火
05
7月
2011
あなただけ今晩わ。今週もやって参りました港区赤坂は夜の8時。政治家の先生方のお座敷を準備中の料亭の女将、そちらに向かう芸者さん、1950年のビュイック・エステートワゴンが売れたばかりのディーラーさん、その舎弟くんから「今から井崎さんと行くんで指名良いですか」とメールが入った実家が埼玉のホステスさんなどなど、たった今ゴングが鳴って戦闘態勢に入った皆さんのアドレナリンがじわじわと分泌され始めて止まらない、ファンキーな辰の刻五つは宵の口、なれど気分はお聴きの皆さんそれぞれお好みの真夜中あたり、ラウンドミッドナイトで参りましょう。お聞きのテーマ曲はチャーリーパーカーオールスターズによる「ブルーバード」1947年の演奏であります。
お子さんもしくはお妾さんを膝の上に乗せてあすばせているご主人、ひとっぷろ浴びてセブンスターに火をつけ、壁にかかっているモンドリアンか何かを見つめて一息ついている粋な叔父貴、お洒落なワンルームでシャネルのブラウスを共有、カレンデュラのアロマオイルか何かを互いに塗り合ってマッサージ中の美しきレズビアンのカップル様、路上でお暮らしの、拾って来たラジオ一丁で月見としゃれ込む自由人諸氏などなど、ご自宅リアルタイムでお聞きの皆様はどうぞホームバーからお好みのリカーを一杯ご用意を。今夜は薮から棒で恐縮千万、いきなりですが赤ワイン特集でお届けしますんでね。ボルドーの濃いめなんかがストックされてると最高なんすけど、いやいやいや何の何の、実のところ下戸のグレープジュースで結構です。浮き世は長屋の花見、ボルドーと思って飲みゃあボルドー、銀シャリと思って喰えば銀シャリ、ディオールオムだと思って羽織ればディオールオム、少女時代のテヨンだと思って抱けば少女時代のテヨン、オーランドブルームと思って抱けばオーランドブルーム。ですからね。まあ、目さえ閉じて、思い込んじゃえば、何だって。ね?
とはいえ目は簡単に閉じられますが、耳はそう簡単にゃあいきません。手ぇ掴まれたらもうおしまい。故に音楽とおしゃべりは強しヤバし。というわけで「菊地成孔の粋な夜電波」不肖ワタクシ、ジャズミュージシャンの菊地成孔が東京は港区赤坂TBSラジオの第二スタジオから全国通津うらうら、いやさAMの電波さえ受信できるとあらば、右目左目ロンドンパリ、ここは地の果てアルジェリア、地球の裏側ブエノスアイレスまで、日本語のおしゃべりと世界各国の音楽で小1時間ばかり。退屈しのぎに成れば幸甚の至りに存じます。
さてワタクシ菊地成孔、未だに大気中の放射線量が戦後最高を記録している卯年は昭和38年の6月におぎゃあと生まれたワタシのワタシの彼は左利き。さきほど「オーランドブルームと思って抱けばオーランドブルーム」った時に、あえて「抱かれれば」と言わなかった。というコンマ1ミリの小ワザによって女性リスナーに何らかのメッセージを今宵もチラ送りし続けている、ウインクウインク、ウインキージャズメッセンジャーズでございますけども、理想の上司は今週もぶっちぎりで森進一、女性に生まれ変わったら一度はやってみたい事は、10ぐらい年下のガキとつきあって、最初のキスのときに相手の小鼻をちょっときつめに噛みまして、びっくりした顔ににっこり笑い、即でディープキッスにおよび、もうオマエ無しじゃ生きて行けないよか何か野郎に思わせる事ですけれども、あと、何でも好きに出来る権力がひとつだけ手に入ったら、陸上短距離の福島千里選手の髪型をオレが決めたいんだと、そういう訳ですけれども、とにかくプチウナのCMが気になって仕方がありません。特に一番右の人。
