タクシー!! |
| Sep-01-2006 |
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またしてもプチ・シンクロニシティがありました。昨晩タクシーに乗った所、乗るなりカーステレオから「フロイデ~」という、世界中の人がご存知の、あのテノールが聴こえてきまして(笑)。真夏の夜に歌舞伎町で聴く「第九」というのはなかなか良いなあ。これは盲点だ。と、驚き笑い、かつ感動しまして、とはいえ、それはないだろう。ひょっとしてコラージュか何かかな。と思い、運転手氏に「これはベートーヴェンの第九ですよね」と言うと「(以下、東北系の訛りで再現して下さい)いんや。ちんがうの」と言われたので、少々驚き「やっぱり!じゃあ何ですかこれ」と言うと「こりね。<クラスックいいとこどり>ゆうの。レコード。」「あ、、、、ああ(笑)なるほど」と答え、しばらく聞いていると、歓喜の合唱がジャジャン!と終わり、ワーグナーの結婚行進曲、そしてそれが終わるとチャイコフスキーの白鳥の湖が(笑)。 「なるほどN響アワーとのシンクロというわけだね」と仰るのはまだ速いですぞ。その程度はワタシはシンクロとは言いません。一夜明けまして本日、最初に乗ったタクシーが、今度は乗るなりカーステレオから、ショスタコーヴィチの交響曲第四番の四楽章が流れてきまして腰を抜かしました。 勿論これは、余りにも「宇宙からのメッセージ」のテーマ曲(78年東映。音楽:久石譲)にそっくりだから!ではありませんし、「ひょっとして同一人物?」とネームカードを覗いたら、運転手さんの名前が「行方 知人(ゆくえ ともひと)」という、とんでもない名前だったからでもありません(ここまで紛れもない事実であります!カーナビ人間か!)。タクシーでクラシック音楽を聴く。というのは、ひょっとして昨晩が生まれて初めて、今朝が生まれてから2回目かもしれません。 と、白日夢めいた経験に翻弄されながらも、本日は今年創刊70周年を迎える我が国で最古の服飾専門誌「装苑」にてモデル仕事をして参りました。4ページ程の掲載だそうで、せっかくだからとカーラーでインスタント・カールをかけたのですが、何となくマイケルジャクソンの様に成り(笑)楽しかったです。 服は全てディオール・オムで、モードファンの方ならご存知の通り、ここ数年のエディ・スリマン/ディオール・オムは「世界で最高価のロックバンドの衣装」という感じでしたので、ワタシ的には他人事な感じだったのですが、ここ数シーズンで徐々にシックなフォーマル感を加えて来て、タキシードなどはイブ・サンローランみたいな感じに成って来ていたのですが、そういった流れの中でのスタイリングでしょうか。ちょうど「欲しくても高くて手が出ない。いくらなんでもこれは無理だ」と、指をくわえて眺めるばかりだった黒いトレンチコートが用意されており、内心で小躍りしてしまいました。 さて明日は昼にテレビが有り、夜にイベントがあります。明日以降、ライブもテレビ出演も一ヶ月ほどありません。それではお茶の間や職場にて、または代官山にて、もしくは両方で御逢いしましょう。ではごきげんよう。 |
香椎由宇さんによれば黒幕 |
| Sep-03-2006 |
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代官山は現在の所、南博さんの家に行くときと髪を切りに行く時とユニットに出演する時以外は使わない街なので、何と言いましょうか、行くとうっすらとした乖離感が有りますね。数年前はシェリュイにランチをしに行き、散歩コースだったりしたのですが、今や映画のセットの様に見えます。 本日は「パビリオン山椒魚」のイベントにお越しいただき有り難うございました。2時間立ちっぱなし。しかもオダギリさんのコメント出演はほんのちょっと、後は寝起きや風邪ひきや徹夜でボロンボロン(あの頃、ホントに大変だったんですよ。「cure jazz」「野生の思考」と同時進行だったのです!)のワタシが冨永君とひたすらゲラゲラ笑っているという(笑)、実に酷いVTRばかりを見せられ続ける、とんでもない前半でしたが(笑)、そうした艱難辛苦を乗り越え(笑)最後までおつきあいくださった皆様に感謝致します(そして、小声で申し上げますが、どうか皆様、「あの件」に関しては、この映画の主題歌ならぬ「KEEP IT A SECRET 」という事でヨロシクお願い致します・笑)。 あの作品の恐ろしい全貌は公開日に明らかに成るでしょう。MCでも申し上げました通り、現在の所は、音楽が菊地成孔だ、主演がオダギリジョーだという形でのプロもが先行せざるを得ない状況ですが、そして、ワタシもオダギリさんもこの作品のために共に心血を注ぎましたが、バブルに湧く日本映画界は冨永君というとてつもないアンファンテリブル(もしくはブレンギグロメニアン・サーペントの一種)を手に入れた事を知るでしょう。公開日の初日舞台挨拶にもワタシ伺わせて頂きます(こちらにはオダギリさんを始めとするスターの皆様が勢揃いしますぞ)。 ライブのMCで一カ所だけ事実誤認が有りましたので急いで訂正させて頂きます。来る9月23~25日の新宿ピットインに於ける「菊地成孔3デイズ」のチケットは、南さんとワタシのデュオの日のみではなく、全日売り切れておりました。失礼!「南さんとの日が最初に売り切れた」という報を受け、まだ他の日はチケット有りだと勘違いした結果であります。繰り返しますが、ピットインは既に3日とも売り切れておりますのでご了承ください&お買い上げ頂き有り難うございます。因に9月22日の目黒アゲハで行われる「シェイプ・トゥ・ジャズ」(要するに「菊地成孔4デイズ」ですね)のチケットはまだ残っております。が、この日のクインテット・ライブ・ダブには万波麻希さんは出演されません。 というわけで、これから「N響アワー」の選曲、スパンクハッピーの新しいトラック作り、デートコースのアルバム準備、クインテット・ライブ・ダブのツアー(決定したスケジュールの詳細を全てアップしました。「予定表」参照)の準備、をパラレルで進めながら、来週はいよいよ活況を呈して来た東京コレクションの取材、PRIDEヘビー級グランプリの取材、脳学者の茂木健一郎さんとの対談、そして古田新太さんの「ふるチン!」に出演(笑・何で再び呼ばれたのか、未だに不明なのですが)。と、我ながら無茶苦茶なスケジュールに突入致します。「ファッションニュース」に「ジョシュ・バーネット最高」と書き、「kamipro」に「ラッドミュージシャン最高」と書くならば読者の反応やいかに?おのおの新人のデザイナーと新人レスラーに間違われるや否や?そんな事が出来るのは世界で自分だけだと思うにつけ、ついついやってしまいそうで恐ろしい、mihimaru GTというのは何でこんなに善人のオーラが出ているのか、AAAと正反対ではないか。そして、そこが良いのである。と確信している菊地成孔でした。ではごきげんよう。 |
歌うのは聖子なれど |
| Sep-03-2006 |
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ペン大の授業が終わりまして、近所の寿司屋で任侠道の方や水商売の皆さん等と並び、アガリにクラッシュアイスを入れ、アイス緑茶にし、ガストン・バシュラールなど読みながら、良い調子でコハダなど摘んでおりました所、BS-iというチャンネルが中森明菜のライブをやっており、ついついのめり込んでしまいました(その場に居た客全員)。 素晴らしい。本当に素晴らしいとしか言いようが有りません。いろいろな事が合った彼女ですが、ここ10年程は「歌のときは例のあのキャラで、MCの時は人格が反転した様にカマトトになる」という、いわゆる明菜マナー。だったわけですが、知らぬ間にすっかり両者は統合されており、要するにステージの後半はヒットパレードになるわけですが、例えば「飾りじゃないのよ涙は」の際、「あたし泣いたりするのは違うと感じてた~」の「た~」の部分の顔が「80年代ヤンキー顔」ではなく、「みんなありがとうね~」と「優しいニッコリ顔」の方に成っているのです。そして何とあろう事か、続く「か~ざりじゃないのよ」以降もニッコリ顔のまま、総立ち(国際フォーラムか厚生年金だと思われます。かなり大きな会場です)の観客の、最前列で手拍子しているファンに直接視線を投げながらサイン会の様に微笑みかけ続けているのでした。 お若い読者の方には何の事やら。でありましょう。しかしこれは大事件なのです。「少女A」のイントロと同時に、彼女が自分で髪をポニーテールに、つまり、黒い普通の髪留めゴム(150円位の)でもって、せっせと「明菜ちゃんヘア」を作り始めた時には(「そういう演出」ではなく、ごくごく自然に、一生懸命に)ワタクシ思わず拍手してしまいまして、歌舞伎町夜の紳士録。の殿方たちに笑われてしまいました。 浜崎あゆみが彼女の崇拝者だったことはつとに有名で、あらゆる面で影響を受けているのは歴然なのですが、今夜の彼女の歌も踊りもルックスもオーラも、全て浜崎あゆ氏よりもナチュラルで(整形をしていない。声が波形編集されていない。という意味では・・・ありますぞ・笑)生き生きして、ヘルシーに見えました。中年感覚だと言われればそれっきりですが、例えばワタシがサックスを沼に落としたとします。すると沼の神様が現れて、黄金のサックスとワタシのサックスを比べ「どっちがおまえのサックスじゃ?」と(以下略)した結果、「何と正直者よのう。褒美を与えよう。中森明菜と浜崎あゆみとどっちとベッドインしたい?」と聞かれてとしたら迷いは有りません。三船美佳さんです。 と、自分でも驚く程のストレートなエロ話に成ってしまいました。失礼!反省して明日から東京コレクションを取材しに参ります。それではごきげんよう。 |
モードの体系といなかっぺ大将 |
| Sep-04-2006 |
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真夏日が一瞬戻ってきまして、カツラの蒸れも嬉しい一日と成りましたが、本日より一週間ほどは服飾評論家として過ごす事に成ります。東京コレクションの取材ですね。 といっても、ワタシが服飾、特にファッションショーの批評をしているのはインファス社の「ファッションニュース」誌のみ。でありまして、既に4年目に入りましたので、ワタシの連載の中でも最古のものと成りましたが、最近の読者の方で、服飾に興味が有る方、特にファッションショーがお好きな方はバックナンバーも含め、ご参照頂けると幸いです(最新号ではパリ/ミラノの07秋冬メンズを対象にしています)。 ファッションショーをポリリズム空間(鳴っている音楽のリズムと、モデルのウォーキングのリズムは絶対に合わないので→合ったらウォーキングではなくダンシングになってしまうので)と捉えて批評する。というのは、恐らく世界でもワタシだけでしょう。「そんな事をして、一体何になるのか?」という、当然至極な問いにはワタシ自身も全く答えられないのですが(笑)。 ポリリズムだけではなく、音楽の構造と、服飾の構造と、ファッションショーの構造。に、統一的、横断的な構造が有るのかどうか?例えば、音楽には「音色」と称される色彩領域が有り、服飾にもそれは当然ある訳ですが、優れたショーでは、それが完全にシンクロしているように感じられる瞬間が有り、そういった諸関係を分析しよう。というのがこの連載(「服は何故、音楽を必要とするのか?」)の大テーマですが、往々にして大テーマというものは空洞化しますので(「CDは株券ではない」のように。とはいえ、アメリカのタワーレコード本社の倒産に顕著な様に、まさしくCDは株券ではない。わけですが)、結局は「今期のランヴァンはまたしても物凄く素晴らしかった」といった記述が多い訳ですが(笑)。それにしても、バーバリー・プローサムのここ数年は凄い。服をデザインしながら音楽も同時にデザインしているかのようである。 本日は取材一日目という事で3メゾン、上野の東京国立博物館で「サポート・サーファス」を、それから原宿のクエストホールに移動して「オブジェ・スタンダール」を、最後はご近所。というよりも毎日通っております新宿伊勢丹の屋上にて「シアター・プロダクツ」のショーを観ましたが、批評に関しては連載をお読み頂くとして、モード界。というのはワタシの知る音楽界、映画界、グルメ界等と違う、独特の貴族性を帯びているのですけれども、これはモード界がセレブでゴージャスで閉鎖的だから。といった話ではなく、恐らくブログ批評の対象に(ほとんど。他ジャンルと比べた場合)なっていないからではないかと推測します。例えばここで言う「モード界」にはエイプは含まれません。 ワタシはブログ批評を是非や功罪で切って取る。というのは無為に等しく(少なくともクリエイター側にとっては。もしブログ批評に対して完全アンチという立場が確定的に存在するとしたら、それはプロのクリティックの立場以外にはあり得ないと思うのですが、実際はそうでもなく。と、こうした話は長く成るので端折る事にしまして)、実体として既に完全に浸透、定着した若き巨大メディアだと思っているので、ブロガーに批評対象として消費されないこと。が、素晴らしいとか、或は逆にダメだとか言っているのではなく、一種の「庇護下」にある世界だけが持つムード。というものを、梨園や宝塚やクラシック音楽界までが(少なくとも批評対象としては)失ってしまった現在、モード界の住人達の精神世界の特殊さ、格闘技ファンの皆様にだけわかるジャーゴンを使って言えば「ケーフェイが未だ存在している世界の心理」を、非常に興味深く観ている訳です。少々突っ込んで言えば、パソコンの使用範囲。に関しては、おそらくクラシック界のが狭く(クラシック音楽家はパソコン持ってないだろうとか、指揮者はブログなんて見ないだろう。と言っているのではありませんぞ)、モード界のが広いのに関わらず。です。 ですからこれは一種のスリル。とも言えます。モードには不可避的に「変装」の側面がある訳ですが、東京コレクションの取材に赴く時のワタシの精神状態は、日常と変わらぬ服装であろうと「変装」して「潜入」している気分になるのですね。 「何故、パーティーが行われると、一番はじけるのがモデルなのか?」という問いに、ワタシは前述の連載で、敢えて「それは、ハウスミュージックが流れているのに踊ってはいけない。という特殊な縛りの中で仕事をしているからである」としましたが、この答えには、踊りとは何か?庇護とは何か?批評とは何か?更には禁忌とは何か?羞恥とは何か?エレガンスとは何か?といった数々の問いに対する答えを含むでしょう。 何事もアニメで説明すると通りが良い。という昨今の風潮に即するわけではありませんが、昔日の我が国では、風大左衛門というキャラクターの「音楽が流れるとどうしても踊り出してしまう」という属性が、コミカルな奇癖として描かれましたが(まあ、風大左衛門は、そのまま全裸になりますので・笑・未だに奇癖であることには変わりませんが)、あれから30年、日本人はビートに対する身体のシンクロ度を飛躍的に上げました。「それでも踊らずに歩くということ」についての分析は、「(音楽が鳴ったからといって)普通は踊らないものだ」というコンセンサスを半ば失った現在でこそより明晰になりやすいと思われます。要するに、ふたつのダンスカルチャーがあるわけです。 というわけで、大ちゃん繋がりというわけではありませんが、今から赤坂TBSラジオに向かい「ふるチン!」という番組に出演してまいります。明日は脳学者、茂木健一郎氏と銀座で公開対談です。ではごきげんよう。 |
