火
04
10月
2011
いやあ遂にカニエ・ウエストがパリコレで自分のブランドを立ち上げた訳ですが、そして、服飾批評者&パリコレでのハードなカニエウォッチャーの端くれとして何かコメントしようにも、いまひとつまだカニエちゃん、何がしたいのかよく解らないとしか言いようが無い服なのですが(焦)、今季のパリコレはBEPに衣装提供しているリンシューのショーに何とウィル・I・AM本人がモデルとしてウォーク(が、ランウェイ・ミュージックにBEPは1曲だけ)。という、拙著「アフロ・ディズニー」の1&2で提出させて頂いたムーブメントが大きく動き始めている訳なのですが、これは地勢学的に見れば、パリが北米のブラックミュージック(そのカルチャー)との関係を親密にし、そこにソウルが食い込んでいる。という構図ですね。
少女時代のパリ公演のチケットが入手出来なかったフランス人がデモをおこし(我が国で反原発のデモがおき、それが報道されない裏側で・笑)、力ずくで追加公演をもぎ取ったという現実、そして少女時代の新譜のP陣にあのテディー・ライリー(テリー・ライリーじゃないよ。もしテリー・ライリーだったら100倍ヤバいけど・笑)、エヴァン・ボガート、スターケン&ロジャース、アンドレ・メリットといったお歴々が名を連ねている(納得しつつもクッソ興奮しますねこれは)という事実が、この見立ての素材となっています。この見立てはもう少々立体的(一例をあげるならば、先日「マイ・ブラック・ミニドレス」という、おそらく日本ではまったくヒットしないであろう映画を観て、キネマ旬報に批評を書いたのですが、おれは「韓国版SATC」の大成功版で、しかも主人公4人組は20代なのです。我が国に於けるSATCの影響が映画やTV番組にはまったくなく、あったとすれば萬田久子さんの若干のステイタスアップと「女子会」の一般化だけだった。という事実を鑑みるに、これは米韓接近の数値として高く計測されるに充分でしょう)なのですが、後は番組をお楽しみに。という感じで。
と、先日、お陰さまでご好評のうちにシーズン1を終了しました「菊地成孔の粋な夜電波」ですが、最終回で予告した通り、シーズン2(金曜8時から)の初回は「韓国にフラれた日本は嬉しいのか悲しいのか?」というタイトルで、少女時代の新譜をご紹介する予定だったのですが(まあ、今やDCPRGと少女時代は同じU社からリリースしている訳ですし、プロモ盤はゲットし易かろうと、、、、というかまあ、自分で買うし)、何と最終回のオンエア中、つまり「えー、シリーズ2の初回の二日前に少女時代の新譜が出るんですね。そこで少女時代は一気に北米に舵を取っています」などと、良い調子で喋っている最中に調整室から「少女時代の新譜、発売延期に」という紙が流れて来まして(笑)。慌ててU社に問い合わせた所、何と日本盤は無いとのこと(これはまあ、慌てる様な事ではありませんが)。
何れにせよ我が国は、少なくとも少女時代には「フラれた」訳で、では誰に持って行かれたかと言えばアメリカのブラックミュージック、つまり黒人であって、しかもその二人(少女時代と黒人)は共にパリに大変な色気があり、何と、パリ側もまったく悪い気はしない。どころか、デモまで起こして(しつこいようですが、こっちが反原発デモをやっている最中に。市民デモの本家であるパリ市民が・笑)盛り上がっている訳です。既にヤバい三角関係なのです奴らは。
とまあ、なんちゅうか、こう、AKB48歳にもなりますと、ボヤーっとする時間が増える訳で、こうしてキーパンチしていても、些かボヤーっとしているわけですが、これ、端的に言って、気がつけば日本はどうすればいいのよ?という話ですね(笑)。
まあまあ、ウチらにはアイドルちゃんとアニメちゃんがあるので安泰だよ。フラれてねえよぜんぜん。という説もあると思います勿論。オマエがアイドルちゃんとアニメちゃんを良く知らないから、日本に何も無い様な気になるんだろという御説ごもっともでして、あの、別に、忌み嫌ってる訳ではないんですが、兎も角もう、すっかり卒業(アニメちゃんは「ド根性ガエル」、アイドルちゃんは「モーニング娘。」の、後藤真希さんが在籍していた時期)した上に乗り遅れてるうちに、テメエの家の近所が、というか、テメエの家自体が韓流アイドルショップに埋もれている様な状況になっておりまして、人間AKB48歳にもなると、少々の事では驚かなく成ると言いますが、正直かなりビックリしております。日曜の朝は韓流目当ての女性達の嬌声で目が覚めます(ホント)。
勿論、日本に何も無い訳が無いのですが、フラれたときというのは、フラれたとき独特の精神状態というものがありまして(笑)、それこそカニエちゃんがパリコレでコレクションをやるというのは、10年がかりのフラれに対する(パリコレのモデルちゃんとつきあっていて、フラれたので)復讐という説すらあり、つまりワタシは、フラれは大変なチャンス到来で、こんなに有り難い事は無いのだという事を強調したい訳です。
