今日はUAさんのチケットが取れなかった腹いせに(と言うわけでもないですが)DAFTPUNKを幕張にて。地球の最果ての音楽を耳にした翌日には、非人間が作った音楽を聴きにいきます。自分でもこの組み合わせはどうだろうと思うのですが。昨日のことを一切忘れて踊り狂いたいと思います。でも忘れたくても忘れられません。
ではお体に気をつけて(それからトラックにも気をつけてください、あたると痛いですよ)。これからもすばらしい音楽とおしゃべりを楽しみにしています。
駄文、無個性な感想メール失礼いたしました。


ちなみに男子は元気がないなと昨日思いました(←テメーが言うな)。
男子は何に怯えているのでしょう。









             <途中休憩>



 ファンメール掲示中ですが、ここで速報です。




 1)1月のKQLDラストライブ(新宿ピットイン)ですが、200枚売り切りで、プレイガイドが100枚、新宿ピットインが100枚。と分けたそうなのですが、その情報が余り告知されておらず(ワタシもさきほど聞きました)、プレイガイド分が即日完売したので、既に売り切れてしまっていると思っている方が多いのでは?と、ついさっきピットイン側に言われました。

 つまり、「まだ新宿ピットインには40枚残っている」そうです。「菊地くんがサイトで告知すれば40はすぐハケちゃうよ。ちょろっと書いておいて」と店長であるキラーカンちゃんいけねえわざと間違えた、鈴木カンちゃんに言われました。まだピットインに40枚残っております。電話するか直接お店に行ってみて下さい。




 2)既に類家くんがスター街道驀進中の菊地成孔ダブセクステット(略称NKDS)のデビューツアーの全貌が決定しました。スタートは博多からです。詳しくはマネージャーの速報をご覧下さい。

 




 では後半に参ります(ファンメールはこれで総てではありません。送って下さった皆様総てに感謝致します)。











菊地成孔さま



こんにちは。

昨日、菊地さんのコンサートで、31列35番という小さな点になって、

あなたを見つめていた女子です。



あんな経験は、初めてでした。

鳥肌がたって、その後、脳髄がゆっくり溶けていくような、

興奮を味わいました。

菊地さんの、息遣いがとてもエロティックでした。

声もすてき。鼻をすする音も!

神様はずるいと思いました。



ワインもとっても美味でした。

すばらしい夜に、心から感謝します。



「ほかの誰ひとり、ここには入れない。この夜はおまえのためのものだった」

カフカのパロディを送ります。









菊地様
夕べのコンサート、サックスのグラマラスなサウンドにくわえて、私を幸せな気持ちにしてくれたのは、これが私の息子からのバースディプレゼントだったことです。 なんだか、東京タワーみたいでちょっと気がひけたけど、でも純粋に音楽を楽しむことができて幸せでした。 そしてインターミッションのシャンパンとワインも。 ちなみにうちの息子は映画美学校の生徒です。 若いってなんて素敵なことだろう、と彼の様子をみて楽しんでいます。 菊地さんの雰囲気もいいなあ。 また機会があったら、今度は自分で行きます。





菊地成孔様

オーチャードホール初日、伺いました。
近くにあったカフェで、ビールと、ヴァン・ショーを戴き、
独りふかっとした座席に身を沈め、音に浸りました。
色々な所が濡れました。
泣けて来ました。

サインはさほど必要では無かったのですが、
何故ならもう既に私の内には菊地さんのサインが刻まれて
居ましたから。あっかんべーーー、と。
けれども、かりそめの逢瀬をしたくて長い列に並びました。
人生のたった一瞬、すれ違えて嬉しかったです。

菊地さんの音は、愛撫と、ビンタのようでした。

ありきたりな言葉ですが、本当に凄かったです。

ありがとうございました!
お大事に。






こんばんは、◎×です。
オーチャードホールでの2公演、満喫させていただきました。
そしてサインまでいただき、ありがとうございます。

初日の終演後、たくさんのサインをされていたので
左手が腱鞘炎になっていないだろうか、
風邪が悪化されていないだろうか、と心配しておりましたが
風邪もすっかり治られているようでしたので安心して
2日目のUAさんとの公演を楽しませていただきました。

このところ厄介な仕事を抱えたりと、
些か精神状態がよろしくなかったのですが
二夜にわたって素敵な演奏を聴かせていただいたおかげか
心にへばりついていた憑物ののようなものがすっかり落ちて、
良いクリスマスと、年末と、年始を迎えられそうな気分になりました。

菊地さんのライヴは自分にとってエステのような効果があるのですが
今回のホール公演はその効果がいつもに増して強かったようで
終演後、行きつけのカフェにいったら会う人、会う人に
「色っぽくなった」だの「大人っぽくなった」だの(三十路なのに)言われ、
2日目の今晩にいたっては初対面の男性に一杯ごちそういただくという
生まれて初めての経験をいたしました。
(愛犬の散歩があるのでお酒ではなくローズウォーターをごちそうになりました)

(中略)

菊地さんの歌唱もとても素敵でした。
来年の予定の中に入っているという
ヴォーカリストとしてのアルバム、非常に楽しみです。
来年もお忙しそうなので、2008年中のリリースは難しいかもしれませんが
とてもとても楽しみにしております。
もしリリースの時期にどこかの編集部に所属しているか、
自分で媒体を持つようになっていたら、ぜひ宣伝のご協力させてください。

(中略)

ありきたりな表現で申し訳ないのですが
今回のホール公演を拝見して、来年は菊地さんにとって
さらに楽しい(そして良い意味で「忙しい」)一年になるような予感がいたしました。

それと初日、タンクレディは開演前に味わったのですが、
公演中、苺やラズベリーに似た果実の香りが口の中に広がっていました。
あの後からくる香りの魅力に、ちょっと虜になってしまったので
年末年始を共に過ごすワインの中にタンクレディも仲間入りさせようと思っています。

それでは、また。
良いクリスマスと、素敵な年末と、楽しい年始をお迎えください。









菊地成孔さま

 今夜は甘く、甘く、甘い時間をどうもありがとうございました。去年の公演もすばらしかったですが、より熟成されて甘みを増した一夜でしたね。一曲目から、あんなに音と時間を贅沢に使ってよいのでしょうか。気怠い甘さを全体に漂わせて。今だから申し上げますが、「ジャズのホールコンサート」がこのようにすばらしいものになろうとは思いませんでした。

 私の中で、ホールで行われる公演というのは照明が明るい/その変化が激しい/時に過剰という印象があるのですが、今日のように照明を落とすことによって私たちは完全に暗闇に溶け込み、その空間でジャズが完璧に消化されていました。私に許されたのは、目をつむり、音と声に耳を傾けることだけであり、また私にできるのは目をつむり、音と声に耳を傾けることだけでした。公演中はご冗談のように「また来年も」とおっしゃっていましたが、是非またお二人がホールで共演されることを楽しみにしております。毎年の恒例行事になさってはいかがでしょう。

 あぁ、でもひとつ、心残りがあります。今年はあまり寒くないので、まだ「ファー」という存在を意識しておりませんでした。ドレスに巻くのはストールなどではなくファーであるべきだったし、トレンチにもファーを付けてくるべきでした。もう12月なんですもの。菊地さんもおっしゃっていますが、非日常を味わうため、時にドレスアップして外出するのは大切なことです。今日のために幾日も前からお洋服を考え、新調し、またいつもより長くお化粧に時間を取って伺いました。(結局、ヘアは下ろし、パフュームはインカントに致しました。)ファッションというのは本当に心までも飾ります。ドレスアップして出かけるだけで心が踊り、とても豊かになります。それを分かっているからこそ、(帰宅した今思えば)未完成な格好で伺ったことを後悔するばかりです。次回はもっと抜かりなく、クローゼットを全て見渡して忘れているアイテムがないか確認して参ります。

一方でご来場の皆様はお綺麗なドレスや着物をお召しになっていて、クローク待ちのお時間も、公演までのお時間も飽きることなく過ごせました。もちろん、公演中は菊地さんとUAさん(菊地さん風に言えば歌織さんですね、何度も言っちゃってましたね笑)のお衣装を拝見していました。席が1階33列と少々後方だったため、UAさんの赤いドレスが鮮やかに光り楽器に反射していたことくらいしかわかりませんでしたがとても素敵でしたね。今回も菊地さんがお選びになったのでしょうか?

 そうそう、もう一つ感謝を述べなくてはなりません。公演後でお疲れになっていたでしょうに、気さくに声をかけサインをしてくださってありがとうございました。本当は、本日はサイン会はなさらない予定だったのでしょう?会場に着き、クローク待ちをしている間に「本日サイン会があります」とのアナウンスをいただきましたが、本当になさるのか少々信じられませんでした。しかし、公演が終わって扉を開けるとあの長蛇の列です。(菊地さんはご覧になったかわかりませんが、菊地さんのいらっしゃったテーブルから階段にそってあがり、ホール前を埋め尽くし、奥の通路の方まで並んでいました。)見ているだけで目まいがするほどでしたから、サインなさっていたご本人はさぞのことだったと思います。

 しかし、今思い出してもお恥ずかしいのは、私の番がやってきて、菊地さんが名前を聞いてくださったとき、声が小さかったために聞き直していただいたことです。だって、先ほどまでスポットライトのみが注ぐ舞台の上で妖艶なサックスと甘ったるい歌声を披露していた方が目の前にいる、というのですよ、緊張しない方がどうかしています。しかも、サインを書いてくださっている途中で「あぁ、あの!」といって私の名前を思い出してくださったようで、さらに緊張(+感動)してしまいました。私の送ったメールなど、毎日毎日届くメールボックスの中の、ほんの幾つかに過ぎないのですから。いつも独白的で蛇足ばかりのメールで、ご迷惑ではないかと不安に思っているのです。ですからとても嬉しかったです。サインをいただいたあと、クロークにコートを受け取りにいきましたが、ナンバープレートを渡す手が震えていました。もちろん寒さで、ではありません。

 今日の公演が夢のようです。寝てしまえば全てが夢だったことになってしまいそうで、寝るタイミングを逃し続けています。明日起きても、今日が現実だったと思えますように。明日から、cureされた時間が始まりますように。UAさん、そして菊地さんに最大限の愛と感謝を込めて。






こんにちは。いかがお目覚めでしょうか? 
J-WAVEではときどきメールさせていただきました「失業おやじ」です。
昨日はライブを堪能させていただきました。
UAさんとの打ち上げは、無事に済みましたか?

デイビー・クロケットのようなビーバー帽?をスーツに合わせるなんて
流石だと思いました。

私は家内と1階12列で応援! いや、観戦? させていただきました。

家内はうっとりと菊地さんのチェット・ベイカーばりの甘いヴォーカルに
酔いしれて会場を出ましたが、私が最初から気になっていたのが、「演出」です。

普通の、というか、私の慣れているJAZZコンサートでは、「拍手を入れるタイミング」が判りやすくなっています。各プレイヤーのソロの後には、必ずお義理にであっても
ぱちぱちと拍手があり、そのタイミングも織り込んで、プレイヤーはローテーションで
ソロを取るのが普通ですよね。

今日のオーチャードホールは、最初のUAさんのヴォーカルがエフェクターかけまくりの、テンポ10倍速の、どこかでブレイクするのだろうなと思っているうちに終了、で始まり、拍手も入れられませんでした。

今日のコンサートは一体どうなるのやら???」という感じで始まったのですが、予想どおり、最後まで観客席は「いまいち、どう反応していいのやら判らない」風の人が多かったように見受けられました。

私はいつもなら会場で一番早く拍手して「リード」するのですが、今回は「UAさんのファンもかなり混じっているだろうから、JAZZコンサートのノリじゃまずいのかな?」と感じて遠慮してしまいました。見渡せば、かっこいいおねえちゃんが一人で来ているのが目に付きましたが、それはそれでいつもの菊池さんのステージの特徴でしょうから、あえて書くまでもありません。

爬虫類さん(類毛さん?)はかっこいいですね。ブッカ・リトルとクリフォード・ブラウンを足して2で割ったようなアドリブラインと、マイルス色を排したマイルスのような抑制。

もうちょっとハイノートに色が出れば、というか、力が付けば、メイナード・ファーガソンは超えられる素質であろうと見ました。日野某とか伊藤某とかは、とっくに超えてますね。

彼のソロのピリオドでは、会場から自然に拍手が沸きましたが、あれはJAZZファンの
自然な反応でした。爬虫類さんはJAZZライブが体に染み込んでいるのでしょうね。

でも、トークの方は菊地さんの域に達するにはあと20年は掛かりそうですね。
ステージで「かあちゃん」と言えなくちゃ、ショウマンとしては未熟ですね。

サインをしていただこうと思って『東京大学のアルバート・アイラー』を持っていきましたが、タイミングが悪くて早々の帰宅(ブンカムラ退出)となり、残念至極です。

今度の新しいユニットは、待ちに待った「ジャズコンボ」であろうと想像します。
爬虫類さんのペットと菊地さんのサックスの絡みがたっぷり聞けるのは嬉しいです。
会場で購入できなかったそのCDは、タワーレコードで発売時に買うことにします。
ラテン色は少し横に置いといて、ゴリゴリのJAZZを展開してくれることを期待しています。

それではまた書き込みます。
お疲れ様でした!