ビヨバウアー! |
| Sep-05-2006 |
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本日は脳学者の茂木健一郎さんと対談をし、終了後にクラブキング(このイベント主催)の桑原茂一さんなどと「キッチン5」という、西麻布のレストラン(とても素晴らしかったです)で食事をし、その後J-WAVEのレギュラー番組の打ち合わせをして戻りました。10月より、深夜の3時5時。という、伝説の時間帯(笑)です。 茂木さんの研究分野。というか、ほぼ独占状態であると思しき「クオリア」という概念に関して、ワタクシ全く存じ上げないまま(一昨日までプランクトンの一種だと思っていたのです。お恥ずかしい)対談の席に着いてしまい、あまりグルーヴできずディープさには欠けた嫌いはありましたが、良いムードで無事に終了しました。 以下、知り合いの編集者からディープな報告が!! 菊地さま こんばんは。 つまらない話ではありますが、本日わたくし、三田格さんと(なぜか)キアヌ・ リーヴスのインタビューをし、そのあとビヨンセの誕生日ライブ@武道館(笑) というのを見てまいりました。 掲示板でビヨンセネタが盛り上がっているところ、物見遊山気分だったわけですが、さすがに結構見入ってしまいました。 なにせ、 キーボード2人 ドラム パーカス ● ● ● ● ● ドラム アルト テナー ギター ● ● ● ● ● ラッパ ベース ビヨンセ ● ↑という10人ひな壇編成のバンドが、全員ギャルなのです! ということだけお伝えしておこうと思いました(笑)。 ハッピーバースデー!僕らのビヨンセ!君に欲情しているファックな白人どもがゴチャゴチャ言ってるようだが気にするな!リアーナだってやがて整形するに決まってんだ!!ビヨバウアー! というわけでアウトキャストの新譜が素晴らしすぎてハフハフ言っている菊地成孔でした。ごきげんよう。 |
遊園地のヒップホップ |
| Sep-06-2006 |
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本日は東京コレクション取材で、丸の内国際フォーラムに行ってきました。連載ページ用の、取材中のワタシの写真を撮影しながら。の取材になったのですが「イランイラン」のショーは素晴らしく、少々感動しました。業界用語で「赤文字系」と呼ばれる、アンアン、キャンキャン等のモデルさんがいっぱいいまして、お花畑みたいでした。 アウトキャスト新作やばいよね。というのはここ最近、友人達の間での合い言葉みたいに成っているのですが、ワタシはMTVでPVを録画して観ているだけなのですが(なので、歌詞は一部しか解らないのですが)、あれだけでもうノックアウトであります。アウトキャストがヒップホップ界でどのようなスタンスに居るか。というのは、こちらの読者の中でも少数派ではないかと思われる「全米ヒットチャート好き」「ブラックミュージック好き」の皆さんにとっては釈迦に説法。ですが、雑食によってヒップホップ界の閉鎖性を打ち破ろうとする彼等の「ジャンル外の元ネタ」探しをしたいという方は、是非、ビートルズの「サージェントペッパーズ」の中の「ベネフィット・オヴ・ミスターカイト」(アルバム名、曲名ともに略称)という曲を聞いてみて下さい。 これはサーカスと遊園地を扱った音楽の中でも屈指の名曲なのですが、ヒップホップがそこを突いてくる。というのはかなりヤラれた感じです。ワタシは、ヒップホップカルチャーが「飲み込んでしまおうとするもの」としてはディズニーランドというのがかなりの大物。だと思う訳ですが、その横っ腹を見事に突いている感じです。ご存知の通りヒップホップカルチャーはブレイクダンスとターンテーブルとグラフィティ・アートという三本柱による、言わば「部外者の遊園地」として始まった訳ですが、とうとう「実際の遊園地」に「乗り込んだ」という感じです。そう思ってPVを再三再四プレイしてみると、かなり手の込んだメッセージがちりばめられています。その上泣けるという。 基礎の音楽理論に明るい方なら両曲のコード進行やメロディ構造を分析してみるのも面白いと思います。決して「パクり」ではないのですが、世界観が同じ。という現象には構造的に何が起こっているのか解ると思われます。というわけでアウトキャストの知性と勇気と感受性にはほど遠い訳ですが、これからスパンクスのライブで使うトラックを制作しにスタジオに行きます。もうバレバレでしょうから書いてしまいますが、スパークスとピチカート・ファイブのカヴァーをやるのですね(スパンクスの新曲や新トラックは有りません)。それではごきげんよう。 |
キレる奴 |
| Sep-08-2006 |
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昨日「赤文字雑誌」に「アンアン」を入れてしまったり(「アンアン」はぜんぜん赤文字雑誌では有りません・笑・どうして間違えたかは言うまでもありませんが)、ヒップホップの三本柱。などと、すっかりラップを入れ忘れていた(実際は四本柱です・笑)せいか、罰が当たり、額にスリットが入ってしまいました(笑)。 パードン木村さんの車から降り、ドアを閉めたのですが、周囲が真っ暗だったので(葉山の海岸だったのです)目算を誤り、ドアの端を額にゴン。と打ち付けまして、大して痛くなかったので、そのまま歩いておりました所、鼻の辺りが妙に生暖かいな。と思い触ってみたら何と血ダルマで(笑)、ゲラゲラ笑いながら海岸沿いのレストランに入り、消毒薬とバンドエイドを頂きまして(店員さんが真っ青に成ったので「ちょっと切れただけ。ぜんぜん大丈夫」と笑いかけたのですが、顔面を血ダルマにした男が笑っている。というのは逆効果だった様です・笑)トイレで応急処置をしたのですが、3センチ程の実に奇麗なスリットが入っておりまして、これはこちらの読者の中でも少数派と思われる格闘技ファンの方には釈迦に説法ですが、額やまぶた周辺やコメカミというのは打撃力は大した事がなくとも、角度によっては簡単にスリットが入ってしまう物で、しかも頭部というのは大袈裟なまでに出血するので、要するにジュース代も貰えないままグアバジュースを飲みまして。と、この部分はプロレスファンでないとお解りにならないでしょう。 「N響アワー」での選曲が本日決まりまして、告知は出来ませんが、かなり選りすぐりのモノばかり集めたので、クラシックファンの方も、そうでない方も是非ご覧頂きたいです。その際には額のスリットに御注目ください。本日葉山のカフェで食べた食事はとても優れており、サラダにはオレンジと黒胡椒の香りがまぶされていました。新タマネギと紅鮭のキッシュも、カボチャのビシソワーズも絶品でしたが、額のスリットも美味に一枚噛んでいたと思われます。食事という物は、ワタシが知る限り、多少傷ついていた方が美味しいのであります。明日は再び東京コレクションに伺います。それではごきげんよう。 |
スパッツとレギンスとレオタードについて |
| Sep-08-2006 |
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本日も東京コレクション取材。神宮のラグビー場で「ジョン・ローレンス・サリヴァン」のショーを拝見しました。デザイナーの柳川氏は元ボクサーという経歴を持ち、服も音楽もそれと密接に関係していましたが、メンズコレクションの割には会場の女性率が高く、秋の気配。という事でしょうか、スパッツ改めレギンス着用の方がたくさんいました。タイト・フェティシズムの男性というのはワタシも含めかなりの数がいると思われますが、ちょっとした豆知識としまして、現在「レギンス」と称される、あの、足首で切れるタイツの様な物は、「スパッツとどう違うの?」等と言われますが原義的にはレギンスが近いと思われます。 スパッツというのは、これはワタシの推測(ですので例によって間違いかもしれませんが・笑)ですが、英語の「スパッターダッシュ」の短縮系だと思われますけれども、スパッターダッシュは元々足の甲から(つまり、指先は出ていて)膝下までくらいの物で、衣類としてはバレエ用品です(車の雨よけカバーもスパットです。因にフランス語ではドゥミ・ゲートルと言って、何にせよ足首から膝までの、レッグウォーマーの類いですね)。対してレギンスは、これはかなり怪しい記憶ですが、leggingの複数形だと思われます。レギングは日本で言うと、神輿を担ぐ際に履く脚絆の様な物で、腰から足首までの物です。長い間これをスパッツと俗称していたのがそもそも転用の類いだったと思われます。 因に「レオタード」に関してですが、これは少々複雑で、あの衣類を「レオタード」というのは米語でありまして、しかしレオタードの語源に成った空中ブランコの名人はフランス人なので、アメリカ人がフランス人名から作った造語。という事に成ります。レオタードはフランス語では「コラン(ト)」と言い、これは「接着する」という意味ですので、タイト・フェティッシュの皆さんにはこちらの方が喜ばしいかもしれません。 と、さりげない風を装いながらもかなり情熱的に語ってしまいましたが(笑)、こういう事をしている際には時の経つのを忘れる物です。ペン大の授業開始時間を過ぎていました(笑)。11月にはモーションブルーヨコハマにてペペ・トルメント・アスカラールのライブが有ります。それではごきげんよう。 |
桜庭無事に本日も出場 |
| Sep-09-2006 |
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今頃はヒーローズでアイヴァン・メンジバー選手が優勝している頃だと思いますが、ワタシはペン大の授業を終え、冷房風邪にやられてフ~ラフラしておりまして、明日のPRIDEグランプリの取材に備えて、暖かい物でも食べてはやく寝よう。というわけにも、こ~れがなかなかそうは行きませんで、今から「チアー&ジャッジ」の「コーネリアス<MUSIC>」の回を書いてから寝ます。 先日は「フィッシュマンズ本」に、かなり長い原稿を書きまして(楽曲の分析ですが、この原稿はなかなか面白くなりました)、さきほどは5年ぶりのコーネリアスを聴いたりして、何と申しましょうか、90年代はやはりノットデッド(「CDは株券ではない」の中での用語)なのか、或は既に完全なリヴァイヴァル/レトロスペクティヴに入っているのか、完全90年代音痴としましては、ここのところの「渋谷系は死せず!90年代万歳!(タワーのインディーチャートの上位がフリッパーズギターの再発で占められていますし、小西さんは昨年「東京は夜の7時」をセルフリメイクし、日本コロムビアに戻りました)。良い音楽ってみんな実は90年代に出そろってたんじゃない?!とでも言いたげな消費層の顕在化」は、逆に新鮮で、もう一度27歳から36歳(90年代の、ワタシの年齢)をやり直せるのかしら~?という、一番近い物としては地獄。でもうふふふふふ。といった、何とも素敵な感覚にとらわれておりまして(笑)これは冷房風邪による倦怠感による錯覚というものでしょう。 「あの時代が忘れられない」という感覚は傷ついたオトナの特権ですが、しかしながら基本的には、あんまり大々的にやらないのが粋だとワタシは思います(「嫌ヲタク流」という本の中で、中原昌也氏が「仮面ライダーが好きなのは構わないけど、会社のデスクにフィギュア乗せたり、主題歌のCDかけたりしたらダメだ。家でひっそりやれば良い。どこもかしこもでそういう事はしない。というのが普通のオトナというモンだ。<懐かしモノ>ネタのテレビCMを観るとムカムカする」と、物凄く真っ当な発言をしており感動しました)。「90年代にしがみつく人々」というのは、ワタシの予想では、今度もっとどんどん、厚顔無恥な感じで増えて行き、過去の「70年代にしがみつく人」「80年代にしがみつく人」等と同じ事に、つまり「しがみつき文化」の拡大。に成って行くと思うのですが・・・と、いかんいかん。原稿が一週間以上遅れているというのに(笑)。 では明日、格闘技ファンの皆様とはさいたまアリーナにて共にPRIDEの行方を刮目して見守ろうと思います。身体はだるいが頑張りますぞ。だるいといえば、警察権力とテレビ権力というのは我々に万能感と無能感を交互に抱かせるメディアですが、ここのところ大きく無能感に偏っているようです(インターネット権力がそれに代わる素晴らしい物だ。等とは手の先ほども思いませんが)。犯人の少年が自殺してしまったから。等と言う結果論を言っているのではありません。「そこそこ可愛く、クラシックバレエをやっているような子が5年制の工専(工業高等専門学校)に入る」という心理について、あの事件が起こった舞台が「山の中の工専」だという事の意味が、警察もテレビのコメンテーターも一切解っていないとしか思えません。感じるのは無気力ですね。警察とテレビ報道も鬱病でしょうか。このままだと、警察は「何で殺すの?何であすこで死ぬの?何かよくわかんね~や。もういいよ適当にやろう。だってわかんねえんだもん。やっとロリコン?の事?ぐらいは解って来たのにさ~」とでも言い出しそうです。 |
