Dec-12-2007
ファンメール公開は1度のコンサートに1度だけとしておりますが、ワタシが読む分には永遠に読み続けますので、「もう公開が終わってしまった後なので恐縮ですが」等とおっしゃる事はありませんぞ。本日も変わらず届き続け、悦び続け、読み続けております。シンクロニシティというにはアレですが「演奏中(直後/翌日)に妊娠が発覚(確定)した」というご夫婦がなんと5組もいらっしゃったのには久しぶりで心の底からびっくりしました。おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうございます。おめでとうございます。おそらくこれは、UAの力の賜物でしょう。
本日は東京芸大の今年最後の授業でした。内容は事情により伏せさせて頂きますが(聴講された皆様、少なくとも後一ヶ月は御内密に)我ながらこの講義は充実した物に成ったと思っております。この講義の書籍化は行わない方針で、音構造アナリーゼの側面を減らし、その分テクスト横断性を強めて、そのまま来年、慶応義塾大学(三田)に持って行きます。慶應義塾大学の皆様よろしくお願いします。
淑女の皆様からもNKDS(ネイキッド・サミュエルソン。うそ正しくはネイル・キルド・サミュエルソン。うそ菊地成孔ダブセクステット)に高評を頂き大変嬉しく思っております。来年は第二期ペペ・トルメント・アスカラール(だいたい「色戒/ラスト・コーション」とか「欲望の翼」とかいう感じ)とこのバンド(だいたい「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」とか「殺しの烙印」とかいう感じ)の二本立てで行こうと思いますが、気がつくとバンドばかりでソロ作がないので、それをヴォーカル物にしようかなと漠然と思っています(だいたい「釣りバカ日誌25698885236」とか「スパイキッズ-85・2122」とかいう感じ)。
さて、DCPRGのDVD発売、シネクイントでのイベントが近づいて参りましたが、この作品、大問題作です。とにかくご覧頂くしか無いのですが、例えば公式プロモーションテキストなどがあるわけですが↓
<2007年4月に突然の活動終了を発表した菊地成孔率いる総勢14人のビッグ・バンド、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN。彼らのDVD「ミュージカル・フロム・カオス 3DVD “花旗”」
が12月5日にリリースされることが明らかになった。資料によれば、今作は彼らの勃興期から活動を共にしてきた鬼才映画監督、夏目元が監督を務めた菊地成孔の内面から〈DCPRG現象〉を再構築する迫真の映像作品とのこと。もちろん、肝心のライブ・シーンもこのDVDでしか聴けない新曲を中心にたっぷりと収録されている。1999年の結成から8年間、常に驚きを与え、時代の先端を走り続けてきた彼らの活動を総括する作品となりそうだ。恐らく、彼らにとっての最後のオリジナル作品となるであろうこのDVD、ファンの方はお見逃しなく>
これは広告審査機構もしくは暴徒と化したファンによってアウトになってしまうでしょう。特に「肝心のライブ・シーンもこのDVDでしか聴けない新曲を中心にたっぷりと収録されている」という部分はいけません。えー、演奏シーンは作中合計3分に満たないと思われます(マジで本当)。
という訳でえー、ワタクシが申し上げたいのは一にも二にも「抗議のメールはワタシではなく、P-VINEの天才ディレクター又場くんもしくは天才夏目監督に送って下さい。賞賛のメールは天才ワタシに下さい」という事でありまして(笑)、とにかくこの作品に関して、ワタシは完成品を納品前日に一度チェックしただけであり、企画にも製作にも一切関わっておりません(とはいえ「いやあいいねえこれ。オッケーです。エンドロール特に素晴らしい」とか言って大オッケーを出した訳ですが・笑)。
ワタシの予想では、夏目監督はその才能を遺憾なく発揮、そして又場くんはその天才性を見事に開花させ、おそらく「食品安全管理/謝罪ブーム」をやりたかったのではないかと(要するに、内部告発を受けて記者会見で頭を下げる訳です)思います。そして「社長を替えてちゃんとしました」とか言って、全編ラストツアーの映像だけの純正ライブDVD/CDを出そうと企んでいるのではないかと思う訳です。凄すぎる。社会風刺。
言うまでもなく、DCPRGの極点を記録したラストツアーの音響/映像は1秒残らず高音質/高画質でレコーディングされております。「それを出せよ」というお声は、しつこいようですがワタシではなく<P-VINEレコードの又場くん>宛でお願いします。ここからここまで総てジョークだと思い込み「ウソだろぜってー」等といって映画館で踊り狂おうとしている純情なレイブくんたちは本当に来ない/買わないように!しつこいようだがもし買ってしまってキレてもワタシの責任ではない。天才が3人集まった結果だと諦めたまえ。しかし、DCPRGなどほとんど興味が無く、脱構築なシネフィルの方等にはかなりお気に召すかも。といった案配であります。
というわけで、今から芸大授業の打ち上げに、田中ちゃん佐藤ちゃんと一緒にクレッソニエールに行ってきます。今年一番美味しいビッシュトノエルを作るのは誰だ(トンカ豆入りのショコラムースが必要なのである)!というわけでごきげんよう。
<キャプション>
2日間に渡り、700名近い人々が並んだサイン会の、最後の方。
大久保通りの有名なゴダール字幕。見事なトリコロール。
やはり照明が暗く、掲示するに若干気が引けるが「青葉」の、台湾式細筍と豚肉と椎茸の辛味炒め。何でも旨い青葉のメニューの中でも絶品。筆者は青葉では中国酒すら飲まず、ジャスミン茶一本槍なので(中国酒で中華料理を食べると、なんというか蒋介石のようになってしまうので)、要するに休肝日なのだが、写真を見るだに「ビールが飲める様に成ったらどうしよう・・・・」「ビールが旨い様な気がして来た・・・」「ビールを下さい・・・」「やっぱり要りません・・・」と循環し続けている。
例外的にファンメールス第二回
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Dec-14-2007
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拝啓 菊池様
初めまして、初めてのメールで御座います。
12/11の日記を拝見しまして思う所があったのでメールしている所存であります。
唐突ではありますが、まず件の女性の言われるファッションセンスの疎い男について。
何を基準にセンスが良い、悪いと指摘されているのかを文章だけでは読み取れないのですが、そもそも男性のファッションというかファッション史を見るに社交場等の場においての服装というのは、女性を引き立たせるという前提があると思います。
勿論ご存知であることを承知で書きますが、タキシード類に代表されるフォーマルな服装というのは黒に代表されるシックな面立ちであり、それはというのも、全て女性のドレスアップ姿を引き立たせ、浮き立たせるという役割であると思います。それはレディファーストとしてエスコートする/されるというバランス感覚の成せる業でもあります(意味合いが若干違えど日本においての紋付袴と十二単の差異でも鮮やかに見えると思います)。
(中略。内容は服飾史におけるジェンダーについての、鋭い考察)
反面、女性のドレスアップというのは見られる、つまり主賓と成り得るために成立してきた面が多くその点でも男女共の違いというのは如実だと思うのです。
さらにまた、一つには女性に比べて男性の服は厚みがあるということでありそれは、シルエットを考えた重ね着が難しいということでもあります。
(中略。それを更に現代の文化状況に照合した、素晴らしい考察)
お恥ずかしながら、先日のコンサートには仕事の都合で参加できなかったのですが斯の女性に言わせれば、ダサイと称されてしまうような服装であったかもしれぬ男はこんな疑問を抱くのです。
ついつい筆が進んでしまい、まとまってない面も多々ありますが最後まで読んで下さったなら、万感の思いであります。
ありがとうございました。
DCPRGで言えば、「歓楽街と港湾の構造」「mirror ball」
UAとにおいて「over the rainbow」を愛して止まない者より。
(ワタシの返信→実際の物に大幅に加筆修正してあります)
菊地です
豊富な知識量と考察量による、論文に匹敵する素晴らしいテキストを有り難うございます。ご高察は仰る通りであるとしか言いようが無く、特に服飾と社交文化に於けるジェンダーの問題は、今や総ての人々に共通の問題でしょう。「服飾」「社交文化」と書けば非常に狭いエリアを連想しますが、人類が衣類を着用し、どこまでインターネットや引きこもりが定着しようとも、やはり人と人が直接接触する場が社会であり続ける限り、これはエレメンタルな問題だと思います。