携帯メールで失礼致します。
オーチャードホール、二夜お伺いさせていただきました。
すばらしい夜をありがとうございます。
一夜めは、最前列(上手側スピーカー前)にてからだいっぱいに音をもらい菊地さんの素敵なお姿に胸が苦しくなりました。タンクレディはとても美味しく、うっとりする香りでした。

二夜めは二階席にて、歌姫はデーヴァのようで美しく、月明かりを浴びているかのような心地になりました。傍らでうっとりする菊地さんも素敵で、泣きたいわけではないのに涙がとまりませんでした。

ぺぺの日に、菊地さんにサインをいただき宝物にいたします。あまりの緊張に手が震え、私の言葉に菊地さんがせっかく応えて下さったのに上手くお返事ができませんでした。

でも、名前を訊いてくださったとき、瞳を合わせていただけて幸せでした。
いまも鳴り止まぬ音に包まれております。
あの場にいることができた幸福に胸を締め付けられながら、しばらく過ごすことになりそうです。

これからもお慕い申し上げます。
ご自愛下さいまし。






菊地成孔様
こんにちは。△×と申します。
年齢41歳。会社員です。

菊地さんのコンサートに初めて行きました。
12月7日(金)のペペ・トルメント・アスカラールの方です。

一言で感想を言うのは難しいのですが、
「あっと、言う間だった」というのが第一印象です。
時間が経つのが、これほど短く感じたのは久しぶりです。
恍惚としておりました。

生(ナマ)菊地さんは、ほとんど想像していた通りでした。
陳腐な表現になりますが、とにかく「カッコイイ」の
一言です。

容姿やファッション、演奏も、もちろんカッコイイのですが、
私が一番カッコイイと思ったのは、言葉にすると、なんなんだ
ろう?自分を突き放しているというか、変な自意識?
を全く持っておられないと感じました。

自分を必要以上に良く見せようとしない(自分を含め、
逆の人が多いと思います)そのまんま東・・ではなく、
そのまんまの方だと感じました。

楽曲や演奏については、CDで聞いているので、
もちろん知っている曲でしたが、生で聴くと、
全然違います。当たり前ですが。

消費されない音楽?という印象です。
(売れないという意味ではありません)

私が思ったのは、いっときの流行り物の様に消えていかないと
いう意味です。

心に残り続けるというか、、菊地さんがお持ちの思想?
哲学?の様なものが、楽曲や演奏の中にあって、
それに圧倒される?みたいな感じです。

菊地さんが書かれる文章にも、同じ様な力があると思います。
(個人的には、音楽を聴くと同時に、ライナーノーツを
読み込むのも、楽しみのひとつです)

あと南さんの演奏を聞けたのも良かったです。

風邪を引いておられたので、お体ご自愛ください。

またのコンサートを楽しみにしております。

なんか、つながりのない文章で、すみません。

ありがとうございました。







菊地様



こんばんは。

昨日、一昨日の菊地さんのコンサート、聴きに行くことができました。

ずっと、菊地さんのステージを見たい、見てみたいと

思っていたのですが、やっと叶いました。

きっとうちのめされると思いながら

あの場に行ったのですが、

予想しながら行っていたのですが、

やっぱりだめでした。

本当に、全身で苦しくて切なくて神経が震えるようで、

幸せな時間でした。



ありがとうございました。



とにかく、お礼を言いたいと思いましてメールしました。



また、これからもがんばってください。



UAさんもなにかで言われていましたが、

菊地さんは本当に「青い炎のよう」な人ですね。

冷たくて熱くて鋭くてとどまることなくて。

しなやかで強いUAさんと菊地さんお2人を見てると

女性性と男性性のそれぞれの凄さを感じました。









菊地成孔様

こんばんは。

2日間、とてもうっとりさせて頂き
有り難うございました。
両日行く事が出来て良かったです。

菊地さんが歌っている時、
気が付いたら私は
右手で左手をつねって聞いてました。
言葉ではうまく言い表せない気持ちです。

どのメンバーの演奏を観ても素晴らしくて
どのメンバーにも視線が釘付けになってしまって、
音楽が出来ない私は
「すごい!そっち側に行きたい」と
羨ましい気持ちでいっぱいになりました。

UAさんは美しかったし、
歌はもちろん
トーク(面白い!)も
ずっと終わらないで欲しいと思いました。
なんて可愛い人なんだろうと
もっと好きになってしまいました。
声の迫力は口がら光が見えるようでした。

どの音楽もとても素敵でした。
2日間の全部を
頭の中に記憶出来たら良いのにと思います。
何度も踊りたい気分になりました。
エンジェルの香りが届いて嬉しくなりました。

2日間のコンサートの感想をメールさせて頂きました。
(終わってしまったポスターの行方が気になります。
破棄されるとしたら、なんてもったいない!)

コンサートが終わっても
きっとまだ忙しい日々が続くと思いますが
野菜を沢山食べて
(お鍋やスープが美味しい季節です)
風邪を治して頑張って下さい。

失礼致します。











弘田三枝子さんと何かやって頂きたいなあなんて思います。











菊地成孔さま

 こんにちは。オーチャードホールでのコンサート2days、お疲れ様でした。
公演後の速報を読んだのですが、まだ風邪から完全回復はなさってなかったのですね。
それなのに、終演後はサイン会も行われ、さらに体力を消耗なさったのでは…
(私にとっては、終演後に直接菊地さんに一言でも感想を伝えられて、とても嬉しかったのですが)
大量のワインとたっぷりの睡眠で、このメールが届く頃には回復なさっていることを祈ります。

 今回、8日のUA×菊地成孔の公演に伺いました。
(7日のぺぺも伺いたかったのですが、只今卒業論文執筆のラストスパート中で、物理的に音楽に浸る夜は一晩しか許されませんでした…)
私にとっては初めての菊地さんのコンサートでした。
素晴らしい夜でした。

一曲目の「Over the rainbow」から、暗闇に浮かびあがるステージを見つめながら音の宇宙に放りこまれたようでした。

「ずっとこの世界・空間に居られれば良いのにな」と思いました。
客席の私もそうですから、音の響きがもっと力強く感じられるステージ上の菊地さんがうっとりしてしまうのも当然のことなのかもしれないですね。

「Hymn of Lambarene」や「I’ll be seeing you」などのゆったりした曲には、椅子に沈むようにして聴き入りました。

「チュニジアの夜」はピアノ・ベース・ドラム・サックス・歌が全て主張してぶつかりあっていて、「ケンカしているような」ビバップの演奏とはこういったものかしら、と思いました。

「マネージャングルのジャンヌ・ダルク」「Honeys and scorpions」のリズム、グルーヴには、座ったまま静かに体内の中で熱く踊らせていただきました。今まで、私が行ったライブというのはホールでもスタンディングで聴くタイプのライブがほとんどだったので、自由に踊りまくったことはあったのですが、今回のように座ったまま、「体内で熱く踊る」という体験は初めてでした。

楽しく興味深い体験でした。

“シンペイちゃん”こと類家さんのトランペットも素晴らしかったです。トランペット・ソロはもちろんですが、特に「Honeys and scorpions」のサックスとトランペットのユニゾンが私は好きでした。実は私、中学・高校時代は吹奏楽部で、サックスを担当していました。

なので、この部分を聴いたときは吹奏楽部員時代に舞台上で感じたグルーヴ・音の世界を想い出しました。

 また、生でUAさんの姿を拝見するのも歌を聴くのも初めてだったのですが、菊地さんが以前からおっしゃっていた「親しみやすさ/可愛らしさ」と「神々しさ/力強さ」の二面性の同居を実感しました。MCでのおもわず笑ってしまう発言や可愛らしさと、歌っているときの圧倒的な存在感・声の強さのどちらにも魅了されました。

また、「リズム感のよさ」というか、歌っているときや間奏中のダンスには釘づけになってしまいました。またMC時の仕草も、とてもしなやかで色っぽくて素敵でした。

赤のドレスがとても似合っていて、絵画に描かれた女性のようにも、ダンサーのようにも見えました。

 今回の“cure jazz体験”はとても素晴らしく、MCでおっしゃっていた「また一年半後あたりに…」のお話が実現したら、必ず伺うともう決心しました。実現するためにリスナーの声が必要ならば、しっかり協力いたします!(笑)

 来年は「第二期ぺぺ・トルメント・アスカラール」「ダブ・セクステット」のライブも初体験しようと思っております。とても楽しみです。また、いつぞやの速報に書いてありました「ヴォーカル物ユニット」の活動も心待ちにしております。(菊地さんの甘く囁いて絡みつくような歌声が好きです。)

 今年はあと三週間ほどになりましたが、今度は15日(土)のDCPRG“hoa-ky”トークショー付き上映に伺います。

 ではまた。

追伸>
 サイン会では、父(菊地注*荒戸源二郎氏)の体調を気遣っていただきありがとうございました。本日電話で話したところ、事務所移転でバタバタしつつも現在はとりあえず回復したようです。7日のぺぺのコンサートは「素晴らしかった」と申しておりました。






 

菊地成孔様

前略、オーチャード公演2日とも堪能させていただきました。
月並みな言葉ですが、すばらしいとしか言いようがありません。
放心し、落涙し、恍惚として拝聴、拝見しておりました。至福とはあのことでし
ょう。

2日めのメンバーはドラムをのぞきセクステト集合でしたね。
類家さんにはやられました。今月昼のピットインに出演されるようなので、見に
行くつもりです。

オーチャードのトークショーの際に湯山さんから突然指名され、
質問をさせていただいた赤いワンピースのボブヘアのものです。××★と申しま
す。(あのワンピースは気狂いピエロでアンナカリーナが着ていたものの復刻、アニエ
スbのものです)クレッソニエールのオマール、ショコラのブラン、あれから数日後にいただきま
した。おいしかった!