ケンタッキーフライド格闘技 |
| Sep-10-2006 |
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風邪ひきのまま、さいたまスーパーアリーナより帰還しました。プレスの契約事項として、あと7時間は結果については何も書けませんし、また、ここに書くつもりも有りませんが、いろいろな意味で大変興味深い興行となりました。今日ばかりは会場観戦のが良かったと思われます。トイレで放尿中に「kamiproでいつも見てます。作家の菊地さんっすよね。俺もバーネット応援してます」とB系青年に言われたので、放尿しながら「作家じゃないんですよ。それにしてもそのアイアンメイデンのTシャツはカッコいいですなあ。オリジナルでしょう」等と答えたりしたのですが。 さて昨日、「90年代にしがみつく人々」の事を書きましたが、これは何も渋谷系だけではありません。現在のJ-POPチャートをご覧に成れば、上位をラルク・アン・シエルの再発が独占し、その他に米米クラブ、TRF、徳永英明等が固めているのが解るでしょう。要するにあっちもこっちもしがみつき。なのですね。 しがみつき繋がり。ではありませんが、昨晩テレビをつけっぱなしにしていたらワタシの「大停電の夜に」から何曲か流れたので、どんな番組かと見てみれば「歌舞伎町の歴史」みたいな番組で、歌舞伎町の浄化に反対する内容だったわけですが(笑)、何人かのメイン登場人物のうちの一人が性同一性障害の方だったのです。性同一性障害に関しては過度に重要視する学者と過度に軽視する学者に別れるように思えますが、ワタシも知り合いに何人かおり、あまつさえ過去(以下自粛)を持った女/男性も居ますが、彼/彼女等の「しがみつき感」にも凄まじい物が有ります。「違和感に対するしがみつき」とでも言いましょうか。 更に、そのままつけっぱなしにしていたら今度は5年前の同時多発テロに関するドキュメンタリー番組をやっていました。こちらは違う意味でのしがみつきですが、ワタシ思うに「90年代」にしがみついていたら、すぐに9/11がやって来ちゃうのに良いのかしらん?と思う訳ですが(勿論コレはおとぼけで「良いに決まってる」というのが正解なのは存じ上げております)、ワタシがしがみつくならば、これはもう圧倒的に1962年ですよ。キューバ危機の年ですね。この年ワタクシ、母親の胎内におりまして、ビートルズ。というグループがデビューしてちょいとした騒ぎに成っている。と小耳に挟んだ物です。 胎内にいた。と言えば、胎内に居ながらにして生後の成長を一切拒否した赤ん坊がベルリンでジャズドラマーに成る。という有名な物語りの作者が、元ナチスだった事をカムアウトして、ドイツでは大騒ぎに成っています。こちらも国家をあげてのしがみつきですね。しがみつきの問題を考える時にワタシがイメージするのは(世代的に)ダッコちゃん人形です。あれは空気を入れるとパンパンにしがみつき、空気を抜くとプシューと「手を離す」訳ですが、ワタシは正規の空気弁ではなく、針でプスッと刺してしまうのが好きでした。ダッコちゃんに麻酔注射を打った感覚です。漠然とした読みですが「90年代しがみつき」は、95年まで。という方が多数派ではないかと思います。オウムと阪神大震災が来る直前までの日本。というわけですが、どうでしょうか。 それにしても90年代しがみつき効果は凄い。何故だれも「格差社会」の到来について、渡辺和博&タラコプロダクション(後のホイチョイプロダクション)の名著「金魂巻」を持ち出さないのか。また「○金、○ビ」とか言い出せば良いのに(ワタシは年収が約自粛万円なので「○金ジャズメン」になります)。そんな事絶対に出来ません。これは「当時と今では状況も時代の気分も違うし、所得格差という現象自体の意味すら随分と違うから」というのが正解でしょうけれども、ここは敢えて「90年代しがみつき効果」の一つ。と考えたい物です。「金魂巻」に関してはウィキペディアなどに当たって頂くとして(っていうか、地球上の全ての現象は何でもかんでもウィキペディアに当たって頂くとして)、それが84年の本であり、その年の流行語大賞を受賞し、その翌年にはにっかつロマンポルノで映画化されている。という事のみ記しておきましょう。 風邪をひくと自由連想性が強く成り、何を書いているのか解らなく成ってきました。今日明日中に、ウッチャンナンチャンのやるならやらねばならぬ(お90年代の影が)原稿が三つあります。元々の馬鹿に拍車がかかった気がするのは、さいたまスーパーアリーナ内でケンタッキーフライドチキンを食べたからでしょう。それではごきげんよう。 |
プライド観戦記補足 |
| Sep-12-2006 |
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昨日の取材ですが、2時から8時までの6時間興行を全て観た上で、原稿は2000文字、しかも帰宅して5時間以内に脱稿。というハードスケジュールでしたので、100%満足した物が書けませんでした。「仕事のやり残し感をブログで補完」というのは、個人的には潔しとは思わないのですが、軽く補完しておきますので「kamipro」の掲載号だけでは解りずらいと思った方は以下を参照ください。 * * * * * フジが撤退すると決まった時、前代未聞の「ファンを会場に入れた記者会見」をDSEは行いました。また、その日の前後の高田伸彦氏のブログは大変な事に成っており、それこそ昨日の「90年代しがみつき」ではありませんが「みんな。ありがとう」「高田さん。ありがとう」「ありがとう。ありがとう」という、人格改造セミナー的なありがとうの嵐になっていました。 なので、ワタシは会場にはそうした「俺たちがPRIDEを救う」的なファンの熱気がムンムンだと予想しました。「kamipro」前号での「俺だけの優勝予想」には、そうした観客席の集団的な欲望とジャストグルーヴした選手が、実力と別に勝ち上がるだろう。という予想基盤に基づいて「バーネット優勝」としました。 ところが、会場入りし、イベントが刻一刻と進むうちに、どうやら事態は全く別だ。という事が解ってきました。横浜国大の学生有志による「プライドフラッグの返還」という企画(どんな企画かはお調べください)が、ここさいたま市じゃないよ。シベリア市でしょう。というほどに極寒のクソ滑りをしたのです。「さいたまアリーナ」という空間で事が滑ると、建築特性上、物凄い「滑り効果」が出るので、極寒を超え、ワタシは「さいアリ真空」と呼んでいますが、本当に空気が無いかと思う程の純粋な無音に包まれました。 ワタシは国際プロレスの終焉を覚えています。ファイティングネットワーク・リングスの凍結も記憶に新しい。全日本女子の終焉は、ローマ帝国の様でした。バンドもいくつか無くなってきました。親とも死別しましたし、恋人とも結構別れて来た。つまり、破滅の観照や終焉の美学、別れの寂しさで飯が一杯ぐらいは食える、立派な中年なのです。ワタシは「プライド愛」など持ち合わせておりませんが、10年以上の歴史を持つ物が無くなってしまう。というのであらば、身体に染み付いた「終焉」に対するセンチメンタリズムを解放するのも、まあまあやぶさかでは有りません。 そして端的に言うと、ワタシのメンタルシステムは会場では完全な少数派でした、少数を超え、例外レヴェルの数だったと思います。会場のマジョリティは「まあDSEはなくなっかもしんないけど、しょうがねえよな。どうなんのかな~。まとにかく俺はソフトとして面白い試合が見れればそれで良いよ。ズッファに食われるんなら、それでもいいんじゃない。日本で見れるならさ。DSEあぶねっぽいなあ~。今日は誰が勝つかな。あ!ミルコだ!!ミルコーーーーー!うおーーーー!」といった、実にクールな消費者達で、ワタシはその事に、少々関心すると同時に、リングスという団体は、どこまで渋くセンチメンタルな団体だったんだと思うばかりでした。 DSEは見事なまでに「帝国傾斜の姿」を見せていました。こればかりはPPVですら解りずらかったと思います。煽りVTRが、バイト君が自宅のマックで作った様なレヴェルに成ってしまったのは予想出来たとはいえ、巨大ビジョンや巨大ランウエイが、巨大ではなく成ってしまった事はすぐに解ったとはいえ、休憩中に流れるVTRや、会場で配布されるパンフレットが「フジのゴールデン感」から「テレ東の深夜枠感」に、「ブランド商法感」が「霊感商法感」に、すっかり変わっていた事は「帝国は傾斜に沿って、ゆっくり変質して行く(傾斜とともにいきなり破滅する訳ではない)。そしてその変質は、常に退行的である」というテーゼをきちんと踏んでいました。ワタシは当日のパンフを見て「なんかプライドじゃなくてドラゲーのパンフみてえ」「DSEの代表じゃなくて、Uインターの代表みてえ」と思いました。F-1もかくやと思わせる、広告のポップアートみたいだったリングは、学生プロレスのそれのようにそっけない物に変わっていました。 こうなると「観客の集団的欲望」の焦点が変わってきます。「セーヴ・ザ・DSE」でもなく「世界最強を決めてくれ」でもなく(そこら辺に関しては、何となくしらけているようでした)、「とにかく楽しませてくれ」といった、明晰な様な、曖昧な様な欲望で、さいたまスーパーアリーナが埋め尽くされていました。 これでは「シウバが体重差も実力差も超えてミルコに勝つ」等と言う目はあり得ません。というより、ミルコの「久々の不機嫌(つまり絶好調)」は、さいたまアリーナ全体を一瞬にして掌握してしまったと思います。入場時に「今日はミルコが優勝だ」と確信した人は多かったのではないでしょうか。 ワタシは彼が誕生日である事を知りませんでした(試合の直前に、後ろの席に座ったマニア氏が、同行の女性に話したのを聴いたのです)ので、何故ミルコが、こんな(まるで場違いな様な、意味不明な感じで)やる気に成っているのか解らず、少々混乱しました。ですから「今日、ミルコ誕生日なんだってさ」という小声を耳に挟んだ瞬間に、ミルコのミルコらしさが爆発した様な気がしました。 この通り、ワタシの予想基盤は崩れてしまったのですが、ジョシュは決勝に進出し「もしジョシュが勝ったりしたら予想が当たってしまうな。でもそれは無いだろうな」と思いながら決勝を見ました。「ブラジル柔術よりもアグレッシヴかつスピーディなキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの奥義」なんてものは北斗百列なんとか拳の奥義。と同じ程度のファンタジーであって、どっこいしょどっこいしょの膝十字や力任せのフロントネックロックはジョシュが「UWFヲタク」以上でも以下でもない事を如実に物語っており、そして、その事は本当に素晴らしいと思いました。入場時のバーネットへの声援は少なく、試合中に力任せのパスガード、無理目な膝十字、馬鹿頑丈な打たれ強さ。等を見せるに従って、どんどん会場人気を上げて来た事がPPVでも解ると思います。 個人のヲタク的なファンタジーでも、決勝までは進出出来る。という事は、「プライド愛。だけでは利己的でデモーニッシュな実力には叶わない」というシウバ×ミルコ戦が見せた物と好一対であり、結局ミルコが優勝したこのトーナメント全体の教訓は実に深い物が有ります。「ひょっとしたらこれで(少なくとも)PRIDEヘビー級トーナメントは最後かもしれない」という係数を入れると、それをミルコが意識していたかどうか?という係数を入れると、事の深みは何倍にも成りそうです。ミルコは試合後に「今日、ヒョードルが参戦していても、俺が優勝だったんじゃないか?」と言いました。単なる自己過信のビッグマウス。として聞き逃すには、少々異物感のあるフレーズに思えました。ミルコのプロファイリングをするなら、とてつもない恐怖や哀しみ。即ち「忘れないといけない事」を、個人的な野心によって抑圧し、進んで来た事が歴然です。もっと具体的に言えば「内戦と上昇志向が彼を強くした」のであり、それが現在のDESと彼の状況にアゲインストかアジャストかは考えてみれば明晰なのでした。 個人的にはバーネットがミルコ戦のレフェリーチェック時に見せた「友人として、お互いの顔の傷を気遣う」という仕草がベストアングルでした。ちゃんと試合結果の伏線に成っていたからです。リアルプロレスラーとはこの事でしょう。第二次 UWF的な意味で。ですが。 ワタシはバーネットの「北斗の拳」のコスプレイヤー。