猛烈に動いて、急いで喪失を埋めようとしたり、しばらく動けなかったりするという、一般的にこっ恥ずかしい行為も、やりようによっちゃ大変なクリエイトになりますんで、要するに何が言いたいのかと言えば、第4にはDCPRGの世界発売の動きは地味にマイペースでやろうと改めて心に誓った(派手にしようもない訳ですが・笑)ということ、第3には粋な夜電波の初回の内容が延期になりましたという事(笑)、第2にはこの日記がほぼ、その特集の台本になるであろうと(笑)いうこと、そして第一には、とにかくフラれると興奮するよねっ!!という事です。うおー興奮したーーー!!(スタジオのマイク前でね)
と、話は急に変わりますが「三月の水」の訳詞について。番組でご紹介したのは、英語版からの訳詞をいくつか集めて比較した上で、ワタシの意訳も少々加えたバージョンですが、ジョビンが歌っていたのはお解りの通り、ポルトガル語のバージョンです。こちらはポルトガル語である上に、インディオ文化ルーツの単語や言い回しが多く、従来、完訳は不可能だと言われて来たのですが、ジョビンの研究家である岩切直樹さんの訳がもっとも正しく、もっとも素晴らしいと評判ですので(ポルトガル語はABCも解らないワタシには確認出来るすべは無いのですが)、掲示させて頂きます。
日本語で読む限りにおいて、畏れながら、としますが、言葉も無い、完璧な美しさを持っていると思います。ブラジルに於ける3月の終わりは、夏そして雨期の終わりであり、要するに日本の9月に相当するという訳でした。音楽に固定された時空は無い。我々の三月が、あらゆ年の、あらゆる月の様に浄化され、崇高に高められて行きます。それでは金曜の夕刻、そして週末の深夜にお会いしましょう。その時間が、いつかの懐かしい未来に、烙印を残します様に。「ブログに載っているお料理やワインの写真が素敵ですね。どちらで頂けるのでしょうか?」といったフロムビギナーズなお問い合わせを頂戴しておりますが、ご面倒ですが日記の過去ログをご参照ください。少なくともワタクシ、新宿では店は変えておりません。
(*オンエアした初演「マチータ・ペレ」のバージョン。二年後の、輝くばかりの無邪気さと、じゃれあうような喜びに満ちた「トム&エリス」バージョンもすぐ隣にあります。あらゆるバージョンの中でも、この初演が最も重く沈痛な、灰色の虹としての美しさに満ち満ちていると思います)
「三月の水」
A・C・ジョビン作詞/岩切直樹訳
棒 石
道の終わり
切り株の残り
ちょっとひとりぼっち
ガラスのひとかけら
命 太陽
夜 死
投げ縄 釣り糸
ペローバ・ド・カンポの木
材木の節目
カインガーの樹 カインディアの樹
マチータ・ペレイラの樹
風の木
川岸の崖崩れ
奥深い神秘
求めても 求めなくても
吹いて来る風
坂の終わり
梁空間
棟上式
降っている雨
三月の水の
小川の会話
疲れも終わり
足 地面
ぶらぶら歩き
手のひらの小鳥
パチンコの石
空の鳥
地面の鳥
小川 泉
パンのひときれ
井戸の底
道の終わり
顔に不機嫌
ちょっとひとりぼっち
棘 釘
先っちょ 点
滴り落ちる雫
計算 物語
魚 仕草
輝いている銀
朝の光
届いたレンガ
薪 昼
森の道の終わり
ピンガのボトル
路上の破片
家の設計
ベッドの中のからだ
故障した車
泥 泥
足跡 橋
ひきがえる かえる
森の残り
朝の光の中に
夏を閉じる
三月の水
君の心には
生きる希望
(間奏)
蛇 棒
ジョアン ジョゼ
手のひらの棘
足の切り傷
夏を閉じる
三月の雨
君の心には
生きる希望
棒 石
道の終わり
切り株の残り
ちょっとひとりぼっち
足跡 橋
ひきがえる かえる
ベロ・オリゾンチ
三日熱
夏を閉じる
三月の水
君の心には
生きる希望
棒 石
道の終わり
切り株の残り
ちょっとひとりぼっち
ガラスのひとかけら
命 太陽
夜 死
夏を閉じる
三月の水
君の心には
生きる希望
<追記>
英語版からの訳詞を音楽とともに味わいたい方には、大変な数のバージョンがあるのですが、ネイティヴアメリカンのフォーク調を打ち出しているホリーコール盤を強くお勧めします(歌唱力満点のジャズ歌手盤はぜんぶダメ)。オンエアで朗読したものを視線で追いながらこちらもお楽しみください。you-tubeのは途中で終わっているので画竜点睛に欠きますが。
枝 石ころ
行き止まり 切り株の腰掛け 少しだけ独りぼっち
ガラスの破片 これは人生 これは太陽 これは夜 これは死
これは銃
この足 地面 この身と骨
道路の響き スリングショットストーン(狩猟用のパチンコの石)
魚 閃光 銀色の輝き
争い 賭け 弓の射程 風の森 廊下の足音
擦り傷 瘤 何でもない
槍 釘 先端 爪 ぽたりぽたり
この物語の終わり
トラックが運んでくる一杯の煉瓦 柔らかな朝日の中
銃声 丑三つ時
1マイル やるべき事 前進 衝突
女の子 韻
風邪 おたふく風邪
家の予定 ベッドの中の身体 立ち往生した車
ぬかるみ ぬかるみ
そして川岸が語る 三月の水
人生の約束 心の喜び
浮遊 漂流 飛行 翼
鷹 鶉 春の約束 泉の源
最終行 落胆した貴方の顔
喪失 発見
蛇 枝 あいつ あの男
貴方の手の中の刺 そしてつま先の傷
川岸が語る 三月の水
それは人生の約束
それはあなたの心の喜び
一点 ひと粒 蜂 ひと口
瞬き 禿鷹 突如の闇
ピン 針 一撃 痛み
蝸牛 なぞなぞ 借り鉢 染み
枝 石ころ 最後の荷物 切り株の腰掛け 一本道
そして川岸が語る 三月の水
絶望の終わり 心の喜び
心の喜び
心の喜び
この足 地面
枝 石ころ これは予感 これは希望