とさて、要らねえ前口上ばかり長く成りましたんでさっそく赤ワイン特集、いってみましょう。何だそれ!っていう話ですけれども。今週が赤ワイン特集、来週がシャンパン特集、再来週がテキーラ特集とね、こうなっておりますんで。とはいえね、赤ワインでタンゴだ、シャンソンだ。じゃあなんか人の良い旦那みたいになっちゃいますから、そこはそれ、ワタシなりの趣向で、赤ワインと音楽、合わせておりますんでね。先ずは、この番組の神であるCPJ35ことチャーリーパカーですね。先週に引き続きまして、マニアの最終到達箱と言われております、買ったが最後、神棚に飾って毎朝二礼二拍手一礼、払いたまえ清めたまえと詣でてからじゃねえとハコをあけらんない。パーフェクトコンプリートボックス18CDから「52丁目のテーマ、そしてアナウンス、ジャストフレンヅ」という、地下録音、私蔵盤からのCD化ですけどね、何と真ん中のアナウンス、チャーリーパーカー本人だ。という説があります。確証ないんですけどね。
放送八回目
あなただけ今晩わ。今週もやって参りました赤坂は夜の8時。満天の夜空に輝くは、星組か月組かはたまた季節はずれの雪組か、夜の、暗黒の太陽、黒い陽光だけが照らし、祝福するクールなジャズ・ミュージックに抱きあげて、連れてって体ごと、身も心もやられやられて早48年、当方完全なるハナ肇とクレージーキャッツ派ですが今宵ばかりは申し上げるしかなし8時だよ全員集合。
モダンジャズの快楽を知った夜から幾星霜。15、16、17と、ワタシの人生行ったり来たりの天国と地獄。「黒澤明最高傑作」と呼びごえ高きこの映画の公開年63年6月に生まれまして最初のビッグイベントが東京オリンピック満一才。しかし東洋の魔女バレーボールが満員で入れず、諦めた両親ががら空きの水球の会場に行き、試合後にソヴェート連邦の女子水球の選手に抱かれて写真を撮った赤ん坊、末は博士か大臣か、はたまた競泳水着フェチの変態か、なった仕事がジャズミュージシャン。お聞き頂いておりますテーマ曲はチャーリーパーカーオールスターズ、1947年は12月21日、天国と地獄の原作小説、エドマクベインの「キングの身代金」が書かれる2年前に、何とデトロイトで録音された演奏です。
AMで週末たびにビーバップを流す、ちょいと出ました三角野郎。四角四面の21世紀の中で喋り倒すもおおそれながら、しかし当方ジャズのみならず、トーストを床に落とせばピーナッツツバターを塗った面が必ず下になるブルーズメンも兼任。何せハナ肇とクレージーキャッツに今やハナ肇なく、石橋エータローなく、安田伸なく、植木等なく、不滅の谷啓なく、巨星ギル・スコット・ヘロンすらなき世界を新宿歌舞伎町在住で生きる。連れは野良犬とカラスだけのブルース&ジャズ。
いやさしかし、オレがブルースあいつがブルース都々逸ぁ野暮でもこいつがブルース言うのは他ならぬこの座敷では御法度。今や我々、同じ傷を負い、同じ夜が眠れぬ、同じ日本人同士じゃあありませんかご主人。ブルースの神曰く、汝の週末の、胸重きなりせば、再びブルースの神曰く、汝の人生に痛み永遠と覚えなりせば、それ幸いなるかな。たった今から50と5分、効かねえ薬と手放せねえスマートフォンはご無用。代わりに一杯のシャンパーニュとAMラジオのご用意を。そして、イギリス語ではソファと言う、あなたのお部屋の、あなたの心の、一番柔らかい深い場所に沈んで、金色の泡とともにお楽しみ下さいますよう。
「菊地成孔の粋な夜電波」不肖ワタクシ、ジャズミュージシャンの菊地成孔が東京は港区赤坂TBSラジオの第二スタジオから地球の隅々まで、日本語のおしゃべりと、世界各国の音楽で、皆様のせっかくの憂鬱な日曜をくすぐってくすぐって、おかしくしちまおうという次第でございます。