という顔はペルソナであり、実際は「UWFのコスプレイヤー」だと思いますが、この試合は、オープニングからエンディングまでは、ミルコという自己愛の化け物を「異種格闘技線」の相手と想定した、ジョシュの「UWFごっこ」の無意識的な完成形とすら言えると思います。友人として尊敬している。という事を示してから始め、アクシデンシャルなサミングによって終了する。具体的に言えば前田×山崎戦です。 お互いに全く共通項を持たない個人的なファンタジーが交差して名勝負になる。というのは、近年のMMAに関する評価基準から言えば外道でしょう。ワタシはフロイト主義の立場により、「格闘技通信」的な唯技術論に対しては否定論者ですが(練習によって磨かれた技術は「試合」という「即興性」によって二次加工され、その膨大な加工過程を駆動するのは技術ではないから。です。具体的に言えば、高坂によれば「ジョシュはノゲイラのする事は何でも出来る」に関わらず、ジョシュは膝十字を出す訳です)、何にせよ、先日の桜庭と今回のジョシュは、MMAの常識が「(DSE)帝国的な常識」として固まりつつあった所に、傾斜を見越してやって来たルネサンスだと思います。サイレント・テロと言っても良い(桜庭のは陰気な、ジョシュのは陽気な物ですが)。そしてそれを導いたのは、即ち傾斜の端緒となったのが、今思えば「吉田×小川戦」だった事は間違いないです。あらゆる意味で、あの試合がパンドラボックスの締め口に爪を立てた試合だった事は、表から裏から、あらゆる記録を総動員すればより明確に成るでしょう。「PRIDEがプロレスの面白さに手をかけてしまった事」の結果が「プロレス的な観客の増殖」に繋がらず、むしろ逆の観客の増殖を生んだ事は、逆説に見える様ですが順説でしょう。「ロシア人はロシア人が始末する」等と煽られても観客は全く沸きませんでした。「プライド愛対キス」等とフジテレビ抜きで振り回した瞬間、さいアリ真空が我が身を切り裂く様でした。明らかに風向きはUFCに、つまり「我々はラスヴェガスのギャンブラーだ。賭けには自信がある」という名言を残したズッファ社に有利であります。 * * * * * と、まだまだ語るべき事が尽きない興行でしたが、取りあえず今の所はここまでとします。文中「サイレント・テロ」とありますが、それがそう見えない。そう読解されない理由こそ、本日書くべき物でしょう。ブッシュ政権。という物は、端的に言えば「戦争」という不確定的な概念の定義付けを非常に上手くコントロールし(政策が上手かったと言っているのではないです。上手かったのは「戦争」の「定義付け」です)、それによって駆動した政権と言えますが、ワタシのこの五年間も、ブッシュ政権程ではないものの、同じ5年間でした。ブッシュ政権にはエレガンスが足りなかったとしか言いようが有りませんが(ユーモアは意外と足りていた様な気がします。少なくとも一面的な平和主義者よりも)、少なくとも二の矢は打たせなかった。これは「だからこそ(例えば消極的に)評価する」という話では有りません。5年間ならば(本土内に)平和が維持された。という事の意義を、どうやってどの程度考え、感じ取るか。という話です。ワタシとしては「本土内」は「体内」と言い換えるべきだと思う。何にせよ、美や芸術の根拠が尽きない事は良い事です。今ワタシはヘンリー・ダーガーについて考えているのです。それではごきげんよう。 |
クリントンたち |
| Sep-13-2006 |
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エッセイストの三田格さんから > ブッシュ政権。という物は、端的に言えば「戦争」という不確定的な概念の定義付けを非常に上手くコントロールし(政策が上手かったと言っているのではないです。上手かったのは「戦争」の「定義付け」です)、 ↑クリントンはそれを人道的介入というキーワードでやろうとしてたんだけど、あまりに上手くいかなかったんで、ビン・ラディンに懸賞金をかけて、次のストーリーをつくろうとしたんでしょう。だから、誘ったのはクリントンで、ブッシュは漁夫の利ですよね、実際は。それも才能かもしれませんが。 というご指摘を頂戴しましたが、これは正にその通りであります。さすが。 クリントン=鳩派の優男、ブッシュ=鷹派のサル男(何の気無しに書き飛ばしましたが、自分で書き飛ばしで笑ってしまいました)。といったイメージが漠然と定着している様に見えますが、私感ではブス専という属性やテナーサックスのアマチュア演奏家(しかもカントリーとラウンジが得意なのです)、ヒラリーという強烈な奥方(「ヒラリーはビッチだ<「アソコの面倒みてあげようか?」>」という、ヒラリーのパンチラ・アイコラ付きの下品極まりないメッセージ・バッジは90年代ワタシの宝物でした→現在紛失)の存在等、レーガンの「ド80年代」感に60年代感を少々振りかけてエレガンスに裁縫した、ビン・ラディンを賞金首にしながら、その事自体があんまり目立たなかった、そしてジョージ・クリントン(合衆国第四代「副」大統領)とジョージ・クリントン(P-ファンク国永久大統領)とジョージ・ワシントン(合衆国初代大統領)とごっちゃに成りがちな(成りません・笑)ビル・クリントンは、「ワタシのベスト大統領」の5指に入りますね。因に1位はウィリアム・ハワード・タフト、2位はロナルド・レーガンです。 今日は仕事が5つ。という日なので、家を出る前に書いています。11/25大阪ブルーノート決定致しました。これでKQLDのツアーが全行程出そろったわけです。一転して寒く成りました。服や食材や書籍たち、共に恵みの秋を楽しみましょう。ではごきげんよう。 |
秋 |
| Sep-14-2006 |
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めっきり寒く成り、しかもワタシ好みのシトシト雨が続き、非常に嬉しい毎日です。移動のタクシーから見えるミスティな東京は非常に美しい。夜景は様々な場所で楽しめますが、雨景はタクシーもしくは飛行機のシートから見るに限ります。ワタシのおすすめスポットは帝国劇場周辺です。ワタシがいつも連想するのはプラハですね。 今からなんと「cure jazz」の最終公演に出かけます。これはオープンライブではなく、ここの読者の中では多数派と思われるブランド好きの皆様にはご存知であろう「CORCH」のパーティーがあり、それにサプライズ・ゲストとして登場するのであります。ワタシはバッグ方面にはいささか弱く、レディスとしても「ゴヤールなんかが麗しいな。ロエヴェやバレンシアガも可愛いな」という程度の素人ですが、CORCHの皆様とのサプライズ逢瀬を楽しみにしております。 11/25大阪ブルーノート決定致しました。これでKQLDのツアーが全行程出そろったわけです。そして10月から始まるJ-WAVEのレギュラー番組の詳細が出ましたので告知させて頂きます。 <番組タイトル> 「The Univers」(ジ・ユニバース) <放送日時> 毎週月曜~木曜 27時~29時 <パースナリティ> 月曜 松尾潔 火曜 菊地成孔 水曜 大貫妙子 木曜 倉持陽一(YO-KING) 木曜の倉持さんという方を除いて、パースナリティが全員知っている人(個人的な知古はありません。お仕事ぶりを良く存じ上げている。という事です)だったので驚きました。自分の事を棚に上げて申し上げますが、素敵な番組に成りそうなラインナップですね。とはいえ松尾潔さんが前の日に居るのならブラックミュージックを選曲出来ませんし、大貫妙子さんが翌日に居るのならフレンチミュージックを選曲できません。四大文明のうちの二つを塞がれ既に困っています(笑)。フィニアス・ニューボーン・ジュニアばかりをかける、完全ビーバップ番組にしようか(笑)。 「エコール」という映画の宣伝の方からコメントのオファーが有り、観せて頂く事にしました。というか、これは既に一部で大騒ぎに成っている映画で、とても観たかったのです。「パビリオン山椒魚」は明後日より。ワタシも駆けつけさせて頂く舞台挨拶は1時頃からです。そしてこの日には菊地プロデュース、南博作品の第二弾「エレジー」も発売されますので御贔屓のほどよろしくお願いします。 「ペン大に入るにはどうしたら良いでしょうか?」という質問を受けるのですが、当欄の8/29に詳細が有りますのでご参照ください。因に、ペン大の入学要項は、応募が出そろってからまとめてお送り致しますので、9月下旬までお待ちください。 現在は茂木健一郎氏と対談した日に(お母様とお嬢様でお見えになっていた)おファンの方から頂戴したウォッシュタイプのチーズと枝付きのレザンをクリスプブレッドに塗り(三点セットで頂戴したのです。有り難うございました)、梨とエヴィアンと一緒に食べています。明日はイサキが食べたいなあ。と思いながら。本はガストン・バシュラールとクロード・レヴィ・ストロースとヘンリー・ダーガーを読んでいます。今日から国立音楽大学の授業が再開したので、往復の西武新宿線で読書が出来る。季節に忠実な菊地成孔でした。それではごきげんよう。 |
「パビリオン山椒魚」「エレジー」 |
| Sep-16-2006 |
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ミクシィ株が、誰もが上がり過ぎだろ。と思いながらも、誰も止められない、まるで「景気が良いって証拠を見せろ」という声に強制的に上げられてでもいるかのような第二バブルぶりを見せ、ジャネット・ジャクソンが「ヒラリーが女性大統領に成るのならワタシは支持するわ」とニップルを飛び出させる。という、何にしても陽気にアタマがおかしくなったような秋ですが、そんな秋に相応しい、とても陽気で頭のおかしい映画が明日より一般公開され、その音楽監督であるワタシは舞台挨拶に伺います。既に舞台挨拶込みの初日チケットはオダギリジョーさんのファンによって買い占められ、ワタシが何を言おうにも聴こえはしないでしょう。しかし頑張って面白い事を言おうと思います。そんな必要まったくないのに! とはいえオリジナル・サウンドトラック「パビリオン山椒魚」のCDも明日発売に成るので、そしてジャケットはオダギリジョーさんなので、これは下手したら「cure jazz」より売れるかもしれませんよ菊地さん!だってオダギリさんのCDと間違われるからです!と言われております。やったぜ!! そして同日である何と明日。ワタクシのプロデュースによる南博さんの最新作「エレジー」が発売されます。内容については4の5の申しますまい。ワタシは昨年の10月より約一年間、「cure jazz」「野生の思考」「パビリオン山椒魚」そしてこの「エレジー」の製作を同時進行していたのですが(我ながら、どうかしてる。と思います。全てをお手に取った方には解るでしょう)、「cure jazz」が夏の初めに出る事、「パビリオン山椒魚」と「エレジー」が秋の初めに出る事、そして「野生の思考」が冬の初めに出る事。を想定しながら1年間暮らしました。季節感をこれほど意識した年は無かったのではあるまいか? 今は「エレジー」を聴きながら書いています。南さんの心の叫びが聴こえてくる様な、冷たく痛く、そして非常に美しい音楽です。それでは明日よりしばらくは映画館や再生機の前にて。ではごきげんよう |
女優のコンポート |
| Sep-16-2006 |
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女優さんという職業は、古典的なアナロジーとして「花」に例えられますが、まさにその通りです。ワタシは花、特に楽屋花などの「巨大で豪華な花束」にうっすらとしたフォビア(恐怖症)があり、見つめているうちに、その美しさとグロテスクさ、ワイルドさに背中がゾクゾクし、脂汗が流れてくるのですが、本日は初日舞台挨拶という事で、香椎由宇さん、キタキマユさん、KIKIさん共に、非常に入念なメイクとドレスアップによって、実に花束そのもの。という感じで、目を閉じて楽屋の会話を聴いておれば、ごく普通の、年頃のお嬢様方なのですけれども、ひとたび目を開けてしまえば正に楽屋花。ワタクシのファンの方ならばご了解頂けると思いますが「とても良い意味で」グロテスクな程の美しさでした。スクリーンの中では「普通に奇麗」なのですが。やはり映画というメディアは古典的で特権的です。 仕事柄、ファッションモデルの方々や歌姫の方々とご一緒させて頂く事が多く、最近では「テレビタレント」という肩書きが適正であろう方とも御会いする機会があるわけですけれども、「映画女優」という存在が醸し出すオーラとはオーラが違います。カヒミさんが見目麗しい事は言うまでもなく、UAは神々しい程である。小島麻由美ちゃんの可愛い事。金原ひとみさんのコケティッシュさ。とはいえクリエーターに属する女性達はどこか「釘が一本抜けた感じ=人間らしさ」に満ちており、生物と接している感覚が強いのですが、女優というのは、実に全身が植物であります(植物も生物ですが・笑)。ワタシは果物を使ったデセールではイチジクのコンポートを最も愛する古典派ですが、女優のコンポート。という物が合ったら、そのエロティシズムは女優のポートレイトを遥かに凌ぐでしょう。 などと少々変態的な事を申し上げるのも、昨晩ロジェ・バディムの「血とバラ」を観ていたからかもしれません。アネット・ストロイベルクとエリザ・マルティネリの「熱帯植物園の中でのキス(吸血のための)」は、巨大な捕食植物に喰われたい。という、男性のマゾヒズムを直撃する名シーンですね。既に46年前の映画で、今やこの程度のエロティシズム表現はMTVのブラックミュージック等では平均値以下ですが、流れている音楽がR&Bか中期バロックかの違いでここまで違う物かと思います。