23

8月

2011

ダブセクステット・サーキット副読本

 

 


 ブランニュー欄でビギナー諸氏諸嬢むけに概要は書きましたので、こちらではマニア対応で行きましょう。

 

 

 <音楽面(全会場共通)>

 

 まず、アルバムですが、現在新曲を書き貯めている所です。スーツがブラックで、ダブリズで始まり、ダブソーサラーで終わる。という、3年間不動の構成を今年の後半から崩そうと思っています。

 

 今回のサーキットはニューモードを謳っておりますが、本格的なニューモードの到来はSS(11月ぐらい。決定次第お知らせ致しますが、ブルーノート東京です。決まり次第速報させて頂きます)になりまして、今季はその予兆というか、過渡期的な状態でのヴァイオレンス/エレガンス。という事になりそうです。

 

 全曲にリアレンジを施し(それほど、仰天する様な突飛な物ではありませんが。リアレンジというより、ブラッシュアップという感じでしょうか)、完全な新曲は無い代わりに、新しいカヴァー・ナンバーをマウントしてサーキットに出ます。

 

 前回でも披露させて頂いた「ポーカーフェイス」(これは類家くんの「セクターb」に入っているバージョンとは違います)と、ちょっとしたギフトとしてウエザーリポートの楽曲をカヴァーします。こちらは聴いてのお楽しみという所で。

 

 今季最大のアクションは、ツーセット入れ替えを前提として、ファーストセットとセカンドセットは基本的に同じ楽曲を演奏する。というブルーノート系列の格を破り、2セットのセットリストが違う。という事です。

 

 要するに、居残りで2セットともに聴くと、ワンコンサートが完成するという形です。居残りで2セット聴いて下さるお客様が、特に、演奏機会の少ない地方都市で多くいらっしゃるの。という理由から、試みにやってみることにしました(こうしたお客様は、ジャズ客の嗜みとして、同じ楽曲のテイク違いを楽しまれていると思われるので、余計なサーヴィスになるやも知れませんが・笑)。

 

 

 

 <服飾面(全会場共通)>

 

 結成以来コラボレーション関係を続けていた「クールストラッティン」との関係が、最初の契約期間を終え、このたび目出たく契約更新となりましたので、ダブセクステットにも反映されます。

 

 これまではタイはクールストラッティンではなかったのですが(因にシューズも。ワタシは常にモデーロにしています)、今季からはクールストラッティンの新作タイがダブセクステットのステージに導入されます。コレ勿論プリザンテでして、SSまでに製品化されます。

 

 因に、ダブセクステットに反映されるコラボは年内ここまでがリミットで、クールストラッティンと今年がっつり組むのは「HOT HOUSE」の方になりますので、そちらもお楽しみに。

 

 「クールとのコラボは女子の楽しみが無い」という慢性的なお声を頂戴しているのですが、昨年、ワタシがデザインしたオリジナルのリボンタイ(レディス兼用)をバイした所、ゲート開門20分ほどで品切れまして、せっかく製作した店内用ポスターに、貼り出し早々ぜんぶ「SOLD OUT」のシールを貼らなくてはいけない、という嬉しい悲鳴を上げさせて頂きましたが故、クール側が大いに手応えを感じ、来年からはレディスにも(特にオーダーメイドのスーツとシャツ&スカートのクプル)力を入れて行く、という方向に成りました。因に、「HOT HOUSE」でMC YOSHIO*Oが常に結んでいるのがあのリボンタイです。

 

 音楽やドリンクに比べ、ワタシへの直接的なリクエストが少ない服飾フェイスですが、「類家君にこういうカフスを」とか「珠也さんにこういうシャツを」といったリクエストには耳を澄ませますので、お洒落オリエンテッドなリスナーの皆様に於かれましては、ご遠慮なく提言を下さいませ。

 

 

 

 <フード&ドリンク(ブルーノート東京オンリー)>


 

 ビギナーから一足飛びにマニアになってやるといった根性のある方は、ブランニュー欄にある通り、先ずは過去の日記より「菊地成孔が選ぶ、ブルーノート東京のワイン」をお読み頂く事になり、読むテキストが多くて大変でしょうが、文字数に臆せず、果敢に読み入ってしまえばだんだんと気持ちよく成りますので(笑)、まずはテキストに埋もれ、次に街に出て実際にアクションしてみて下さい。

 

 

 

 名古屋と大阪は時間の制約上果たせなかったシェフ&スムリエとのコラボレーションですが、今回の青山は、前回のワタシの、ちょっとした遊び程度のモチベーションを、青山側が越えており、かなり力が入っています。

 

 こうした企画は(といっても、「こうした」というほど類例が無く。というより、過去類例が絶無ですが・笑)往々にして、ミュージシャンが名前を貸すだけの八百長が多く、例えばよく「本日のオリジナルカクテル」とか言って、既に出来上がっているカクテルに、ミュージシャンが、なんとなく自分の曲の名前をつける。という安直な作業で、本日のスペシャルオリジナルなどと謳う訳ですが、まあこれは、良い意味でオトナの八百長な訳です。

 

