土
20
8月
2011
近況報告やリアルタイムの行動はツィッターで、エッセイ的な長文はブログで。という、最近の潮流に対し、果敢にも背を向け(笑)、ブログに一日の報告をするという腹にずっしるくるクールトホホを、大喜びでお見舞いする事になりますが、今日はインタビュー3件(写真撮影あり2件)の後に、新宿から横浜にタクシーを飛ばし、モーションブルー・ヨコハマに行って、食事をし、そのままトンボ返りに新宿に戻りました。中止でなければ、今頃ドミューンの会場に居た頃でしょう。
朝から知人の訃報が届き(彼の冥福を祈ります。心から)、非常に在り来たりなブルーだったのですが、それを抱えたまま仕事をするというのもーー不謹慎を承知で言えばーー「良い」ものです。インタビューは「ジャズライフ」「ジャズジャパン」「CDジャーナル」と、つまり総て「インパルス!レーベルとの日本人での初契約」という事に関するもので、大抵の音楽家は嫌がる「何度も同じ話をする」のが、どういう訳かワタシはまったく面倒でなく、今日は三度「インパルス!との契約によって、メインストリームなジャズファンが初めてDCPRGに耳を貸してくれるのであれば、(結成以来)10年間の時差があった事に成る。しかし、文化時差はとても良い事だ。とはいえ、この10年間で、先ずはハリーポッターのシリーズが完結してしまったけれども」といった内容の話を繰り返しました(ハリポタの部分はウソ)。
モーションブルーに行ったのは、来週の火曜から始まる、我々ダブセクステットのサーキットのオープニング企画で、今日はそちらについてご案内致します。
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ここの所、アルバムが出たばっかりの「カレンデュラ」と、アルバム準備中のDCPRGが前景に出ておりますが、何の何の、ダブセクステットも実はアルバム準備中でして、バンドのコンディションは、先日札幌でご覧頂いた通り、結成後最高です(ずっとそう言っている気もしますが・笑・とまれそれは理論的に矛盾はない。ずっと最高値を更新し続けているのであるからして・笑)。あと因に、ペペトルメントアスカラールのファンの皆様、大変申し訳ない(土下座28日間)、今年は既に、年内ペペの公演が不可能に成っています(すっげ忙しいんですよ○○さんと○○くんと○○さんが!!来年早々に固めてやりまくります。ああーーー!!!)。
このサーキット「NEW MODE & VIOLENCE 2011」は、<菊地成孔ダブセクステット>の、実に2年ぶりの国内サーキットでありまして、前回は酒井法子氏の逃走という歴史的大事件と共に我々も移動しておりまして、実に懐かしい限りですが、つまり、あの事件以来我々はサーキットもアルバムの制作も止めており、この度再開したという訳です。
ルートは8/23横浜(モーションブルー・ヨコハマ)→8/24名古屋(ブルーノート名古屋)→8/25大阪(ビルボードライブ大阪)→8/26東京(ブルーノート東京)でして、ジャズ狂い、特にブルーノート系と言われる、所謂「高級ジャズクラブ」通いの皆様以外には若干敷居が高いと思われますが、ワタシの11年度年間契約のプレ公演(4/6エリザベス・テーラー追悼公演。こちらも既に懐かしいですなあ。「震災直後」というシーズンの記憶としても)等をご鑑賞頂いた皆さんにはお解りの通り、ほんのちょっとの出資プリュで、コスパは莫大ですので、未体験者の方は、思い切ってご経験なさる事を強くお勧めします。何せ出るのがワタシですから、怖い事や緊張する事は何もありません(笑)。臆せず、かつ、やや背伸びして、特別な体験に身を委ねて下さい。
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特に、今サーキットは、2年ぶりという事で、起点と終点とで特別企画を設けさせて頂いております。という訳で、本日はサーキットの起点である、モーションブルー・ヨコハマ公演に関してご案内致します(終点であるブルーノート東京公演に関しては、既にブルーノートのホームページにありますが、当欄でも明日アップしますので、そちらもご覧下さい)。
最初に申し上げなくては行けないのは残シートの状況でして、本日(8/20)調べで、あと3〜40は残っていますので、「当日に予約無しでいらしてもご着席出来ます」とは言えない。というラインです。ご予約はお早めに。
さて、起点も終点も、特別企画は食事とワインに関する事でして、大掛かりなのは青山(東京)の方なのですが、横浜もオープニングらしく、軽く、しかし、粋でハイクオリティであります。
この日は、ダブセクステット結成以来初の、「途中にインターミッションがある、2ステージ制の、入れ替え無しストレートショー」でして、つまりワンステージ分のお客様に対し、演奏と演奏の間に1時間のインターミッションを入れる。という事で、このインターミッションに、この日のみのスペシャリテをご用意する。という趣向であります。
本日は、営業終了後のモーションブルーへと赴き、シェフがご用意くださった、この日のみのスペシャリテを試食し、それにどんなリカーをマリアジさせるか?という選定を行いました。こうしたものに対し、わざわざ実際に試食してシェフやバーテンとミーティングをするジャズメンなどというものは、世界中でワタシだけだと思います。威張っているのではありませんよ。「そんな好事家なんてオマエだけだよキチガイ」という事であります(笑)。
先ずは当日の流れからご案内させて頂きます。
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OPEN 17:30〜