全く関係ありませんが、同時にワタクシ「女性上位時代」も観ていたのですけれども、カトリーヌ・スパークがブリトニー・スピアーズの原型である事を何故誰も指摘しないのか、或はとっくにされ尽くしているのか、この作品でのカトリーヌ・スパークが転生してブリちゃんが生まれたとしか思えません。ご興味有る方は「女性上位時代」とブリちゃんの「トキシック」のPVを見比べてみましょう。どちらもDVDにて簡便に入手可能です。 舞台挨拶は二度有り、二度目はプレス対応でしたので、所謂「カメラマンの砲列」に撃たれまくる訳ですが、後ろで目立たぬ様にと思い、黒いTシャツとボロボロのジーンズで伺ってしまった訳ですが(女性誌の「ハリウッド・セレブ」のページを見ると、映画祭のスナップに、必ずそのスタイルの男がいるので、よしみんなスーツだろうから、ワタシはあれで行こう。ジュード・ロウにあやからん。と思った訳ですが、爆撃音が聴こえるほど大失敗しました・笑)、これがどうした成り行きか、「菊地さんは香椎さんの隣に立って下さい」と言われ、夕刊紙などの芸能欄カメラマン諸氏というのは、あれは職業カメラ小僧。みたいな物ですので(誹謗では有りませんぞ)勢い香椎さんが集中砲火に遭うわけでして、つまり明日の夕刊紙などは、花の様に美しい香椎さんの隣で、カツラがずれたままの黒Tシャツ黒メガネの男が無様に立っている写真が咲き乱れる事でしょう。 「kamipro」の「PRIDEグランプリ決勝特別増刊」は既に出ておりまして、翌号の通常号にもインタビューが載ります。最近は現場等で「菊地さん。すみません菊地さんのお仕事はkamiproしか観た事が無いんですが(笑)」という前置きとともに、熱狂的に格闘技の話をされる方々(スタッフからクリエーターまで、今や格闘技ファンはどこにでもいる。という状況です)も増え、これはもう嫌みでも皮肉でもなく嬉しい限りです。デパートのトイレで「ファッション・ニュースの菊地さんですよね。僕もバーバリー・プローサムは凄いと思います」と言われ、トイレを出てレストランに入ったら「kamiproの菊地さんですね。こないだのシウバは増量失敗でしたねえ」と言われ、食べ終わって外に出たら「あ。菊地さんだ。この辺で旨い台湾料理屋しりませんか?」と言われ、歩き出すと「菊地さ~ん。オン・ザ・コーナーのコンプリート・ボックスって、あれ出るんですか?今年出るって聞いたんですけどね」と言われ、そのまま歩いていると「日比谷公会堂、素敵でしたわ」と言われ、すぐに「ヘンリー・ダーガーについてはどの書籍をお持ちですか?アール・ブリュットでは、僕はクラレンス・シュミットが好きなんですけど」と言われ、マンションに着くと「はいちょっと止まって。お兄さん痩せてるねえ。何かやってるでしょ?免許証か何か持ってる?」と言われ。というのが、あながち遠い未来でもない感じであります。一生映画女優にはなれないでしょう(笑)。新宿ピットインのスリーデイズは、全日あと10枚づつ前売りが出るそうですのでピットインに直接お問い合わせください。「チアー&ジャッジ」もアップされております。ではごきげんよう。 |
ルイス・ブニュエル・フィットネス |
| Sep-17-2006 |
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さきほどグリッリアしたイサキと、エンドウ豆のビシソワーズをパンとワイン抜きで。この季節だと「少し冷え過ぎ」感が出てしまうパンナのノンガスと一緒に頂き、非常に良い気分です。最近はルイス・ブニュエルの70年代を観ながら夜の運動をしています。ストレッチからプッシュアップ200、背筋200、腹筋200、スクワット200併せて1時間かかるので、その時流しておくBGV選びが毎晩の楽しみに成っています。一昨々日は「ブルジョワジーの密かな愉しみ」、一昨日は「自由の幻想」昨日は「銀河」を連続して観ました。 この映画には途中、キリスト教の異端教会が出て来て(というか、この映画は最初から最後まで、キリスト教の異端教会と、狂言回しの巡礼者と、キリスト本人しか出てこないのですが)、少女だけの学芸会シーンが・・・と、ネタバレはまずいので詳述はしませんが、要するに今夜はこれから「エコール」を観る訳でして、これはコメント(100文字以内)用なので、感想は(ネタバレしない程度に)明日の当欄に書くとしまして、非常に楽しみであります。 生まれて初めて個人輸入。という物にトライしてみました。マルキ・ドゥ・サドのワインとシャンパンは、マンズワインが輸入から手を引いてしまってからは日本では手に入りませんので。1本1万円を12本。要するにこれはワタシ一人ではなく、UAと共同で買い付けるのであります。シャンパンの使い道というのは非常に難しい。カジュアルに家飲みするような方は別として。 南博さんとアルバム発売祝いに1本、新宿ピットインに3本、後はどうしようか。ワタシが漠然と考えているのは全部グラスかジュレにしてしまい、ご近所の韓国人、タイ人諸氏に配る事なのですが(彼等は、一年中半袖で、額に汗して働くので)、あいにくどちらも作り方が解りません。優秀なグラシエの方で「ワタシが作りましょう」という方はご連絡ください。来週よりライブの連発、そしてN響アワーとJ-WAVEの収録が始まります。逢瀬の連発に、溶けきってしまわぬ様、気をつけねば。 現在聴いておりますのはビヨンセのB’s dayより我が愛するファレルがトラックを手がけた「キティ・キャット」。であります。親日家でNIGO氏を「家族の様に」すら思っているファレルのこと、ここでの「キティ」は北米黒人に於けるキティではなくて、サンリオの方でしょう。ミスティな歌舞伎町の夜景/雨景については「ブラック・レイン」をご参照ください。パンナはわざと残し「家にもって帰って良い?」と聴くのがキブンであります。飲みかけのパンナの瓶を持って歩いて絵に成るのは歌舞伎町だけではないか。今頃は冷蔵庫で再び冷え過ぎている頃。運動後の至福の一杯を楽しみにしながらごきげんよう。 |
海老は特に果実感を有する |
| Sep-19-2006 |
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本日のペン大は理論高等科(分析)の授業でしたが、現在ペン大では分析対象を「スノーバウンド」、映画美学校では「ディーコンブルース」にしています。これは何と申しましょうか非常に緻密かつ大胆な構造である。「楽曲のほぼ全編に渡って2-5の痕跡があり、要するに2-5の拡大解釈が全編に張り巡らされている」と書けば、音楽ファンの方ならば、どういった事が行われているか大体ご想像出来ると思われます。「スティーリー・ダンはLCC(特殊理論)を理解していた」というLCC得意の誇大妄想に組み込まれているスティーリー・ダン/ドナルド・フェイゲンですが、実際に下方倍音理論(また別の特殊理論)に関して、感覚的に掴んでいた形跡が随所に有ります。 授業後は行きつけの寿司屋でまたしてもイサキ。イサキを二日連続で頂きました。今日は伊勢エビが入ったとのことで、尾を握り二勘に、頭とひげは味噌汁にして。ワタシは海老を喰う時には、可能な限り鯛も喰う事にしております非常に縁起の良い男ですが、本日は真鯛も見事な物が入っており堪能しました。エビと鯛のコンビネーションの中でも世界第一位はブランデーバターを使ったテリーヌですが、世界第二位は握り寿司でありましょう。いやはや素晴らしかった。海老と鯛の神髄は、肉の弾力や甘みは言うまでもなく、滑りとコクです。鯛の肉を噛み切る時の張り付き感、伊勢エビの、奇妙で芳醇な筋繊維の質感。全ての肉質とは骨格または甲殻との関係性まで思いを馳せてこその物。鯛と伊勢エビについて、ご想像してみて下さい。寿司屋の場合は骨や兜や殻を即席のフォンにして味噌汁が楽しめる所もよろしいです。少々疲れ気味だったので白ワインを飲んでしまいました。 明日はNHK教育「N響アワー」の収録から始まり、仕事が詰まったとても長い一日なので「エコール」の感想はまた後日。先に星だけつけておくならば5スター方式の3個であります。一言で申し上げれば、中年(ワタシと同年輩)のフランス人女性のロリコンと、日本の青少年のロリコンはどう離反しているか?という事なのですが、これは同じ原作である「サスペリア」を中継地点に挟む事で歴とするでしょう。ロリコンにもフェミニズムが設定されそうな勢い。というのは語義矛盾の様ですが、と「ひとこと」ではなくなってしまいました。それではごきげんよう。 |
N響アワー収録終了 |
| Sep-19-2006 |
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NHKから戻りまして、次の仕事へのスタンバイ中です。「N響アワー」のオンエアは10/15ですのでお楽しみに(特に現代音楽ファンの皆様)。ワタクシNHKは二度目でありまして、前回が「英語でしゃべらナイト」でしたので、これで1チャンネルと3チャンネルを制覇しまして、駄洒落に成りますが、あとは2チャンネルだけ。という所でしょうか(笑)。「2ちゃんねる」の語源は存じ上げませんが、NHKが2チャンネルという存在を持たず、勢いホテルの外部入力チャンネルが2になっていった(その多くが、アダルトだった)。という経緯は完全な無関係。というにはためらわれる程度の因果関係があるように思えます。以上、以下、全て地上波に限った話ですが、因に英国BBCは1チャンネルから4チャンネルまであります。 2ちゃんねると言えば、今やミクシィ株ですが、ご存知の通りワタクシ、政治、哲学、物理等と並び、経済に関しては、毎日新聞を読む様な(「毎日」はエヴリディの意で、特定新聞社の事では有りません)社会人の方々よりも遥かに無知、無センスとはいえ、ミクシィ株が、どんなに分割で売られようと高すぎ、儲かるのは社長だけであろう。というのは漠然と感じます。現在ワタクシ乃至ワタクシ関連コミューン。の住人がいかほどいらっしゃるのか見当もつきませんが(「予想数を言ってみろ」と言われたら、そうですね「少なくて700ぐらい、多くて2800ぐらい」といった感じです。何で700単位なのか、自分でもよくわかりませんが・笑)、ワタシの話をして楽しむにやぶさかではない。という方々の中で、200万程度ならポケットマネーが常備されている。という方は、ひるむ事無くミクシィ株をお買い上げに成り、大儲けしたり大損したりし、事の顛末を是非ご報告ください。それによってワタシは懐かしのNTT株騒ぎを思い出し、数分感はノスタルジックな感慨に浸る事が出来るでしょう。数分感。であればノスタルジーも悪くは有りません。数年感。に至れば、歴とした症状ですが(笑)。 NHKでの選曲仕事が(4曲だけですが)終わり、現在は来るべきJ-WAVEレギュラー番組への選曲に追われています。松尾潔さんの存在は実に厄介で(笑)、ブラックミュージックのコレクションのほとんどを「これ、松尾さんが選ぶかもしれないな」と、手に取っては棚に戻しております(厳密には「床に戻している」のですが・笑)。とはいえ結局、好きな物をプレイするだけなのですけれども。今考えているのは、毎回、何らかのキーワードによる特集を組もうということです。例えば「卵」とか「ファックス」とか。 一瞬残暑が戻って来た様ですが、すぐに秋に戻るでしょう。ローマ法王がイスラム諸国に謝ったり、愛子様が一心不乱に相撲の取り組み表に何かを書き込んだりする秋の風景ですが、今夜は秋野菜を食べようと思います。昼はNHKが手配したお弁当でした。ではごきげんよう。 |
ロリコンという政治 |
| Sep-21-2006 |
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明日より実質上のワタクシの4デイズライブが始まります。皆様との逢瀬を楽しみにしております。 さて「エコール」ですが、 以下若干のネタバレが含まれますのでご注意ください。とお断り申し上げた上で、実に問題作であります。問題作が賛否両論を引き起こす事は言うまでもありませんが、あくまでワタクシ個人の生理的感覚で言えば、この作品。というよりも、経血に対する感覚的な執着が、あるあらゆる作品に対しては嫌悪感があるので(経血そのもの。に対する嫌悪感ではありません)、最後まで抵抗が残りました。この作品には経血そのものは映りません。だからこそ、感覚的な執着が臭い立つ様に伝わってくるのでした。 そもそもワタシは、アニュエスbがギャスパー・ノエの「カルネ」に熱狂し、スポンサーになった。という、非常に解りやすい経緯も、「カルネ」自体も生理的にキツかったので、ギャスパー・ノエのパートナー(ワタシと同年輩の女性です)が監督で、キャメラがギャスパー・ノエだというセッティングは、その方向性を何倍にも増幅したように思えます。 数分間観ただけで、この作品が、思想的にはピーター・ウィアーの「ピクニック・アット・ハンギング・ロック」と同じであり、原作的にはダリオ・アルジェントの「サスペリア」と同じ(ですから、「エコール」は「サスペリア」のリメイク。という側面も若干ですがあります)であることが解りますし、その事はパンフレットでも指摘されています。 そこにワタシは更に、ヘンリー・ダーガーの「非現実の王国で」を付け加えたいと思います。「エコール」の第一学舎の生徒達は、ダーガーの描くビビアンガールズを想起させるに充分な衣装とリボンとムーヴを見せます。 そして、前掲の3作品は全て、ワタシの大好物なのです。経血が出てこないからです。「ピクニック・アット・ハンギング・ロック」には経血が、具体的にも象徴的にも描かれませんし、「サスペリア」と「非現実の王国で」に描かれる血は経血ではなく、惨殺による、内蔵を伴った全身の血液です。 とはいえこれは、ワタシの個人の生理的感覚であり、この作品は多くの信者を生むでしょう。