先ほど、速報を拝見しました。2日めに公演前に若甦(漢方の滋養強壮剤)
差し入れさせていただきましたが、
きちんと公演前に飲んでいただけたのだとうれしくなってしまいメールしている
次第です。
飲んでくださっているかしらと気になって仕方がなかったのです。
それにしても5本一度に召し上がったのですね、
あれは効きますからさぞかしハイになるでしょうね。
(今の私はあれがないと動くことができません。)
少しでもお役に立てましたなら幸甚です。

(中略)


オーチャード公演は丁度休暇の真ん中あたり。今の私にとって深部まで響く、
最高の治療だったことは言うまでもありません。
すばらしい演奏と大きな愛をありがとうございます。

昨日は始発に乗ってピットインに行き、1月のクインテッドのチケット整理番号1
番を手に入れました。菊地さんの真ん前で遠慮なく、じっとりと堪能させていた
だきますね。

ピットインで次に並びにいらした男性が菊地さんのファン歴が長く、日本の今の
ジャズシーンを良くご覧になっている方で、ずっとおしゃべりをしてお友達に成
りました。

菊地さんのすべての作品に肯定的な非常にジェントルな方。菊地さんのライブで
できたお友達は二人目ですが、みんな素敵な方ばかり。(クールストラッティンで菊地さんを入れて3人目にスーツをオーダーしたとおっしゃってましたよ。)

年末のザヴィヌルバッハ、来週のデートコースの上映会にもはせ参じます。
菊地さんなしでは生きていけないようになっていますので、
これからも菊地さんを追いかけて暮らしていきます。

ご迷惑にならない程度に時々お声をかけさせていただいたり、お便りさせていた
だきますね。
では、まだまだご多忙とは存じますが、とりあえず大仕事大成功。
お疲れ様でございます。

つまらない内容で長文失礼いたしました。
いつもいつも菊地さんのご活躍と健康をお祈り申し上げております。





菊池成孔 様


こんばんは、はじめまして。
生まれて初めてファンメールなるものを送らせて頂きます。
×◎☆、と申します。

今回の2days、ほんとうにすばらしく、うっとり聞き入りました。
はやく12月がこないかなあ、でも、来たらすぐに終わってしまう、
と楽しみなような切ないような、しかしながら当日はとてもニュートラルに
楽しめて幸せでした。


初日の南米のエリザベステイラー、
2日目のUAの聖母の歌声に日常の煩わしさ忙しさもすっかり忘れて酔いました。
また、余談ですが初日のプレゴプレゴでお見かけした打ち解けた
打ち上げの様子もふくめ、見ている私にとってもハイな2日間でした。




実はこんなファンメールを書いたのは、ライブのすばらしさも
あるのですが、
ふと、
菊池さんは、澁澤龍彦によく似てらっしゃるのでは?
と、それを言ってみたくなったからです。
官能的なその雰囲気や作り出す音楽も。
私は2人のどちらも好きなので、
この時代に生まれてよかった、とつくづく思う次第です。


では、また来年も楽しみにしています。
菊池さんの衣装もまたすてきでした!








こんばんは。

週末のオーチャードホールのコンサート、二日間とも堪能させていただきました。あんな立派な会場は初めてだったので、それだけでとても楽しい気分になりました。その上サイン会があるなんて思っていなかったので、かーなりテンションが上がってしまいましたよ。着物姿も見ていただけたので嬉しかったです。早朝から母にヘアセット&着付けをしてもらい、新幹線に乗っていった甲斐があったというものです(って覚えてくれていますよね?)。沢山の人が並んでいて凄いなーとは思っていましたが450人という数を見てさらにビックリしました(初日もそれくらいされたのでしょうか)。他の人同様、私も「手大丈夫なのかな?」と思いましたが、次の日もされていたので「あ、大丈夫なんだ」と(笑)。本当にお疲れ様でした。そして有難うございました。来期のペペも楽しみにしています。

二日目のcure jazzもとっても良かったです。昨年大阪の公演に行ったことを友達に羨ましがられたので、今回は連れて行きました(それはそれは喜んでくれました)。3階席で遠かったけれど、UAの神々しい美しさとパワーに一瞬にして包み込まれ、何ともいえない心地良さを味わいました(気持ち良過ぎて一瞬意識が無くなったりもしましたが)。類家さんのトランペットも凄く格好良くて…得した気分になりました。しかし何ともチャーミングな方ですね(笑)。

コンサートの後に新宿までご飯を食べに行こうかとも思ったのですが、きっと菊地さんのファンの方でいっぱいかな?と判断してやめました。でも日曜日のランチをクレッソニエールでいただいてから帰路につきました。美味しさのあまり、私も友達も無言で完食しました。本当に美味しかったです。今度は是非プレゴ・プレゴやブリッコラにも行ってみたいです。

今度は3月のダブ・セクステットを心の支えとして生きていきます(神戸のに行くつもりです)。3ヶ月かけて綺麗になります(笑)。お忙しいでしょうが御身お大切に。お風邪も早く良くなりますように。それでは。










 2日とも行って、ひどく感動しましたが、一番感動したのはダブセクステットです。やったねこれ。デートコースが無くなってどうしようかと思っていたら。



 




 菊地サン


いやあ、本当にずるいというか上手いというか、ひどいですねえ(笑)たっぷり2日かけた、新バンドのプロモーション&セールスイベントではありませんか!(笑)。というのは冗談で、僕はペペの日がもう!腐りかけの肉と果物!すこぶるヤラれちゃいました!が!やぱしダブセクステットはもうヤバヤバですヤバヤバですヤバヤバです。







 



 菊地サンぜったいムード歌謡の歌手に成って下さい。っていうかもう成ってる。成孔。

 

オフでい

Dec-12-2007

 

 

本日は今年最後のオフデイ(厳密には「ベッドサイドMTV」の締め切りだったのですが、これは30分で書ける上に、全米ヒットチャートのPVに関する連載なので、これがどうしても仕事と思えないのですな)でしたので新宿満喫。高島屋の「ブリッツキャフェ/クレープリー(かなり本格的なブルターニュ式ガレット/シードルのお店)」で一番ドゥースなシードルをバレ(ぐい飲み)で一杯、ソーシスのサラダ、エメンタール/カマンベールとジャンボンクリュの乗ったガレットと、カラメル/ブールサレのクレープを食べまして、8Fでイランイラン、アレキサンダー・ワン、サクーン等のドレスを眺めて眼福、そのままD&Sのファムオムトンネルをくぐってシャツとボウタイ(黒。黒が欲しかったのです)とフード付きスエットのセットを買い、1Fのシャネルのショップで深呼吸して伊勢丹に行き、クレッソニエールその他、馴染みの店やスタジオへの歳暮をまとめ買い(総て和菓子とシャンパーニュ。和菓子は丹波栗アソート。シャンパーニュは皆ロゼで)、年末年始用の冬物をいくつか(歳暮で両手がいっぱいになったので)買って自室に戻り、それからタクシーで四谷に行きました。

 今年で創業40周年を迎えるジャズ喫茶「い~ぐる」は、ワタシが地元(銚子)で通っていた「イーストコースト」と並び、ワタシが5年以上通った唯二つのジャズ喫茶です。「い~ぐる」の思い出はそのまま上智大学ジャズ研究会(阿部千代さんの出身サークル)の思い出すなわち青春時代の思い出と直結している訳ですが、ワタシの甘酸っぱい青春時代の話などは兎も角、先日開かれた「創業40周年記念パーティー」に、風邪っぴきによって出席できず、メールによる電報出席というとんでもない無礼を働いたお詫びに、ダブセクステットのアルバムとシャンパーニュと栗蒸し羊羹を下げて、20年ぶりであの階段を下りましたところ「いらっしゃい」と出迎えてくれたのは店長の後藤さんではなくクエンティン・タランティーノにそっくりな若者、「あ。ちょちょちょうど今<野生の思考>をかけていた所です。んふふふふふ、んふふふふふ」と不敵に笑うのは映画監督の冨永昌敬氏(32歳。劇場長編第二作が公開終了中。冨永君とワタシと「い~ぐる」の関係については何と言うか適当に調べてみて下さい)。

 後藤さんは閉店まぎわまで来ません。7時から僕が店長をやっているのです。という事で御会い出来ませんでしたが(後藤さん再びすみません近日中にまた伺います。ここからタクシーでドアトゥドア10分なので)、冨永君にカフェオレを作って貰い、いろんなレコードをかけて貰いながら、そのまま来年の冨永作品の話に成りまして、億単位の金が動くビジネス絡みなのでここに気安く書ける訳が絶対に無いのですが、まあそのワタシが音楽監督をやります。

 80年代で時が止まったままの(内装が)「い~ぐる」を出て、今度は「青葉」に向かいまして(ビギナーズの皆様は当欄過去ログをご参照下さい。最近はワインばっかり飲んで伊仏ばっかりでしょう。という御指摘を受けたりするのですが、ぜんぜんそんな事は無いのです。青葉は店内が暗く、勢い料理の写真が美味しそうに写らないので、行ってもここで書かない事が多いのですな)、牡蛎の唐揚げ、細筍と挽き肉の辛み炒め、スペアリブの唐揚げで、青葉おなじみの旅館で出て来るおひつのような物に入っているゴハンを食べまくり。コマ裏からホストクラブ街を抜け、歌舞伎町散歩を楽しんでから帰宅し、頂き物のショコラなど頂いて、MTVの原稿を書き(MTVファンならばご存知、JAY-Z対50CENTの俳優スキル対決。といった話)、いやあ大仕事の後の、のんびりした一日でした。今からバルバレスコを飲んで寝ます。ごきげんよう。明日は芸大の年内最後の授業であります。

 

 

 

ビールを

Dec-12-2007

 

 

ファンメール公開は1度のコンサートに1度だけとしておりますが、ワタシが読む分には永遠に読み続けますので、「もう公開が終わってしまった後なので恐縮ですが」等とおっしゃる事はありませんぞ。本日も変わらず届き続け、悦び続け、読み続けております。シンクロニシティというにはアレですが「演奏中(直後/翌日)に妊娠が発覚(確定)した」というご夫婦がなんと5組もいらっしゃったのには久しぶりで心の底からびっくりしました。おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうございます。おそらくこれは、UAの力の賜物でしょう。

 本日は東京芸大の今年最後の授業でした。内容は事情により伏せさせて頂きますが(聴講された皆様、少なくとも後一ヶ月は御内密に)我ながらこの講義は充実した物に成ったと思っております。この講義の書籍化は行わない方針で、音構造アナリーゼの側面を減らし、その分テクスト横断性を強めて、そのまま来年、慶応義塾大学(三田)に持って行きます。慶應義塾大学の皆様よろしくお願いします。

 淑女の皆様からもNKDS(ネイキッド・サミュエルソン。うそ正しくはネイル・キルド・サミュエルソン。うそ菊地成孔ダブセクステット)に高評を頂き大変嬉しく思っております。来年は第二期ペペ・トルメント・アスカラール(だいたい「色戒/ラスト・コーション」とか「欲望の翼」とかいう感じ)とこのバンド(だいたい「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」とか「殺しの烙印」とかいう感じ)の二本立てで行こうと思いますが、気がつくとバンドばかりでソロ作がないので、それをヴォーカル物にしようかなと漠然と思っています(だいたい「釣りバカ日誌25698885236」とか「スパイキッズ-85・2122」とかいう感じ)。

 さて、DCPRGのDVD発売、シネクイントでのイベントが近づいて参りましたが、この作品、大問題作です。とにかくご覧頂くしか無いのですが、例えば公式プロモーションテキストなどがあるわけですが↓

<2007年4月に突然の活動終了を発表した菊地成孔率いる総勢14人のビッグ・バンド、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN。彼らのDVD「ミュージカル・フロム・カオス 3DVD “花旗”」 が12月5日にリリースされることが明らかになった。資料によれば、今作は彼らの勃興期から活動を共にしてきた鬼才映画監督、夏目元が監督を務めた菊地成孔の内面から〈DCPRG現象〉を再構築する迫真の映像作品とのこと。もちろん、肝心のライブ・シーンもこのDVDでしか聴けない新曲を中心にたっぷりと収録されている。1999年の結成から8年間、常に驚きを与え、時代の先端を走り続けてきた彼らの活動を総括する作品となりそうだ。恐らく、彼らにとっての最後のオリジナル作品となるであろうこのDVD、ファンの方はお見逃しなく>

 これは広告審査機構もしくは暴徒と化したファンによってアウトになってしまうでしょう。特に「肝心のライブ・シーンもこのDVDでしか聴けない新曲を中心にたっぷりと収録されている」という部分はいけません。えー、演奏シーンは作中合計3分に満たないと思われます(マジで本当)。