 ですが、今回の青山とワタシのコラボは、これ笑ってしまうほど完全なガチもガチ、ガチガチでして(笑)、事の経緯は青山のサイトにありますので、そちらをご覧頂くとして、実際に一皿ずつご案内して行こうと思います。

 

 今回、マリアジさせるブテイユは、所謂「お値打ち」と「贅沢」の2ウエイにしてみました。ほとんどが前回セレクションしたものと被りまして、今季の青山のリストにはニューボトルもけっこう追加されているのですが、前回のセレクションから、総てのボトルが十全に行き届いた。という状況ではなく、そのままセレクションを一新してしまうのは意味が無い。という事で、アンコールでセレクトしています。前回と同じものには★が付いていますので、解説はそちらをお読みください。

 

 とはいえ、ブランニュー欄にありますとおり、シュヴァルブランの00年をグラスで出すという(こうして書いていても、現実感が湧かないほどです。これは本当に、極端に特異で、極端に贅沢な、奇跡的な体験に成りますので、是非トライしてみて下さい。一杯税込みで3万6千円と、ライブチャージを大幅に越える訳ですが・笑・ブラフもジョークも抜きで、コスパは途方も無く高いです。ワイン党員の方ほど、その意味がお解りになるでしょう。ブランニュー欄にあります通り、お使いに成ったボルドーグラスはワタシのサインを入れて、価格分に乗せてあります)、大技が控えておりますので、結果的には3ウエイになりますので、当日まで解説を読み倒し、大いに悩んで下さい(笑)。あなたに最高の一皿と、最高の一本、一杯がもたらされますよう。

 

 

 

 

 

 

 

1)Salade de Thon a la Diable/本マグロのサラダ ディアブル風

 

 グルメオリエンテッドな皆様用にソースのマチエール(さすがにレセピは書けませんので・笑)を露にしてしまうならばバルサミコ、白ワイン、エシャロット、タイム、ローリエ、昆布、フォンドボー、オリーブオイル。もう涎が出ますね。ご贔屓筋にはおなじみ、ワタシのフェイヴァリット食材のひとつである本鮪に、どれだけ火が入るかは、当日のお楽しみです(ワタシも知りません)。

 

<お値打ち>

Cotes Du Rhone Blanc "Belleruche" M.Chapoutier /コート・デュ・ローヌ・ベルルーシュ・M・シャプティエ (白)

 

ちょっとした、レアで熟成していない、若いヨーグルトのニュアンスを持った白で、青林檎や洋梨などの果実感とハチミツ感が加わり、、、、と書くと、何やら個性的な様ですが、フレッシュでバランスが良く、全体的には優等生的なお値打ち白です。ソースの完璧な酸のコントロールを邪魔する事なく引き立てる事請け合い。

 

<贅沢>

★ 08 Meursault Vieilles Vignes Vincent Girardinムルソー・ヴィイユ・ヴィーニュ・ヴァンサン・ジラルダン08年(白) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<2>Carpaccio de Beauf au ChataigneTAMBAVinaigrette de Piment-Doux

国産牛モモ肉のカルパッチョ 丹波栗のコンポート添え 甘唐辛子のヴィネグレットソース

 

 本鮪と並び、ご贔屓筋にはおなじみ、ワタシのフェイヴァリット食材である牛肉ですが、当初はアルゼンチンもしくは韓国チェジュ島の牛を所望したのですが果たせず、和牛となり、歯ごたえ重視のカルパッチョになりまして、シェフの鋭敏なセンスで、そこに丹羽栗のコンポートが添えられる事に成りました。このコンポートだけでも、超ジャズクラブ級のホームランです。

 

 ソースのマチエールは、万願寺唐辛子(辛くないです)、松の実、にんにく、パルメザン、蜂蜜、くるみ油、グレープシードオイル。

 

 <お値打ち>

Syrah Chateau Camplazens  /シラー・シャトー・カンプラザン

 

ラングドックのシラー自然派。「野生のハーブが生える、ラングドックの中の独自のテロワール」とか「コスパ完璧」「数々のワイン雑誌からいぶし銀的な賞を多数受賞」と紹介される事の多い、赤い色の果実味と、柔らかいタンニン、独特な癒し感等々、現代的な、マニアもビギナーも動かす手頃な赤。ですが、芳醇なソースに浸った牛のカルパッチョ。という存在とのマリアジはなかなか良いのでは。と思います。

 

<贅沢>

★ 07 Marsannay Domaine Clair-Dau Louis Jadotマルサネ・ドメーヌ・クレールーダユ・ルイ・ジャド07年

(ロゼ) 

★ 98 Ch. Couspaude シャトー・クースポード98年(赤)

 

 

 

 


 

 

 

<3>Supreme de Pintard au Foie Gras Cuisse Braise au Vin Rouge

フランス産ホロホロ鶏のロティ フォアグラ添え そのもも肉の赤ワイン煮と共にソース煮込み

 

 今回もっとも<手の込んだ皿>がこちらになるでしょう。パンダード(ホロホロ鳥)が着席すぐに出てくるというのは、超ジャズクラブ級でもあり、超レストラン級と言えるでしょう。