とはいえ、これは何と言うか、笑うのは非常に失礼であると承知しつつ、嘲笑ではないので今からつい笑いますが、残念ながら、これは、ぜんぜんそういうレヴェルと話が違うと思われます(笑)。
ワタシのライブには、非常にシンプルに言って、アニメ/アイドルヲタの諸君が来ます(厳密に、彼等が実際アニメやアイドルが好きかどうかは別ですし、ドレスアップしている人が総てアニメやアイドルに興味が無いと断言出来ないのも言うまでもありません。これは単なる系統、「○○系」といった記号化の類いだとお考え下さい)。彼等はそもそもドレスアップしません。
件の彼女がヒステリーを起こしたのは「誰それのドレスアップが甘い」とかいうレヴェルではなく、「ださい普段着で来るヲタを一掃しろ/許せん」更に言えば「オマエ(菊地)はあれを看過するのか」という意味だったと(ファザコン的な解釈で)思われます。
相も変わらず馬鹿の一つ覚えでフロイト的に言えば、文中にあります通り、彼女の状態をファザコン/ヒステリー(これは確かめようもない、推測に過ぎませんが)だとすると<そうした者の怒り>は多く「誤爆」するようになっているのです。あなたに「誤爆」したように(メールから察するに、あなたは彼女から粛清の衝動を受ける様な人物では全くありません)。
ファザコンやヒステリーに限った事ではありませんが、怒りがしかるべき対象にストレートに直撃出来る能力を失調し、望み(ここでは怒りを伝える事)が遅延される。といった構造を持つ人は多いですね。彼女の粛清の衝動はヲタくんたちには(少なくとも、すぐには)届かないでしょう(ワタシには届いたものの、否定されてしまいました)。
ですからこれは、服飾センスの問題と言うよりも(還元すれば服飾センスの問題ですが、換言すれば→)、文化エリアの問題、更に言えば差別や階級といった欲望の問題と言えます。
ワタシのジャズの場での圧倒的な主流派はドレスアプした女性達で、ヲタくんはかなり少数です。しかし、差別者(彼女だけが差別者だと言っているのではありません。あらゆるユニフォーミティはどんなに平和的に見えようと集団的な差別です。更に言えば、ワタシは「差別はいけない」とすら言うつもりはありません。もちろん「差別は素晴らしい」とも言いませんが)の目には、異物が大きく見えてしまうのです。やっとワタシも、「黒人の寿司職人の握る寿司」を、何も感じずに食べられる様になりました。それでもこの界隈に棲まなければ無理だったと思います。
何れにせよ原因がワタシにあることは間違いありません。「原因」というと、反射的に悪因の如く感じられますが、そうではなく、それこそ構造の問題です。ワタシは統一の達成より、状況の推移に(おそらく)執着があり、いままでフロアが統一された事が一度もありません。
かといって、完全にバラバラで中心が無い(因にこれは、弱度ではなく強度を意味しています。武道館でコンサートを開く様な「国民的」な名声を持った人々のフロアは、KREVAさんでも宇田多ヒカルさんでもELTさんでもSMAPさんでも、ほとんど同じに成ってしまう。「統一性」というのは狭さの中でしか起こりえません。極端に言えば、毎回客が1人なら、毎回完全な統一性が約束されます。少なくとも服飾的には)。という風に成った事もありません。必ず正統と異端が混在する様に成ります。
このことを、ワタシの欲望以外に原因を設定する事は難しい。ワタシがマイルスデイヴィス主義やゴダール主義を嘯くのは、「客席がとうとう安定しなかった。という安定」をこの二人が生きた、なかんずく彼等は、正統であり、異端であった。正統にも異端にも成れなかった。その事とも無関係では無いと推測しています。
何にせよ、おまえは正統か?それとも異端か?という審問に対する恐怖/億劫さが、外出不能性の一因になっているのは間違いないでしょう。外出には着衣が必要だからです。ワタシが幼児化全般を恐怖するのは、着衣と脱衣の区別も失うであろうからであり、ワタシが表現したい事の一番大きな物は「愛について」ですが、そのうちの重要な一つに、着脱衣双方の悦びがある事は、あなたにならばお解り頂けると思われます。
菊地さんこんにちは。
初日ペペのコンサートを観にいきました。
演奏すばらしかったです。ユードントノウワットラブイズの歌は何回も聴きたいです。菊地さんの歌声が好きで、無性に聴きたくなるときがあり、CDをひっぱりだしては聴いていますが、そのたびに感動します。生で聴くのはさらに心に染み入りますね。
私はいま妊娠中で、正月ごろ生まれる予定なのですが、コンサート中おなかの赤っちはのびたり蹴ったり活発に動いてました。病院にも菊地さんのCDを持っていって、陣痛室で聞こうと思ってます。痛みが緩和する気がするので。
菊地さんのことを知ったのはスペインの宇宙食が発売された頃で、そのころは今の夫と会ってもいなく、まさか赤ちゃんができて結婚することになるとは思ってもいませんでした。昨年の夏はラジオで聞く菊地さんの歌舞伎町ライフがとても面白そうでたまらず、少しの間ウィークリーマンションを借りて住んでみました。子供がうまれたら当分そういう発作的な行動はできなくなるなあと思うとさびしいです。
でも心がさびしくさびしくて私は菊地さんの音楽を求め聴いていて、今の夫に会い、ほんとに一生この人といたいくらい好きなのか?などと考える間もなく即子供ができたので、生もうと思い、今に至るので、さびしいとかいってられませんね。。
ではこれからも演奏や執筆がんばってください。応援してます。
菊地様
先日のオーチャードホール、初日伺いました。
金色の曲。
目をつむってあえて違う色を想像して拝聴させていただきましたが
頭の中がみるみるドロッピング仕様の金色に変わってしまい、無駄な抵抗に終わりました。素晴らしかったです。
新譜はデギュスタシオンのフェイドアウトで焦らされ、ぺぺでは見せてくださらなかった何かをしかもチャイニーズブッキーでこられましたか。何をたくらんでいらっしゃるのでしょうか?格好良すぎます、お酒無しで酔っぱらえます。あと、ビールはギネスが美味ですよ。
菊地成孔様。
こんばんは。Bunkamura公演、お疲れ様でした。
両日ともに仙台から参加させていただき、いまだうっとりと余韻に浸っております。
(今、南米のエリザベステイラーをかけていたのですが、聞き入ってしまい、止めました)
「2日間に渡り、700名近い人々が並んだサイン会の、最後の」者、です。
一ファンとしてこれ以上嬉しいことはなく、同時に「もっと自分が美しかったら」と思ったのは女子ゆえの自意識でしょうか(菊地注*うひー何をおっしゃいますかあなたお美しいですよ本当に)。
サイン会では、菊地さんを目の前にするとあがってしまい、本当はそんなに好きじゃないんですよ? と変な意地をはりたくなってしまいます。
いいえ、嘘です
大好きです。
DCPRGにはまり(世界が一致したような、色々なことが「腑に落とせた」気がしました)。そういえば10minutes olderのCDも持っていた、と自分の勘を嬉しく思ったり。エッセイを読んでなぜか足穂を思いだしたり。
無条件に「菊地成孔」の文字だけを追いそうになる自分に気をつけてはいますが、
自分が、ふくふくといい匂いのするほうに進むうち、何もわからないまま、特別な場所に紛れ込んでしまった子供になった気がします。
(私の妄想の中で、菊地さんは神殿で供物を捧げています)
今の私は菊地さんの音楽と出会え、多少なりとも美しい音楽を味わえているつもりですが、(多少、というのは勿論受け手の問題として)もっと理解が深まれば、今は知らぬ音楽の寛容さに受け止めてもらえるか、とその想像は、とても甘い、です。
ところで、私は菊地さんの文章もとても好きなのですが、言葉を飼い馴らしているような、言霊を信じていないような印象を受けます。それは、菊地さんが言葉ではないものを信仰しているからでしょうか。
NKDSのライブ、地元の仙台で参加します。
去年の富永監督とのトークショーでも来られていた場所ですね。
今からとても楽しみにしています。
乱筆かつ長文。自分の文盲さを呪いながらも、所詮は一方的なファンメール、
許してもらえるだろう甘えた気持ちで書いてしまいました。
田舎娘の戯言です。聞き流してください。
もし、受け取っていただけるなら。
たくさんの感謝と、愛を。
菊地成孔様
「自分が饒舌なのは、本当に重要な事を隠す為である」といったことを、あなたは過去、夏目現監督のインタビューで仰っていますが、何故あなたが「ポストクラブ」としてホールコンサートに焦点を定めているか、それは、「拷問」という物が、ほとんど総て「椅子に座って行われる」からではないでしょうか?