1ST SET 19:00〜
INTERMISSION 20:00〜
2ND SET 21:00〜
とまあ、夕方早めに開場し、演奏まで1時間半で演奏の前半が始まり、1時間演奏してインターミッションがたっぷり1時間、それから後半がスタート。といった、こってりした流れですね。
大雑把にコースは二つになると思われます(飲み食いする事前提で→勿論マストではありませんのでご安心を)。
A)一番濃厚なコース
オープンからいらっしゃり、演奏開始までに飲み食いを終え、準備万端で前半を聴き、インターミッションではデセールかフロマージュ相手に何かチビチビやりながら前半の余韻に浸り、セカンドセットになったら強めの食後酒でノドや食道に強い刺激を与えながらガンガンにアガる。
B) 中程度に濃厚なコース
前半開始直前に着席され、着席すぐで演奏開始、前半は軽いリカーで気持ちよく聴き、インターミッションで夕暮れを観ながら食事をさっと楽しみ、後半になったら以下同文。
そもそもアルコールがダメであるとか、食が細いとか、ダイエット中とか、音楽だけを純粋に聴きたいといった皆様に於かれましては、それぞれのウエイでお楽しみ頂けますが、飲食に関しては、ワタシとモーションブルー・ヨコハマとの間には絶対の信頼関係があり(過去、日本の高級ジャズクラブで最も料理が美味しいのはモーションブルーだと、何度もアナウンスしているので、ご贔屓筋には周知の事でしょう)、豊富なシェア前菜(2人前からの注文になる、オードブル)やタパス系、メインディッシュはいずれも高水準の外れ無しですが、特に今回のスペシャリテ(この日だけの特別料理)はハンパないです。うー、さっき試食して帰って来たばかりなのにもう腹が鳴っています。
「フランス産ひな鶏のロティ、夏野菜添え、フォン・ド・ヴォーと鶏肉汁とシェリービネガーのソース」
うー。意外と日本では食べられる機会の少ない(あっても焼き鳥メイン)ひな鶏ですが、火入れといい塩加減といいかーなーりヤバい。一番ヤバいのがソースで、別添になるので、まずはかけずにひと口、という事も可能ですが、シンプルなフォンドヴォーとロティした鶏から出る肉汁に香草、という、実にシンプルなものですが、イマジネーションによってはややアジア料理を連想する様な、夏の終わりにぴったりの、ひな鶏のロティには更にぴったりの素晴らしい物でした。ワタシの舌が保証します。
こちら一皿が二人前。となっておりまして、シェア前提(勿論マストではありません。ワタシなら一人で全部喰いますし、3人で一皿でもオーケーです)で一皿3200円と成っておりますが、限定20皿となっておりますので、やっべー自分ひな鶏好きよ〜という方は是非。一羽物のひな鶏を、丁寧にロティするというのは、なかなか手がかかり(焼き色を付けてから落ち着かせ、更に火を入れて仕上げるので)、ロティスリーの少ない我が国、特にジャズクラブではなかなか経験出来ない皿です。
と、これにマリアジさせますのは
バロン・ド・ブルバン・ロゼ・ブリュット(ボトル3900円/グラス800円)
でありまして、出ましたロゼの泡です。
ワタシが鶏料理、特に焼き色の入ったロティや、ベトナミーなサテーなどには白でも赤でもなくロゼなのだ。という信念を抱いている事は、ご贔屓筋には御存知の通りです(97年に「レスプラナール」で、タイ風の鶏のブロシェットにサンセールのロゼを会わせ、失神するほど旨かった経験以来)。
ロゼも泡も、基本的には召し上がらないという方もいらっしゃると思いますし、ロゼかつ泡。というには、選定がかなりセンシティブでデリケートになりますが、横浜のリストは、星付きレストラン並みの、マッシヴな青山のリストに比して、全体のマウント量が少ないという特色の為、通常装備のグラスが厳選されています。ロゼ泡はこのバロン・ド・ブルバンだけですが、さすが横浜、ベストチョイスでして、もうこの、シェフ渾身のひな鶏とのマリアジは完璧ですので、グラスでもボトルでも是非お試しください。前回の青山に倣いましてひと遊び、ボトルでご注文の方には、終演後エチケットにサインさせて頂きます。
そして、このサーキットを通じてぜひ推奨させて頂きたいのは、セカンドセットの、荒れ場、揚げ場になってからの、或は、アンコールの、甘い物と共に味わうグラッパです。いきなり飲む物ではない。タイミングがある訳ですが、「ダブソーサラー」が始まって口に。というのもアリですし、アンコールの「知ってるオマエ?」で口に。或は、総ての演奏が終わってから、一気に。というのも、どれも非常にアリだと思います。この遊び(飲食のナビゲーション)、とにかく自分自身では経験出来ない。という事から、やや興奮気味に成っておりますふしだらをお許しください(笑)。
グラッパもしくはブランデーもしくは。といった食後酒は、このサーキットのどの地点でも豊富に取り揃えておりますので、スタッフにお尋ねください。ご参考までに、ざっくり申し上げて、横浜はイケメン揃い、一転して青山は美女ぞろい、しかもスムリエ/リカーセレクターとしての実力は申し分ありません。
この企画は勿論、ちょっとした遊びに過ぎません。しかし、いかな芸術であろうと、ジャズは歓楽街から生まれ、ジャズクラブが営業を始めたのはレストランとしてです。今でも営業登記上はレストランです。ワタシが皆様に伝えたいのはジャズの根源的な力、ジャズメンによる演奏だけではなく、ジャズの総合力なのです。着飾って家を出て、飲んで食べて、演奏を聴く。じっくりとした時間の中で、これらを総て行うリュクスは、何物にも代え難い。それは極めて攻撃的なリュクスであると言えるでしょう。良い音楽を聴いて、良い料理を食べ、良い酒を飲む事は、体感的に言って、端的に愛と極めて似ています。それでは横浜で。