02

9月

2011

東京ジャズ前夜

 

 

 さきほどリハーサルを終えたばかりですが、あの陽気で人の良いデブくん、リッチーが、何と「(ハードな)台風を呼ぶ男」だったのだと今更ながら気がつき、唖然としている所です。良く出来たミステリーというものは「こ、こ、こ、こいつが真犯人だったのか!!」と読者を唖然とさせなければ成らないというミッションがあり、現在ではそのミッションを執行する作品もほとんどなくなってしまっている訳ですが、「ええ!!リッチー??」という衝撃は、全盛期のミステリーを思い出させるに充分なものでした。

 

 リッチーは日本の教育制度に当てはめて言うならば中卒で(我々はかなりの高学歴バンドで、東大や芸大というエリートもいるので、リッチーと実質高校中退のワタシがバカのナンバー1と2です)、学校などという無駄でバカバカしい所なんぞ行ってられるかと、朝から晩までひたすらコンガを叩き続ける人生を選び、長いリハーサルが終わっても、DCPRGの若いメンバー達にコンガを延々と教えまくる。という元気者で、約1年ぶりで会うなり、ワタシの華奢な体にばんばん体当たりして「フレンド!フレンド!」と叫ぶ様なまっすぐな男ですから(体は曲げられないと思います。肉が邪魔で)、自分が乗った飛行機の背後を、台風が追跡しているなど、まったく気がついていないのでしょう。

 

 明日は、そういう風にして、リッチーが引き連れた台風が帝都に襲来する様ですが、まだ屋内である事が救いとはいえ、あの聖なるラウル・ミドンや西海岸の名プレーヤー達によるセッション(ジャズ・フォー・ジャパン!!有り難うおじいちゃん達!でも、収益金は寄付しないんですよね別に。さすがジャズ・笑)を楽しみにしておられる、ジャズ・マニアの紳士達も気後れしてしまうであろうことは避けらないと思われ(特にカツラ使用の方。台風を最も恐れる人々はカツラ使用の方々であり、一歩たりとも外に出る気にはならないでしょう。ワタシも同じ使用者として、お気持ちは非常によく解ります)、非常に残念ですが、ワタシが自ら言う事ではないとはいえ、こうした荒れ模様の天気の時には、音楽も荒神を宿して輝く物ですので(何せ、ジャズ界は「ストーミー・ウエザー」という名曲、そして「ヘヴィー・ウエザー」という名盤を有しています)、様々な防護法を駆使された上で、数多くのお越しをお待ちしております(残席はまだありますので、当日で充分です)。

 

 あちこちのメディアで話している事ですが、明日は我々の、ひょっとしたら最初で最後のオール・シッティングのコンサートになるやも知れず、大変に興味があるので、これまた繰り返しに成りますが、踊る気マンマンで御来場される我々のファンの皆様に於かれましては、試しに。で結構ですので、年配のジャズマニアのお父様達の邪魔に成らぬよう、座り続けて下さい(笑・我ながら「何言ってんだ自分は・笑」と思うばかりなのですが、まあとにかく、詳しくはこのインタビューで語っています)、そして、力道山の時代には良く「堪忍袋の緒が切れて」等と言ったものですが、最後はもう、オッサンたちを踏み殺す感じで(笑・これもヒドい)、大暴れして下さって結構です。オッサン達に「座って聴くということは、狭苦しく偉そうな自己満足から抜けられなくなる可能性を高く秘めている」という事を知らしめ(その、集合的な極限値がジャズ喫茶です)、彼等を目覚めさせましょう。これこそが愛と平和の啓蒙運動という訳です(ただ、ホールですので、あんまり大暴れすると捕まる可能性があります)。

 

 リッチーは週末まで帝都にとどまり、クリニックや焼きニックに勤しむと思われますが、今回の来日に於ける最後の仕事は、言わずと知れた「HOT HOUSE青山」への参加です。彼は大変なダンス上手ですから、演奏していない時間はフロアでナンパにご執心、日本人のお洒落な女性は世界中の男の大好物ですから、ワタシもどうなるかハラハラもんです。というかリッチーと踊れるのよ!!

 

 と、些か断線しましたが、今回の「東京ジャズ」に関する、いくつかのご質問を頂戴しているので、まとめてこちらでお答えする事にさせて頂きます(当欄過去ログに総て書いてあるのですが、最近はとにかく、そんなリテラシーを求めていたらマーケットなど霧散してしまう中低リテラシー世界ですので)。

 

1)      当初予定されていた(というか、ワタシから来日オファーを出していた)ピート・コージー氏は、子供の養育費未払いで国外に出れないという状況にあり(おそらく州法。何州かは未確認)、音楽的にはノー・プロブレムだったのですが、来日自体にプロブレムがあったという訳です。

 

2)      その代役がリッチー・フローレスという訳ではありません。彼は我々のシンジケートの一端であるアメリカン・クラーベの構成員であり、大儀見元の代役としての来日ですので、「スペシャルゲスト」枠ではありません(いろいろな意味でスペシャルな男ですが)。

 

3)      つまり、「マイルスに縁のスペシャルゲスト」枠は、枠自体が無くなった。という事になります。当初はそれがマストだったのですが、我々のインパルス!との契約を受けて、なし崩しに必要なくなった。という過程です(ワタシはこの件について一切のコントロールはしておりません。言われるがままにしていただけです)。

 

4)      パンフレットなど「東京ジャズ」出演に際しての名称が「菊地成孔DCPRG」となっておりますが、これは以前から告知しておりました、我々の改名とは関係ありません。これも、どういった理由に寄る物か、詳しい説明は受けておりませんが(恐らく、我々が、リアル・ジャズの世界では知名度が低い。と主催者側が踏んだからだと推測していますが、事実確認はしておりません)、スタッフから、「今回だけ、この名称で統一させてくれ」と言われたので、まあ一度だけならと言われるがままに従ったものであり、明日を終えると使用されません。改名は勿論、ワタシが責任を持って行います(インパルス!の契約であるアルバム2枚までは改名せずに活動します)。因に現在の第一候補は「DCPRG(デジタル・チャイニーズ・プログラム)」と「DCPRG(ダムネーション・キャンディ・パシフィック・ゲイ)」ですが、ともに当確とはとても言えません。