もしそうだとしたら、あなたはその事に口をつぐむでしょう。巷間思われている程、あなたはシンプルな自己言及主義者ではないと思います。僕の印象では、あなたは一番重要な事(例えば、カフカの「アメリカ」の映画化は、ストローブ&ユイレによって行われている事とか)がバレないよう、猛烈に喋りながら隠している様に思えます。
何でも説明しなければ気が済まない、○○○○(菊地注*実名が記されていますが、余りに名誉毀損的なのでワタシの判断で伏せ字にしてあります)のようなバカは、あなたの様な優れた複雑な、圧倒的な情感を表現する事は出来ないでしょう。あなたの秘密は、秘密にあると思っています。ダブセクステットのアルバムから、とうとうライナーノートが消えている事からも、その事を確信しました。
僕はDCPRGからあなたの音楽史に合流した、すれっからしでもビギナーでもない、シネフィル寄りのあなたのファンですが、きっと僕と同じ考えの人々がたくさんいると信じます。あなたの才能は最終的に映画監督として花開く事を。現在発揮している数十倍の才能を発揮すると思います。
DCPRGが活動を終了した時、僕は「この人は自分のピークをコントロールしようとしているのだろうか?」と不覚にも考えてしまいましたが、ペペトルメントアスカラールのホール公演を聴いて、本当にこの人は映画的で、ゴダール主義者だ。と痛感しました。「もう、このあと何をするんだろう?」と思われるほど完成し、終了した、クラブミュージックとしてのDCPRGのアフターとして、「まったく踊れない/着席拘束による甘美な拷問」という方向性を打ち出して来た事は、クラブカルチャーが終わり、終わらない事の、もっとも鮮烈な表現だと思います(「スクラッチの入った、クラブジャズではないジャズ」もそうです)。
それは、60年代ゴダールに対する70年代ゴダールが、あるいは70年代ゴダールに対する80年代ゴダールが(あるいは、あるいは、とずっと続く)、前の表現を乗り越えたり、更新したり、捨てたり、変貌したりしたのではなく「続けた」こと、一般的に言われる継続の意味ではなく、同軸の上に、違う表現がどんどん続く(これが、あなたの言う「モードチェンジ」なのでしょうか?)。という在り方とまったく同じだという意味です。
アイドルヲタやアニヲタが、来もしないであろうあなたを、ニコ動を見ながらゴドーの如く待っている様に、シネフィル達もあなたを待っています。蓮實重彦との対談は、あなたのファンになってからもっとも興奮させられることです。「速報」に掲示されたファンメール執筆者の一人と同じ事を言いますが、あなたのライブの客席は(あなたが映画を愛するあまり)女優でいっぱいになってしまう。「存在しない女優」が「存在しない」場。というのが第一期ペペの終了時だったこと、それによって「存在しない女優」という概念が、客席全域に浸透した事は、あなたのコンセプチュアルアート指向、女性崇拝(恐怖)傾向の極点だったと思います。本当に「美しい」コンセールでした。有り難うございました。
菊池成孔様
先日のオーチャードホールでの公演、私も一夜めに行かせていただきました。
実は、以前NHKで放映されたドキュメンタリー(でしたでしょうか?)で菊池さんのことを知り、深く印象にとどめながらも、日々の雑事に追われ、そのままになっておりました。
今回、ひょんなことから本公演のことを知り、即座に「行ってみよう、聴いてみたい。」と思い、意外にステージに近い席が取れたこともあり、12月のお楽しみとして心待ちにしておりました。
そんなファンとしても新参者、ジャズの世界に対しても門外漢の私が、このようなメールをご本人に送ること自体、おこがましく恐縮するばかりなのですが、あの夜に感じたことを、私も他のファンの皆様のように自分の言葉でお伝えしたい、という一心で、一杯ひっかけながら、勇気をふりしぼって筆をとった次第でございます。
音というもの、音楽というものが、あんなに気持ちよいものだとは。
最初から最後まで、愛撫されているようでした。
正直言って、濡れました。
私のなかの野性というものも蠢き、あの夜は、ムラムラしてしまいました(笑)。
すっかり魅了され、これから菊池さんの今までを辿る、という楽しい作業が待っています。そして、発信されるものを享受するという・・・同時代に生きて、という幸せをいま感じています。
これに似た体験が、直近で谷村新司(菊地注*うひー。ああああああ頭が)さんだったことを思い出しました。
何であんなに入れ込んでいたのか・・・醸し出すインテリエロといった雰囲気がたまらなかったのでしょうか。やっぱり色っぽい人が好きなんですね。
余計なことも書いてしまい、長くなり失礼しました。
お風邪を召されていました。どうぞご自愛下さいますように。
楽しみにしております。
菊地さん
こんにちは。
先日オーチャード・ホールへ行きました。
ここ1年半ほどライブや生きくちさんを見れていなくてずっと行きたいと思っていたところ友人がずっとUAのコンサートに行きたいといっていたのをずっと断っていたのを思い出し当日の一週間まえにブンカムラの前を通ったので「無いよね絶対無いよとうの昔に売り切れだもん」といいながらチケット売り場であっさりありますといわれ即買いしました。そんな人もいるんですね笑。
1階の一番後ろで、終わった後も「UAって髪結んでたの?ベリーショートっぽくなかった?」と論議を交わしていました。やはりそれくらいは見える位置で見たかったような。
でも本当に素敵でした。赤いのがひゅるひゅるとぼやけた感じとうっとりする毛皮さんがふいに放つマジック。
サインおわったあと素敵でしょ?素敵でしょ?と友達にいうと
「うん、いいねなんかリリーフランキーみたいにいい感じ(菊地注*うひー!ああああああ頭が。リリーさんすみません一度お越しいただいたのに)」
というのでなんか微妙な感じでした。
「だって彼だってとってもいい感じじゃない?きらい?」
というので
「たぶんそんなに嫌いじゃないけどよく知らない。いい感じのちょっととんちのキイタ大人の雰囲気とかじゃなくてー」
とか。。
お伝えしたかったのは、その数日あとの事。
営業先の刺青やさんでバレンタインデーに行うパーティーのお話をしてたら、原宿のクロコダイル?で大儀見さんとコラボレートしたよ、という話をされるので「大儀見さん知ってます」という話からまさか「菊地成孔さんという方のブログ上だけで」と申しましたらカルロスさんが(菊地注*大儀見の全身にタトゥーアートを施したブラジル人の彫り師)彼もしってるよというのですごくびっくりしました。
2時間も話して頂いた挙句最後にそんなオチが!
彼から「オーチャード行ったよ」とか似合わない言葉が!!