 大きめの鳥類(七面鳥、ホロホロ鳥、駝鳥)肉の旨味というのは、日本では日常的に疎遠な物です、そこを味わって頂きたい(因に、横浜の特別料理はそこを逆手にとり<小さめの鳥。が日常的ではない>ことへのプリザンテとして、ひな鶏のロティになっています。シンメトリーですね)。一皿に、煮込みとロティが供されるドゥーブルのスタイルが楽しく贅沢です。


 ホワイトミートですが、煮込みの方はソースが赤ワインとパンダードのフォンであり、ロティも併せ、ワタシからのリクエストとして、最近のフレンチの潮流としての「酸っぱさ」を強調(中華の檸檬鶏の如く)するということで、ソースのマチエールはエシャロット、生姜、シェリーヴィネガー、パンタードのジュ、レモングラス。書いていてもう、恍惚としながら腹が鳴りまくっています。

 

<お値打ち>

Pinot Noir Vin De Pays D'oc Chemin De Marquière France/ピノ・ノワール・

ヴァン・ドゥ・ペイ・シェマン・ド・マルキエール(赤)

 

ピノのヴァン・ドゥ・ペイで、熟れ過ぎた苺やチェリーの香りにうっすら紅梅、ミネラル感もしっかり、コリアンダーやヴァニラもゆったり立ち上りタンニンは実にスムース。と、所謂「お値打ち中のお値打ち」として、ブルーノート東京の赤のコスパ番長として君臨していますので、ホロホロ鳥で予算ギリギリ。という方には是非コチラで。

 

★ 05 CH. DU TERTRE MARGAUX 05シャートー・テルトル・マルゴー05年(赤ドゥミ) 

<贅沢>

★ 05 Cotes du Rhone Coudoulet de BeauCastelコート・デュ・ローヌ・クードレ・ドゥ・ボーカステル05年


 

 

 

 

 

 

 

<4>Roti de Porc Mangalicaet son Jus Parfumer au basilic

ハンガリー マンガリッツァ豚ロースのロティ そのジュとバジル風味のオイル添え

 

 東欧ハンガリーの国宝と言われるマンガリッツァ豚の味わいは、ここ10年ほど、弱火しか巻き起こせなかった「ブランド豚(もち、イベリコ、チンカセネーゼ等々)ブーム」の終わりに、とうとう真打ち登場といった形で登場した奇跡の食材であり、シルキーかつしっかりした繊維の肉質と、濃厚で栄養価の高そうな、かつすっきりした未来的なラルドの油脂によって、今回ワタシが最初に強くリクエストした食材となりました。


 料理名にある通り、肉汁とバジルオイルのみのシンプルな味わいでロティにしてあります。「いろんな豚喰ったけど、いまいちスッキリしないんで、もう忘れていた」という方は多いでしょう。その敵がブルーノーロで果たされるというのはなかなか乙なものではないでしょうか。

 

 

 

<お値打ち>

 "Variedades" Almansa Hacienda El Espino  /バリエダーデ・アルマンサ・アシエンダ・エル・エスピノ

 

マンガリッツァにはやや勿体ないとも言えるボトルですが、しっかりと辛口のフルボディ、適度に情緒的で、余計な個性の無い、優秀なスペイン産のテーブルワインです。ピノ、シラー、メルロー、カベルネ・ソービニオンという4種に、ガルナッチャというスペイン土着品種も含まれているという、平均的な混血型に、更にちょい足しエキゾチカ一滴。バリエダーでは、所謂「バラエティ」の事です。マンガリッツァにこれは勿体ないよ。という声もあるかもしれませんが、何の何の、化学反応の良いのが起こる筈です。

 

 

<贅沢>

★ 99 Bruno Paillard Assemblage Brutブルーノ・パイヤール・アッサンブラージュ・ブリュット99年(泡白)

 

★ 01 Chassagne Montrachet Morgeots" Michel Colin Delegerシャサーニュ・モンラッシェ・モルジェ・ミシェル・コラン・ドルジェ01年



(白) 

 

 97 Ch. Certan-Giraud/シャトー・セルタン・ジロー97年(赤)

 

興奮のあまり同語の反復というはしたない真似を堂々と演じていますが、マンガリッツァはとにかく奇跡の食材であり、その特異性は、泡、白、赤を選ばない。という所にありますので、前回からの泡と白、そこに加えて、ポムロールの赤も選んでみました。「それでは混乱してします。セレクションとは言えないのではないか?」という誹りお叱りは承知の上で。です。

 

ワインマニアックに言えば、「ポムロールで、畑はペトリュスのすぐ西側」といった解説に成るのでしょうが、そういった事よりも「アロマは醤油、インク、なめし革、クローヴ、動物臭等、エグくエロい系、しかし舌に乗せて転がすと渋みは少なく、スムースであり、敢えて今様ジャパンクールに言うならばデレツンの意外性と、クールな共有感。といった事になるでしょうか。ポムロールで一丁上がり的な安易さは避けたかったのですが、マンガリッツァ合わせの赤。という視点で厳選した結果がこちらです。とにかくエレガント。

 

 

 

 

 

 それではサーキットに出て参ります。各会場でお会いしましょう。