とまあ、全国通津うらうらか何か言いましたが、もう、旧共産圏と言わず、新市場経済導入国といわず、世界中分け隔てなくいきますんでね、っていうか、このふたつ、同じ国ですけどねおおよそ。まあ何れにせよあれですよね、国連あるじゃないですか、あれの同時通訳のイヤホンありますよね。各国の要人がみんな聞いてる。あそこに番組が流れるのがね、最終目標ですからね。まあ、そこに至る過程でレーティングスで一位になっても何の問題もありませんが、とにかく番組の最終目標は国連の同時通訳のイヤホンにこの番組が流れている事です。
そんなナヴィゲーターはワタクシ菊地成孔、理想の上司は今週もぶっちぎりで森進一と、申し上げたい所ですが、何と今週、8つ年下の郷ひろみが急上昇。どっちもメタボじゃなくて歌が上手い。年に一度、紅白歌合戦のときに思いっきりブッこんでくるエゲツなさも髪型も一緒とこのランデヴィルランどうしたものか、女性に生まれ変わったら一度はやってみたい事は、夜の11時ぐらいにハイアットリージェンシーのパウダールームでファウンデーションを重ね塗りしている最中に、隣に並んでいる女子会帰りのOLが、何か気に喰わない会話をしている事に対して、思いっきり手鼻をビーっとかんで、嫌な顔をされる事、現在の悩みはプチウナのCMのインパクトが全く落ちず、ひょっとしたら一番右の人に恋しているかもしれない事ですが、無人島にひとつだけ持って行ける物があるとしたら、これはもうロイヤルホスト新宿七丁目店を持って行きますね。これはもう凄いですから。一番凄いロイヤルホストですからね。入ってくるなり「焼酎とパン」っていうおっさんがいますんでね。それを迎え撃つベトナム人店員。持って行くしかありません。
とさて、要らねえ上に意味のわからねえ前口上ばかり長く成りましたんでさっそくシャンパン特集行ってみましょう。今週もなんだそれ!っていう話ですが、先週が赤ワイン特集、今週がシャンパン特集、来週がテキーラ特集、再来週がぐんぐんグルト特集。と、こうなっておりますんでね(笑)。勿論、全部なんちゃで結構ですよ。ジンジャーエールにパソコン、熱いトタン屋根の上で仁王立で聞かれても、こっちゃ解りません。
放送九回目
あなただけ今晩わ。まるで地球儀を回すように、二人なら思い通り、みなさまのスティーミーでグルーミーな週末が、美しくしかし汚れつつあるどこかの星にゆっくりと接近中。との報を受け、頼んでもいねえのにまたやって来やがったとホゾを噛む苦虫鬱太郎青年、青年とは名ばかりの36歳、一方、おいら今月今夜このときを待ちに待ってたんだぜやっほーいと光彩おっぴろげてはしゃぎだすサマーオブラブ太郎少年、少年とは名ばかりの23歳しかも女子、そして、おっと気がついたらもう日曜か早えなあー。昨日も日曜じゃなかったっけ。と冷蔵庫から黒ビールを取り出したつもりが誤ってポン酢を掴んでいるユルユルのユル坊、ユルユルとは名ばかりの現役国選弁護人。と、この3人突然炎のごとく、週末から週末へむけ、凄まじい三角関係に突入。南米はウルグアイを舞台に、我々の想像を絶する、命がけの恋の駆け引きを展開。舞台はやがて南極大陸へ。クライマックスはペンギン達の乗る鉱山列車でのランデヴィルラン。週末までは何日か。と、これぞ欲望の翼、しかし、登場人物の誰にとっても、あるひとつの週末から次の週末までは等しく、背中まで45分かけるところの一週間分224回てーとじーじーじーじー計算機が計算中。じーじーじーじーベイベベイベベベ。出ました答えが1万と8分でご名算。「ところで、1万8個の音を使うのに、あなたは何小節かけますか?」というダウンビート誌のインタビューにチャーリーパーカー応えて曰く「1秒にて候」これぞスーパーソニック&ハイパーソニック。ただ今お聞きの曲は人種差別という不条理、そこに才能とヘロインをミックスすることで音速を越えた男達、チャーリーパーカーオールスターズによる「ブルーバード」1947年の録音でございます。