素敵な偶然でした。
ごちそうさまです。
またお会いできる日を楽しみにしております。。
菊地成孔さま。
オーチャード2daysの速報を知った頃。出勤途中にipodから「Some~」と聴こえてきた時、天から雨が落ちてきて、その瞬間「あ、絶対行く」って決めたのでした(仙台で販売の仕事をしているので、12月の繁忙期の週末に連休は取れるのか?どっちも行けるのか?がグルグルしていた時期)。
オーチャードホールに「Some~where~」が響いた時、あの時の雨を思い出しました。
菊地さんの素敵なスーツや美しい手や唇に焦点を合わせていたのに、UAさんのドレスや姿が美しくて魅入ってしまいました。
好きな方が多い菊地さんのボーカル(男性の、手と声フェチの私は、菊地さんの歌声がかなり好みであり、耳元で唱ってくれたら即死でしょう)ですが、UAさんとのデュエットでうっとり度が増し増しでした。
サイン会は7日のみと思っていたから、会場に着くなりあれ?って思いましたが、菊地さんらしいなぁ 良い人だなぁって。サイン会有る無しに関わらずDUB SEXTETは買うつもりでした。
そして終演後、ロビーに出たらすでに長蛇の列。。
21時32分東京駅発の最終新幹線で仙台へ帰らなければいけなかったので、黙々とサインをする菊地さんを見ながらオーチャードを後にするのでした。。
すてきなステージをありがとう。
3月のメディアテークでのDUB SEXTETを心待ちにしております。
風邪が早く治りますように。
菊地先生
「速報」では悪役(?)にされてしまいましたが、僕は「服ダサ男子」を排斥しようとする女性に、部分的にですが賛成です。
というか、僕も含め(自分ではそのつもりです)、「菊地ファンのお洒落女子に釣り合う様な男性ファン」を一人でも増やす事に悦びを見いだしている男子ファン(今「談志ファン」と出て爆笑問題しました!)は多いと思います。勝手に。ですけど、がんばります(だから彼女とはいかないです)。
菊地先生のライブ会場に、「服ダサ男子」がいなくならないのは、「WANTED→ハピマテ」「エスロピ」「CD株券」なんかのせいもあるけど(格ヲタはあんまり関係ないと思います)、ズバリいって大元はスパンクハッピー(岩澤さん以降の)のせいですよね。
先生は「若い男ガキにあの微妙な感じがわかるもんか」と思っていると思うんですが、日本国における反ヲタ/嫌ヲタではなく、超ヲタという意味でスパンクハッピー(岩澤さん以降の)は菊地先生のどのお仕事よりも重要だったと思うし、その重要性は今も消えていないし、そのことを解っている20代男子(因に僕は23歳で、ゲイです。菊地先生の事を教えてくれたのは、年上の恋人です。もうやめようと思ったんですが「20代談志」に以下略←先生へのリスペクト)はぜったいにゼロではないのです。個人的に「アキシブ系」なんて本当にぜんぜんダメだけど、おなじ考えだと思います。
菊地成孔さま
こんばんは。
7&8日とも、2日間は、この1年間でとても優雅で甘くて、そして音楽はとても素敵だな、と思った時間でした。
音楽に似合うお食事と飲み物を、と思いまして、菊地さんがサイトに書かれているお店に行こうと考えたわけです。
まさか、とは思いましたが(いや、実は少し予兆があったので、それは下記に。。)プレゴプレゴでお会いするとは。。かなり私舞い上がっておりまして、何をお伝えしたか(いや覚えていますが。)・・・
サインまでいただいて(3回目なんですけど。)。
でも、シャンパンとタンクレディはいただけませんでした。
だって、すごかったんですよ。
一口でも、と思い、混雑にまぎれてみたのですが。
たまたまた私の後ろにいた方がオーチャードホールの従業員で、プライベートでコンサートにきていらっしゃったらしく。
「いや、すごいな。。今までこんなことなかったよなあ。●●さん、超テンパってんじゃない?」
「さすがだなあ。・・・」
「あ、みえた、みえた。わー。俺こんなに混んでるの初めてみた」
という会話を繰り広げておられ、あ、これはたどり着かないかも、と思い、早々に諦めた次第です。
それにしても、みなさんそれぞれの「フォーマル」で、それぞれに似合う服装をされていて、音楽を聴く、感じるために集う空間というのは、いいものだな、改めてと思いました。
職業柄(とある地方のコンサートPRの仕事をしております。)、ライブの空間、そしてそこに集う人々でこんなにホールがかわるものか、と日々実感しているのですが、プライベートで仕事とか考えずその空間にいれること、そして最高の音楽を聴けることが、幸せでした。
さて、プレゴプレゴでは失礼しました。
カウンターならあいているよ、というお店の方の親切でむかったのですが、入った途端、鈴木さん、堀込さん、がいらっしゃり「これはヤバイ。打ち上げ会場だ。。野暮なことはするまい・・」と思い、ひっそりカウンターで飲んでおりました。(というつもり。)
その後、地方からきたものですから、お店に荷物を置き忘れ、取りに戻るエレベーターの中で、後輩がどうしても「今日のコンサートのお礼をいいたい」といいまして、突然突進した次第です。
私も舞い上がって「愛知県の芸術文化センターのレクチャーは・・うんぬん」とかいってましたよね。今日のコンサートのことを伝えねばと思いながらも、先の楽しみまでいってしまう、というのは齢のせい、でしょうか。
打ち上げ会場にファンが入り込むのは野暮だと思っていながらも、驚いた菊地さんがいらっしゃって、嬉しく思いました。突然お声かけしまして、大変失礼しました。申し訳ございません。
帰ってきて早速、アルバム拝聴しました。
かなり脳髄劇中。ライヴが楽しみで仕方ありません。
そういえば、ぺぺを聴いたのは、名古屋ブルーノートが初でした。
今考えると贅沢ですよね。300名くらいで聴けるなんて。
ただ、弦やハープがなかった違い。今回の類家さんと弦、ハープの堀込さんがいらっしゃったことで、さらに空気が揺れる感じがしまして(1夜と2夜がこっちゃになってますね。。。)おかしくなってしまったようです(笑)
フィッツカラルドの、あの狂気なまでの「オペラハウス」を作るという願望に、異常な共感を覚えてしまいます(笑)。アルゼンチンは一度いってみたい国です。肉を食べつくし、タンゴを見、ついでにウォン・カーウェイばりに「滝」までみてきたいものです。
そんな夢のような世界を思いはせながら。
菊地さんへ
こんばんは、菊地さん。
先日のオーチャード公演、2日間伺わせて頂きました。
素晴らしい時をありがとうございました。
風邪はもう治られたのでしょうか?お大事になさって下さい。
私は下戸なのですが、あの日ほどお酒が飲めないのを悔やんだ日は
ありません。ちょっとでも飲むと、どこでも寝てしまうのです(笑)
なので、飲む練習を始めました(笑)
毎日ちょっとずつ飲んで慣れていきたいと思います。
いつか菊地さんお薦めのワインやシャンパンを堪能できるようになることを願って。
菊地さんの音楽も、また違った感覚で聴けるような気がします。
今後の活動も楽しみにしております。
お忙しい中、読んで下さりありがとうございました。
菊地さん
お世話になっております。
J-WAVEの河内ひとみです!
9日のオーチャードホール、お疲れ様でした!
そして、お招きしていただき本当にありがとうございました。
うっとりするような素晴らしい音楽と空間、、最高でした。。。
ご挨拶できただけでも光栄でしたのに、
打ち上げまでお招き頂き、、、本当に恐縮でした。
…と、思いつつ、かなり豪快に飲み、
楽しいひとときをみなさんと過ごさせていただきました。。。
おいしいお料理とワイン、そして才能ある方々に囲まれ、
これは夢!?と思う豪華なひとときでした。
しかし菊地さんのブログを拝見したときに、私の名前が登場し、
ゆめじゃなかったんだ…と確信いたしました(笑)
今回このような素敵なコンサート、そして打ち上げにお招きくださった
皆さまに感謝しております。
本当にありがとうございました。
どうぞ、皆さまにもよろしくお伝えください。
2008年はDUB SEXTET始動ですね!