 という訳でえー、ワタクシが申し上げたいのは一にも二にも「抗議のメールはワタシではなく、P-VINEの天才ディレクター又場くんもしくは天才夏目監督に送って下さい。賞賛のメールは天才ワタシに下さい」という事でありまして(笑)、とにかくこの作品に関して、ワタシは完成品を納品前日に一度チェックしただけであり、企画にも製作にも一切関わっておりません(とはいえ「いやあいいねえこれ。オッケーです。エンドロール特に素晴らしい」とか言って大オッケーを出した訳ですが・笑)。

 ワタシの予想では、夏目監督はその才能を遺憾なく発揮、そして又場くんはその天才性を見事に開花させ、おそらく「食品安全管理/謝罪ブーム」をやりたかったのではないかと(要するに、内部告発を受けて記者会見で頭を下げる訳です)思います。そして「社長を替えてちゃんとしました」とか言って、全編ラストツアーの映像だけの純正ライブDVD/CDを出そうと企んでいるのではないかと思う訳です。凄すぎる。社会風刺。

 言うまでもなく、DCPRGの極点を記録したラストツアーの音響/映像は1秒残らず高音質/高画質でレコーディングされております。「それを出せよ」というお声は、しつこいようですがワタシではなく<P-VINEレコードの又場くん>宛でお願いします。ここからここまで総てジョークだと思い込み「ウソだろぜってー」等といって映画館で踊り狂おうとしている純情なレイブくんたちは本当に来ない/買わないように!しつこいようだがもし買ってしまってキレてもワタシの責任ではない。天才が3人集まった結果だと諦めたまえ。しかし、DCPRGなどほとんど興味が無く、脱構築なシネフィルの方等にはかなりお気に召すかも。といった案配であります。

 というわけで、今から芸大授業の打ち上げに、田中ちゃん佐藤ちゃんと一緒にクレッソニエールに行ってきます。今年一番美味しいビッシュトノエルを作るのは誰だ(トンカ豆入りのショコラムースが必要なのである)!というわけでごきげんよう。



 <キャプション>

2日間に渡り、700名近い人々が並んだサイン会の、最後の方。

大久保通りの有名なゴダール字幕。見事なトリコロール。

やはり照明が暗く、掲示するに若干気が引けるが「青葉」の、台湾式細筍と豚肉と椎茸の辛味炒め。何でも旨い青葉のメニューの中でも絶品。筆者は青葉では中国酒すら飲まず、ジャスミン茶一本槍なので(中国酒で中華料理を食べると、なんというか蒋介石のようになってしまうので)、要するに休肝日なのだが、写真を見るだに「ビールが飲める様に成ったらどうしよう・・・・」「ビールが旨い様な気がして来た・・・」「ビールを下さい・・・」「やっぱり要りません・・・」と循環し続けている。

 

 

 

例外的にファンメールス第二回

Dec-14-2007

 

 

 

拝啓 菊池様

初めまして、初めてのメールで御座います。

12/11の日記を拝見しまして思う所があったのでメールしている所存であります。

唐突ではありますが、まず件の女性の言われるファッションセンスの疎い男について。

何を基準にセンスが良い、悪いと指摘されているのかを文章だけでは読み取れないのですが、そもそも男性のファッションというかファッション史を見るに社交場等の場においての服装というのは、女性を引き立たせるという前提があると思います。

勿論ご存知であることを承知で書きますが、タキシード類に代表されるフォーマルな服装というのは黒に代表されるシックな面立ちであり、それはというのも、全て女性のドレスアップ姿を引き立たせ、浮き立たせるという役割であると思います。それはレディファーストとしてエスコートする/されるというバランス感覚の成せる業でもあります(意味合いが若干違えど日本においての紋付袴と十二単の差異でも鮮やかに見えると思います)。


(中略。内容は服飾史におけるジェンダーについての、鋭い考察)


反面、女性のドレスアップというのは見られる、つまり主賓と成り得るために成立してきた面が多くその点でも男女共の違いというのは如実だと思うのです。

さらにまた、一つには女性に比べて男性の服は厚みがあるということでありそれは、シルエットを考えた重ね着が難しいということでもあります。


(中略。それを更に現代の文化状況に照合した、素晴らしい考察)


お恥ずかしながら、先日のコンサートには仕事の都合で参加できなかったのですが斯の女性に言わせれば、ダサイと称されてしまうような服装であったかもしれぬ男はこんな疑問を抱くのです。

ついつい筆が進んでしまい、まとまってない面も多々ありますが最後まで読んで下さったなら、万感の思いであります。

ありがとうございました。



DCPRGで言えば、「歓楽街と港湾の構造」「mirror ball」
UAとにおいて「over the rainbow」を愛して止まない者より。




(ワタシの返信→実際の物に大幅に加筆修正してあります)


 菊地です

 豊富な知識量と考察量による、論文に匹敵する素晴らしいテキストを有り難うございます。ご高察は仰る通りであるとしか言いようが無く、特に服飾と社交文化に於けるジェンダーの問題は、今や総ての人々に共通の問題でしょう。「服飾」「社交文化」と書けば非常に狭いエリアを連想しますが、人類が衣類を着用し、どこまでインターネットや引きこもりが定着しようとも、やはり人と人が直接接触する場が社会であり続ける限り、これはエレメンタルな問題だと思います。

 とはいえ、これは何と言うか、笑うのは非常に失礼であると承知しつつ、嘲笑ではないので今からつい笑いますが、残念ながら、これは、ぜんぜんそういうレヴェルと話が違うと思われます(笑)。

 ワタシのライブには、非常にシンプルに言って、アニメ/アイドルヲタの諸君が来ます(厳密に、彼等が実際アニメやアイドルが好きかどうかは別ですし、ドレスアップしている人が総てアニメやアイドルに興味が無いと断言出来ないのも言うまでもありません。これは単なる系統、「○○系」といった記号化の類いだとお考え下さい)。彼等はそもそもドレスアップしません。

 件の彼女がヒステリーを起こしたのは「誰それのドレスアップが甘い」とかいうレヴェルではなく、「ださい普段着で来るヲタを一掃しろ/許せん」更に言えば「オマエ(菊地)はあれを看過するのか」という意味だったと(ファザコン的な解釈で)思われます。

 相も変わらず馬鹿の一つ覚えでフロイト的に言えば、文中にあります通り、彼女の状態をファザコン/ヒステリー(これは確かめようもない、推測に過ぎませんが)だとすると<そうした者の怒り>は多く「誤爆」するようになっているのです。あなたに「誤爆」したように(メールから察するに、あなたは彼女から粛清の衝動を受ける様な人物では全くありません)。

 ファザコンやヒステリーに限った事ではありませんが、怒りがしかるべき対象にストレートに直撃出来る能力を失調し、望み(ここでは怒りを伝える事)が遅延される。といった構造を持つ人は多いですね。彼女の粛清の衝動はヲタくんたちには(少なくとも、すぐには)届かないでしょう(ワタシには届いたものの、否定されてしまいました)。

 ですからこれは、服飾センスの問題と言うよりも(還元すれば服飾センスの問題ですが、換言すれば→)、文化エリアの問題、更に言えば差別や階級といった欲望の問題と言えます。

 ワタシのジャズの場での圧倒的な主流派はドレスアプした女性達で、ヲタくんはかなり少数です。しかし、差別者(彼女だけが差別者だと言っているのではありません。あらゆるユニフォーミティはどんなに平和的に見えようと集団的な差別です。更に言えば、ワタシは「差別はいけない」とすら言うつもりはありません。もちろん「差別は素晴らしい」とも言いませんが)の目には、異物が大きく見えてしまうのです。やっとワタシも、「黒人の寿司職人の握る寿司」を、何も感じずに食べられる様になりました。それでもこの界隈に棲まなければ無理だったと思います。

 何れにせよ原因がワタシにあることは間違いありません。「原因」というと、反射的に悪因の如く感じられますが、そうではなく、それこそ構造の問題です。ワタシは統一の達成より、状況の推移に(おそらく)執着があり、いままでフロアが統一された事が一度もありません。

 かといって、完全にバラバラで中心が無い(因にこれは、弱度ではなく強度を意味しています。武道館でコンサートを開く様な「国民的」な名声を持った人々のフロアは、KREVAさんでも宇田多ヒカルさんでもELTさんでもSMAPさんでも、ほとんど同じに成ってしまう。「統一性」というのは狭さの中でしか起こりえません。極端に言えば、毎回客が1人なら、毎回完全な統一性が約束されます。少なくとも服飾的には)。という風に成った事もありません。必ず正統と異端が混在する様に成ります。

 このことを、ワタシの欲望以外に原因を設定する事は難しい。ワタシがマイルスデイヴィス主義やゴダール主義を嘯くのは、「客席がとうとう安定しなかった。という安定」をこの二人が生きた、なかんずく彼等は、正統であり、異端であった。正統にも異端にも成れなかった。その事とも無関係では無いと推測しています。

 何にせよ、おまえは正統か?それとも異端か?という審問に対する恐怖/億劫さが、外出不能性の一因になっているのは間違いないでしょう。外出には着衣が必要だからです。ワタシが幼児化全般を恐怖するのは、着衣と脱衣の区別も失うであろうからであり、ワタシが表現したい事の一番大きな物は「愛について」ですが、そのうちの重要な一つに、着脱衣双方の悦びがある事は、あなたにならばお解り頂けると思われます。

 





菊地さんこんにちは。
初日ペペのコンサートを観にいきました。
演奏すばらしかったです。ユードントノウワットラブイズの歌は何回も聴きたいです。菊地さんの歌声が好きで、無性に聴きたくなるときがあり、CDをひっぱりだしては聴いていますが、そのたびに感動します。生で聴くのはさらに心に染み入りますね。

私はいま妊娠中で、正月ごろ生まれる予定なのですが、コンサート中おなかの赤っちはのびたり蹴ったり活発に動いてました。病院にも菊地さんのCDを持っていって、陣痛室で聞こうと思ってます。痛みが緩和する気がするので。

菊地さんのことを知ったのはスペインの宇宙食が発売された頃で、そのころは今の夫と会ってもいなく、まさか赤ちゃんができて結婚することになるとは思ってもいませんでした。昨年の夏はラジオで聞く菊地さんの歌舞伎町ライフがとても面白そうでたまらず、少しの間ウィークリーマンションを借りて住んでみました。子供がうまれたら当分そういう発作的な行動はできなくなるなあと思うとさびしいです。

でも心がさびしくさびしくて私は菊地さんの音楽を求め聴いていて、今の夫に会い、ほんとに一生この人といたいくらい好きなのか?などと考える間もなく即子供ができたので、生もうと思い、今に至るので、さびしいとかいってられませんね。。

ではこれからも演奏や執筆がんばってください。応援してます。







菊地様

先日のオーチャードホール、初日伺いました。

金色の曲。

目をつむってあえて違う色を想像して拝聴させていただきましたが
頭の中がみるみるドロッピング仕様の金色に変わってしまい、無駄な抵抗に終わりました。素晴らしかったです。

新譜はデギュスタシオンのフェイドアウトで焦らされ、ぺぺでは見せてくださらなかった何かをしかもチャイニーズブッキーでこられましたか。何をたくらんでいらっしゃるのでしょうか?格好良すぎます、お酒無しで酔っぱらえます。あと、ビールはギネスが美味ですよ。



菊地成孔様。

こんばんは。Bunkamura公演、お疲れ様でした。
両日ともに仙台から参加させていただき、いまだうっとりと余韻に浸っております。
(今、南米のエリザベステイラーをかけていたのですが、聞き入ってしまい、止めました)

「2日間に渡り、700名近い人々が並んだサイン会の、最後の」者、です。

一ファンとしてこれ以上嬉しいことはなく、同時に「もっと自分が美しかったら」と思ったのは女子ゆえの自意識でしょうか(菊地注*うひー何をおっしゃいますかあなたお美しいですよ本当に)。