というわけで、1万と8分間の休憩を終え本番再開。「菊地成孔の粋な夜電波」不肖ワタクシ、ジャズミュージシャンの菊地成孔、ついさきほど京都から赤坂に派遣された粋な芸者さんに「若旦那、今宵の月はすっかりLEDどすえ」と揺り起こされ、寝床から飛び起き、歯を磨きながら飛び込んだのが港区赤坂TBSラジオの第二スタジオというお粗末。そのうちお天道様までLEDになっちまうんじゃねえかというこの奇妙に優しい国。その憂鬱な週末に、選りすぐりの音楽と口から出任せのしゃべくり、そして缶コーヒーひとつ小脇に抱えまして、マイク前という花道に登場。先祖の菩提寺は成田山新勝寺なれど、大向こうからお声がけ頂く際は成田屋ではなく、寄席の作法に従って、ぜひとも「歌舞伎町!」と。たった今から1万と8分ぶりの55分。ふつつかながらナヴィゲーション務めさせて頂きます。
放送十回目
あなただけ今晩は。悲しみよこんにちは。そして武器よさらば。今週もまた皆様のグルーミーでミスティな週末が、弾よりも早く、鳥よりも早く、プライムミニスターの退陣より早く、雨にも負けず、風にも負けず、どうやらその中に混じっているとかいう厄介そうなブツにも負けず、神の啓示よりも正しくに、ナポレオンの侵略よりも確実にやって参りました。痴漢は時間を気にしませんが、時間は時間を厳守するようでございまして、現在こちら港区赤坂は夜の8時であります。
気象学者に寄るならば地域的な気候の配置図は北上の一途を辿り、100年後いやさ20年後の東京の気候はバンコクかチェンマイか、熱帯性になるという結構毛だらけ猫ユーチューブだらけ。年間を通して麻で出来たコムデギャルソンのサマースーツをだらしなく羽織り、猫ちゃんではなくヤシガニちゃんを抱いて歩き、腹が減ったらサングラスを外し、そいつを潰してチャーハンにして喰うという、トッドラングレンもボズスキャッグスもかくやといったAORでサイバーパンクな夏のデカダンはちょいと残酷そしてエロティーク。毎晩、ブルーハワイやマイタイが飲み干され続け、裏でヤシガニが叩きつぶされ続けるトロピカルバー付き蟹工船。何の何のそんなもんなかなか旨そうじゃねえか。と、現在お聞きの曲は、バイト先のジミーズチキンシャックのまかないで出てくるローストチキンが喰い放題だったのを良い事に、そこにいる全員が恐れをなすほど喰いまくった事でそのあだ名がついたという、チャーリークリストファーパーカージュニア、通称のバードと彼のオールスターズによる1947年の演奏「ブルーバード」であります。
しかして夢のトロピカルジャパンお楽しみは残念ながら20年先、未来から20年前の現在、目の前は粋なしとしと雨、梅雨でございます。梅雨時に誕生日の方はハピバースデーツーユーとこれ先代三平の名作。今宵はテメエでテメエに歌っているので正しくはハピバースデーツーミーと、ツーミーは深いな大きいな、とこれが今の三平の佳作であればよし残念至極。罪深いアタシがたった今思いついた訳ですが、JKのケイコでさえ好きでもない奴を縛り、そういや昔あいつを捨てたしかしあいつにゃ捨てられた。何が罪で何が罰かよ。何が徳で何が褒美かよ。と、考えるだにまたしてもブルーズ、AMでは毎週ジャーズ、居酒屋でもジャーズ、うっかりしてるとラーメン屋でもジャーズ。ヘタすると薬局でジャーズ。
というわけで今週もやってまいリました「菊地成孔の粋な夜電波」。不肖ワタクシジャズミュージシャンの菊地成孔が、地球上で唯一、60年代のハードバップを聞きながら並んでラーメンをしかも全部乗せで喰っているというトロピカルでコロニアルそしてジャパンクールな皆様の週末に新時代のジャズの愉しみをご提案させて頂くべく、ここ東京赤坂TBS第二スタジオよりお送りさせて頂きます。
題しまして恥ずかしながらお誕生日ジャズずくし。お車をお持ちのオーナーの皆様は、飲むか走るか今から決めて下さい。本日のメニューはデュークエリントン、チャーリーパーカー、南博、マイルスデイヴィスとなっておりますんでね。どっちにしますかどっちにしますか。どっちも最高。もう、車は持ってねえけどタクシーに飛び乗っちゃうというね、