楽しみにしております。
益々のご活躍を期待しております。
そして、菊地さんをぜっっったいJ-WAVEにカムバックさせます!!!
また一緒にお仕事できる日が一日でも早く来るように、
私もがんばります。
このたびは本当にありがとうございました。
寒さが厳しくなってまいりましたので、暖かくしてお過ごしください。
2日目の夜に伺いました。
呼吸を忘れるくらい素敵な時間でした。
UAさんの声、菊地さんの声、バンドの音が
私の中にあたたかくしみ込み
柔らかく満たされました。
少し恥ずかしいような表現ですが
本当にそう感じました。
言葉ではうまく言えませんが
「CURE JAZZ」というタイトルの意味が
私なりにわかったような気がしました。
菊地さんのお話も、すごく楽しかったです。
人柄が出ている感じがして。
またお会いできることを
楽しみにしています。
ありがとうございました。
オーチャードホール二日間とても堪能しました。
祖母が娘時代(戦中?)に付けていたというセイコーの22Kのドレスウォッチ、真珠のネックレス、晩年に買ったメッシュのヒール、極妻の様なプラスチックの重い凶器じみたクラッチ、これら祖母の形見達はとてもやさしくイランイランのラバーのような光沢のブラウンのドレスに、よりそってくれました。(いろいろ迷ったのですが今回もイランイランのドレスを新調してしまいました。やはり素敵なんですもの!^^会場でかぶらなくてよかったです。。)
今思い出してもあの時間、空間はなんだったのでしょうか
クラブハイツが身悶えするような悪夢だとしたら
オーチャードは音楽の魔法、薬効、霧がつまったカプセルの中にいるのような気持になりました。
ホールが宇宙船で、自分が安全な席に納まって暗黒の中を、漂っているいるように感じました。SFのようで変ですね(笑)
いきなり「Over the rainbow」から始まるとは思っていなくてでももういきなりあの空間の端まで霧がのような魔法がかかったようであのホールの中にはいろいろなものが召喚されているようでなんどもふわあっと天井を見上げてしまいました。。。
天井から音がふってくるような演奏もさることながらオーチャードホールの底力も感じました。
ペペの日の照明は壁に大儀見さんのシルエットが大きく写ってましたね。「影ですら大儀見さんってイケメン~」とうとりしてしまいました(笑)
UAさんを今回初めて見たのですがとても美しくて、かわいらしくってびっくりしました。おもしろくって大好きになりました!!^^
砂糖も「甘い」と感じますし、恋人の性器が体に当たるときも「甘い」としか例えようのないものを感じます。そしてあのオーチャードの空間も。甘いとはなんなのでしょう。。。なんなのでしょう
カロリーの高いもの、人が生きるために必要とするものを「甘く」「美味しく」感じ
るように本能が命令してるならあなたの音楽を私がたとえようもなく甘く感じるのは
あなたの音楽に共感した様々な世代の人が集まったあの空間はとても素敵でした。
(みなさんのドレスもお着物も素敵でした)
音楽と感動を沢山の人々と共感したあのすばらしい時間を今もこうして、愛しく思い出してます。
次は母と来れたらと想いました。
子(私にとって姉)を亡くした母に。ぜひ聴かせてあげたいと願うのです。
菊地さんのお風邪が早く治りますように。
菊地さん
はじめまして。と書きたいんですが実は違います。歌舞伎町で何度もお見かけしてます。
俺は「○○○(菊地注*実在するホストクラブ名)」のホストで○○(菊地注*源氏名)といいます。まだまだです。
菊地さんの事を教わったのは「○○○(菊地注*実在するキャバクラ名)」の○○(菊地注*解りますよねもう)からで○○は菊地さんの事をすげえ勢いで周りに宣伝しています。
最初に菊地さんの写真を見た時は「なんだこいつ」と思ったんですが(すいません本当です)俺の親父のトシに近いんで驚きました。
音楽を聴いたらもっと驚き、○○が全部録音してるラジオを聴いて、もっと驚きました。
今では○○よりも俺の方が菊地さんのファンです。好きなのはエンジェリックとキュアージャズです。
やりきれなくなる時もあるんですけど菊地さんが歌舞伎町を歩いているのを見つけると元気が出ます。菊地さんいつも笑ってるし。
このあいだ夜中の3時頃バッティングセンター脇の華僑飯店で菊地さんが毛皮のコート着た(えー。あー。中略)てたときに隣の円卓で鯉とか喰ってました。
菊地さんはむずかしい話をしていて俺にはぜんぜん意味不明だったんですけど女の人の扱いは正直どの先輩よりも上手いなと思いました。あの人完全トロケてましたね。
このあいだ○○とオーチャードホールにいったんですが○○は普段のかっことぜんぜんちげっていきなりモード系で正直ぶんなぐりました。
でもライブは最高でした。○○が感動でマジ泣きしたんでモロびっくりしました。
今後おみかけしたら名乗りますので遊んで下さい。いろいろ教えて下さい。
拝啓
菊地さん!
楽しく過ごさせていただいたお礼のメールを、と思っていたらやっぱりすでにたくさんのメールが・・・。
一足遅れてしまいましたが、オーチャードホール本当にお疲れ様でした!
両日とも参加しました。とても素敵な二日間でした。
実はあたしも風邪をひいていたんですが、ステージからの音楽に引き込まれてまるで夢を見ているようでした。
菊地さんをはじめ出演者さんと楽器たちがキラキラしていました。
風邪で熱っぽいせいか体がぽかぽかしてフワフワして、とても気持ちがよかったです。
ペペの音楽を聴いて、アルゼンチンに少し興味を持ちました。機会ができたら旅してみたいです。
じつはUA×菊地の「Night in Tunisia」に感動して、友だちと二人で4月にチュニジアに行ってきました。一緒に行った友だちの誕生日を砂漠の中、シャンパンでお祝いしてきました。
真っ暗闇の空と砂漠の真上に浮かぶ月を見つめながら、ふたりでCure Jazzの「Night in Tunisia」を涙を流しながらずっと聴いていました。
そんな思い出ぎっしりの「Night in Tunisia」をこの耳で聴くことができて本当によかったです。
そしてちょっと恥ずかしいのですが、素敵な二日間を過ごさせていただいた上に優しい笑顔でCDにサインまでしてくれた菊地さんに、恋、してしまいそうです。すみません・・・。
ちょっと残念だったのは、初日に菊地さんが選ばれたシャンパンが売り切れで口にできなかったことです。もしよろしければ、なんというシャンパンだったのか教えていただけたら幸いです。
UAはちょっと声が苦しそうに聞こえました。空気が乾燥していたからでしょうか?
