09

11月

2011

事務所名「ビュロー菊地」

 

 


 ビジネス上でおつきあいのある各位には既に正式のご挨拶を済ませて頂いておりますので、こちらではファンの皆様方へのご報告、という事に成ります。身の上話とはいえ余りの長話は無粋ですのでなるべく手短に申し上げますが、この度、生まれて初めて個人事務所なるものをこしらえました。正式名称は「ビュロー菊地」とカタカナで、どうにも昭和のマンションの様な名前ですが「ビュロー(bureau)」はフランス語で事務所の事です。

 

 ワタシは05年から現在まではレコード会社との専属契約と所属事務所を持たない徒手空拳でやって参りまして。と申し上げるならば、業界関係者やコアファンの方ならば「えー?ewe(イーストワークスエンタティメント)さんの所属ではなかったんですか?」と仰るでしょうが(何せ、ワタシのマネージャーである長沼裕之はeweの社員でしたし、ワタシのソロアルバムの殆どがeweから出ていたので)、実のところこれは契約書を交わさぬ信用関係で、そうですなあ例えるならば事実婚(笑・微妙な例えですが、一番解り易いので)とでも申しましょうか、UAさんとの「CURE JAZZ」(スピードスター→日本ビクター内のレーベル)や、「カレンデュラ」(コモンズ→エイヴェックス内のレーベル)、DCPRGのインパルス!契約(インパルス!→ユニヴァーサル内のレーベル)等々、ワタシが様々なレーベルから様々な作品を出せたのは、そうしたバックグラウンドに則っています(ビッグカンパニーとガチガチの契約をしていても他のレーベルから作品を出す事は可能ですが「一時的な包括契約の解除」という、大変に面倒臭い法務上のダンドリが待っています)。

 

 とはいえ事実上はeweさんと契約していたも同じでしたし、この6年間大変お世話になったeweさん、特にワタシを操る地獄のフィクサー、高見Pとは今後もビジネス関係は継続させて頂く訳ですが(本当は死ぬほど逃げたいのだが、もう身体ごと心ごとすっかり高見Pに調教されてしまったので。誰か助けて下さい・笑)、まあその、こんな御時世にフリーになる訳です(笑)。ヒヤヒヤしますね(笑)。

 

 岡目八目が人間関係の基盤である様になってしまい、スキャンダルとフレーミングのみがシャブであるというイルなジャンキー様方が地に溢れかえる現在、物足りないとお嘆きの貴兄には誠に申し訳ないのですが、ワタシはーー少なくともビジネス上ではーー完全なハト派ですので(何せ「GINZA」にだって原稿書いたんだからニコニコして)、eweさんと揉めたとかでは全くありません。

 

 世に「方向性の違いにより、双方とも、双方の未来にとって、これが最良の選択であると合意し」とかなんとかいうお題目がありまして、解っちゃいるけれども、とはいえそれを見る度に「え〜。それって〜。奇麗事と言うのではないのおん?」などと人は(無論、ワタシも含め)思う訳でして、まあ非常にこの、色よいソフトコア岡目八目ですけれども(笑)、今回強く思った事は「あのお題目というのは、あながち単なる所謂オトナの奇麗事ではないのだな。本当に世の中にはそういう事があるのだ」という事ですね。

 

 無論、おとぎ話ではありませんから、収入だの会計だの運営だのいったトピックに依って生じた選択ではあるのですが、「あのう社長、ぼく、いろんな仕事やるじゃないっすかあ?自分の事務所つくって、そっちでバコンとまとめて収入まわした方が面倒くさくなくないっすか?」「そういえばそうだねえ」「あのう、長沼君がやってくれるって言うんで。つうか実質上ここ数年そういう事だったじゃないですかあ」「そうかわかった。よーしがんばれよ菊地君!」「は〜い」といった程度のリアリティでして、巷間ミュージシャンが「事務所から独立、マネージャーと個人事務所設立へ」というと、大抵が大金や大権利が絡んだ大骨肉の争いで、それだけでファンにハラハラドキドキのドラマを与えて大いに楽しませる。というのが相場ですから、何かもう自分が若干情けないぐらいの話であります(笑)。

 

 という訳で、長沼はeweの所属を円満に辞し、ワタシと二人で事務所を立ち上げる事と成りました。仲間褒めは無粋ですが、ワタシの4人目のマネージャーにして、ワタシと行動を共にする事となった彼は、女房子供のいる立派な大人の男で、ビジネスに関してはワタシの様な夢見る経済バカ酔っぱらいとは正反対の、鉄火場をくぐって来た非常にデキる奴(何せ、マネージャー業という職歴だけに限定しても、あの綾戸智絵さんの00年代初期を担当していたのですから!!)ですので、「菊地さんの足を引っ張らない様に頑張ります」等と言うのですが、ワタシの現在の心配事と言えば「将来、オレがクビになるのではないか?」という事です(笑)。

 

 やるからには来るべき大恐慌を尻目に宇宙一の事務所を目指して行こうと思いますが、現在、電話番の超かわいこちゃんの募集(ていうか今の所、連絡先は長沼の携帯です・笑)、ワタシの芸術性に心酔する、やる気と根性のある新入社員の募集、将来を嘱望される優秀な所属新人アーティストの募集等々は一切行っていませんので、ぶわーっとこう、色気みたいな物を醸し出しながらグングン迫って来るのはお断り申し上げております(笑)。50絡みの野郎二人でイチからコツコツ始めますので、皆々様どうかお手柔らかに(平身低頭)。