サイン会では、菊地さんを目の前にするとあがってしまい、本当はそんなに好きじゃないんですよ? と変な意地をはりたくなってしまいます。

いいえ、嘘です
大好きです。

DCPRGにはまり(世界が一致したような、色々なことが「腑に落とせた」気がしました)。そういえば10minutes olderのCDも持っていた、と自分の勘を嬉しく思ったり。エッセイを読んでなぜか足穂を思いだしたり。

無条件に「菊地成孔」の文字だけを追いそうになる自分に気をつけてはいますが、
自分が、ふくふくといい匂いのするほうに進むうち、何もわからないまま、特別な場所に紛れ込んでしまった子供になった気がします。
(私の妄想の中で、菊地さんは神殿で供物を捧げています)

今の私は菊地さんの音楽と出会え、多少なりとも美しい音楽を味わえているつもりですが、(多少、というのは勿論受け手の問題として)もっと理解が深まれば、今は知らぬ音楽の寛容さに受け止めてもらえるか、とその想像は、とても甘い、です。

ところで、私は菊地さんの文章もとても好きなのですが、言葉を飼い馴らしているような、言霊を信じていないような印象を受けます。それは、菊地さんが言葉ではないものを信仰しているからでしょうか。

NKDSのライブ、地元の仙台で参加します。
去年の富永監督とのトークショーでも来られていた場所ですね。
今からとても楽しみにしています。

乱筆かつ長文。自分の文盲さを呪いながらも、所詮は一方的なファンメール、
許してもらえるだろう甘えた気持ちで書いてしまいました。
田舎娘の戯言です。聞き流してください。

もし、受け取っていただけるなら。
たくさんの感謝と、愛を。








菊地成孔様

「自分が饒舌なのは、本当に重要な事を隠す為である」といったことを、あなたは過去、夏目現監督のインタビューで仰っていますが、何故あなたが「ポストクラブ」としてホールコンサートに焦点を定めているか、それは、「拷問」という物が、ほとんど総て「椅子に座って行われる」からではないでしょうか?

 もしそうだとしたら、あなたはその事に口をつぐむでしょう。巷間思われている程、あなたはシンプルな自己言及主義者ではないと思います。僕の印象では、あなたは一番重要な事(例えば、カフカの「アメリカ」の映画化は、ストローブ&ユイレによって行われている事とか)がバレないよう、猛烈に喋りながら隠している様に思えます。

 何でも説明しなければ気が済まない、○○○○(菊地注*実名が記されていますが、余りに名誉毀損的なのでワタシの判断で伏せ字にしてあります)のようなバカは、あなたの様な優れた複雑な、圧倒的な情感を表現する事は出来ないでしょう。あなたの秘密は、秘密にあると思っています。ダブセクステットのアルバムから、とうとうライナーノートが消えている事からも、その事を確信しました。

 僕はDCPRGからあなたの音楽史に合流した、すれっからしでもビギナーでもない、シネフィル寄りのあなたのファンですが、きっと僕と同じ考えの人々がたくさんいると信じます。あなたの才能は最終的に映画監督として花開く事を。現在発揮している数十倍の才能を発揮すると思います。

 DCPRGが活動を終了した時、僕は「この人は自分のピークをコントロールしようとしているのだろうか?」と不覚にも考えてしまいましたが、ペペトルメントアスカラールのホール公演を聴いて、本当にこの人は映画的で、ゴダール主義者だ。と痛感しました。「もう、このあと何をするんだろう?」と思われるほど完成し、終了した、クラブミュージックとしてのDCPRGのアフターとして、「まったく踊れない/着席拘束による甘美な拷問」という方向性を打ち出して来た事は、クラブカルチャーが終わり、終わらない事の、もっとも鮮烈な表現だと思います(「スクラッチの入った、クラブジャズではないジャズ」もそうです)。

 それは、60年代ゴダールに対する70年代ゴダールが、あるいは70年代ゴダールに対する80年代ゴダールが(あるいは、あるいは、とずっと続く)、前の表現を乗り越えたり、更新したり、捨てたり、変貌したりしたのではなく「続けた」こと、一般的に言われる継続の意味ではなく、同軸の上に、違う表現がどんどん続く(これが、あなたの言う「モードチェンジ」なのでしょうか?)。という在り方とまったく同じだという意味です。

 アイドルヲタやアニヲタが、来もしないであろうあなたを、ニコ動を見ながらゴドーの如く待っている様に、シネフィル達もあなたを待っています。蓮實重彦との対談は、あなたのファンになってからもっとも興奮させられることです。「速報」に掲示されたファンメール執筆者の一人と同じ事を言いますが、あなたのライブの客席は(あなたが映画を愛するあまり)女優でいっぱいになってしまう。「存在しない女優」が「存在しない」場。というのが第一期ペペの終了時だったこと、それによって「存在しない女優」という概念が、客席全域に浸透した事は、あなたのコンセプチュアルアート指向、女性崇拝(恐怖)傾向の極点だったと思います。本当に「美しい」コンセールでした。有り難うございました。







菊池成孔様

先日のオーチャードホールでの公演、私も一夜めに行かせていただきました。

実は、以前NHKで放映されたドキュメンタリー(でしたでしょうか?)で菊池さんのことを知り、深く印象にとどめながらも、日々の雑事に追われ、そのままになっておりました。

今回、ひょんなことから本公演のことを知り、即座に「行ってみよう、聴いてみたい。」と思い、意外にステージに近い席が取れたこともあり、12月のお楽しみとして心待ちにしておりました。

そんなファンとしても新参者、ジャズの世界に対しても門外漢の私が、このようなメールをご本人に送ること自体、おこがましく恐縮するばかりなのですが、あの夜に感じたことを、私も他のファンの皆様のように自分の言葉でお伝えしたい、という一心で、一杯ひっかけながら、勇気をふりしぼって筆をとった次第でございます。

音というもの、音楽というものが、あんなに気持ちよいものだとは。
最初から最後まで、愛撫されているようでした。
正直言って、濡れました。

私のなかの野性というものも蠢き、あの夜は、ムラムラしてしまいました(笑)。

すっかり魅了され、これから菊池さんの今までを辿る、という楽しい作業が待っています。そして、発信されるものを享受するという・・・同時代に生きて、という幸せをいま感じています。

これに似た体験が、直近で谷村新司(菊地注*うひー。ああああああ頭が)さんだったことを思い出しました。

何であんなに入れ込んでいたのか・・・醸し出すインテリエロといった雰囲気がたまらなかったのでしょうか。やっぱり色っぽい人が好きなんですね。

余計なことも書いてしまい、長くなり失礼しました。
お風邪を召されていました。どうぞご自愛下さいますように。
楽しみにしております。





菊地さん

こんにちは。
先日オーチャード・ホールへ行きました。
ここ1年半ほどライブや生きくちさんを見れていなくてずっと行きたいと思っていたところ友人がずっとUAのコンサートに行きたいといっていたのをずっと断っていたのを思い出し当日の一週間まえにブンカムラの前を通ったので「無いよね絶対無いよとうの昔に売り切れだもん」といいながらチケット売り場であっさりありますといわれ即買いしました。そんな人もいるんですね笑。

1階の一番後ろで、終わった後も「UAって髪結んでたの?ベリーショートっぽくなかった?」と論議を交わしていました。やはりそれくらいは見える位置で見たかったような。

でも本当に素敵でした。赤いのがひゅるひゅるとぼやけた感じとうっとりする毛皮さんがふいに放つマジック。

サインおわったあと素敵でしょ?素敵でしょ?と友達にいうと

「うん、いいねなんかリリーフランキーみたいにいい感じ(菊地注*うひー!ああああああ頭が。リリーさんすみません一度お越しいただいたのに)」

というのでなんか微妙な感じでした。

「だって彼だってとってもいい感じじゃない?きらい?」
というので

「たぶんそんなに嫌いじゃないけどよく知らない。いい感じのちょっととんちのキイタ大人の雰囲気とかじゃなくてー」

とか。。

お伝えしたかったのは、その数日あとの事。
営業先の刺青やさんでバレンタインデーに行うパーティーのお話をしてたら、原宿のクロコダイル?で大儀見さんとコラボレートしたよ、という話をされるので「大儀見さん知ってます」という話からまさか「菊地成孔さんという方のブログ上だけで」と申しましたらカルロスさんが(菊地注*大儀見の全身にタトゥーアートを施したブラジル人の彫り師)彼もしってるよというのですごくびっくりしました。

2時間も話して頂いた挙句最後にそんなオチが!
彼から「オーチャード行ったよ」とか似合わない言葉が!!

素敵な偶然でした。

ごちそうさまです。

またお会いできる日を楽しみにしております。。









菊地成孔さま。

オーチャード2daysの速報を知った頃。出勤途中にipodから「Some~」と聴こえてきた時、天から雨が落ちてきて、その瞬間「あ、絶対行く」って決めたのでした(仙台で販売の仕事をしているので、12月の繁忙期の週末に連休は取れるのか?どっちも行けるのか?がグルグルしていた時期)。

オーチャードホールに「Some~where~」が響いた時、あの時の雨を思い出しました。

菊地さんの素敵なスーツや美しい手や唇に焦点を合わせていたのに、UAさんのドレスや姿が美しくて魅入ってしまいました。

好きな方が多い菊地さんのボーカル(男性の、手と声フェチの私は、菊地さんの歌声がかなり好みであり、耳元で唱ってくれたら即死でしょう)ですが、UAさんとのデュエットでうっとり度が増し増しでした。

サイン会は7日のみと思っていたから、会場に着くなりあれ?って思いましたが、菊地さんらしいなぁ 良い人だなぁって。サイン会有る無しに関わらずDUB SEXTETは買うつもりでした。

そして終演後、ロビーに出たらすでに長蛇の列。。

21時32分東京駅発の最終新幹線で仙台へ帰らなければいけなかったので、黙々とサインをする菊地さんを見ながらオーチャードを後にするのでした。。

すてきなステージをありがとう。
3月のメディアテークでのDUB SEXTETを心待ちにしております。
風邪が早く治りますように。






 菊地先生

 「速報」では悪役(?)にされてしまいましたが、僕は「服ダサ男子」を排斥しようとする女性に、部分的にですが賛成です。

というか、僕も含め(自分ではそのつもりです)、「菊地ファンのお洒落女子に釣り合う様な男性ファン」を一人でも増やす事に悦びを見いだしている男子ファン(今「談志ファン」と出て爆笑問題しました!)は多いと思います。勝手に。ですけど、がんばります(だから彼女とはいかないです)。

菊地先生のライブ会場に、「服ダサ男子」がいなくならないのは、「WANTED→ハピマテ」「エスロピ」「CD株券」なんかのせいもあるけど(格ヲタはあんまり関係ないと思います)、ズバリいって大元はスパンクハッピー(岩澤さん以降の)のせいですよね。

先生は「若い男ガキにあの微妙な感じがわかるもんか」と思っていると思うんですが、日本国における反ヲタ/嫌ヲタではなく、超ヲタという意味でスパンクハッピー(岩澤さん以降の)は菊地先生のどのお仕事よりも重要だったと思うし、その重要性は今も消えていないし、そのことを解っている20代男子(因に僕は23歳で、ゲイです。菊地先生の事を教えてくれたのは、年上の恋人です。もうやめようと思ったんですが「20代談志」に以下略←先生へのリスペクト)はぜったいにゼロではないのです。個人的に「アキシブ系」なんて本当にぜんぜんダメだけど、おなじ考えだと思います。





菊地成孔さま

こんばんは。

7&8日とも、2日間は、この1年間でとても優雅で甘くて、そして音楽はとても素敵だな、と思った時間でした。

音楽に似合うお食事と飲み物を、と思いまして、菊地さんがサイトに書かれているお店に行こうと考えたわけです。

まさか、とは思いましたが(いや、実は少し予兆があったので、それは下記に。。)プレゴプレゴでお会いするとは。。かなり私舞い上がっておりまして、何をお伝えしたか(いや覚えていますが。)・・・