Dub SextetのCD、毎日聴いています。JazzとDubってすんごくかっこいいですね。
東京でのライブ、職場から近いので行く予定です。
今週末の映画はまだ迷ってます。
tokionを探しているのですが、見つかりません。(笑)
こどもじみた文章で失礼しました。あたしも大晦日、ハッスル行く予定です!ハッスルハッスル!お互いに、風邪、早く治しましょうね。2丁目で偶然会えたらお茶しましょうね。
菊地成孔様
7日のペペ編、妊娠6ヶ月の妻とともに観に行きました。菊地さんの風邪(いやチャーミングでした)とサーヴされたワイン&シャンパン、そしてもちろんなによりも「うっとり」感2000パーセントの音楽を、堪能しました。何よりの胎教音楽、男でも女でも官能的にちょっとヤバい子供が生まれてくれればなと思います。
話は変わりますが、先日やはりオーチャードで観たデヴィッド・シルヴィアンもひどい風邪のようでしたが・・・・・・秋~冬のオーチャードには何かあるのでしょうか?年末にかけてお忙しい日が続くと思いますが、お体にくれぐれも気をつけてお過ごしください。新しいバンドの音をまた改めて生で聴く事を楽しみにしております。
菊地成孔様
「目が合った。あなたが笑った」と思った時には、マイクで大きく「ミュウミュウの二人組みっけ」と(といったようなことを)言い、会場が湧くと同時に彼女がわたしの手を思いっきり強く握りました。靴までは見えなかったでしょうけれども、わたしのは踵にジュエルが固まっており、彼女のは爪先に固まっており。と言えばわかるでしょう。
UAに対するあなたの戯画的な身振りが(あなたとUAには、恐怖どころか信頼と相互治癒以外ありえないように見えました)、レズビアニズムに対する揶揄であったとまでは思いませんが、存在を意識されている。と思いながら聞く音楽というのは、くすぐったいような、心地よいような不思議な経験でした。
女性の同性愛に対するあなたの考えを聞きたい。などと不躾なことを書きましたが、答えは音楽によって充分貰うことができました。あなたへのファンメールは欲情や劣情の促進を告白するものが多いので、わたしたちは控えさせて頂きますが、演奏中にわたしも恋人もどんどん美しく成った自覚があり、ちょっと恐ろしい程でした。それではまたいつか。
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打ち上げでは高速でご機嫌に成ってしまったので、後から改めてゆっくり伺ったブリッコラにて。ブリッコラ必殺のグリッリアのミスト。馬肉と自家製サルシッチャ(沖縄のアグー豚使用。素晴らしい熟成感と軟骨や腱の歯ごたえ)、コントルノはフンギのミスト(オリーブオイルでソテー)と、練ってからオーブン焼きしたポレンタ(ポレンタは北部アルトアディジェでよく食べられ、彼の地で修行した北村シェフにとっては得意技である。口の中に広がる、退行的なまでに甘く深く、クリーミーなコーンポタージュの味)。いつも「うわーうわー。あああああ」と言いながら一気に全部食べてしまう。フルボディの赤もしくはガス入りのミネラルウォーター(ブリッコラではスルジーヴァ)がマリアージュ。
芸大の講義終了の打ち上げで伺ったクレッソニエールにて。「少し早いですけど」と、杉原マネージャーが運んで来たデセールのアソートは、サンタクロースのシールに注目。クレームカラメル(ドライ系)、噂のムース・オウ・ショコラ・ブランのカラメルがけ(デュース系)。フランボワーズのジュレ(ドライ系)総て絶品。子供の頃の「日本のお誕生会感覚」と古き良きパリ感がマリアージュ。
思わずカメラを取り出し、同時に写真に撮る、田中ちゃん(23)と佐藤ちゃん(19)は、芸大菊地クラスの助手。写真では解りずらいが、二人とも170超の身長である。お疲れさまでした。
アルバム発売&対談発刊&ファック・アラン・デュカス
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Dec-22-2007
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パリコレでの取材日記執筆に追われ、宇川直宏氏との膨大な対談のゲラチェックに追われ、マイルス本のラストスパート(最終ゲラチェック並びに、「オン・ザ・コーナー・コンプリート・ボックス」以降の追加原稿など)、「服は何故、音楽を必要とするのか?」の執筆開始、と、クリスマスから年末にかけて、ずっと原稿を書いているであろう年末文筆家、菊地成孔です。
さきほど、「Hanako」でプルミエにご紹介させて頂き、その後目出たくギッドルージュで星二つを獲得したミッシェル・トロワグロに、お目出度うございますの意を兼ねて、年内最後のフレンチディナーの予約を入れようとした所、「菊地さんのご予約なので何とかさせていただきたいのですが、生憎年内はどうしても満席でして、、、、」と言われました。結構結構、新宿で唯一のフレンチ二つ星獲得。年内レゼルヴェが一杯なのは致し方ありません。
言うまでもなく、これはワタシの業績ではありませんが、「Hanako」でご推薦させて頂いたうち、トロワグロはこうして見事二つ星獲得、「クレッソニエール」「プレゴプレゴ」「ブリッコラ」は、時折ワタシも入れぬほどの人気店となりまして、ディナーはウイークデーでも満席の日が多く成りました。店の方々は「菊地さんの御陰です」等とおっしゃいますが、言うまでもなく、書いても不味かったら客は来ませんし、ワタシが書く前から既に人気店だった訳で、ワタシは楽しく好きなお店の紹介を責任を持って書いただけであって、それよりも、人気店になっても味が全く落ちない各店の誠意とモチベーションに感服しています。
そして、もう時効だから書いてしまいますが、伊勢丹地下一階の、アランデュカスの「ブーランジェペシエ」には現在ぜんぜん客が入っておりませんで(本当。毎日通るので間違いないです)、前田日明の舌禍事件を真似るのであれば「ざまあみろ」であります。従業員の方々に罪は一切無いので、彼等を傷つけたくはないのですが、一日も早く営業不振で潰れてしまえ、特に、広報担当者は責任を取って解雇されれば良いと心の底から願っております。
あそこの広報担当者(日本人/女性)はおそらく一流貴族の出だと推測されますが、ワタシが、あの店の魅力を、伊勢丹地下ユーザーに向けて100%引き出すつもりで、拙い文章とはいえ、味とクオリティの割に集客がいまいち少ないあの店に光を当て、何も知らぬOLさんも楽しめる様、心を込めて書いた原稿の一字一句総てにいちいちダメ出しをして来まして、曰く「この表現は誤解を招く」「この単語はデュカスグループでは使わない事に成っている」「こういう言い方なら掲載してやっても良い(例文が延々と送られて来る)」「デュカスグループではこういう表現は使わせない、統一的な表現があるので、こちらに改める様に」といった、それはそれは素晴らしいダメ出しの嵐で、ワタシの原稿は原形をとどめぬままに修正され、広報担当者が製作した例文を組み合わせただけの物にさせられまして(因に、トロワグロを含め、他の総ての店からのダメ出しは、誤字や資料の誤記以外は一切ありませんでした)、そのスーパー何様ぶりには関係者一同、ハラワタが煮えくり返っていたのですが、ワタシは大喜びで「これはこれは大変失礼しました。料理店の紹介に関してワタシはシロウトなので、いろいろと不適切な表現があり、ご迷惑をおかけしました。以後気をつけます。ご指導ご鞭撻有り難うございました」と、王家の出である広報担当者に平身低頭し、脳内では(潰れろ)という全身全霊を混めたテレパシー衝撃波を一発喰らわせてスッキリした後に、毎日毎日「今日も客ゼロ」「今日も客ゼロ」と確認しては悦びを得ていたのです(笑)。少々趣味の悪い話ですが、人生にはこうした時間も必要です。
「Hanako」が出た後にいきなりコレをやると、サイトを使ったミスリードに成りますので、すぐには口にせず、紹介した他店が繁盛し、あすこだけに哀れ閑古鳥が啼いているという状態が安定してから書いてやろうと手ぐすねを引いていたので、本当に良い気分です。こういうことは何となく伝わるのか(ワタシは天地神明に書けて、口をつぐんでおりましたが)、ファンメールにも、あそこに行ったという物は一通も無く(他の店にはたくさんありました)、天知る地知るとは言ったものです。どんなに味が良くても、経営者や広報が世界一の貴族では庶民は恐ろしくて入店出来ません。ワタシのテレパスが無くとも、あそこは自滅したでしょう。