放送十一回目(特番「粋な夜電波」テックスメックス)
ソロ・デ・チ・ブエノス・ノーチェス。あなただけ今晩は。今週もやって参りました東京赤坂は夜の8時。ここTBS第二スタジオからは月は見えども残念ながら赤坂プリンスホテルが見えません。赤坂サカスばっかり見える訳ですけれども、あすこにゃクソ忌々しいアタシたち、つまりバブル世代の青春の甘酸っぱい傷〜。たとえばそうですなあ飲み物に例えるならクランベリージュースと赤ワイン半分こ、そこにちょっとミント、ちょっと彼女の乳首を、ちょっと笑いながら、何でも解決出来るこの自慢の犬歯でちょっと噛んで、血がちょっと。いつもはおしとやかな彼女思わず「痛てて」って言って、ちょっと怯え、オイラメッチャクチャ興奮して、そのルビーみたいなのをちょっと舐めてから口移し。と完璧なライン。ヘモグロビン金属ですから、クランベリージュースにも赤ワインにもばっちり。金魚顔の彼女、デパート勤続ですからファインディングニモ赤ワインにも、もうクラックラのクランベリージュースで初めて見る裸ー。皇居方面に東京の夜景がずがーん。まあ、そんな甘酸っぱい傷。ですね。これがサカスにゃあありませんで、まあ、気が楽です。アタシがヤッベオトナんなっちまったヤッベ、と実感したのは、初めてタバコ吸ったときでも、初めてギャラ貰ったときでもありません。初めてプリンスホテルのキー掴んだ時だったと記憶しております。。
6月最後の放送です。あの、舌打ちしたく成る様な若造が、はしたないほど愛し合った、あの、無限に沈みながら天国に昇って行くかの様なあの、あのヴェルヴェットなベッドを、被災者の皆様に無料で提供するという、中南米文学的としか言いようのない、美しい幕切れで、赤坂プリンスホテル、正式名称グランドプリンスホテル赤坂は今月一杯で56年に渡る任務を遂行終了します。お聞きのナンバーはチャーリーパーカーオールスターズによります「ブルーバード」。この地にプリンスホテルが建てられる僅か8年前、1947年の演奏です。
落成式当日、このホテルの最後の勤めが何なのか、正解を出せた賢者はいなかったでしょう。150年前の事じゃあない。たった56年前の事だ。人類は全員、神が書いた不条理小説の中にいて、それを今夜も黄色いLEDの月が照らしてる。てえ筋書きでしょうか。7月がやってきます。土用の丑も近い。鰻一切れ串から外し、ほらおたべよと山椒大夫。串に刺された罪人が、鞠屋はどこかと訪ねれど、こちゃ鰻犬鰻犬。
今夜は発酵させた竜舌蘭から精製される、世界で最も凶悪な酒テキーラ特集です。鰻とテキーラ、これ、実はよく会うんですけども、驚くべき事に、今じゃどっちもコンビニで売ってますね。20年前は、考えもしなかったですなあ。
というわけで「菊地成孔の粋な夜電波」、皆様のエレガントですらある憂鬱な日曜に、疲れを知らない子供のように、時には娼婦のように、あなたのお部屋に忍び込み、しつこい鰻嫌いもテキーラ嫌いも55分間の音楽療法でもって、すっかり治療しちまおうってえ寸法でございます。もし悪化してもお許しアレ。ムーチョグラシアス。
はい、という訳でですね、前回予告しました通り、今回は十一回目ということで、特番です。というか、今週は、先にいっときますけど
酷いよ(笑)。本当に。
なので、まず、いつも聴いてる人で、趣味の良い人ね、むかし渋谷系〜。みたいな。そういう人は、悪い事言わないから、今回は休んで下さい。来週元に戻りますんで。あととにかく、一番聴いたらいけない人は、今日初めて聴く人。ましてや、「なんか友達が言ってたんだけど、菊地成孔の粋な夜電波って、選曲も良いし、面白いらしいよ」みたいな、良い噂はいっちゃってる人。この番組の、アナタの初回は来週です。