サインまでいただいて(3回目なんですけど。)。
でも、シャンパンとタンクレディはいただけませんでした。

だって、すごかったんですよ。
一口でも、と思い、混雑にまぎれてみたのですが。
たまたまた私の後ろにいた方がオーチャードホールの従業員で、プライベートでコンサートにきていらっしゃったらしく。

「いや、すごいな。。今までこんなことなかったよなあ。●●さん、超テンパってんじゃない?」
「さすがだなあ。・・・」
「あ、みえた、みえた。わー。俺こんなに混んでるの初めてみた」

という会話を繰り広げておられ、あ、これはたどり着かないかも、と思い、早々に諦めた次第です。

それにしても、みなさんそれぞれの「フォーマル」で、それぞれに似合う服装をされていて、音楽を聴く、感じるために集う空間というのは、いいものだな、改めてと思いました。

職業柄(とある地方のコンサートPRの仕事をしております。)、ライブの空間、そしてそこに集う人々でこんなにホールがかわるものか、と日々実感しているのですが、プライベートで仕事とか考えずその空間にいれること、そして最高の音楽を聴けることが、幸せでした。


さて、プレゴプレゴでは失礼しました。
カウンターならあいているよ、というお店の方の親切でむかったのですが、入った途端、鈴木さん、堀込さん、がいらっしゃり「これはヤバイ。打ち上げ会場だ。。野暮なことはするまい・・」と思い、ひっそりカウンターで飲んでおりました。(というつもり。)

その後、地方からきたものですから、お店に荷物を置き忘れ、取りに戻るエレベーターの中で、後輩がどうしても「今日のコンサートのお礼をいいたい」といいまして、突然突進した次第です。

私も舞い上がって「愛知県の芸術文化センターのレクチャーは・・うんぬん」とかいってましたよね。今日のコンサートのことを伝えねばと思いながらも、先の楽しみまでいってしまう、というのは齢のせい、でしょうか。

打ち上げ会場にファンが入り込むのは野暮だと思っていながらも、驚いた菊地さんがいらっしゃって、嬉しく思いました。突然お声かけしまして、大変失礼しました。申し訳ございません。


帰ってきて早速、アルバム拝聴しました。
かなり脳髄劇中。ライヴが楽しみで仕方ありません。


そういえば、ぺぺを聴いたのは、名古屋ブルーノートが初でした。
今考えると贅沢ですよね。300名くらいで聴けるなんて。
ただ、弦やハープがなかった違い。今回の類家さんと弦、ハープの堀込さんがいらっしゃったことで、さらに空気が揺れる感じがしまして(1夜と2夜がこっちゃになってますね。。。)おかしくなってしまったようです(笑)


フィッツカラルドの、あの狂気なまでの「オペラハウス」を作るという願望に、異常な共感を覚えてしまいます(笑)。アルゼンチンは一度いってみたい国です。肉を食べつくし、タンゴを見、ついでにウォン・カーウェイばりに「滝」までみてきたいものです。
そんな夢のような世界を思いはせながら。






菊地さんへ


こんばんは、菊地さん。
先日のオーチャード公演、2日間伺わせて頂きました。
素晴らしい時をありがとうございました。
風邪はもう治られたのでしょうか?お大事になさって下さい。


私は下戸なのですが、あの日ほどお酒が飲めないのを悔やんだ日は
ありません。ちょっとでも飲むと、どこでも寝てしまうのです(笑)

なので、飲む練習を始めました(笑)
毎日ちょっとずつ飲んで慣れていきたいと思います。
いつか菊地さんお薦めのワインやシャンパンを堪能できるようになることを願って。
菊地さんの音楽も、また違った感覚で聴けるような気がします。


今後の活動も楽しみにしております。
お忙しい中、読んで下さりありがとうございました。








菊地さん

お世話になっております。
J-WAVEの河内ひとみです!
9日のオーチャードホール、お疲れ様でした!
そして、お招きしていただき本当にありがとうございました。

うっとりするような素晴らしい音楽と空間、、最高でした。。。

ご挨拶できただけでも光栄でしたのに、
打ち上げまでお招き頂き、、、本当に恐縮でした。
…と、思いつつ、かなり豪快に飲み、
楽しいひとときをみなさんと過ごさせていただきました。。。
おいしいお料理とワイン、そして才能ある方々に囲まれ、
これは夢!?と思う豪華なひとときでした。
しかし菊地さんのブログを拝見したときに、私の名前が登場し、
ゆめじゃなかったんだ…と確信いたしました(笑)

今回このような素敵なコンサート、そして打ち上げにお招きくださった
皆さまに感謝しております。
本当にありがとうございました。
どうぞ、皆さまにもよろしくお伝えください。

2008年はDUB SEXTET始動ですね!
楽しみにしております。
益々のご活躍を期待しております。

そして、菊地さんをぜっっったいJ-WAVEにカムバックさせます!!!
また一緒にお仕事できる日が一日でも早く来るように、
私もがんばります。

このたびは本当にありがとうございました。
寒さが厳しくなってまいりましたので、暖かくしてお過ごしください。







2日目の夜に伺いました。

呼吸を忘れるくらい素敵な時間でした。

UAさんの声、菊地さんの声、バンドの音が
私の中にあたたかくしみ込み
柔らかく満たされました。
少し恥ずかしいような表現ですが
本当にそう感じました。

言葉ではうまく言えませんが
「CURE JAZZ」というタイトルの意味が
私なりにわかったような気がしました。

菊地さんのお話も、すごく楽しかったです。
人柄が出ている感じがして。

またお会いできることを
楽しみにしています。

ありがとうございました。







 オーチャードホール二日間とても堪能しました。

祖母が娘時代(戦中?)に付けていたというセイコーの22Kのドレスウォッチ、真珠のネックレス、晩年に買ったメッシュのヒール、極妻の様なプラスチックの重い凶器じみたクラッチ、これら祖母の形見達はとてもやさしくイランイランのラバーのような光沢のブラウンのドレスに、よりそってくれました。(いろいろ迷ったのですが今回もイランイランのドレスを新調してしまいました。やはり素敵なんですもの!^^会場でかぶらなくてよかったです。。)


今思い出してもあの時間、空間はなんだったのでしょうか
クラブハイツが身悶えするような悪夢だとしたら
オーチャードは音楽の魔法、薬効、霧がつまったカプセルの中にいるのような気持になりました。

ホールが宇宙船で、自分が安全な席に納まって暗黒の中を、漂っているいるように感じました。SFのようで変ですね(笑)

いきなり「Over the rainbow」から始まるとは思っていなくてでももういきなりあの空間の端まで霧がのような魔法がかかったようであのホールの中にはいろいろなものが召喚されているようでなんどもふわあっと天井を見上げてしまいました。。。

天井から音がふってくるような演奏もさることながらオーチャードホールの底力も感じました。

ペペの日の照明は壁に大儀見さんのシルエットが大きく写ってましたね。「影ですら大儀見さんってイケメン~」とうとりしてしまいました(笑)

UAさんを今回初めて見たのですがとても美しくて、かわいらしくってびっくりしました。おもしろくって大好きになりました!!^^

砂糖も「甘い」と感じますし、恋人の性器が体に当たるときも「甘い」としか例えようのないものを感じます。そしてあのオーチャードの空間も。甘いとはなんなのでしょう。。。なんなのでしょう

カロリーの高いもの、人が生きるために必要とするものを「甘く」「美味しく」感じ
るように本能が命令してるならあなたの音楽を私がたとえようもなく甘く感じるのは


あなたの音楽に共感した様々な世代の人が集まったあの空間はとても素敵でした。
(みなさんのドレスもお着物も素敵でした)
音楽と感動を沢山の人々と共感したあのすばらしい時間を今もこうして、愛しく思い出してます。

次は母と来れたらと想いました。
子(私にとって姉)を亡くした母に。ぜひ聴かせてあげたいと願うのです。


菊地さんのお風邪が早く治りますように。








菊地さん
 はじめまして。と書きたいんですが実は違います。歌舞伎町で何度もお見かけしてます。

 俺は「○○○(菊地注*実在するホストクラブ名)」のホストで○○(菊地注*源氏名)といいます。まだまだです。

 菊地さんの事を教わったのは「○○○(菊地注*実在するキャバクラ名)」の○○(菊地注*解りますよねもう)からで○○は菊地さんの事をすげえ勢いで周りに宣伝しています。

 最初に菊地さんの写真を見た時は「なんだこいつ」と思ったんですが(すいません本当です)俺の親父のトシに近いんで驚きました。

 音楽を聴いたらもっと驚き、○○が全部録音してるラジオを聴いて、もっと驚きました。

 今では○○よりも俺の方が菊地さんのファンです。好きなのはエンジェリックとキュアージャズです。

 やりきれなくなる時もあるんですけど菊地さんが歌舞伎町を歩いているのを見つけると元気が出ます。菊地さんいつも笑ってるし。

 このあいだ夜中の3時頃バッティングセンター脇の華僑飯店で菊地さんが毛皮のコート着た(えー。あー。中略)てたときに隣の円卓で鯉とか喰ってました。

 菊地さんはむずかしい話をしていて俺にはぜんぜん意味不明だったんですけど女の人の扱いは正直どの先輩よりも上手いなと思いました。あの人完全トロケてましたね。

 このあいだ○○とオーチャードホールにいったんですが○○は普段のかっことぜんぜんちげっていきなりモード系で正直ぶんなぐりました。

 でもライブは最高でした。○○が感動でマジ泣きしたんでモロびっくりしました。

 今後おみかけしたら名乗りますので遊んで下さい。いろいろ教えて下さい。




拝啓



菊地さん!

楽しく過ごさせていただいたお礼のメールを、と思っていたらやっぱりすでにたくさんのメールが・・・。

一足遅れてしまいましたが、オーチャードホール本当にお疲れ様でした!
両日とも参加しました。とても素敵な二日間でした。

実はあたしも風邪をひいていたんですが、ステージからの音楽に引き込まれてまるで夢を見ているようでした。

菊地さんをはじめ出演者さんと楽器たちがキラキラしていました。
風邪で熱っぽいせいか体がぽかぽかしてフワフワして、とても気持ちがよかったです。

ペペの音楽を聴いて、アルゼンチンに少し興味を持ちました。機会ができたら旅してみたいです。

じつはUA×菊地の「Night in Tunisia」に感動して、友だちと二人で4月にチュニジアに行ってきました。一緒に行った友だちの誕生日を砂漠の中、シャンパンでお祝いしてきました。

真っ暗闇の空と砂漠の真上に浮かぶ月を見つめながら、ふたりでCure Jazzの「Night in Tunisia」を涙を流しながらずっと聴いていました。

そんな思い出ぎっしりの「Night in Tunisia」をこの耳で聴くことができて本当によかったです。

そしてちょっと恥ずかしいのですが、素敵な二日間を過ごさせていただいた上に優しい笑顔でCDにサインまでしてくれた菊地さんに、恋、してしまいそうです。すみません・・・。

ちょっと残念だったのは、初日に菊地さんが選ばれたシャンパンが売り切れで口にできなかったことです。もしよろしければ、なんというシャンパンだったのか教えていただけたら幸いです。

UAはちょっと声が苦しそうに聞こえました。空気が乾燥していたからでしょうか?