ワタシは偉いんだ、そんなワタシの原稿にケチをつけるとは何事だ。等という立派な台詞を吐くほどワタシは稼いでいません。自分がどう語られるか、そのディスクールをコントロールしようと躍起になる者、つまりは自我が肥大し、怯えている者が、どうやって庶民の食の楽しみを生み出せるのかという話です。まあ天下のデュカス様ですから、新宿なんぞのデパートの一角から徹底しようと、痛くも痒くもないでしょうけれども、ファックとはこういう事です。
とさて、新宿タワーでのブロマイド(笑)付き先行発売、オーチャードホールでのサイン入り先行発売、を経まして、いよいよダブセクテットの「The Revolution will not be
computerized」が全国で正規発売と成りまして、既に感想メール等も頂戴しておりますが、この作品に関しては、少なくとも当欄では口をつぐもうと思っています(インタビューはいくつか来ていますが)。お買い上げ頂いた総ての皆様、このバンドのデビューを見届けようとライブのチケットを予約して下さった皆様には「共に楽しみましょう」とだけ、強く申し上げさせて頂きます。この作品(CDもバンドも)と連作に成っております「マイルス本(タイトル未定)」「服は何故、音楽を必要としているのか?」という二つの書籍、並びにクールストラッティンとのコラボレーションもまとめてお楽しみ下さるとメッセージが立体的に成ると思われます。
蓮實重彦先生との対談が掲載された「エスクァイア日本版」の最新号が発売に成りました。シネフィルとして針のむしろの様な仕事だった訳ですが、始まってしまえばひたすら楽しく、上がりもなかなか面白い(同誌に掲載された、佐々木敦×青山真治対談と並べると面白さ格別です。青山さんが批評家に怒っている!&ブログの意義を説いている!一方、こちらは蓮實先生と「デスプルーフ最高」とかいって悠長な話)物となりましたのでお楽しみに。それではごきげんよう。
<キャプション>
顔は柔らかくしているが、内心で舞い上がるほど緊張している「蓮實先生と一緒に映画を見ているという設定でのフォトセッション」。「エスクァイア」には前号の「アイウエアのモデル」から二号連続して登場、おそらく次号にも登場(「筆者選曲による100曲入りi-podプレゼント」という企画)。
その「エスクァイア」本社にて。マイルス本の最終打ち合わせ(掲載写真のチェック等々)。
先日行われた慶應での講義(筆者の講義のプロモーションも含めて、友人である大和田先生の講義に呼ばれた)。果たして何人が聴講するのだろうか来年は。
イヴイヴ
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Dec-24-2007
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愛の街、歌舞伎町の活気たるや。しかしながらワタクシ、風呂も入れずレストランにも行けず、ソイジョイを齧りながらパリコレの取材原稿をせっせと書いております(泣笑)。去年の今頃はジェームス・ブラウンの訃報とともにゆったりしておったのですが。今年は膨大な取材メモそして資料と電子辞書に囲まれて四苦八苦。
みなさまほどほどに良きクリスマスを。ワタシは過去、この日に大いなる意義を与え過ぎていましたが、中年になり、特にそうでもなくなりました。日本人にとって、クリスマスはちゃっかりした日であります。ワタシの分まで良い感じで楽しんで下さい。脱稿したら再び御会いしましょう。ごきげんよう。
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年末進行と賭博
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Dec-26-2007
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パリコレ取材原稿9千(文字)の予定だった所、前半(取材3日目まで)だけで8千を超えてしまったので、編集部にそこまでを送り判断を仰いだ所、「とても面白いので、とにかくまず、文字数は気にしないで好きな様に書いてくれ。増ページする可能性もある」という事になり、「文字数を気にしないで好きな様に」書いた所、何と1万7千で脱稿。増ページ決定。編集会議にかけて最終的な頁割り(写真のチョイス&レイアウト含め)をどうするか返事(電話)待ち。それに従って改めてリライト。
と同時に「NU」での宇川直宏氏との対談ゲラが3万文字強(笑・宇川氏による膨大な加筆がああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!←宇川氏リスペクト)、これも今日明日中。と同時に、脱稿したと思っていた「マイルス本」に、ほんの少々の落としがあり、年内までに加筆修正せねばならぬ。
と、ピクチャーにドローイングしたみたいな(ルー語。というのをやってみようとしたのですがぜんぜん上手く行きません。「あいつは腹ブラックなんだよ~」というのを思いつき、友人に褒められ、我ながら上手く行ったと調子に乗り過ぎた)「年末進行」が押し寄せ、年末進行で徹夜したりするジャズメンって何なんだよ。そんな事だからまたしても新譜が天下のミュージックマガジン様にボロカスに書かれ、天下のスイングジャーナル様に完全シカト喰らうんだ。という感じなのですが(笑)、今から年末進行で歪んだ体を整えに、片山先生の所に整体に行き、往路も復路も携帯メールで原稿を書きます。
いちばん悪いのは、原稿が全部面白い事であって、これがつまらなければ、もっと人生は静かなのに。と思いますなあ。「大日本人」はDVD化されたので、こちらの評も必ずここに書きます。「映画秘宝」のオールタイムベスト号に参加していますぞ。そうそうこの間、生まれて始めての経験をしましたぞ。「シネコン(新宿バルト9)で、客がなんと自分一人だけ」というものです。試写とか雑誌の企画とかではない。普通の上映スケジュール中にチケットを買って。え?何の映画だって?もうすぐ四十朗ですが。それではお忙しい方もお暇な方もごきげんよう。ワタシはすこぶるごきげんです。「茂木×斉藤賭博」で20万儲かるので!!!
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宇川×菊地脱稿
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Dec-29-2007
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「うおーうおーゾクゾクする。これまじチューじゃねえの。結婚しちゃったらどうするコレ」「そそそそそそうですね。興奮して来ました」「これでどうだ、このコード進行でどうだ。ホレホレ」「うわー何か自分の映画じゃないみたいです」「メロディはこうだ。ここが半音移動だ。これが愛のテーマだ。ほれほれ。チャーラーラー」「うお。うお。うお。凄い良い映画だなあ良い映画だなあ」と、冨永監督と大層盛り上がりながら、お二人のキスシーンに音楽をつけていたのが、今となっては不謹慎なギャグのようですらありますが、オダギリジョーさん香椎由宇さんご結婚お目出度うございます。ワイドショーで「お二人は、映画<パビリオン山椒魚>の共演がきっかけで」と流れるたびにどうにもこうにもヒヤヒヤするという不思議な年の瀬に成りましたが、ワタシは200Kに近い文字数の「宇川×菊地対談」の加筆修正を無事終え、明日は今年最後のライブに何とか出演出来そうな雲行きです。それではみなさまごきげんよう。
野呂
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Dec-30-2007
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昨日の朝、猛烈な嘔吐感で目覚め、どんどん発熱して全身の関節が痛く成り、ガクガク震える程の悪寒が走り、そのままどんどん悪化しながら六本木に向かい、倒れそうに成りながら5分程かけて何とかサックスのケースを開け、手に持つと、それだけで全身がゾクゾクし(サックスは最初は冷たいので)、持ち上げるとそれだけで手首、肘、肩に激痛が走り、目が回り、今にも吐きそうな感じになったので、さすがに今日はもう無理かも。坪口に土下座して救急車に乗ろうかしらん。と諦めかけたのですが、これはもう畜生の浅ましさ、トラックが鳴り出し、いざサックスを口にして吹いてみると気持ちよく成って吹けてしまうのです。