ワタシはこの作品はロリコンのルネッサンスと思いますが、特に我が国に於いて、その違和感は挑発的なまでのレヴェルにあるのではないでしょうか?その点では非常に興味深いです。これだけの差があるのに、元は同じ出発点だった(ナボコフの「ロリータ」を中継地点として)という、ロリコンの根源性というか(「山の中に学校があり、閉じられた環境下で生徒達が」という設定の骨子は、ハリポタやネギマ、深夜の安アニメ等にも通じる、原型的とさえ言える物ですから)。歴史よりもむしろ政治を感じてしまう程です。「中世では料理というのはこんなに塩が薄い物だったのですよ」「へえ。そうですかあ。うわあ」というのは死んだ歴史ですが、「エコール」の生々しさはフランス人中年女性のロリコンと日本人若者ロリコンでは別文化ほど違う。しかしどちらも並列に現代を生きている。という意味に於いて、例えば「民主」とか「自由」とかいう言葉を巡る政党の様に。 ロリコンという枠を外してみるならば、ファンタジーに関する統一的な批評理論は未だ確立されていないとはいえ、ファンタジーとしてこの作品を観る事の難しさも、ワタシにとっては雑味に感じられました。唯一(以下ネタバレ!) バレエ学校の、舞台の地下が地下鉄の駅に成っている。という、フェリーニ~カフカ的な大仕掛け、その車中で、女性性の犠牲とも言える二人の女教師が初めて煙草を吸う。という、ロリコンとフェミニズムを直結(正に、地下鉄によって!)するセンスには唸らされましたが、「真の設定を追わせる力」のあり方に抵抗感が残りました。これは例えばデヴィッド・リンチの「マルホランドドライブ」が「真の設定」を、「そんなものあるわけない。これは狂人の妄想だ」と充分感じながらも「追わせてしまう」という力のあり方と対極にあります。例えば「あの注射は何だったんだろう?」という疑問が「そんなもんどうでも良いんだ。小さな女の子が部屋に呼ばれて注射を打たれてるだけで美しい」といったレヴェルにまで昇華していなかったように思えます。 とはいえ、しつこいようですが、この作品の完成度は非常に高く、ギャスパー・ノエの撮る布は全部生理ナプキンに見える。といった偏った感覚を持つワタシの様な者でなければ今年のエトワールに成るであろう水準を示しています。「若ければ若いほど良い」といったロリコン・プラグマティズムまっしぐらではなく、「少女といえども、やはり成熟や円熟(それは、1年単位でなされる物なのですが)が美しさに磨きをかけるのだ」という、アンチ・ロリコンの構造を含んでいる複雑性(古典的な観点からは単純性)、つまり、フェミニズムとロリコンが折衷されている構造が、理性的な仕掛けではなく、感覚的な混濁によって統合されている、その混濁が前述の「ファンタジーかSFか?」という混濁とシンクロしているように思えました。この「喰えなさ」が、どっちのサイドにどう受け止められるか?やはり政治を思わせる作品です(ワタシには。ですよ)。夜中の安アニメ(森の中の学校で、女生徒達が特訓している様な)と併映で上映すべきでしょう。 明日からは少なくとも四日間は、ゆっくり映画を見ている時間もなくなります。ジャズ漬けの日々が続くのであります。ジャズこそロリコンから最も遠い音楽で・・・というのは事実無根でありまして、フリージャズはロリコンと癒着が強いジャンルです。アーチー・シェップの「アッティカ・ブルース」にはロリコン・ジャズの名作が収録されておりますし、オーネット・コールマンの息子デナード君のドラムなどは、ロリコンとプリミティヴ・アートの混合体です。ロリコンと政治の親和性を裏付けるような逸話ですね。勿論ワタクシはロリコンであります。10歳から。なのでソフトですが。因に上限は55歳までですけれども。それではごきげんよう。 |
生まれて初めての無断欠勤 |
| Sep-21-2006 |
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「速報を書いて、寝て、起きてすぐまた速報を書く」という事をしております。生まれて初めての事です。昨日の「速報」通り、今夜はアゲハでクインテット・ライブ・ダブですので、起きるのは2時でよかろう。と、目を覚ましますと何と我が愛するタイ国で革命が! は関係なく(タイ国のクーデターは事実ですが)、国立音楽大学教務科からメッセージが入っておりまして「菊地先生。本日の授業に関してご連絡ください」とのこと。 うわー!とベッドから転がり落ち。ガツーン!イテテテテテ!(膝を強打した音)片足を上げてぴょーんぴょーんと意味も無く部屋の中をグルグル回りながら国立音楽大学教務課に電話しまして 「すみません菊地ですすみませんすみません。スケジュール帳を一日読み間違えていました」 と陳謝させて頂きました。 というわけで 1)「菊地4デイズ」は、本日ではなく、明日からです! 2)国立音楽大学応用科、菊地クラス履修者の生徒諸君!!すまんかった!!特に「cure jazz」にサインくれと言って、ワタシだけでは片手落ちだろう。UAに会うからサイン貰っておくよとCDを預かったままにしている、名前はちょっと忘れてしまったが(というか、まだ誰も覚えていないのだが)ヴァイオリンを持っている女生徒の方!もう一週間お待ちください!UAのサインは貰っておきましたよ!(CORCHのパーティーで) それにしても「トライヴァルじゃありません」などと、VだBだの指摘は来るのに「菊地さん一日ずれてます」という指摘がただの一通も来なかったのは(笑)どういうわけか(笑)。もう誰も読んでいないのではないか。それは充分に考えられる話である。うーむ。とはいえ風呂に入ろう。 と、浴槽に湯を入れ、「フロイト/ラカン辞典」などめくりながら待つ事しばし。全裸に成りまして浴槽に足を突っ込むと何と水――!!(笑) うひゃー!と浴槽を飛び退けて、ガツーン!!(反対の膝を強打した音)イテテテテテテー!! と、今度は全裸でぴょんぴょん跳ねながら(笑)、とはいえ軸足もさっき打ってますからぴょんぴょんが激痛!反対の足にチェンジ!そっちも激痛!(笑)ということでとうとう全裸のまま廊下に横になり(笑)。思いきってよいしょと立ち上がり、ガス台に点火するとチチチチと言うばかりで火がつきません。ガス料金は自動引き落とし。まさか通帳の金を使い果たしたか。いやいやまだ数千万の貯金がある筈である。タイのクーデターに伴い、ガス代が今朝から10000倍に急騰したのだろうか? いてててててて。ひーひー。と、再び横になり(笑)這いつくばって携帯電話を手に取りまして、東京ガスに電話しますと「後一時間で係員が向かいます」とのこと。 泣きっ面に蜂。とはこのことか。生まれて初めて無断欠勤という物をしてしまった日に、どうしているかといえば、全裸にクレイジーケンバンドのバスタオルを肩にかけ、両膝をさすっておりました所、携帯が鳴りまして、すわ東京ガスかと思いきや、表示には「UA」の文字が(笑)。姫から電話だというのに何たるブサイクな有様。 「これはこれは○○○さん(本名)お元気ですか?」 「ナルさん。お元気?」 「いやその。はい。いや。膝を打ちましてね」 「どっちの?」 「両方です。ははははははは」 「例のシャンパンな。着いたんやけど、歌舞伎町に送ってええの?」 「ええもちろんです。住所は(ピンポーン)。うわ。ガス屋だ」 「ガス屋あ?」 「ガスが止まってしまってですね」 「何やねん(笑)。お金持ちちゃうのん?(笑)」 「いや金はあるんですよ。まあ・・・・大した額じゃないですけどね!うはははは。いてててててて」 「ガス屋さん放っておいてええの?」 「いえ。では後ほど。(ガス屋に)はいはーい!今出ます」 急いでスエットとTシャツを着まして。 「東京ガスです」 「菊地成孔です」 「これご覧下さい。メーターです」 「ふむふむ」 「赤いランプが点滅しておりますね」 「はい。信号みたいですね」 「これはあの、安全装置でして。昨日ですね、お客様、お風呂を出しっぱなしに」 「ああ!そうです出しっぱなしにして寝ちゃったんです。4時間ぐらい。それで起きて、寝ぼけたまま止めて、また寝ちゃったんです」 「その時すでに、お水じゃなかったですか?」 「いや覚えていません。しまった!つって慌てて止めて、また寝ちゃったんです。そういえば、水だった様な気がします(笑)」 「あのですね(以下、説明と安全装置の解除)ちょっとお湯出してみて下さい」 「出た!出ました!」 「はい。これで大丈夫ですので、こちらにサインを頂けますか」 「はい(サラサラ)。そうかあ。いやあお手数をおかけしまして申し訳ありません」 「いえいえ(笑)お気をつけ下さい(笑)」 「はい(笑)」 部屋に取って返しまして。UAに再び電話します。 「どうもどうも○○○さん。御陰さまで湯がね。出ましたよ」 「おめでとう。最近どう?」 「○○○さんこそ如何ですか?」 「ちょっと風邪ぎみなんやけどな。あのなあ」 と、以下は他愛も無いプライヴェート話ではありますが、これは書く訳には行きません。というわけで、今から入浴し、楽器店に行き、夜の授業の準備をし、そして選曲をするのです。本日がJ-WAVEの最初の収録日。なのであります(そう。生ではありません)。皆様、お湯出しっ放しで寝てしまわぬ様、反射的に飛び退く時には膝の位置に注意しましょう。それではごきげんよう。 |
カツラを買い替えました |
| Sep-23-2006 |
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珍しく午前中から起き、代官山のBOYにヘアカットに行きました所、茂木さんは出てくるなりワタシの肩をポーンと叩き「最高だったよ!!マドンナ!!」と破顔一笑。マドンナの日本公演がどれだけ素晴らしかったかは、既に業界筋では噂に成っているのですが(野宮さんも行かれた模様です)、茂木さんはいつもの調子で猛スピードでシザーを動かしながら、ずっとマドンナの公演の模様を身振り手振り付きで解説してくださいまして「最後が雪月花なのよ!渋いのよ!」と仰ったので「マドンナの料理人は日本人なんですよ」と申し上げると「ええ?会いたい俺その人に!」と真顔でおっしゃいました。人生の先輩をコドモ扱いしてはいけませんが、茂木さんは本当に可愛い、本当に素敵な方です。茂木さんにヘアカットされている数分感だけは「俺って本当に良い男だなあ」と勘違い出来る刹那の時間です。天才の仕事ですね。 そのまま南博さんの部屋に行き(代官山駅から徒歩1分なので)、まだ起き抜けだろうからと、駅前のマイクロバス型コーヒー店でハワイ式とトルコ式のアイスコーヒーを買い、シェリュイでそば粉入りのクロワッサン、イチジクのべーグル、クアトロフォルマージュの丸バゲットなどを買い、部屋を訪れました所、いきなり酒臭く(笑)「ごめんな菊地くん昨日飲み過ぎた」とフラフラのご様子。「そっかあ。コーヒーとパン買って来たんですけど、見たらかえって気持ち悪いですか」「いやーごめんな。コーヒーは無理だ。それ二つとも菊地くん飲んでくれ」と、鉱水をグイーと飲み干され、二人でパンを摘んだりマールボロを吸ったりして「エレジー」の好評を悦びまして、例によって文学談義、政治談義、歴史談義を楽しんだ後、明日の演奏の打ち合わせをして新宿に向かいました。 新宿ではスタジオヴォイスの取材が待っており、ひとつは特集記事である「自分に最も重要な一冊」のインタビューを撮影を行いまして、「最も重要な一冊」選びは困難を極めましたが、濱瀬先生の「ブルーノートと調性」を持参しまして、この書物が以下に重要か説いた後、ペペの新作「野生の思考」のインタビューを受け、これが「野生の思考」に関する、最初のロングインタビューに成りました。 その後は石森管楽器に行き、修理に出していたサックスを回収し、入浴、無精髭をそりまして、スタジオコーストに向かいました。高速道路のドライブは、食事やセックスや演奏と並ぶ最愛の行為ですが、最近は、丸の内や芝、お台場辺りに林立する高級マンションの部屋の中を、目を望遠鏡にして覗くのが楽しいですね。まるで貴族の部屋だ。誰が住んでいるんだ。しかも全室いっぱいである。 スタジオコーストのステージはDJブースやバーカウンターとの関係でやや狭く、人が溢れかえっていて「これでは後ろの方のお客様には何も見えまい」と思いながらも膝の痛みをこらえながら(笑)演奏し、BSフジの番組のコメント録りがあり、リポーターである新人漫才師のお二人と数分間喋って、会場内をフラフラしておりますと、さすがジャズフェス、同業者や知人のオンパレードであります。レイブやロックフェスと違う所ですね。 菊地雅章さんに「お久しぶりです」と申し上げると「ああ?誰だっけ?」と仰られ(笑)マネージャー氏が慌てふためき「菊地成孔さんですよ」と耳打ちすると破顔一笑「ああ(笑)随分変わっちゃったねえ」「ええええ?そうですか?プーさんはお変わりなく」「随分良い男になったじゃん。5年前はもっとムサくなかった?」「恐縮です(笑)。僕、雅章くんとバンドやってるんですよ」「いや勿論知ってるよ・・・でも・・あんなの使ってて良いの?(笑)」「プーさんも使ってるじゃないすか(笑)」 その他、ソイル&ピンプセッションの方々、藤原大輔氏、「DJの方の」小林桂氏、等々、ジャズ関係者の方々からご挨拶頂きました。お互い何をやっているか知っていて、お互いリスペクトがある同士。というのはスムースで気持ちのよい物です。 と、すっかり膝の痛みも忘れ(笑)、ジョシュア・レッドマンが聴きたかったのですが、そして、非常にクールでピッチピッチにタイトなレオタードを着てローラースケートを履いたフード係の女性がハンバーガーとコーラを乗せたトレイを持ったまま目の前をビューンと通り過ぎたりもしたのですが、明日以降に備え、タクシーを呼び、夜の高速道路を気持ち良くドライブしまして歌舞伎町に戻って来ました。しかし、こうして書いてみると、一日でマネージャーを除くと20人以上の方と挨拶したり話し込んだりした訳で、とても充実した一日でした。夕食が楽屋ケータリングのオニギリだけだった事を除けば(笑・ワタシは赤飯の愛用者です)。 明日からは新宿ピットインで。本日報告を受けた所によりますと、連日200名以上いらっしゃるそうです。「なななな何でそんなに詰め込むのですか」とたじろいだのですが、立ち見である旨説明申し上げても、それでもチケットをお求めに成る方ばかり。というお答えでした。感謝の言葉は何と申しあげたら良いのでしょう。明日はまず、南博さんと二人で皆様のお相手を務めさせて頂きます。サキソフォンとピアノによるヴォイスの美しさを御堪能くださいませ。それではごきげんよう。 |