Dub SextetのCD、毎日聴いています。JazzとDubってすんごくかっこいいですね。

東京でのライブ、職場から近いので行く予定です。

今週末の映画はまだ迷ってます。

tokionを探しているのですが、見つかりません。(笑)

こどもじみた文章で失礼しました。あたしも大晦日、ハッスル行く予定です!ハッスルハッスル!お互いに、風邪、早く治しましょうね。2丁目で偶然会えたらお茶しましょうね。





菊地成孔様

 7日のペペ編、妊娠6ヶ月の妻とともに観に行きました。菊地さんの風邪(いやチャーミングでした)とサーヴされたワイン&シャンパン、そしてもちろんなによりも「うっとり」感2000パーセントの音楽を、堪能しました。何よりの胎教音楽、男でも女でも官能的にちょっとヤバい子供が生まれてくれればなと思います。

 話は変わりますが、先日やはりオーチャードで観たデヴィッド・シルヴィアンもひどい風邪のようでしたが・・・・・・秋~冬のオーチャードには何かあるのでしょうか?年末にかけてお忙しい日が続くと思いますが、お体にくれぐれも気をつけてお過ごしください。新しいバンドの音をまた改めて生で聴く事を楽しみにしております。




 菊地成孔様

 「目が合った。あなたが笑った」と思った時には、マイクで大きく「ミュウミュウの二人組みっけ」と(といったようなことを)言い、会場が湧くと同時に彼女がわたしの手を思いっきり強く握りました。靴までは見えなかったでしょうけれども、わたしのは踵にジュエルが固まっており、彼女のは爪先に固まっており。と言えばわかるでしょう。

 UAに対するあなたの戯画的な身振りが(あなたとUAには、恐怖どころか信頼と相互治癒以外ありえないように見えました)、レズビアニズムに対する揶揄であったとまでは思いませんが、存在を意識されている。と思いながら聞く音楽というのは、くすぐったいような、心地よいような不思議な経験でした。

 女性の同性愛に対するあなたの考えを聞きたい。などと不躾なことを書きましたが、答えは音楽によって充分貰うことができました。あなたへのファンメールは欲情や劣情の促進を告白するものが多いので、わたしたちは控えさせて頂きますが、演奏中にわたしも恋人もどんどん美しく成った自覚があり、ちょっと恐ろしい程でした。それではまたいつか。


 

  


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 打ち上げでは高速でご機嫌に成ってしまったので、後から改めてゆっくり伺ったブリッコラにて。ブリッコラ必殺のグリッリアのミスト。馬肉と自家製サルシッチャ(沖縄のアグー豚使用。素晴らしい熟成感と軟骨や腱の歯ごたえ)、コントルノはフンギのミスト(オリーブオイルでソテー)と、練ってからオーブン焼きしたポレンタ(ポレンタは北部アルトアディジェでよく食べられ、彼の地で修行した北村シェフにとっては得意技である。口の中に広がる、退行的なまでに甘く深く、クリーミーなコーンポタージュの味)。いつも「うわーうわー。あああああ」と言いながら一気に全部食べてしまう。フルボディの赤もしくはガス入りのミネラルウォーター(ブリッコラではスルジーヴァ)がマリアージュ。


芸大の講義終了の打ち上げで伺ったクレッソニエールにて。「少し早いですけど」と、杉原マネージャーが運んで来たデセールのアソートは、サンタクロースのシールに注目。クレームカラメル(ドライ系)、噂のムース・オウ・ショコラ・ブランのカラメルがけ(デュース系)。フランボワーズのジュレ(ドライ系)総て絶品。子供の頃の「日本のお誕生会感覚」と古き良きパリ感がマリアージュ。


思わずカメラを取り出し、同時に写真に撮る、田中ちゃん(23)と佐藤ちゃん(19)は、芸大菊地クラスの助手。写真では解りずらいが、二人とも170超の身長である。お疲れさまでした。

 

 

 

アルバム発売&対談発刊&ファック・アラン・デュカス

Dec-22-2007

 

 

 パリコレでの取材日記執筆に追われ、宇川直宏氏との膨大な対談のゲラチェックに追われ、マイルス本のラストスパート(最終ゲラチェック並びに、「オン・ザ・コーナー・コンプリート・ボックス」以降の追加原稿など)、「服は何故、音楽を必要とするのか?」の執筆開始、と、クリスマスから年末にかけて、ずっと原稿を書いているであろう年末文筆家、菊地成孔です。

 さきほど、「Hanako」でプルミエにご紹介させて頂き、その後目出たくギッドルージュで星二つを獲得したミッシェル・トロワグロに、お目出度うございますの意を兼ねて、年内最後のフレンチディナーの予約を入れようとした所、「菊地さんのご予約なので何とかさせていただきたいのですが、生憎年内はどうしても満席でして、、、、」と言われました。結構結構、新宿で唯一のフレンチ二つ星獲得。年内レゼルヴェが一杯なのは致し方ありません。

 言うまでもなく、これはワタシの業績ではありませんが、「Hanako」でご推薦させて頂いたうち、トロワグロはこうして見事二つ星獲得、「クレッソニエール」「プレゴプレゴ」「ブリッコラ」は、時折ワタシも入れぬほどの人気店となりまして、ディナーはウイークデーでも満席の日が多く成りました。店の方々は「菊地さんの御陰です」等とおっしゃいますが、言うまでもなく、書いても不味かったら客は来ませんし、ワタシが書く前から既に人気店だった訳で、ワタシは楽しく好きなお店の紹介を責任を持って書いただけであって、それよりも、人気店になっても味が全く落ちない各店の誠意とモチベーションに感服しています。

 そして、もう時効だから書いてしまいますが、伊勢丹地下一階の、アランデュカスの「ブーランジェペシエ」には現在ぜんぜん客が入っておりませんで(本当。毎日通るので間違いないです)、前田日明の舌禍事件を真似るのであれば「ざまあみろ」であります。従業員の方々に罪は一切無いので、彼等を傷つけたくはないのですが、一日も早く営業不振で潰れてしまえ、特に、広報担当者は責任を取って解雇されれば良いと心の底から願っております。

 あそこの広報担当者(日本人/女性)はおそらく一流貴族の出だと推測されますが、ワタシが、あの店の魅力を、伊勢丹地下ユーザーに向けて100%引き出すつもりで、拙い文章とはいえ、味とクオリティの割に集客がいまいち少ないあの店に光を当て、何も知らぬOLさんも楽しめる様、心を込めて書いた原稿の一字一句総てにいちいちダメ出しをして来まして、曰く「この表現は誤解を招く」「この単語はデュカスグループでは使わない事に成っている」「こういう言い方なら掲載してやっても良い(例文が延々と送られて来る)」「デュカスグループではこういう表現は使わせない、統一的な表現があるので、こちらに改める様に」といった、それはそれは素晴らしいダメ出しの嵐で、ワタシの原稿は原形をとどめぬままに修正され、広報担当者が製作した例文を組み合わせただけの物にさせられまして(因に、トロワグロを含め、他の総ての店からのダメ出しは、誤字や資料の誤記以外は一切ありませんでした)、そのスーパー何様ぶりには関係者一同、ハラワタが煮えくり返っていたのですが、ワタシは大喜びで「これはこれは大変失礼しました。料理店の紹介に関してワタシはシロウトなので、いろいろと不適切な表現があり、ご迷惑をおかけしました。以後気をつけます。ご指導ご鞭撻有り難うございました」と、王家の出である広報担当者に平身低頭し、脳内では(潰れろ)という全身全霊を混めたテレパシー衝撃波を一発喰らわせてスッキリした後に、毎日毎日「今日も客ゼロ」「今日も客ゼロ」と確認しては悦びを得ていたのです(笑)。少々趣味の悪い話ですが、人生にはこうした時間も必要です。

 「Hanako」が出た後にいきなりコレをやると、サイトを使ったミスリードに成りますので、すぐには口にせず、紹介した他店が繁盛し、あすこだけに哀れ閑古鳥が啼いているという状態が安定してから書いてやろうと手ぐすねを引いていたので、本当に良い気分です。こういうことは何となく伝わるのか(ワタシは天地神明に書けて、口をつぐんでおりましたが)、ファンメールにも、あそこに行ったという物は一通も無く(他の店にはたくさんありました)、天知る地知るとは言ったものです。どんなに味が良くても、経営者や広報が世界一の貴族では庶民は恐ろしくて入店出来ません。ワタシのテレパスが無くとも、あそこは自滅したでしょう。

 ワタシは偉いんだ、そんなワタシの原稿にケチをつけるとは何事だ。等という立派な台詞を吐くほどワタシは稼いでいません。自分がどう語られるか、そのディスクールをコントロールしようと躍起になる者、つまりは自我が肥大し、怯えている者が、どうやって庶民の食の楽しみを生み出せるのかという話です。まあ天下のデュカス様ですから、新宿なんぞのデパートの一角から徹底しようと、痛くも痒くもないでしょうけれども、ファックとはこういう事です。

 とさて、新宿タワーでのブロマイド(笑)付き先行発売、オーチャードホールでのサイン入り先行発売、を経まして、いよいよダブセクテットの「The Revolution will not be computerized」が全国で正規発売と成りまして、既に感想メール等も頂戴しておりますが、この作品に関しては、少なくとも当欄では口をつぐもうと思っています(インタビューはいくつか来ていますが)。お買い上げ頂いた総ての皆様、このバンドのデビューを見届けようとライブのチケットを予約して下さった皆様には「共に楽しみましょう」とだけ、強く申し上げさせて頂きます。この作品(CDもバンドも)と連作に成っております「マイルス本(タイトル未定)」「服は何故、音楽を必要としているのか?」という二つの書籍、並びにクールストラッティンとのコラボレーションもまとめてお楽しみ下さるとメッセージが立体的に成ると思われます。

 蓮實重彦先生との対談が掲載された「エスクァイア日本版」の最新号が発売に成りました。シネフィルとして針のむしろの様な仕事だった訳ですが、始まってしまえばひたすら楽しく、上がりもなかなか面白い(同誌に掲載された、佐々木敦×青山真治対談と並べると面白さ格別です。青山さんが批評家に怒っている!&ブログの意義を説いている!一方、こちらは蓮實先生と「デスプルーフ最高」とかいって悠長な話)物となりましたのでお楽しみに。それではごきげんよう。



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 顔は柔らかくしているが、内心で舞い上がるほど緊張している「蓮實先生と一緒に映画を見ているという設定でのフォトセッション」。「エスクァイア」には前号の「アイウエアのモデル」から二号連続して登場、おそらく次号にも登場(「筆者選曲による100曲入りi-podプレゼント」という企画)。

 その「エスクァイア」本社にて。マイルス本の最終打ち合わせ(掲載写真のチェック等々)。

 先日行われた慶應での講義(筆者の講義のプロモーションも含めて、友人である大和田先生の講義に呼ばれた)。果たして何人が聴講するのだろうか来年は。

 

 

イヴイヴ

Dec-24-2007

 愛の街、歌舞伎町の活気たるや。しかしながらワタクシ、風呂も入れずレストランにも行けず、ソイジョイを齧りながらパリコレの取材原稿をせっせと書いております(泣笑)。去年の今頃はジェームス・ブラウンの訃報とともにゆったりしておったのですが。今年は膨大な取材メモそして資料と電子辞書に囲まれて四苦八苦。

 みなさまほどほどに良きクリスマスを。ワタシは過去、この日に大いなる意義を与え過ぎていましたが、中年になり、特にそうでもなくなりました。日本人にとって、クリスマスはちゃっかりした日であります。ワタシの分まで良い感じで楽しんで下さい。脱稿したら再び御会いしましょう。ごきげんよう。

 

 

 

年末進行と賭博

Dec-26-2007

 パリコレ取材原稿9千(文字)の予定だった所、前半(取材3日目まで)だけで8千を超えてしまったので、編集部にそこまでを送り判断を仰いだ所、「とても面白いので、とにかくまず、文字数は気にしないで好きな様に書いてくれ。増ページする可能性もある」という事になり、「文字数を気にしないで好きな様に」書いた所、何と1万7千で脱稿。増ページ決定。編集会議にかけて最終的な頁割り(写真のチョイス&レイアウト含め)をどうするか返事(電話)待ち。それに従って改めてリライト。

 と同時に「NU」での宇川直宏氏との対談ゲラが3万文字強(笑・宇川氏による膨大な加筆がああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!←宇川氏リスペクト)、これも今日明日中。と同時に、脱稿したと思っていた「マイルス本」に、ほんの少々の落としがあり、年内までに加筆修正せねばならぬ。

 と、ピクチャーにドローイングしたみたいな(ルー語。というのをやってみようとしたのですがぜんぜん上手く行きません。「あいつは腹ブラックなんだよ~」というのを思いつき、友人に褒められ、我ながら上手く行ったと調子に乗り過ぎた)「年末進行」が押し寄せ、年末進行で徹夜したりするジャズメンって何なんだよ。そんな事だからまたしても新譜が天下のミュージックマガジン様にボロカスに書かれ、天下のスイングジャーナル様に完全シカト喰らうんだ。という感じなのですが(笑)、今から年末進行で歪んだ体を整えに、片山先生の所に整体に行き、往路も復路も携帯メールで原稿を書きます。

 いちばん悪いのは、原稿が全部面白い事であって、これがつまらなければ、もっと人生は静かなのに。と思いますなあ。「大日本人」はDVD化されたので、こちらの評も必ずここに書きます。「映画秘宝」のオールタイムベスト号に参加していますぞ。そうそうこの間、生まれて始めての経験をしましたぞ。「シネコン(新宿バルト9)で、客がなんと自分一人だけ」というものです。試写とか雑誌の企画とかではない。普通の上映スケジュール中にチケットを買って。え?何の映画だって?もうすぐ四十朗ですが。それではお忙しい方もお暇な方もごきげんよう。ワタシはすこぶるごきげんです。「茂木×斉藤賭博」で20万儲かるので!!!