とはいえ吹き終わって口からサックスを離すや否や目が回って立っていられなく成り、座るといきなり吐きそうになるので、緊急対策としてヴィダーインゼリーを食べ(固形物を摂るとライブ中に吐いた時にヤバいので)、市販の解熱剤と韓国産の強精ドリンクを一緒に飲んで無理矢理アゲアゲにしてライブに挑んだのですが、結果としては完走したものの、何を吹いたかまったく憶えていないという有様。
サックスの演奏というのはかなりハードな有酸素運動ですから、消耗発熱時に一番やってはいけない事でして、終わってからもうすっかり廃人の様になりまして、「良いお年を」「お疲れ様」の握手の嵐の中、真っ白い顔をして傾きながらタクシーに乗り込みました。
今年は2月にマイコプラズマ肺炎をやって以来、こんなに劇症が出る風邪はなかったな、と、帰りのタクシーで大久保病院の夜間緊急外来に電話をかけ、1年以上ぶりで伝説のあの場所に(笑・もう、ここの過去ログにもありません)行き、お約束と言うか何と言うか、血だるまの頭部を押さえているホストくん、全身がボコボコにされているヤクザくん、泣きながらお腹を押さえているホステスくん、何がどうなっているのかまったく解らない、とにかく凶暴な人、「その薬って苦いえすか~。アシ錠剤しか飲めないんでえ~。子供用のオレンジ味のグミが良いんですけど~」と言って医師に「ありません」と言われている、爪が5センチぐらいあるギャルくん、等々に並んでインフルエンザチェックを受けまして、綿棒を鼻に突っ込まれ、待つ事30分、インフルエンザはマイナスで、何とノロウイルスでした。おっかねー。
とはいえ、ノロウイルス用の処方を受けまして、今朝はすっかり良く成り、とはいえハーフ・グッタリの、心地よいアンニュイ加減。そういえば先日、片山先生に整体を受けたとき「年末の疲れが出始めてますね。これがどーんと出きってしまうと、来年に向けて、新たな集中力が出て来ますので、疲れを出してしまいましょう。とはいえ、よく出来た物で、疲れると風邪をひくから、それがチャンスです。ひいたら倒れちゃって下さい。なかなかそうも行かないでしょうが、一度力を抜ききって、新しく集中し直したら、菊地さん来年は相当いろいろと変わりますよ」と言われていたばかりであった。
明日のたまアリは急遽「ハッスル」をカットし、ゆっくり休養する事に成りました。正月は実家の銚子に帰ろうと思います。あの街はもう、ワタシが育った歓楽街も、ジャズ喫茶も、9つあった映画館も総て無くなり、コンビニとファミレスとTSUTAYAでいっぱいになってしまった。今年の疲れをゆっくりと出し切って、来年への英気を養うには丁度良いロケーションでしょう。父親はあの世に行ってそろそろ4年、母親はあの世とこの世の中間地点にそろそろ3年。彼女に接する総ての人物の中、ネイティヴな銚子弁が喋れる唯一の人物であるワタシは、既に彼女の息子ではなく、彼女の思い出を掘り起こして過去に戻す、魔法使いの立場にあります。今年の総括は明日の当欄にて。歌舞伎町の忘年会ラッシュは一昨日をピークに沈静化した模様。現在、区役所通りには数台の車がのんびり走るばかり。それではごきげんよう。皆様ノロウイルスには気をつけましょう。
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当サイト2度目の
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Dec-31-2007
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大晦日です。後ろを振り返らない。と言えば何やら刹那的でカッコ良い様でありますが、中年になればなるほど記憶力自体が衰えまして、昨日何をしていたかも憶えていない始末、ワタシは年末に今年1年で頂戴したファンメールを総て読み直す事で、今年あった事を思い出す事を恒例行事としているのですが(頂戴したファンメールは一切捨てないので)、ただいま集計した所、今年は1924通(因に昨年は1882通、一昨年は「情熱大陸」効果によって何と3000通弱に達しています)ものメールを頂戴しております。有り難うございました。これから正月休みにかけてゆっくりと総て拝読させて頂きます。
一番多く頂戴したお言葉は「ご自愛下さい」だと思われます。1924通のうちの大半にその一行は記されておりまして、言うならばこれは「ファンの総意」ですから(笑)、それに答えたのか背いたのか自分でもよく解らないのですが(笑)、今年は2月に(恐らくマイルスへの移入によって)マイコプラズマ肺炎をやり、大晦日前に(1年の疲れが出たか)ノロウイルスに感染するという年で、逆に言えば御陰さまで他に目立った大病も怪我も無く無事に過ごせた事を、造物主、そして遍在する神々、「ご自愛下さい」という言霊の総合力、しぶとい体力を遺伝子に組み込んでくれた両親のセックスに感謝します。マイコプラズマ肺炎をきっかけに喫煙は止め、ノロウイルスによってTZBのライブ当日のみは七転八倒しましたが、翌々日の本日はすっかり良くなり(さっき青葉で餃子だの炒飯だのをバクバク喰ってました。ああ美味しかった)、これから今年最後の仕事、そして来年最初の仕事。に向かいます。カウントダウンは恐らく、歌舞伎町のどこかで迎える事に成るでしょう。凄いんですよ歌舞伎町のカウントダウンは。拳銃がぶっ放されるんです(笑・ウソです。少なくとも路上ではそういう事は無い)。
冒頭に書いた通り、「今年1年の仕事を振り返る」という趣味はなく、大きな仕事も小さな仕事も、ワタシは嫌々やることは一切ありませんし、やり終えたら余韻は非常に短いか、あるいは目に見えぬほど静かに永遠であって、仕事をこなせばこなすほど、創作すればするるほど、演奏が終われば終わるほど、次にする事を思いついてワクワクするように心身が出来上がっている様です(これも両親に感謝します)。今年は多くの大仕事、中仕事、小仕事をこなし(総てを押さえている方は、おそらく地球上にワタシ一人だと思われます。マネージャーですらノータッチの仕事も少々含んでいるので)、非常に多く遊び、毎日たくさん食べ、寝て、つまりは例年と何も変わらずに過ごした訳ですが、07年がどんな年だったか?と大雑把に思い出すに「ザ・ユニヴァース」と「知るを楽しむ(マイルス)」、「爆笑問題の日本の教養」「英語でしゃべらナイト」そしてDCPRGのラストツアー(今思い出しても、毎日が奇跡的な演奏だったと思っています。活動終了と言う事実のショックがその事を覆ってしまっているのではないかと危惧する程です)、歌舞伎町クラブハイツ、そしてダブセクステットの結成、オーチャードホール2デイズ、蓮實先生との対談、「Hanako」の新宿グルメ案内、ヘンリー・ダーガー、そしてパリコレ取材、といった感じでしょうか。しかしまあ、こんな事指折り始めたらキリがありませんなあ。小西さんとデパートを巡る対談をしたり、近田さんと80年代の話をしたり、我ながら「これ渋いなあ、これなにげに重要だよ」という仕事が、毎週の様にある生活と言うのは、本当に有り難い物です。
ワタシ程度の知名度と稼ぎでも、生意気な事に「年間計画」という物は毎年立てられ、来年のそれも、実は立っています。しかし、アメリカ合衆国初の日本人ジャズメン大統領となったとしても、ワタシの明日には明日の風が吹くでしょう。一瞬先は闇、徒手空拳、人生は博打、官能と憂鬱、生と死の前では全員が平等。というのがワタシの頭上に輝く星、何せ、昨年の今頃に立っていた「07年の年間計画」のうち、予定通り実現したのはオーチャードホールの2デイズと新宿ピットインの3デイズ、芸大の授業、そして「知るを楽しむ」だけで、後は遅れるか中止に成るか、突如ワタシが思いついてどんどん始めてしまった物。なのですから。
1985年にデビューしてから22年、22年前からファンでいて下さる方から、今年、更にいえばつい先日からファンに成って下さった方まで、中学生から60代まで(オーチャードでのサイン界では、親子は言うまでもなく、三代に渡る御一家までいらっしゃり、腰が抜けるかと思いました)、男性、女性、ゲイ、レズビアンまで、多くの方々の御贔屓を受けている事を本当に嬉しく、誇りに思います。我々の人生は、輪廻を考慮に入れない限りは1度きりであり、崇高で、とてもつまらなく、苦行に近い長さであると同時に、ほんの一瞬です。共に楽しみましょう。ワタシは今から「茂木×斉藤博打」の配当金を受け取りに行き、そのままそれは歌舞伎町で総て蕩尽されるのです。一年間有り難うございました。良いお年をお迎え下さいませ。
2007 12/31 19:46
菊地成孔
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