マゾヒズムは高額で |
| Sep-24-2006 |
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たくさんのご来場有りがとうございます。と無邪気に書く事に抵抗が出る程に成ってしまいました。昨日のスタジオコーストに続き(あのフロアはいくらなんでも狭すぎましたね。日本のジャズメン、日本のジャズDJ諸氏に対するちょっとした侮辱ではないかと思える程に。良いイベントだっただけに悔やまれます)本日も、腰痛や酸欠で途中退場された方が何名かいらっしゃった様です。閉所恐怖の気がある方にとっては、一種の地獄でしょう。踊れる音楽ならばともかく。 人の痛みが解る人間に成りなさいというのは、あらゆる宗教が解いている所ですが、ワタクシとてジョン・ゾーンのネイキッドシティをピットインで観たときや、渡辺香津美さんのモボトリオをピットインで観たときは満員電車の中のようで、しかもワタクシ、中途半端に小男ですので、周囲に大きな男性等が居ると、ライブの記憶が、前の方のポロシャツと、腰痛との戦いだけ。といった有様になり(酷い時には、サックスのケースを抱えたままだったりもしまして)、勢い友人に「どうだった?」と聴かれ「いやもう最低よ」等と、悪い思い出が伝染して行く様な感じでありまして、とはいえ、「これではイカン。自分が有名ミュージシャンに成った時には、お客様のカンファタビリティを第一に考えよう」という風には全く考えませんでした。そんな心配をするような音楽家になど、なるわけないと思っていたからです。 「苦行みたいにして観たライブが思い出に残るのよ。むしろ、辛ければ辛い方が快感に成ってくんのよ」という感性の存在は知っておりますが、そのマゾヒズムはワタクシが思うエレガンスとはかけ離れております。マゾヒズムの語源と成ったマゾッホの「毛皮のビーナス」に還れ。とは申しませんが、例えばすですねえ自分の恋人が他人とセックスしている所を覗いて(そういう部屋を作るか、そういう状況を作るかして)自分としているときよりも気持ち良さそうである(あるいはその逆)事を確認し、瞳孔を開いて身悶えする。と、このような線で行きたいですよね。いやしくもマゾヒズムというのであらば。と、いけません下ネタに走ってしまいました。 というわけで、少なくともピットインに関しては立ち見を出さない様に一日100人まで。に限定した上での3デイズならぬ6デイズを提言する事にしますが、明日もやはり200名程入場する模様。ワタシが申し上げられる事と言えば、有り難うございます。そして、具合が悪く成ってしまった方は、どうかもう一度、良い環境で聴ける時に再トライして下さい。という事だけであります。幸いにしてクインテット・ライブダブの演奏は、年内かなり多数ありますので。音楽を鑑賞する時に相応しい、麗しいマゾヒズムの可能性は、ドレスアップしてゆったりと座り、ワイン等飲みながらであっても、いくらでも可能性はあるように思えます。否、そうしたセッティングでないと享受出来ないマゾヒズムこそが重要であると思われます。欲情は焚き付けるが、セックスはしない。というのが、あらゆるエロティックな音楽の属性です。人の気持ちがわかる様になるべし。というのは、全ての宗教が解く所であります。それではごきげんよう。 |
金の話が野暮に成ったのはいつからか? |
| Sep-25-2006 |
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世の中には奢る人と奢られる人がいるわけですが、ワタシがもし酒飲みで、もう少し連載原稿が少なかったら、つまり連日夜遊びが出来る様な立場だったりしたら、恐らく破産しているでしょう。それはもう凄まじい歓喜とともに。なのですが。 奢るタイプの人の心理というのは、何でしょうか、徳が高いのか、はたまた罪悪感でもあるのか。とにかく奢るのが嬉しくて仕方が無い訳です。とはいえ奢りたがりは奢りグルメなので、単に怠惰なだけで慢性的に金欠であり、何でも良いから飯喰わせて下さいよ~。とか、物を買ってもらう事にのみ自己実現や愛情を感じている美しくそして幸薄い女性の。といったといったストレートすぎる欲望にはノンなのですね。 飢えた男子大学生などかき集めて焼き肉屋などに行き、いくらでも喰え。うおー。といった事に喜びを感じる人もいるようですが、ああした方々はむしろ「面倒見たがり」という方が正しいかもしれません。マッチョですよね。兄貴ホルモン。幸か不幸か、ワタシには若干不足している様であります。ペン大の学生を連れ立って、居酒屋で飲み食いさせ、説教する。等と言う事も一度くらいしてみたい物なのですが、それは人格改造セミナーにでも行った後の話でありましょう。 そこで、勢い、重要なパートナーとして優秀な「奢られる人」の存在が不可欠に成ってきます。ワタシにとって、クインテット・ライブダブのベーシスト、「歌舞伎町のミッドナイトフットボール」に重要な脇役として登場する菊地雅晃くんがその代表であります。 今日も彼は開口一番「ナルさん俺シャツなくしちゃったんですよ。どこいっちゃったんだろうなあ。今日衣装どうしようかな」と平然と言うのですね(笑)、その、なくしちゃったシャツ。というのは、勿論ワタシが買い与えた物なのですが(笑)、これがまた彼の人徳か、まったく頭に来ないというか、ワタクシすぐさま満面の笑みでもって「なんだよ~。じゃあ買い行こうか?」「ええ?いいんすか?」「いいんすかって今更。靴以外全部俺が買ったんじゃん(笑)」「いやあ。有り難うございます。スーツカンパニーで良いです。寄ってって良いですか?」「良いよ。いこうぜ」 などと、彼の車に乗って新宿のスーツカンパニーまで行きまして「菊地くんはハイカラーのが似合うよ。今日は2セットだから2枚買え。安いなこれ~」等と言って、どんどん選んだりしまして(笑)。どんどん良い気分に成って行く訳です(笑)。 その後、演奏が終わりまして、歌舞伎町に打ち上げにでも行くか。ということで、カムジャタンの名店、ソウルよりも旨いと評判の「松屋」にでも行こう。という事に成ったんですが「ナルさんすみません。俺今日金なくて」と絶妙のタイミングで言うので、ワタクシ大喜びで「気にすんないくらでも喰え」と言って、結局その場全員の分を支払ったのですが、日本人の平均的な態度として、皆「いやあごちそうさまです」等と言うわけですが、こっちは喜んでいるのであります。しかし菊地君は「いやあ。旨いなあここ」と言って一番バクバク喰った挙げ句、血糖値が上がると彼は眠く成るので(笑)グーグー寝てしまう訳です(笑)。 最高潮にごきげんになったワタシは「今から台湾式の足ツボマッサージ行くけど。一緒に来る?」と水を向け、案の定彼はあくび等しながら「いいっすね~。俺、足ツボマッサージが好きで、いつも自分でボールペンでやってるんだけど、皮剥けちゃうんですよ」とのたまい、さきほど二人で足ツボコース(1時間)を受けて来た所です。 彼の名誉のために強調しますが、彼は単なるマザコンのたかり野郎などではありません(マザコンではあるかも知れませんが・笑)。ワタシが神経症で苦しんでいた時には助けてくれた恩人の一人でもある。彼には一種独特の、高踏的というか貴族的というか、そういう雰囲気があるのですね。チャーリー・パーカーが天下のたかり屋だったことは有名ですが、そして、チャーリー・パーカーほどの天才を持った地球人は、現在のジャズ界には居ないとはっきり断言出来るわけですが、それにしても。なんですね。血筋というものなのか。何せ「俺、働いて金をもらうと罪悪感があるんですよね」と明言する男なのであります(笑)。 菊地くんはマッサージが始まるや否や「いや~。やばいっすこれ。気持ちいいっす」等と言って、頭をグラグラさせ「もっと強めにやってください」とマッサージ師に言いました。そしてワタシが「菊地くん煙草あるかね?」と言うと「いや。無いんですよこれが」と答えたのですが、そこまではまあ普通として、マッサージ師が「ア。ハイ」と言って、自分のポケットをまさぐり始めたのです。 ワタシはてっきり、彼(マッサージ師)が「自分が買って来ましょう」という意思を表示したとばかり思い、自分のポケットをまさぐりました。ところが、マッサージ師は、自分のポケットから、吸いかけのマイルドセブンの箱を取り出して、「ドウゾ」と言ってワタシに手渡したのです。受け取ったのはワタシですが、差し出させたのは明らかに菊地君です(笑)。 そして我々は一本ずつそれを貰い、気持ちよく一服して、菊地君がその箱をマッサージ師に「はい」と言って返そうとしたのですが、マッサージ師は、ちょっと驚いた様な顔をしました。そしてそれは「それは箱ごと全部差し上げたのですよ」とでも言うべき物でした。素晴らしい(笑)。 さていよいよ帰ろうという段になって、菊地君は「ナルさんすんません。俺、駐車場代が微妙で」と、それこそ微妙な発言をしまして(笑)。ワタシはもう大喜びで、自分から料金箱に札を差し込んだりしたのですが(笑)、さすがに帰り際には「いやあ。いろいろ奢ってもらっちゃって有り難うございました」等と殊勝な事を言って去って行きましたが、ワタシは、何でこんなに嬉しいのか。いや理由は明確であろう。しかし、自分の無性な嬉しさを分析するなど愚の骨頂。と、ニヤニヤしながら閑散とした日曜の歌舞伎町を散歩し、ニヤニヤしながら帰宅し、ニヤニヤしながらこれを書いています。 菊地君は車道楽、楽器道楽、CD道楽で、家賃など何年も未納のまま、平然とそのアパートに住んでいます。彼は彼の車中で、運転しながら「ナルさんどうですか?有名になった気分は?」と言いました。ワタシは「有名たって大して有名じゃないよ。特別良い事も、特別悪い事も無い。崇拝者と攻撃者。あと良い感じの距離の良い感じの人と、わけわかんない馬鹿ががどんどん増えるだけだ。そんなの当たり前の事だし、有り難い話だよ。好きな様に音楽やって、上手く行けば嬉しい。上手く行かないと嫌だ。ってのは、別に有名に成る前からだからねえ。そりゃ収入は増えるけど、もともと金には執着ないし。それより今日の演奏は相当良かったんじゃないかな」と、答えようとして、その半分も口にしませんでした。 本日も途中退場の方が出る程(本当に心を痛めております。「あれが良いんだよ」と仰る方もいますが。ワタシ自身は「あれが良いんだ」という感覚が希薄なので)たくさんのご来場を頂き、嬉しく思います。明日は山下洋輔とのデュエットをお送り致します。去年の3デイズには「情熱大陸」の撮影が入っていたのですね。将来的に、何かのパトロンに成ってしまうのではないかと考えるにつけ、うっとりすることが止められない菊地成孔でした。それではごきげんよう。 |
3デイズ終了 |
| Sep-26-2006 |
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山下洋輔さんとワタシの関係については、「ユリイカ」での特集を筆頭に、様々な情報が流通しているので、ご興味がある方は当たっていただきたく思いますが、MCで申し上げました通り「本の熱狂的な読者から始まってサイドメンになり、似た構造の道(エッセイが面白い人気ジャズミュージシャン。といった)をたどり、現在国立音楽大学にて合流(方や客員教授、方や非常勤講師。ではありますが)」という、非常に奇妙な形を取っている訳ですが、これは将来的に、ワタシの熱狂的な読者が、ワタシのサイドメンになり、ワタシが70にならんという頃にはどこかの大学で合流。という反復が行われるかもしれない可能性を示しています。 何にせよ、中学生のワタクシは、こと日本人エッセイストにだけ限っても、山口瞳や伊丹十三や池波正太郎に耽溺する様なマセたクソ餓鬼だった訳ですが、山下洋輔/筒井康隆のエッセイに身も心も奪われる。という体験が無ければ、現在のワタシはありません。 山下さんは日本のフリージャズ運動の、陽性、躁性の側(太陽の側)のスターですが、本日の様なメニューによって更に明確に成ったと思われますが、オーセンティックなジャズのサウンドとタッチ。つまり、お家芸のフリージャズよりもスタンダード曲で見せるサウンドが、毎年ごとに凄みと美しさを増していると思います。嵐の様なクラスターの中に、エリントンやモンクのタッチが、屏風絵の竜虎の様に現れては消える様は、共演者ではなく、1ファンとして陶然としてしまうほどです。是非皆様には、ワタシの立ち位置に、順番に立って頂きたい。あの位置で聞くピアノのサウンドの力は、もしもワタクシに何らかの特権があるとして、その99%を占める物でしょう。 いつも申し上げておりますが、ワタクシ、観ての通りの貧相な不細工の癖に、年間100人以上のキャメラマンの方とお仕事させて頂きます。ワタシの編集担当、ワタシのシェフは50人は下りません。ワタシのディーヴァは、今の所カヒミ姫とUA姫と小島麻由美姫、そして男根が欲しくてたまらない万波マッキーだけですが、ゆくゆくは増えて行く事でしょう。しかし、ワタシのピアニストは、デビュー以来四半世紀に渡って、3人しか居ないし、欲しいと思った事もありません。 この3デイズは、図らずもその3人の演奏が聴けるショーケースの趣がありました。南博のジュンラン華麗な(巷間「ダンディ」「クール」等と称されますが、それは南さんのルックスや人となりであって・笑・ピアノではありません)、かつ鋭すぎるほどの深い孤独の審美眼に支えられたピアニズム、坪口昌恭の、知的で優しく、つまりはオーガニックかつサイボーグ的な、ジャンル横断性をもったコンテンポラリズム、そして、御大山下洋輔の、豪放磊落、歌舞伎の荒事の様な、しかし歴とした老人力。3デイズ皆勤の方には、このトリコロールを御堪能頂けたと思います。重要なのは、というか、それが全てなのですが、メロディーと和声の、サウンドとサウンドの、人間と人間の関係性なのです。ピアニストを撃て。というのはトリュフォーの教えですが、ピアニストは良いのをしっかり選べ。というのはマイルス・デイヴィスの教えであります。 ピットインに出演するのは、年に一回、3デイズのみ。といった流れに成りつつありますが、ワタシが育ったのはあの場所です。ワタシはあの前の店舗(今の伊勢丹の裏)に日参する、DCブランドを着たジャズ好き小僧(取って返して、夜はディスコ小僧)。という、非常に珍奇な存在から始まっています。原稿が詰まっている時は、近所なのにも関わらず、さっさと帰る男。なのですが、今夜ばかりは店長の鈴木カンちゃんとハウスPAの藤村さん、店員諸氏と一緒にシャンパン等を楽しみながら長居してしまいました。連日のご来場有り難うございました。次は10/1デートコースペンタゴンロイヤルガーデンのライブをお送り致します。それではごきげんよう。 |