 

 

宇川×菊地脱稿

Dec-29-2007
 


 「うおーうおーゾクゾクする。これまじチューじゃねえの。結婚しちゃったらどうするコレ」「そそそそそそうですね。興奮して来ました」「これでどうだ、このコード進行でどうだ。ホレホレ」「うわー何か自分の映画じゃないみたいです」「メロディはこうだ。ここが半音移動だ。これが愛のテーマだ。ほれほれ。チャーラーラー」「うお。うお。うお。凄い良い映画だなあ良い映画だなあ」と、冨永監督と大層盛り上がりながら、お二人のキスシーンに音楽をつけていたのが、今となっては不謹慎なギャグのようですらありますが、オダギリジョーさん香椎由宇さんご結婚お目出度うございます。ワイドショーで「お二人は、映画<パビリオン山椒魚>の共演がきっかけで」と流れるたびにどうにもこうにもヒヤヒヤするという不思議な年の瀬に成りましたが、ワタシは200Kに近い文字数の「宇川×菊地対談」の加筆修正を無事終え、明日は今年最後のライブに何とか出演出来そうな雲行きです。それではみなさまごきげんよう。

 

 

 

野呂

Dec-30-2007

 昨日の朝、猛烈な嘔吐感で目覚め、どんどん発熱して全身の関節が痛く成り、ガクガク震える程の悪寒が走り、そのままどんどん悪化しながら六本木に向かい、倒れそうに成りながら5分程かけて何とかサックスのケースを開け、手に持つと、それだけで全身がゾクゾクし(サックスは最初は冷たいので)、持ち上げるとそれだけで手首、肘、肩に激痛が走り、目が回り、今にも吐きそうな感じになったので、さすがに今日はもう無理かも。坪口に土下座して救急車に乗ろうかしらん。と諦めかけたのですが、これはもう畜生の浅ましさ、トラックが鳴り出し、いざサックスを口にして吹いてみると気持ちよく成って吹けてしまうのです。

 とはいえ吹き終わって口からサックスを離すや否や目が回って立っていられなく成り、座るといきなり吐きそうになるので、緊急対策としてヴィダーインゼリーを食べ(固形物を摂るとライブ中に吐いた時にヤバいので)、市販の解熱剤と韓国産の強精ドリンクを一緒に飲んで無理矢理アゲアゲにしてライブに挑んだのですが、結果としては完走したものの、何を吹いたかまったく憶えていないという有様。

 サックスの演奏というのはかなりハードな有酸素運動ですから、消耗発熱時に一番やってはいけない事でして、終わってからもうすっかり廃人の様になりまして、「良いお年を」「お疲れ様」の握手の嵐の中、真っ白い顔をして傾きながらタクシーに乗り込みました。

 今年は2月にマイコプラズマ肺炎をやって以来、こんなに劇症が出る風邪はなかったな、と、帰りのタクシーで大久保病院の夜間緊急外来に電話をかけ、1年以上ぶりで伝説のあの場所に(笑・もう、ここの過去ログにもありません)行き、お約束と言うか何と言うか、血だるまの頭部を押さえているホストくん、全身がボコボコにされているヤクザくん、泣きながらお腹を押さえているホステスくん、何がどうなっているのかまったく解らない、とにかく凶暴な人、「その薬って苦いえすか~。アシ錠剤しか飲めないんでえ~。子供用のオレンジ味のグミが良いんですけど~」と言って医師に「ありません」と言われている、爪が5センチぐらいあるギャルくん、等々に並んでインフルエンザチェックを受けまして、綿棒を鼻に突っ込まれ、待つ事30分、インフルエンザはマイナスで、何とノロウイルスでした。おっかねー。

 とはいえ、ノロウイルス用の処方を受けまして、今朝はすっかり良く成り、とはいえハーフ・グッタリの、心地よいアンニュイ加減。そういえば先日、片山先生に整体を受けたとき「年末の疲れが出始めてますね。これがどーんと出きってしまうと、来年に向けて、新たな集中力が出て来ますので、疲れを出してしまいましょう。とはいえ、よく出来た物で、疲れると風邪をひくから、それがチャンスです。ひいたら倒れちゃって下さい。なかなかそうも行かないでしょうが、一度力を抜ききって、新しく集中し直したら、菊地さん来年は相当いろいろと変わりますよ」と言われていたばかりであった。
 明日のたまアリは急遽「ハッスル」をカットし、ゆっくり休養する事に成りました。正月は実家の銚子に帰ろうと思います。あの街はもう、ワタシが育った歓楽街も、ジャズ喫茶も、9つあった映画館も総て無くなり、コンビニとファミレスとTSUTAYAでいっぱいになってしまった。今年の疲れをゆっくりと出し切って、来年への英気を養うには丁度良いロケーションでしょう。父親はあの世に行ってそろそろ4年、母親はあの世とこの世の中間地点にそろそろ3年。彼女に接する総ての人物の中、ネイティヴな銚子弁が喋れる唯一の人物であるワタシは、既に彼女の息子ではなく、彼女の思い出を掘り起こして過去に戻す、魔法使いの立場にあります。今年の総括は明日の当欄にて。歌舞伎町の忘年会ラッシュは一昨日をピークに沈静化した模様。現在、区役所通りには数台の車がのんびり走るばかり。それではごきげんよう。皆様ノロウイルスには気をつけましょう。

 

 

当サイト2度目の

Dec-31-2007
 大晦日です。後ろを振り返らない。と言えば何やら刹那的でカッコ良い様でありますが、中年になればなるほど記憶力自体が衰えまして、昨日何をしていたかも憶えていない始末、ワタシは年末に今年1年で頂戴したファンメールを総て読み直す事で、今年あった事を思い出す事を恒例行事としているのですが(頂戴したファンメールは一切捨てないので)、ただいま集計した所、今年は1924通(因に昨年は1882通、一昨年は「情熱大陸」効果によって何と3000通弱に達しています)ものメールを頂戴しております。有り難うございました。これから正月休みにかけてゆっくりと総て拝読させて頂きます。

 一番多く頂戴したお言葉は「ご自愛下さい」だと思われます。1924通のうちの大半にその一行は記されておりまして、言うならばこれは「ファンの総意」ですから(笑)、それに答えたのか背いたのか自分でもよく解らないのですが(笑)、今年は2月に(恐らくマイルスへの移入によって)マイコプラズマ肺炎をやり、大晦日前に(1年の疲れが出たか)ノロウイルスに感染するという年で、逆に言えば御陰さまで他に目立った大病も怪我も無く無事に過ごせた事を、造物主、そして遍在する神々、「ご自愛下さい」という言霊の総合力、しぶとい体力を遺伝子に組み込んでくれた両親のセックスに感謝します。マイコプラズマ肺炎をきっかけに喫煙は止め、ノロウイルスによってTZBのライブ当日のみは七転八倒しましたが、翌々日の本日はすっかり良くなり(さっき青葉で餃子だの炒飯だのをバクバク喰ってました。ああ美味しかった)、これから今年最後の仕事、そして来年最初の仕事。に向かいます。カウントダウンは恐らく、歌舞伎町のどこかで迎える事に成るでしょう。凄いんですよ歌舞伎町のカウントダウンは。拳銃がぶっ放されるんです(笑・ウソです。少なくとも路上ではそういう事は無い)。

 冒頭に書いた通り、「今年1年の仕事を振り返る」という趣味はなく、大きな仕事も小さな仕事も、ワタシは嫌々やることは一切ありませんし、やり終えたら余韻は非常に短いか、あるいは目に見えぬほど静かに永遠であって、仕事をこなせばこなすほど、創作すればするるほど、演奏が終われば終わるほど、次にする事を思いついてワクワクするように心身が出来上がっている様です(これも両親に感謝します)。今年は多くの大仕事、中仕事、小仕事をこなし(総てを押さえている方は、おそらく地球上にワタシ一人だと思われます。マネージャーですらノータッチの仕事も少々含んでいるので)、非常に多く遊び、毎日たくさん食べ、寝て、つまりは例年と何も変わらずに過ごした訳ですが、07年がどんな年だったか?と大雑把に思い出すに「ザ・ユニヴァース」と「知るを楽しむ(マイルス)」、「爆笑問題の日本の教養」「英語でしゃべらナイト」そしてDCPRGのラストツアー(今思い出しても、毎日が奇跡的な演奏だったと思っています。活動終了と言う事実のショックがその事を覆ってしまっているのではないかと危惧する程です)、歌舞伎町クラブハイツ、そしてダブセクステットの結成、オーチャードホール2デイズ、蓮實先生との対談、「Hanako」の新宿グルメ案内、ヘンリー・ダーガー、そしてパリコレ取材、といった感じでしょうか。しかしまあ、こんな事指折り始めたらキリがありませんなあ。小西さんとデパートを巡る対談をしたり、近田さんと80年代の話をしたり、我ながら「これ渋いなあ、これなにげに重要だよ」という仕事が、毎週の様にある生活と言うのは、本当に有り難い物です。

 ワタシ程度の知名度と稼ぎでも、生意気な事に「年間計画」という物は毎年立てられ、来年のそれも、実は立っています。しかし、アメリカ合衆国初の日本人ジャズメン大統領となったとしても、ワタシの明日には明日の風が吹くでしょう。一瞬先は闇、徒手空拳、人生は博打、官能と憂鬱、生と死の前では全員が平等。というのがワタシの頭上に輝く星、何せ、昨年の今頃に立っていた「07年の年間計画」のうち、予定通り実現したのはオーチャードホールの2デイズと新宿ピットインの3デイズ、芸大の授業、そして「知るを楽しむ」だけで、後は遅れるか中止に成るか、突如ワタシが思いついてどんどん始めてしまった物。なのですから。

 1985年にデビューしてから22年、22年前からファンでいて下さる方から、今年、更にいえばつい先日からファンに成って下さった方まで、中学生から60代まで(オーチャードでのサイン界では、親子は言うまでもなく、三代に渡る御一家までいらっしゃり、腰が抜けるかと思いました)、男性、女性、ゲイ、レズビアンまで、多くの方々の御贔屓を受けている事を本当に嬉しく、誇りに思います。我々の人生は、輪廻を考慮に入れない限りは1度きりであり、崇高で、とてもつまらなく、苦行に近い長さであると同時に、ほんの一瞬です。共に楽しみましょう。ワタシは今から「茂木×斉藤博打」の配当金を受け取りに行き、そのままそれは歌舞伎町で総て蕩尽されるのです。一年間有り難うございました。良いお年をお迎え下さいませ。




    2007 12/31 19:46

          菊地成孔