とにかくタフじゃない人ね。ラティーノやチカーノに免疫ないひと。フォークとか好きな人は、吐いてしまうかもしれません。題して「粋な夜電波テックスメックスラティーノチカーノ」。とね、なんかほら、その口で」、トカゲを喰うかホトトギスって言いますけど、よくあるじゃない。凄い美人とかが、自分が嫌いな食い物をバクバク喰ってたりとか。何であの人、アレ喰うかなー。みたいな。今夜は、アレです(笑)。
何でそんな事すんだよ!って話ですけど(笑)。しょうがないじゃん!夏か近づいて来ておかしくなっちゃってるの!毎年そうなるの!偶然いったリゾートホテルのプールで、近所の女子高のシンクロナイズドスイミング部の合宿とカチあってしまった時以来!練習んときはまあどうでも良いんだよ。ヤバいの休憩中。みんな水着のママキャップだけ取っちゃってね、50人ぐらいのシンクロ部の女子高生がきゃーきゃーとか言ってプールではしゃぎ狂ってるのよ!体ぐにゃんぐにゃんに柔らかいさあ、ぼわ、潜ったり、とんでもねえ姿勢でぼーんって飛び出し合て来たりしてさあ、もう、じゃれ方がハンパないわけよ。そんで先生が来て笛ピー!って吹くと、ざーっとプールから上がって1列に並ぶんだよ。あんなん目の前で見たら頭いかれるでしょ!誰だって!
とまあ、ともかくだなあ。今日は強烈なのがダメな人は、大河ドラマ行って下さい。たまに観ると良いよキット。今から4000数えるから、その間につけられるでしょテレビ。ね。強烈たって、強烈にかっちょいい!とかじゃないんだから。強烈に酷いんだから(笑)。だって今日、イカレタ素人のデモテープしか流さないからね(笑)。吐いてもキレても知らないよ。はい、3999、4000。と。
よし、じゃあ、残ったオマエラだけに喰らわせてやろう、レーティングの週明けにしか出来ない地獄の特番をな。その前にマタドール・ペルーで乾杯だ。え?マタドール・ペルーを飲んだ事がないって?何だそれって?もう、すぐにラジオを踏みつぶして仁の2時間スペシャルを見ろオマエは。
マタドール・ペルーは、テキーラの最も強烈な飲み方だ。ペルー人は蛙の生ジュースを飲むな。水も味付けも何も無し。100%生のカエルだけで作るジュースだ。口当たりは絹引きのユッケか、酒盗みたいなもんだ。まあしかし、これは大衆的な精力食の文化であって、韓国人が犬を喰ったり、中国人が虫のさなぎを喰ったり、日本人が生ウニを喰ったり、ブラジル人が孵化直前のニワトリの卵を食ったりするのと変わらない。しかしマタドール・ペルーは違う。マタドール・ペルーは、ペルー人以外が蛙のジュースを飲む為のエキゾチックだ。エキゾチックがどれほどグロいか知ってるだろう。世界中の寿司屋に行けば解るな。
レシピは簡単だ。まず、テキーラとパイナップルジュースで、カクテルのマタドールを普通に作る。ここに、別のジューサーで作った蛙のジュースを大さじ一杯、クラッシュアイスを入れてシェイクする。今日の音楽は、この最高に強烈なカクテルの味だ。チアーズ。
よし、これで俺たちは仲間だ。アミーゴたち、おかわりが欲しかったらいくらでもやってくれ。もうこれで、どうせ三日三晩は眠れないからな。
じゃあ、最初の曲に行く前に、オマエラに5つの質問がある。アミーゴ、口うるさい母親はいるかね?そうか、じゃあ、ロクでなしの妹はいるか?そうか、じゃあ、何か合ったら自分を殺しかねない、恐ろしい父親は?そうか、誰を狙ってるのかすら解らない、しかし確実に変態の教師は?そうか、
じゃあ、最後の質問だ。身長が150センチ大の、両手一杯に刺青が入った、完全に目が澄んでいる、ぱっと見はネイティヴアメリカンとブラジルのハーフにしか見えない、その実下町っ子の、完全にイカれた、自分と2つ違いの、自分の生徒。はいるかね?