ちょっと楽しい |
| Sep-27-2006 |
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沢山の感想メールを頂戴しまして、感謝しております。中でも思わず笑ってしまった物をひとつだけご紹介させて頂きます。 菊地成孔 様 いちファンです。 3DAYSを妻と一緒に1日目と2日目に行きました (一応 チケットを買うときに苦労したので、ちゃんと貴族階級に潜り込むことができました) 山下さんと菊地さんとのセッションは数年前 JZ Bratでも拝見し 毎度のことですが、人生こう生きなきゃあかんなとライブが終わったときは思うのですが、朝になればただのリーマンに戻り、契約書を書いています (仕事が法務です。そんなことどうでもいいです) さて本題、 南さんとのファーストデイを見終わった後私の妻が、私に「いのうえ しょうた」さんて誰ってきくのです。 一瞬私は小山影太さんなら知っているが「いのうえ しょうた」さんって 誰と思っていると 「ほら、創価学会で2つの有名なグループにいた」 「それは ウェイン ショーター」っと私が答えると 「ふうん 外人なの」だそうです。 私の妻は、創価学会が海外で勢力をもっていることやマイルスデイビスのグループのメンバーの変遷(いやいや コルトレーンがマイルスのグループにいたことも知らないだろう) ウェザーリポートにジャコがいたことも知らないだろう こうしてJAZZの歴史は、風化し 音楽だけが残っていくのでしょう。 それでは また行きます お便り有り難うございました。ジャズの歴史に限らず、歴史に風化は付き物とはいえ、ワタシが思うに、奥方とはみなそういった物で、恐らく各マイルス元夫人も、現マーカス・ミラー夫人も、デイヴ・リーブマン夫人も、認識としては奥様と大差ない歴史把握力だと思いますし、そう願いたいですね(笑)。それにしても奥様をして「ウエイン」を「井上」と聴取させてしまったワタシの滑舌の悪さは反省の必要が有ると思います(笑)。 桜庭選手が練習中に嘔吐を繰り返し入院。という報が入りました。桜庭選手に関しては、ワタクシ6年前から「中量級の業師」として、一時期の藤原の様に扱ってあげないと危険である。生け贄に成ってしまう予感がする。と一貫して発言しておりますが、この件に関する詳細は「東大掲示板」に書き込んだ通りです。大事に至らぬ事を祈っております。 健康管理は、今や老若男女を問わず、現代人全てにとっての大問題。「健康」という概念の在処さえあやふやな時代ですが、精神的な健康も、肉体的な健康も自らが管理しないといけない。という時代性に対しては、ワタクシ思いますに「楽しむ」事ですね。というか、何でも楽しんでしまう楽しみキチガイのワタシは、結局何でも楽しんでしまえば良い訳ですから(笑)こんな提言はザルなのですが(笑)、特に中年以降の皆様に対し、ちょっとしたコツを申し上げれば、「思いっきり楽しまない」ことです。 「ちょっと楽しいな(笑)」という線を、ちょっと楽しみながらキープしましょう。ワタクシ今や「思いっきり楽しむ(今死んでもかまうか。といった)」のは演奏と録音のみ。後は「思いっきり楽しまない/ちょっと楽しいなこれ」のキープによって、御陰さまで激務の中、良い調子にやっております。 本日は月に一度の整体に行きました。キオスクで崎陽軒のシュウマイ弁当を買い、急行が発車するまでの間にベンチに座ってそれを食べ、30分程小田急線に揺られ、整体をうけ、「ちょっと夏の疲れが出てますね。胸椎を緩めましょう」などと言われ、スッキリして再び小田急線に乗り、そのままペン大に行き、今から自分で整体をします。運動&ストレッチと併せて日課なのであります。鉱水を飲み、アメリカ煙草を一服し、そうですなあお恥ずかしい限りですが、この歳になっても自慰。ですなあ。読書。ですなあ。サイードにするか「東京人」のバックナンバーにするか、悩んでいます。 全てが「ちょっと楽しい」。そして「ちょっと悲しい」。これはなかなか、難しい事です。そこが「ちょっと楽しい」のですね(笑)。それではごきげんよう。 |
今から葉山に |
| Sep-28-2006 |
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タクシー利用者のワタシですが、今日は長い電車移動が二度有ります。木曜は国立音大の授業なので西武新宿線で玉川上水まで片道1時間(西武線ご利用の方はご存知、スープストック・トウキョウで、オマール&タラバガニのスープとパンを頂いてから急行拝島行きに乗る。というのが定番になっています。スープストック・トウキョウはなかなか優秀なデリではないかと思いますね)、そしてこれから湘南スカイライナーで逗子まで行き、葉山にあるパードン木村邸でスパンクハッピーのライブ音源を作りに行くのであります。 葉山は「どうしよう自然の中は眠れなかったら」と思っていたのですが、とんでもない話で、わが故郷、千葉県は銚子市の海沿いゾーンに生き写しであり、非常に和むのでした。ワタシの実家は歓楽街ゾーンでしたが(地方都市の港町というのは往々にしてそんなものですが)歓楽街のすぐ裏が魚市場、そこから自転車を10分も走らせれば海。なのですね。犬吠埼は、そこそこ有名なサーフスポットなのです。 歌舞伎町で歓楽街の記憶に淫しながら暮らしておりますが、ワタシの中にはシーサイド少年オールディーズ・ポップス愛好家だった側面も、そうですなあ、20%ぐらいか。痕跡として残っているのですが、その20%を刺戟する木村邸であります。 昨日はJ-WAVE「ザ・ユニバース」の二回目の収録を行ってきました。3デイズ疲れ&Uチューブはまり(お恥ずかしい・笑・これはハマりました。インターネットメディアでここまでハマったのは初めてですね。もうやりません)によるグダグダで(笑)、ほとんど居眠りしながら喋っていたので皆様どうか2回目をお楽しみに(笑)。「野生の思考」の発売日であります。 秋ですね。今から「逗子に着いたら木村さんと何を食べようか。やはりカサゴか。カサゴだとしたらルセットは如何しよう」等と垂涎の面持ちで湘南スカイライナーに乗ります。ティナントを買い、グリーン席にして、本を読みながら行くのが「ちょっと楽しい」感じ。であります。本日の車中の友はロラン・バルトに決定しました。脳内はピガール、視界は鎌倉。人間の複雑さは時として良い物です。それではごきげんよう。 |
スパンクス終了します |
| Sep-30-2006 |
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頂いたのはカサゴではなく、先ずはナマズでした。カサゴからナマズへ。というのは生物学的には然したる距離ではなかろうに、食文化的には腰が抜ける程の違いですね。最初はタイ料理店に行ったのです。 ナマズを細切りにしてから唐揚げにし、所謂「レッドカレー」と称される、あのココナッツミルクと唐辛子とナンプラーと砂糖、そして柿の葉で出来ている赤いソースをかけて、野菜と一緒に和えた物です。これは旨い。パードン木村さんと二人で餅米をバクバク食べてしまいました。クウシンサイ炒めも、豚の軟骨唐揚げのサラダも絶品。日頃、まったく日本人の舌に妥協しない、ハードコアなタイ料理ばかり食べておりますので、日本人向けに柔らかい味付けは何とも嬉しい物でした。 空けて本日は車で三崎までドライブし、葉山よりも遥かにわが故郷に似た町並み(漁協というのは、本部の建築に関して、統一規格が有る様です。銚子漁協の建物と、三崎漁協の建物はまるで同じ物でした、苗場プリンスホテルが、品川プリンスホテルを、空輸してそのまま地上に設置した様に同じである事とイコールでしょう)を楽しみ、魚市場の近くの魚屋さんで食事を頂きました。 魚屋で食事。というのは、漁港町に育った方、もしくは釣り師の方等にはおなじみのケースでしょう。鮮魚店が、見せの一角にテーブルと椅子を置いて、地魚を使った、所謂「磯料理」を出す訳です。鮪、鯵、烏賊、勘八、鯛の刺身盛り合わせとアラ汁、メバルの煮付けとご飯で、これはもう実家に帰ったとしか思えぬ気分。魚屋のご主人に「千葉県の銚子から来たんだよ」と申し上げるとサーヴィスにターボがかかり、大食漢のワタシでさえ、もう喰えないよおじさん。と嬉しい悲鳴を上げるまでオプションの磯料理が出て来たのでした。帰りに干物まで頂いて、二人分で4800円。これはもうお店の宣伝をさせて頂くしか有るまい。「まるいち鮮魚店」は三崎漁港から徒歩1分。いらっしゃる前には必ず電話で「今日、ご飯は頂けますか?」とご確認の上、いらっしゃった際には「東京の菊地さんからの紹介で」とお伝えください。0468-81-2488。イタズラ電話したら殺すぞ(笑)。 スパンクハッピーですが、今回はいつもの「完全リップシンク当て振りライブ」なので、曲によってはヴォーカルを録り直さないといけない。という事で、ワタシの分だけ一部新しく録り直し、後日、野宮さんが全ての楽曲にヴォーカルを録音し直します。 スパークスとピチカートのカヴァー曲に関しては当日のお楽しみ。ということで、スパンクハッピーの楽曲ラインナップだけご紹介しておきましょう 「アンニュイ・エレクトリーク」 「拝啓ミス・インターナショナル」 「エンジェリック」 「フェーム」 「フィジカル」 の5曲です。スパークスそしてスパンクスマニアの皆様のご来場をお待ちしております。 さてここで、いきなりですが小型爆弾発言を。小型とはいえ爆弾はいかん。とは思うものの、スパンクハッピーは、来る10/22京都のステージを持ちまして正式に解散。とさせて頂きます。 とはいえ、これは簡単に言うと、名義を変え、名前を無くすだけ。でありまして、ワタシがポップスをする場は、新しく作り直そうと思うに至ったわけです。ワタシがリーダーではなかった第一期から、岩澤瞳さんを擁する第二期、ほんのわずかだったドミニク・ツァイさん在籍のインターナショナル第四期、更に僅かだった、女性ヴォーカリスト不在の第五期。と結成から10年以上に渡りご愛顧くださった皆様本当に有り難うございました。今回、ワタシの企画ではなく、委嘱を受け。という形の特別セッションではありますが、野宮真貴さんとご一緒出来る光栄と共にスパンクス終了とさせて頂きます。 と、メーカーの方からの旧タイトル再発の欲望に先んじるようにして(笑)終わりにしてしまう訳ですが(笑)繰り返しますが、これはむしろ、ポップスのソングライター/シンガー/プロデューサーとして再び作品を作る意欲がむしろ上がっている。という事であるとご了解ください。常に「5年早かった。次こそ絶対売れる」と言われ続けて10年経ってしまった訳ですが(笑)。それではポップスとは言えないのではないか?という本質的な問題に気がつきまして・・・というのは流石にウソですが(笑)、何にせよ次の一手にご期待頂く。ということで、ごきげんよう。 |
DCPRG出陣します |
| Sep-30-2006 |
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さて明日はDCPRGのライブであります。ラインナップをご覧に成ればお解りの通り、このフェスはちょっとしたアフロ・ビーツ・フェスティヴァルであり、やっとそういう場からお呼びがかかり、非常に嬉しく思います。演奏時間は略式も略式の1時間。「ジャングルクルーズにうってつけの日」1曲で終わってしまう所を早回しで「構造1」「ハノイ」と併せて3曲お届けしますが、ラインナップが素晴らしいフェスですので、明日の朝一でドライヴがてらいらっしゃるのもナイスフィールでしょう。 本日は「CDジャーナル」に「戦争と音楽」、「R25」に「若者の音楽離れについて」という、共に編集者の方から頂いたお題について共に1500ずつぐらい書きました。連載以外の原稿は久しぶりかもしれません。発売中の「装苑」にはディオール・オムを着て馬鹿ズラ下げたワタクシが写っておりますので、お暇な方はお手に取って軽くちょっとプッと吹いて下さると幸甚であります。それでは早朝9時集合に備えましてこのへんでごきげんよう。 |