放送第十二回
あなただけ今晩わ。スルマン・コンム・プー・トワ・ボンソワー、ニン・エア・イイ・ワンシャンハオ、ヌール・アレス・フュア・ジー・グーテンナハト、&グッドイブニン・フォア・ユアアイズオンリー。世界中に300以上あると言われております国語の中から選ばせて頂きましたこれらのご挨拶、これすべて、カレーの上手い国を選んだ訳ですが、いやあそんなオマエ、カレーなんてオマエ世界中でそれこさ、南極ですら旨いに決まってんじゃんよ。などとおっしゃるなかれ、御存知でしょうか、韓国にもブラジルにもアルゼンチンにもカレーってのはありませんで、ブエノスアイレスなんてだからピッツァがあってハンバーグがあってラーメンもあって、そんでカレーがないっていうね。沖縄からの移民が一番多いんで、日本人だって言うと鈴木や山田っていわれ内で比嘉か?とか知念か?って言われるという、ものすごい不思議な国ですけど、まあそんなことどうでも良いんですけどね。
カレーの話でした。なんでこの、ブラジルや韓国はフェイジョアーだやジャジャ麺くってお茶をニゴしてる、この場合カレーをニゴしているというのが正しいと思うんですが、じゃあビーバップがない国ってあるんでしょうか?こっれがなあ、ワタシの知る限りないんですねえ。それかんがえるとあんな兵役拒否のロクでない奴らが作ったのにすげえ音楽だなと思う訳です。ただいまお聞きの曲はチャーリーパーカーオールスターズによります「ブルーバード」1947年、パーカー絶頂期の録音ですね。
全然カレーの話に成りませんが、要するに何が良い対価って言うと、暑気払いにはやっぱカレー最高じゃないですが、ですからワタシ、夜中にあついつって起きてはカレー喰ってね、寝て、熱いって起きてはまたカレー喰って、熱中症の予防にも良いんですよ。定期的に水飲むから。そしたら体重70キロぐらいに成っちゃってこれが困ったもんですけど、だけど不謹慎ですけどね、熱中時代とかサタデーナイトフィーヴァーとかいう世代にとって熱中症って、なんかこう情熱的で良い事みたいな響きでね。モダンジャズに熱中症。ドストエフスキーに熱中症、オイラはおまえに熱中症なんちゃって、まあ、もっと不謹慎ですけどね、あくまでワタシの妄想ですよ。何のアレもないですけど、カレーって、絶対、すげえ微弱な、放射能が全部入ってると思うんですよ。じゃないとあんなに旨い説明がつかないですよね。スパイスなんて他の料理にだってみんな入ってるんだしね。
という訳で今週もやって参りました「菊地成孔の粋な夜電波」、不肖ワタクシジャズミュージシャンの菊地成孔が、みなさまの、そうじゃなくたって憂鬱でうっとおしいとこにもってきて、クソ熱さが加わった7月でですね。フランスではジュイエ、レボリュシオンドゥジュイエつったら7月革命、いわゆるフランス革命ですからね。景気良く暑気払いでね、とはいえまあ、東南アジア方式のブンなぐるようなんじゃなくて、和式のはんなりとしたね、打ち水みてえな暑気払いでみなさんんお安眠の一助と成れば幸いでございます。それでは参りましょう。キーポンクール、キーポンタイニースマイル、&キーポンクレイジー。